魔法先生ネギま 〜疾風物語〜 第十六話 |
…頭が、ひどく痛い
クラクラする頭をおさえて顔を上げると、そこは何処か知らない鬱蒼とした森の中だった
発動直前に術者が死亡した為に、転移座標に狂いが生じたのだろう
だが森のそこかしこに魔力を持った動物がいるために、((魔法世界|ムンドゥクス・マギクス))である事は疑いの余地も無い
意識が、薄れてくる。頭痛も激しさを増してきた
こんなところで気絶すれば、正義の魔法使いに捕らえられるか、魔法生物に餌として喰われるのがオチだ
「ふっ…」
ふと、自嘲的な笑いが漏れる
これが賞金首となった末路か。これが転生した末路か
無様過ぎて笑えてくる。前世で死んだのに、醜くも生き永らえようとした結末がこの有様か?
…ふざけるな。此処で死ぬとしたら、あの空間で修行した時間はなんだったのだ
此処で死ぬことは、師匠たちへの侮辱だ
自来也先生は物語から退場するときに何を残した?敵を倒すためにヒントだ
俺が死んで何が残る?…何も残らない。強いて言うならばクラマと久慈奈だけだ
此処で死ぬわけには、いかない
チャクラと気によって無理やりに身体強化を施し、立ち上がる
そのまま強化した脚で疾走し、森を駆け抜ける
森の中には前世のファンタジー物の漫画やアニメでしか見たことの無かった、オークやゴブリン、果ては小さなドラゴンまでいたが、無視して駆ける
生態などに興味はあるが、今は森を抜ける事が優先だ
五分ほど走っていると光がさして、森の出口が見えた
―――だが小さな少女の悲鳴が聞こえたのも、また同時だった
何故、こうなってしまったのじゃ
((妾|わらわ))はただ城から、町から出て遊びたかっただけと言うのに
その報いがこれか?あんまりであろう
妾はオークに追われておる
一匹ならまだ逃げおおせる事も出来たじゃろう
しかし、妾を追って来ておるオークは十匹以上はおる
オークに捕まった女子がどうなるかは、良く知っておる。何度も教師達に教えられた
『オークに捕まった者は、男なら貪り食われます。女ならその一生を、オークの苗床として終える事になるでしょう』
いやだ。あの醜悪な姿形の者共に孕まされるのは
一生をそれで終えるのは、余りではないか
だから叫んだ。何を叫んだかはわからない。言葉であったかどうかもわからない
ただこの叫びを聞いておるものが居ることを願って――絶叫した
かくしてその願いは叶えられた
妾の前に現れたのは、漆黒の衣を纏った戦士
幾分ふらついてはいたが、今は自分を助けてくれる者がおったと言うだけで安堵した
「…ラファール・ノワール・アヴニール『((闇夜切り裂く|ウーヌス・フルゴル)) ((一条の光|コンキデンス・ノクテム)) ((我が手に宿りて|イン・メア・マヌー・エンス)) ((敵を喰らえ|イミニークム・エダット)) ((白き雷|フルグラティオー・アルビカンス))』」
その者が唱えた呪文は中級呪文。そんな物でオークを掃討できるのか不安に思ったが、その不安は掻き消された
何せ、明らかに上級呪文に匹敵する威力の雷がオーク達を飲み込んだからじゃ
軌道は直線的ではあったが、威力は申し分なかった
その雷撃が通った森は、跡形も無くなっていたのだから
勿論オークたちも諸共消し炭と化した
「た、た…」
このような声を上げた妾を不審に思ったのだろう
男が此方を振り向こうとする
しかし、その前に妾は行動しておった
その広い背中に跳びかかって、負ぶさったのじゃ
その際男の頭に妾の頭がぶつかって、鈍い音がしたがまあ問題は無かろう
「助かったのじゃー!!!主、何者じゃ?中級呪文であのような威力を出すとは!是非妾の護衛魔導師とし、て?」
負ぶさったと思ったら、その男はそのまま倒れてしもうた
も、もしや先ほどの頭突きかの?
そう思うと、冷や汗が流れ落ちた
男は気絶しておる。助けてもらった手前、このままにしておく訳にもいかん
幸い魔物たちは先ほどの一撃に恐れをなして、もう襲い掛かってはこないようじゃ
…仕方ない。城まで連れて行こうかの
そう帰結して、はたと思い当たる
妾の身長では、負ぶって連れて行けぬ
どう連れて行こうか思案した末に、両の脚を持って引きずっていく事にした
これなら妾の力でも連れて行ける
…まあ木の根やら落ちていた石やらに、頭をぶつけてはいたが
そして妾の国、『ヘラス帝国』へと辿り着いた
今回の疾風物語。三つの出来事は?
ひとぉつ!疾風、生存確認!!
ふたぁつ!疾風、魔法世界へ転移!!
みぃっつ!今回出てきた少女の正体とは!?
それでは、次回の投稿をお楽しみに
説明 | ||
第十六話です。お楽しみいただければ幸いです。 これが年内最後の更新となります |
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コメント | ||
こいしさま誤字報告ありがとうございます。修正しておきました。やっぱ深夜に書くもんじゃありませんね(ディアーリーズ) 2ページ目の4行目のセリフに誤字が有りますよ。 「招待」じゃなく「正体」じゃないでしょうか?(ハラキリ) |
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