魔導師シャ・ノワール 無印偏 第十五話 守るという意味
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「結局・・ノワールのやつは戻らないか・・・」

 

あいつのことだからアレくらいで死んだりはしてないだろうけど・・・。

 

「フェイトも心配しでんだ・・早く戻っておくれよ・・・それで・・フェイトを助けてやってよ・・・・」

 

 

 

〈くぅ!・・あぁ!!・・・・ひぃ!・・・・ああああッ!!〉

 

 

 

扉から漏れ聞えてくるご主人の苦しそうな声が聞えないように耳を塞いで私は扉の近くに座り込む。

 

あの鬼ババの元に報告に帰って来たけど。またあいつ・・フェイトを苛めて・・・。

あたしはフェイトの命令には逆らえない・・フェイトも鬼ババの命令には逆らえない。

 

だけど、あいつなら・・ノワールなら何とかしてくれる・・・。

 

『アルフ・・フェイトを頼んだぞ・・・』

 

「ッ!!」

そうだ!あいつに最後頼まれてたんだ!フェイトを頼むって!

もちろんフェイトは私のご主人様だけど。ノワールももう私のご主人みたいなものだ。

 

フェイトには嫌われるかも知れないけど・・・もう我慢しなくてもいいよね?

 

 

《ドゴォォー!》

 

分厚く大きな扉を魔力の込めた拳で吹き飛ばし。

フェイトを・・吊るし上げてムチを振るっている敵に牙を向く。

 

「あらあら・・使い魔の躾がなってないわね」

「・・・アル・フ?」

 

「うわあああああああああああ!!!」

思いのままに走り出して拳を振るう。

 

「ふっ」

《ガッギギギッ》

 

まるでそれをあいつは、あざ笑うかのような笑みを浮かべ。

シールドで容易くあたしの攻撃を防いだ。

 

「アルフッ!!なにやってるの!?それは母さんだよっ!!?」

「ああぁぁぁぁ!!!」

 

フェイトの言葉を無視して再び殴りつけ。張られたシールドを指先で無理やり抉じ開ける。

手の皮膚が裂け、血が吹き出すが構うものか!

 

「ぐっ!開けええぇぇぇぇ!!」

 

それが相手を本当に思うってことなんだろ!?守るってことなんだろ!?ノワールッ!!!

あたしはやっと分かったんだ!自分の意思を・・主を本当の意味で守るってことが!!

なら、フェイトの母親だろうとあたしはフェイトを守るためなら戦ってやる!

 

「はぁ!捕まえたぁ!」

 

「ぐっ!」

 

鬼ババの胸倉を掴み締め上げて持ち上げる。

 

 

 

「アルフッ!やめて!!」

 

 

「あんたは母親で!フェイトはあんたの娘だろう!あんなに頑張ってる子に!

 あんなに一生懸命な子に!なんでこんな酷いことができるんだよぉ!!ぐぁぁッ!!!」

 

 

《ドゴッ!グシャ!!》

 

お腹にゼロ距離で魔法弾を当てられ壁にめり込みながら吹き飛んでしまう。

肺の空気が一気に口から吐き出され。息が詰まった。

 

 

「ア・・アルフ?・・・」

 

「フェイトは使い魔の作り方が下手ねぇ。余分な感情が多すぎる

 それとも、あの生意気な役立たずに唆されたのかしら?・・・ふぅ・・消えなさいッ!!」

 

向けられた鬼ババの杖に高濃度の魔力が集まる。

あれは・・食らったらまずい・・・

 

フェイトの母親は仮にもSランク以上の大魔導師・・・・。

所詮は使い魔のあたしがどうこうできる相手じゃなかった。

でも、そんなことは百も承知だよ・・・。

勝てる勝てないかじゃない・・戦うんだ!フェイトの為に!

再び拳を握り。埋まっていた壁から抜け出す。

 

「あんたの娘は・・あんたに笑ってほしくて・・優しいあんたに戻って欲しくて・・・このぉ!!」

【逃げて!】

「えっ?」

 

母親に聞えないようにフェイトから念話が届き。動きを止める。

 

【母さんはまだ昔みたいに優しくないだけ!わたしが母さんを説得するから今は逃げて!アルフ!】

【だけど・・・あたしは・・・・】

【お願い・・逃げて・・・アルフ】

 

「くっぅぅ・・ああああああああああっ!!」

 

《バシュゥゥゥ!!!!》

 

 

結局、転移魔法も使う暇もなく。あたしは鬼ババの閃光に飲まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、どういう訳か気が付くと自分で転移したわけでもないのに知らない場所に倒れていた。

受けた怪我も酷く、動物形態に変化して。そのまま動けずにいると...

 

 

 

「大型犬・・怪我してる・・・鮫島!」

「はい、心得ております」

 

偶然、あの温泉でガキンチョと一緒に居た子供と出会い。

親切にもその子供に拾われるようだ・・・

 

「ぐるる・・・(ごめん・・フェイト・・・ごめん・・ノワール・・・あんたの約束守れなかった・・・・)」

「大丈夫、すぐに直してあげるからね(泣いてる?すごく痛いのかな?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 時の庭園に一人の男が呟いていた。

 

 

「ったく手が焼けるぜ。だが、こういう改変はいい物だなぁ・・さてと、ま○屋の牛丼でも食べに行くか」

 

 

そう呟いた男は闇へと溶けて消える。誰にもその存在を悟られないままに。

 

 

 

説明
神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。
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