真・恋姫無双 黒天編“創始” プロローグ1 |
真・恋姫無双 黒天編“創始” 外史を終結させるために少女は弓を引く
プロローグ1
そこは、真っ暗闇の世界
音も何も聞こえず、目の前には何もない
ただ、闇が広がっているだけ
そんな中、愛紗は一人ポツンとたっていた。
「ここは・・・?」
一体自分はどうなってしまったのか。
たしか、雪蓮に矢が突き刺さったのを見た蓮華が取り乱したとたんに、地面が揺れて、蓮華の周りから黒い霧のようなものが噴き出てきて・・・
皆で撤退することになったが、華琳がいなくて・・・
それから・・・
それから?
(どうなったんだ?)
自問自答してみるが、その答えを見つけることは出来なかった。
その後の行動がどうしても思い出せない。
(どうしてわたしはこんなところにいる?皆は?)
何も分からなかった。
愛紗は腕組をしながら、頭をかしげると不意に背後から人の気配を感じた。
愛紗はすぐに振り返り、確認するとそこには見知った人物が立っていた。
「華琳殿っ!!」
「愛紗っ!!いつからそこにいたのっ!?」
「いつからかと聞かれると正直のところ分からないのですが・・・」
「さっきからそこにいたのっ!?」
「いや・・・そう聞かれましても・・・とりあえず気がついたときから一歩も動いてはいません」
「あなたが突然現れたような気がしたから」
「私も突然後ろに人の気配がしたのですが・・・」
「ここはどこなの?確か私、流琉と一緒に愛紗たちの所に帰ろうとしてたはずなんだけど・・・流琉は?」
「分かりません。ここがどこなのかも・・・流琉や他の者の安否さえも・・・」
「そうなの・・・」
「ご主人様は・・・無事でしょうか」
華琳は愛紗の言葉に少し肩をふるわせたあと、俯き小さく答える。
「カズトは・・・大丈夫よ・・・」
「本当ですかっ!!」
「ええっ・・・連れていかれたから」
「あの者たちにですか・・・」
「ごめんなさい。私がその場に居ながら・・・何もできなかった・・・」
俯いていたため表情までは見ることができなかったが、不意に華琳の声色がかわったことに気がついた。
「・・・何かあったのですか?」
「ええっ・・・詳しいことはこの場所を抜けて、皆と合流してから話すわ」
華琳は右手で両眼を二、三回ふき、顔をあげるとそこにはいつもの華琳の顔があった。
「そうですね。城の様子も気になりますし・・・」
『白帝城なら大丈夫ですよ。もちろん、他の人たちもね』
突然聞こえた声に驚きながらも愛紗は華琳を庇うように立ち、偃月刀に手をかけようとした。
しかし、そこには偃月刀はなく愛紗の手は空をきるだけだった。
「警戒しなくても大丈夫です、と私が行っても説得力はありませんか・・・とりあえず、私にあなたたちに危害を加えるつもりはありません。ご安心を」
声が聞こえた方向からコツコツと足音が聞こえてくる。
愛紗と華琳は眼を凝らしてその方向を見ると、両手を上にあげたまま人が歩いてくるのが見えた。
その人物の輪郭がくっきりと見える距離までその人物が近付くと、二人に向かって優雅にお辞儀をした。
その人物は一目見て男性か女性か分からない中性的な顔をしており、白い大きな布を羽織っている。
その人物の声でも女か男か二人は判別できずにいた。
しかし、愛紗はその顔を見て、頭のどこかで何かが引っ掛かるような感じがした。
「はじめまして、曹操さん。そして・・・お久しぶりです、関羽さん」
「お久しぶり?愛紗、あなたの知り合いなの?」
「えっ・・・」
その人物の言葉を聞いて愛紗は頭に引っ掛かっている何かを手繰り寄せるように記憶をさかのぼっていく。
「・・・・・・あっ!!あなたは・・・湖のっ!!」
「はい」
その人物はにっこりと笑みを浮かべ再び愛紗に優雅にお辞儀をした。
「湖のって・・・説明してもらえるかしら」
「私に“ご主人様はこの世界にいる”と教えてくれた女性です」
「っ!会議の時に詠が言ってた報告ね。そう、この人が・・・」
「あのときは突然消えてしまって申し訳ありませんでした。もう少し詳しくあの時お伝えできていれば、状況は少し変わったかもしれなかったのに」
「いえっ!あなたにああ言ってもらえて私がどれだけ救われたかっ!」
「あなただけじゃなく皆が救われたわ。それだけで十分よ。詳細を教えてもらわなくても自ら探し出す自信はあったんだから」
「ふふっ・・・さて、本題に入らせていただいてよろしいでしょうか」
美しい笑みを浮かべていた女性は急に真剣な表情へと変え、それにつられる形で愛紗と華琳の表情も硬くなった。
「貴方達にはいろいろな疑問がおありでしょう。私の正体は?ここはどこなのか?いろいろあるでしょうが、私にも時間がありません。本題だけをお話します」
「・・・・・・分かったわ。この際だから細かいことは気にしない。早速お願い」
「ええっ・・・“なぜ、こんなことになってしまったのか”そして、“北郷一刀がなぜあのようになってしまったのか”について・・・」
「「!!」」
二人の驚きをよそに女性が華琳たちの周りをゆっくりと歩き出し、ちょうど今まで立っていたところと反対の位置で立ち止まった。
そして、右手を掲げゆっくりと下へ下すと、そこから緑色のスクリーンが現れた。
「本当は孫権さんか孫策さんにもここにきていただきたかったのですが・・・あの状況なら仕方ありません」
「二人は大丈夫なのかしら?」
「はいっ、お二人とも命に別条はありません。ご安心を」
「よ・・・よかった・・・」
「話を続けますね?そこには“一人の女性”が大きく関わっています。そして、外史の管理者たちも」
「外史の管理者?」
「貴方達が知っているところのカガミ、ツルギと名乗った人物です」
女性はスクリーンにやさしく触れると、触れたところから水面の波紋のように波が広がっていった。
そして、文字なのか絵なのか分からないような模様がスクリーンいっぱいに広がった。
女性はスクリーンを操作しながら、再び話を始める。
「全てを一から説明するのは簡単です。ですが、貴方達には“ある記録”を見てもらいます。それは・・・“正史”での記録・・・」
「“正史”ですか・・・」
「分からない言葉ばかり使って申し訳ありません。簡単に言いますと・・・“天の国”の様子を記した記録・・・北郷一刀が暮らしていた世界の記録です」
「一刀が暮らしていた世界のっ!!」
「はい」
スクリーンに混沌とした文字列が一通り並び終わると、そこからある一つの文字に触れた。
そのとたん、他の文字は消え失せ、一つの大きな絵が浮かび上がった。
「今回の出来事はそこで起きたことと大いに関係があります。本当はこんなこと起こるはずがなかった。貴女方が暮らす幸せな外史で末端を迎えるはずだった。しかし、正史で暮らす“ある人物”の思いが強すぎた・・・」
「そのある人物というのは・・・ご主人様と関係がある人物ですか?」
「それは映像を見ていただければ分かります。お付き合いいただけますね?」
「もちろんよ。ただでさえ情報が少ないの。くれるって言うのならありがたく頂くわ。一刀の世界のことも知りたいしね」
「・・・お願いします」
「分かりました。ではご覧ください。この外史が生まれてしまった発端を・・・」
女性が画面を再びタップすると、画面から強烈な光が溢れだし愛紗と華琳を包み込んだ。
あとがき
どうもです。
やっと長めのお休みをいただいたので、仕事中に貯めに貯めた構想を書き殴ってやろうと思います。(今回は短すぎて申し訳ないのですが・・・)
プロローグは二つに分けてお送りすることになります。
そして、第2部の中心となるのが“天の国”いわゆる現代編ですね。
現代編の物語を描きつつ、途中で謎の女性が愛紗と華琳に解説を加えていく。というような構成で行きたいと思います。
それじゃあ、他の恋姫が出てこないじゃないかっ!
大丈夫です。ちゃんと現代編にもいろいろと登場させていきたいと思っています。
そうじゃないと、恋姫で2次創作させていただいている意味がなくなっちゃいますからね
そして、第2部もどちらかというとシリアス?な感じになっちゃいます。
私、ほんとに笑いのセンスをどこかに置き忘れた関西人ですので・・・
では、本日はこれで失礼します。
説明 | ||
どうもです。本日から第2部開始です。 楽しんでいただければなによりです |
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