魔導師シャ・ノワール 無印偏 第十六話 嵐の前 |
「ふむ・・ノワールとは話せず仕舞いか・・・」
「う〜ん・・無事かどうかもちょっと分からないの・・・」
あの6個のジュエルシードの暴走の後。お暇を貰ってアースラから自分の家へ一時帰宅してます。
そして、家族のお父さん達にここ数日の間に起こった出来事を簡単に説明しました。
でも、一番心に残っているのがあの時のことです...
フェイトちゃんと二人でジュエルシードを封印してから紫色の雷が鳴り響いて。
ノワールくんが雷に打たれたその時にフェイトちゃんが呟いた「母さん!?」という言葉
落ちて来た雷をフェイトちゃんに当たらないように庇ったノワールくん・・・。
しかもその雷を受けたノワールくんは荒れた海の中に飲み込まれていって。
アースラ自体も攻撃を受けたみたいでリンディさん達もノワールくんが無事かどこに行ったかも分からないそうです。
「大丈夫だよなのは。ノワールなら多分生きてるよ。
ああいった人間は簡単に死なないものさ。僕みたいにね」
「お父さん・・・」
「そうね〜きっとノワールちゃんは無事でいるわ。あの子なら」
「お母さん・・・」
「ああ、きっとまた会えるさ」
「お兄ちゃん・・・」
「そうそう、平気平気っ!私と母さんなんてノワールくんの為に可愛い服まで作ってるんだから」
「お、お姉ちゃん?そ、それはどうかと思うの・・・」
久しぶりに帰った我が家ですが、わたしの家族は相変わらずです。
「ちょ!わはははっ!やめてー!」
「ほらほらユーノくん。こちょこちょ〜♪」
アースラに行く前にユーノくんも人間だってみんなに説明しても。
相変わらずお姉ちゃんには可愛がられています。
まあ・・他のお兄ちゃん達は人間相手のそれに直ってますが・・・。
「なのは、明日一杯くらいはこっちに居られるんだろ?」
「うんっ!まだ少しだけ掛かりそうだからちょっと休憩だって」
「そうか、なら明日は学校に行くか?友達とも会いたいだろう?」
「そうだね、明日は学校に行ってみるの♪」
アリサちゃんとすずかちゃんとも久しぶりに会える。
ちょっと魔法のこととか言えないからアリサちゃんとはギクシャクしてたし。
すずかちゃんにも心配をさせている。二人に会ったらまず謝ろう。
次の日....
「なのはちゃん!よかったー元気で!」
「う、うん!ありがとうすずかちゃん//」
学校で会うとギュっとすずかちゃんに手を握られすこし照れます。
「うっ・・あ、アリサちゃんもごめんね?心配かけて・・・」
「ま、まあ・・よかったわ・・・元気で」
少し離れたところからぶっきらぼうにそうアリサちゃんは言いますが
ぷいっと顔を背けていることから多分、喜んでくれてるみたいです。
ノワールくんとはまた違いますが結構、恥ずかしがり屋です。
それからまた少し、学校を休まないといけない事を二人に伝えます。
「そっか・・また、行かないといけないんだ・・・」
「うん、アリサちゃん、まだ少し掛かりそうなの・・すずかちゃんもごめんね」
「仕方ないよ。でも、大変だね・・あっ、なのはちゃん、今日の放課後とか時間あるかな?一緒にあそばない?」
「うん、大丈夫っ♪」
遊べることが分かると少しだけ顔を背けてアリサちゃんが口を再び開きます。
「じゃ・・じゃあ家に来る?新しいゲームもあるし・・・。
あっ、そういえばね。夕べ、怪我した犬を拾ったの。」
「アリサちゃんの家は犬?」
「うん、すごい大型で毛並みがオレンジ色で。おでこに赤い宝石が付いてるの」
「えっ?・・(もしかして・・・アルフさん?)」
「そういえば、すずかも怪我をした黒猫拾ってたわよね?あの子はもう平気?」
「え?すずかちゃんは猫さん拾ったの?」
「うん、怪我もそんなに酷くなかったみたいで。ほらっ」
すずかちゃんが自分の携帯を取り出して。写真を見せてくれます。
そこには、どこかノワールくんとよく似た赤い目をしている
ちょっとまだ大人よりかは小さな黒猫が丸くなっている姿で映っています。
ちょこんと丸くなったままカメラを見つめている姿が可愛らしくて
今まで見た猫の中で一番可愛いの!!
「うわーっ!すごく可愛い猫さんなのー!」
「どこかの飼い猫だったみたいなんだけど。海岸に打ち上げられてて
もし帰る家がなかったら家の家族になると思うから。良かったら会いに来てね」
「うんっ!絶対会いに行く!」
「それにね〜もう一匹知らない猫がその子にね、ずっと寄り添って看病してるんだよ〜」
「へぇー!あっ!こっちの子も可愛いー!」
一方アリサはというと....
「くぅ・・・拾ったのが可愛い小型犬ならすずかに負けなかったのに・・・。
確かにあの黒猫・・なんだかすごく可愛かったけどさ・・・」
と、一人でいじけていた。
そして、アリサの機嫌を直す為に二人がかなりの時間を掛けたことは言うまでもない。
放課後になり、アリサちゃんの家へ遊びに行くとそこには
体に包帯を巻いた痛々しい姿のアルフさんが檻の中で静かに座っていました。
【やっぱり・・アルフさん】
【あんたか・・・】
【その怪我どうしたんですか?それにフェイトちゃんやノワールくんは?】
【ノワールは・・あれからどうなったかあたし達も知らない・・・フェイトは・・・・】
心なしかバツの悪そうに顔を歪め。ゆっくりと背中を向けます。
「あらら・・どうした?大丈夫?」
「もしかしたら、傷が痛むのかも。そっとして置いてあげようか」
「うん・・・」
アリサちゃんとすずかちゃんには念話が伝わらないので
背を向けたアルフさん思いやって家の中へ戻ろうとします。
そこに、すずかちゃんが抱いていたユーノくんが地面に飛び降りて
檻の中のアルフさんと向き合います。
「あっ!」
「こら、ユーノ。あぶないぞ」
【なのは、彼女からは僕から話しを聞いて置くから。二人と】
【うん、ありがとう】
「大丈夫だよユーノくんは。さっ行こ行こ」
アリサちゃんとすずかちゃんを連れて家に入り
二人とお茶やゲームをして遊びながら念話に耳を傾けます。
【フェイトの母親。プレシア・テスタロッサが全ての始まりなんだ・・・】
管理局のクロノ君も念話に入り。アルフさんから事情を聞いていきます。
そこから聞かされた内容は壮絶でおぞましい事でした・・・。
フェイトちゃんはお母さんから虐待されていること
そのお母さんがジュエルシードを欲して。フェイトちゃんに集めさせていること。
その手伝いにノワールくんが雇われていることや
怪我の原因にフェイトちゃんがお母さん苛められているところを止めに入り
返り討ちにあって、今こうしていることなど....
【なるほど、君の話と現場の状況。そして、彼女の話から嘘や矛盾はないようだ】
【これからどうなるのかな?クロノ君】
【プレシア・テスタロッサを捕縛する。あの海の件ではアースラを攻撃した事実もある。
容疑としては十分だ。魔力の質、波形、言わば個性は魔導師によって違うからね。
本局から届いたデータとあの魔力攻撃時の波形は同じだった。疑う余地はない。
ジュエルシードの回収も現状でほぼ終わっていると思って間違いないだろう。
彼女・・フェイト・テスタロッサが持つジュエルシードと君のを合わせれば数は揃うはずだ。
艦長の命令があり次第、プレシア・テスタロッサの逮捕に任務は移る。君はどうする?高町なのは】
【わたしは・・・わたしはフェイトちゃんを助けたい!
アルフさんの思いと。それからわたしの意志。
フェイトちゃんの悲しい顔はわたしもなんだか悲しいかの。
だから、助けたいの悲しいことから。それに友達になりたいって伝えた。
その答えをまだ聞いてないしね。あと、ノワールくんとも会わないと
わたしにアルフさん、それにきっとフェイトちゃんからもいっぱい心配掛けてるから
お仕置きしてあげないといけないの♪】
【・・・わかった。君の魔力を使わせて貰えるのはこちらとしてもありがたい。
フェイト・テスタロッサについては君に任せる。
エングレイブのノワールも君が止めてくれるならありがたい】
【・・・なのはだったね?】
【アルフさん?】
【頼めた義理じゃないけど・・・フェイトを助けて。
あの子は今、本当に一人ぼっちなんだよ・・・
ノワールもさっき言ったけど行方不明で・・・あの子はもう本当に・・・】
【うん、大丈夫。任せて】
一人ぼっちの辛さは昔お父さんが大怪我した時に分かってるから。
多分、その時のわたしの目とフェイトちゃんの目が似ていて放って置けないんだわたしは
「なのはってば!」
「ふぇっ!?」
念話に集中しているとアリサちゃんに呼ばれて居る事に気がつきます。
「どうしたのなのはちゃん?もしかして疲れてる?」
「ううん!大丈夫だよ。すずかちゃん」
「そう?ならいいんだけど・・・」
「なのは・・・少し吹っ切れたかと思ったけど、またなにか心配事が増えた?」
「えっ?アリサちゃん?」
「ずっと心配してる・・・私が前、なのはに怒ったのはさ・・・
なのはが隠し事してることでも。考え事をしていることでもなくって。
なのはが不安そうだったり迷ったりしてたことで、時々そのまま
あたし達の元に帰って来ないんじゃないかって目をすること・・・・」
ジュエルシード・・ロストロギア・・・魔法・・・・
今まで経験のしたことの無かった人には話せない悩みの数々
非日常の出来事に振り回されているわたしはたしかにそんな目をしていたと思います。
でも、そうだからってわたしは変わらない。魔法使いになっても二人の友達。
例えそれが言えなくても、それは変わらない・・・。
思った以上に二人にすごく心配を掛けていたみたいです。
アリサちゃんの気持ちが心に伝わって来て思わず目じりが熱くなってしまいました。
「行かないよ、どこにも・・・友達だもん・・・・」
「なら、いいわ・・・」「ふぅ・・・よかった」
それから一足先に二人と別れ、わたしは家に帰り。
家族と過ごして早朝からまた家を出る予定です。
そして、次の日の朝。まだ薄暗いにも時間にも関わらず
朝の鍛錬もしていないお母さんまでそろって家族総出で玄関で見送りをしてくれます。
「じゃあ、気をつけるんだよなのは」
「うん、お父さん」
「なのは、ちゃんとハンカチとか持った?」
「お母さん、そんなの平気だって〜なのははしっかりしてるんだから」
「そうだな、美由希と違ってなのははしっかり者だからな」
「それは恭ちゃん酷いよ!」
「はは、ごめんごめん美由希。魔法の事はよく分からないが気をつけてな、なのは」
「うん、お兄ちゃんありがとう!」
「気をつけてね、なのは」
「うん!お姉ちゃんもありがとう!」
「じゃあそろそろ「なのは」なに?お父さん」
家族との挨拶も済ませて出発しようとしたその時、お父さんの高町士郎さんに呼び止められます
「いや、なのはにちょっとお願いがあってね。
もし、ノワールが何にも縛られずに自由に生きれるような状態だったら。
無理やりにでもいいから家に連れて来なさい。なんとか養子に入れるから」
「え?・・・う〜ん?・・・・」
よく分かりませんがお父さんに何か考えがあるみたいです。
ノワールくんが家に来てくれて家族になってくれたらそれはとても嬉しいけど。
アースラでクロノ君に聞いたときはなんだかかなりの数の法に引っかかってる。
犯罪者組織らしくて。その構成員のノワールくんの罪も決して軽くはないそうです。
そう考えるとノワールくんには捕まって欲しくない。
だけどそれだと、一緒に暮らしていけないし。早々上手く、自由になんてなれるのかな〜?
そもそもノワールくんが無事かどうかも分かってないのに・・・。
「大丈夫だよなのは。きっと上手く事が進む。だからノワールを家に連れて来なさい」
「・・・う、うんっ!わかりました!」
なにかお父さんはそうなれるという確信かなにかがあるんだろう。
それに、言われなくてもノワールくんが誰にも追われずに平和に過ごせるのなら。
無理やり引っ張っでもお家に連れて行くの!
「フェイトが集めてくれたジュエルシード10個・・これじゃ足りないわ」
「はい・・・」
「敵が集めたジュエルシードを奪ってきなさい」
「はい・・母さん」
そして、物語は進んでいく。ジュエルシードを賭けた魔導師同士の決闘が今、始まる。
説明 | ||
神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。 | ||
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