大徳が舞う5 |
大徳が舞う5
?今後?
※ 第4話以前にてご注意下さった方、ご指摘ありがとうございました。
修正可能な点は、作品向上のため随時直していきたいと思います。
また、玄徳君は所謂チートであり、そういった事が嫌いな方は左上にある左矢印のボタンを押してください。
孫霊視点
突然ではあるが皆、「女性の好み」というものはあるだろうか?
いや、こいつはいきなり何を言っているのだ?とは思うだろう。
私もいきなりこんな事を言われたらかなり困る。
好きな食べ物は何かとか、簡単な質問なら軽く答えて終了だろう。
答える内容も明確だ、一言で済む。
だがこれは違う。
なんと言うか、こういうものは感情が関わってくるものであるし、微妙な返答しかできない気がする。
しかも、内容はかなり下世話なものだ。
正直あまり話したくないものではある。
だが、今回は少々込み合っていてな、どうしても貴殿に聞きたいのだ。
本当に済まない、だが貴殿にしか聞けないのだ。
・・・それで、どういった女性が好みなのだ?
・・・、ふむ・・・、ほう・・・、なるほど、そう言った女性が好みなのか。
ありがとう、大変感謝している。
ん?私か?
そうだな、貴殿にだけ聞いておいて、私が言わない、というのは道理ではないな。
分かった・・・。
私の好みはだな・・・、あー・・・、・・・。
い、いや、待ってくれ。
あると言えばあるのだが・・・、やはりは、恥ずかしいものだな・・・。
・・・、よし、腹は決まった、答えよう。
私はだな、優しく、そして強い、私の隣にいつもいてくれるような、そんな清廉な女性が好みだ。
が、外見か?む、胸ぇ!?
ちょ、ちょっと待て、そこまで言うつもりは・・・、いや、私は貴殿には外見まで聞いてはいなか・・・、
あ``ー!もういい!分かった!!
私はな、背は私より少し低いほうが好きだ!
髪は長いほうが好きだ!
だがな!胸や尻はでかくても小さくてもどっちでも良い!
大きい胸にも小さい胸にもそれぞれ魅力があるのだ!
私には決める事は無理だぁ!!!
・・・、失礼、取り乱した。
ん?何を変な顔をしている?
君も男なら、これくらい当然だろう?
んん?
・・・・・、そうだ、すっかり忘れていた。
それで、私がいきなりこんな話題を出した事には理由があるのだ。
そう、世の中において、男性が持つ女性の好みといったら、やはり出るとこはしっかり出ている、所謂「大人の女性」というものが一般的であろう。
しかし、男の中にはそうでない者もいる。
そう、俗にいう幼女趣味、というものだ。
彼等は「大人の女性」ではなく、「未発達の女児」に対して性的興奮を持つという、外に出歩くだけで後ろ指を指されそうな好みを持っている。
私も、人並みには女性を好んでいる。
だがな、さすがに幼女に対して恋愛感情を抱く事はないぞ。
・・・、本当だぞ?
・・・、ごほん!それで!
私が何が言いたいかというとだな、そのような好みを持っている人が存在するこの人間世界で、もし本来成熟しているべき年齢にも関わらず幼女のような姿である女性がいたとしたら、果たしてどのような事になるだろうか?
そしてもし、その女性が変態共の目の前に現れたとしたら、どうなるのだろうか・・・?
で、だ。
もしそのような女性がいたら、全力を持って危険人物に会わせないように守るべきではないだろうか?
つまりだな・・・
孫霊「翼徳、体におかしい所はないか?お腹は痛くはないか?これから賊討伐に出かけてくる。ついてくるのはかまわないが、お前は陣の中でしっかりと隠れているんだぞ?」
鈴々「むー!何度も言っているのだお兄ちゃん!鈴々はもう子どもじゃないし、誰が来たって負けないのだ!」
孫霊「ハッハッハッ!まったく翼徳はおてんばだなぁ!安心しなさい、お前を狙う悪漢からは、私がしっかりと守ってやるからな。それに翼徳、お前はまだ16だ。全然子どもではないか」
鈴々「だったらお兄ちゃんも子どもじゃないかなのだー!!」
そう言いながら翼徳は、二倍程の背丈を持つ私の頭までよじ上り、頭をペチペチと叩いてくる。
雲長は私達のやりとりを見ながら、どうしたものかと頭を悩ましている。
現在、あの時の出会いからすでに一年経っており、今はあの村を拠点にして、義勇軍を結集していた。
数もなかなかのものとなり、村自体も、そこらへんの賊相手なら簡単に追い払えるくらいの自衛力を持つようになっていた。
ちなみに、波才とはすでに分かれており、彼女は無事、町に仕官して武官になったようだ。
ん?
なぜこんな事になっているか、だと?
そうだな、ちょっと説明させてもらおうか。
いや、本当にあの時は参ってしまったよ。
回想
雲長と翼徳が私に仕官してくれた時、正直二人に出会えたという喜びよりも、困惑のほうが大きかった。
まず雲長。
これはいい。
女性である事は覚悟していたので問題は無いし、姿も年相応の、女性らしい体ができつつある体であった。
性格も、前世の雲長と似ており、まっすぐで正義を愛する所などそっくりである。
彼女との出会いは、素直に喜べるものであった。
問題は翼徳。
鈴々「にゃ?どうしたのだお兄ちゃん?鈴々のこと、さっきからずっと見てボーッとしてるのだ」
なんだこれ。
これが、あの翼徳?
長平坂で魏の大群をたった一人で迎え撃った、あの頼もしい翼徳?
酒好きでちょくちょく問題を起こしていた、あのうっかり屋の翼徳?
ただの幼女ではないか。
孫霊「あ、あぁ。失礼した。時に翼徳、失礼である事は承知の上だが、君の年齢を教えてはくれないか?」
鈴々「うにゃ?歳なのだ?鈴々はそろそろ16になるのだ!」
え、同い年?
というか、二桁なのか?
正直6や7とか言われても違和感無いぞ?
本当に同い年?えぇ?
・・・、あ!そうか!
きっと彼女は翼徳と同姓同名なだけの、ただの普通の女の子なんだな!
全く、まんまと騙されたぞ翼徳よ。
そうすると、翼徳は違う所にいたりするの・・・あ、蛇矛持ってる。
言い逃れできないか。
あれは正真正銘、翼徳の蛇矛だ。
・・・、それにしても・・・、えぇー?
よりにもよって幼女?
女性が戦う事に対して抵抗は無くなっていたが、幼女が戦うなど、想像もしてなかった。
どうしたものかな・・・。
その時、私に電流が走った。
確か翼徳は、幼女が大好きだったはず。
ならば!
孫霊「ところで翼徳、君には幼女趣味があったりするかな?」
鈴々「うん、鈴々子どもは大好きなのだ!」
波才「アンタ・・・、こんな子ども相手に何聞いてるのよ。本当にキモイわよ?」
愛紗「ご主人様・・・、さすがに質問の意図がよく分からないのですが・・・?」
何言ってんだ私は。
波才どころか雲長にまで不審がられてしまった。
だが、これでハッキリした。
確か翼徳は、13頃から幼女に対して危険な思考を持っている、と言っていた。
そしてこの翼徳にはそれが無い。
というか、邪気のかけらも無い。
つまり、彼女はあの翼徳ではない!
あの蛇矛も、多分どこかで拾ったのだろうな。
翼徳はよくものを無くしていたし、おそらく間違いないだろう。
きっとそうだ!
あぁ、よかった。
これで一安心だ。
しかし、この翼徳はどうしようか。
聞けば雲長の相棒であるようだし・・・
うーん・・・ ・・・ ・・・
その後村に戻り、翼徳が私にやたら懐いたり、雲長がその様子を見て焦ったり、波才が眉間にしわを寄せて本気で蹴って来たり等いろいろな事があり、結局雲長と翼徳は私の妹になる事となった。
将来出会うであろう本物の翼徳と出会ったら、色々と面倒になるかもしれないが、翼徳の名を持つあの子を放る事などできなかった。
波才は最後まで、この事に対して反対していたが、なんとか押し通せた。
そして、私は二人を字で呼び続けるようにして、二人には自分を兄と呼ぶように頼んだ。
二人は自分に真名で呼ぶように頼んで来たが、これもなんとか許してもらえた。
二人に出会ったら、昔のように呼び合う。
これは、旅立つ前からの夢だったのだ。
翼徳の方はちょっと違っているが、達成させる事ができた。
その後、三人で孔明のもとへ旅立とうとしたが、雲長から衝撃的な事を告げられた。
実は、雲長と翼徳は此処に到達する前に各地を転々としていたそうだが、彼女は新野の方も出向いており、そこである城に一時お世話になったそうだ。
そこで、雲長は近辺に住んでいる名のある人物の事を聞いたそうだが、諸葛亮などという名前は聞かなかったという。
それだけならまだいいのだが、彼女の泊まったという城。
その城の特徴を聞いた所、恐らくその城が孔明の住んでいると思われる城であった。
つまり、孔明は新野のどこにも住んでおらず、完全に行方不明になってしまったのである。
まったく、なぜこうも都合の悪い事ばかり前世と違っているのであろうか・・・
しかし、そういう事になると今後どういった行動をしていくべきであろうか?
今後の方針を考えていると、波才に頭を叩かれた。
波才「アンタ、これからどっか行っちゃったりするの?」
孫霊「ん?いや、その予定だったのだが、当てが無くなってしまってな。どうしたものか悩んでいるんだ」
波才「へぇー・・・。じゃ、じゃあさ、ウチの村拠点にして義勇兵団作ってみたら?」
孫霊「義勇兵団?・・・、なるほど、下手に動くよりかは、あの村で固まって兵力を蓄えた方が都合がいいか」
波才「でしょ?町に行けば人も大勢いるし、結構簡単に集められると思うわよ!」
そういうと波才は、悲しい壁を得意げに反らし、ドヤ顔でこちらを見て来た。
なんというか、威厳みたいなものは全くないな、彼女は。
波才「何よ?今すごい失礼な事考えてなかった?」
!?こいつ、妖術でも会得しているのか!?
まさか心を読まれるとは・・・、いや、単に私がまた変な顔をしていたからか。
愛紗「義勇兵団ですか・・・確かに、むやみに各地を転々とするよりかは、今後の事を考えると良いかもしれませんね。そうなると、問題は資金の方になってきますが・・・」
さすが雲長、まさにその通りだ。
現状、私達には金がない。
さて、どうしたものかな。
今から働くといっても、かかる費用は尋常なものではない。
貯め終える時には、黄巾の乱が始まってしまう。
波才「あ、お金なら心配要らないわよ。アタシが持ってるから」
うーん、誰か知り合いに都合良くお金を融資してくれる人はいないものか・・・
波才「ちょ、おーい、きいてるー?アタシがなんとかするってー」
長老殿に聞いてみるか?いやしかし、只でさえ今も世話になっているし、これ以上無理な事は・・・
波才「おいコラ!!人を無視してウダウダ考えてんじゃないわよ!!私の話を聞けぇぇぇぁぁああああ!!!!」
孫霊「グはぁぁっ!!?」
考え事をしていたら、いきなり波才に後ろから蹴られた。
いつもの蹴りではない、全体重をかけ、飛び掛かるように放たれたそれは、私の体を易々と吹っ飛ばした。
何度か転がり、やっと止まる事ができた。
愛紗「波才殿!いくら知り合いであるとはいえ、いきなり兄者を蹴り飛ばすのは失礼ではないか!」
雲長は彼女の行動が気に食わなかったのか堰月刀を構えていた。
波才「何よ、やるっての?馬鹿馬鹿しい。いい?よく聞きなさい。アタシのこの髪飾りを使って、町で資金を調達しなさい。多分4、500人位なら軽く雇えるくらいの価格にはなると思うわよ」
孫霊「な!?それはそんなに貴重なものだったのか!?」
波才「本当よ。これはね、外面こそ地味だけど全部金でできてるの。それにあるのはこれだけじゃないわ。家に帰れば原料の金の残りがけっこうあるんだから、全部売ればそれくらいにはなるわよ」
た、確かにそれが本当ならば、すぐにでも兵を集める事が・・・
孫霊「だがしかし、それほどまでに価値があるものを、おいそれとわたしてしまっていいのか、波才?」
波才「べ、別に良いわよ。・・・アンタがそんなに嬉しそうなの、初めて見たし」
孫霊「ん?何か言ったか?」
波才「な、何でも無いわよ!これは、えぇーと・・・、そ、そう!先行投資ってやつよ!」
私が波才に問いかけると、彼女はそう言って来た。
そして雲長がその言葉に反応して来た。
愛紗「先行投資?ご主人様に対してどういう事を考えているのだ?」
波才「簡単な事よ。私は将来、町の領主に仕官するわ。そして町で出世していって、いつかアタシが名の知れた領主になるの。そしたら、その時にはすっごく強くなってる筈のアンタ達を、アタシが雇うのよ!どう?すばらしい計画でしょう?」
そう言うと彼女は、また悲しい壁を反らしてきた。
なんというか・・・、実に彼女らしい。
愛紗「貴様ァ!言うに事欠いて兄者を配下にするだと!?巫山戯るのもいい加減にしろ!」
波才の話を聞いていたら、雲長がキレて彼女に切り掛かろうとしていた。
・・・、まっすぐなのは良いが、ちょっと冷静になるようにしてもらわないとな・・・
それを私が諌めて場を整えた後に、今一度、今後の事を考えていった。
孫霊「・・・、よし、ならば1、2年程この村で力を蓄えた後、必ず来るであろう戦乱に向かい、洛陽の近くまで移動する。戦が起きるのならば、やはり都の近くだろうからな」
愛紗「分かりました、私に依存はありません」
鈴々「鈴々も、それでいいのだ!」
私の考えに、話を聞いていた雲長と、最初からずっと私の頭の上で眠っていた翼徳が賛同した。
この子、私が吹っ飛ばされた時にも動じずに眠っていたし、案外強い子かもしれない。
ちなみに、洛陽あたりに移動する、というのは前世からの知識もあるが、やはり国を憎んでいる者達が狙うのは国の頂点であろうという、簡単ではあるが、明確な理由からも来ている。
こうして、私達は各々用意された部屋で眠り、明日に備えた。
あと、翌朝目が覚めるとなぜか翼徳が私の腹の上で眠っていて、それを波才が発見してまた一悶着あった。
あ、忘れていた。
ちなみにだが・・・、
鈴々「やったー!これで大勢仲間ができるのだ!これからは皆で悪い奴らをこてんぱんにやっつけていくのだ!鈴々も腕が鳴るのだー!」
孫霊「ん?いや、翼徳は戦う必要など無いぞ?まだまだ翼徳は幼いのだ。危険な事をしなくても、子どもらしく生活してくれればそれでいい」
鈴々「え?」
雲長「え?」
波才「え?」
孫霊「えっ」
こうして、今後の翼徳の扱いも決定した。
あ、蛇矛は私が厳重に保管している。
そこらへんに置いておくと、翼徳が遊び道具として持って行ってしまうからな。
あれは危険なものだから、絶対触れる所には置かないようにしないと。
波才視点
あの二人が来た時は、なんだかよく分からなかった。
いきなり二人が現れた時は、なんというか妙な焦りがあったし、アイツに仕えるとか、妹になるとかになった時には、我も忘れて暴れてしまった。
結局二人はアイツの妹兼配下になっちゃったし、私は今でもイライラしている。
ホントに、なんなのよもう。
それで、今後アイツらがどうして行くかを話している中で、新野、とか言う所に行くとかって話を聞いた。
・・・、アイツ、どっか行っちゃうのかな。
突然、胸が痛くなった。
なんでだろう、こんな事今まで無かったのに。
アイツがいなくなる事を想像すると、もっと痛くなる。
そういえば、こんな症状を起こす人が登場人物の物語を、読んだ事があった。
確か最終的には男と女が駆け落ちする恋愛物語だった様な・・・
恋愛?
!!?なに!?つまり私はアイツが好きってこと!?
巫山戯んじゃないわよ!なんでよりによって、アイツの事を私が好きにならなくちゃいけないのよ!
そりゃ、アイツはアタシの少ない友達ではあるし、優しいし、強いし、か、かっこいいとは思うけど・・・
・・・・・、あー!もう!わけ分かんない!
やっぱりアイツは、いない方が良いに決まってる!
そう考えていた時に、アイツらが何か神妙な顔をしていた。
なるほど、お金が足りないのね・・・
・・・、あ、そういえば、お母さんの形見。
あれ確か金だったわよね。
この髪飾りも、あれから作ったはず。
あれがあれば、相当なお金になるはず・・・
いや、でもあれはお母さんの形見だし、渡すのは嫌よ。
そう考えて、黙ってようと決めた時、ふとアイツの顔が見えた。
・・・、何あの顔、困った状況のはずなのに、あんなに子どもみたいに嬉しそうにアイツらと話して・・・
気に食わない、そう思った。
そうよ、アイツが仲良くしていいのはアタシだけなんだから、アタシと話している以上に、他人と仲良くしちゃいけないわよ。
でも、それ以上に、アイツの楽しそうな顔は眩しくって、温かくって・・・
途切れさせちゃいけないって、思った。
だから・・・
波才「いい?よく聞きなさい。アタシのこの髪飾りを使って町で資金を調達しなさい。多分4、500人位なら軽く雇えるくらいの価格にはなると思うわよ」
あげる事にした、形見。
同時に認めざるを得なくなった。
私、アイツの事好きだ。
ダメだ、自覚しちゃった。
好きだもん、アイツの全部。
・・・、短い抵抗だったなぁ。
アイツらは、資金が手に入って嬉しそうだ。
良かった、役に立てたんだ。
でも、寂しいなぁ。
アイツがいなくなると、悲しい。
どうにかして、傍にいさせたい。
色々考えていた時に、アイツが焦る様な事言ってきた。
どうしよう、あげる理由なんて考えてなかった。
ヤバい、好きだからなんて死んでも言えないし。
・・・あ、そうだ。
ひらめいた、理由。
同時に、アイツと一緒にいるための方法。
波才「簡単な事よ。私は将来、近くの町の領主に仕官するわ。そして町で出世していって、いつかアタシが名の知れた領主になるの。そしたら、その時にはすっごく強くなってるアンタ達を、アタシが雇うのよ!どう?すばらしい計画でしょう?」
そうよ、私は町に仕官しに行くのが夢だった。
だったら、いっそ只の武官に留まらず、領主にまで上り詰めてしまえば良い。
そうすれば、義勇兵団であるアイツらを雇って、ずっと一緒にいさせる事ができる。
我ながら完璧な策だ。
名付けて、「雇縛の計」!
少しの間いなくなるのは寂しいけど、それを我慢すれば、ずっと一緒にいられる。
そう考えていると、アイツらも今後の計画が固まったようだった。
波才「よっし。そっちの考えもまとまったようだし、とりあえず明日になったら町に出発するわよ。私はそのまま領主に仕官しに行くから、アンタ達とはそこでお別れね」
私は意気揚々とそう答えた。
そしたら、
孫霊「そうか・・・、改めて考えると、寂しいものだな。・・・、波才、もしお前が嫌でないのなら、仕官を止めて私達と来てくれないか?お前が来てくれれば心強い」
ちょっと、そういうの言わないでよ。
揺らいじゃうじゃない。
私だってついて行きたいわよ。
でもね、「あの町」に仕官するって事だけは譲れないのよ。
あの町の武官になる事はね、アタシにとって夢であり、目標なの。
お母さんは昔、あの町の武官だった。
武官として町を守るお母さんの姿はかっこ良くって、私もいつか、あんな感じに敵を倒したいって思った。
それに、お母さんは領主の人とも仲がよくって、私もかわいがってもらっていた。
他の人達もすっごく頑張っていて、一人一人がキラキラ輝く宝石のようだったのよ。
だから、私もこの綺麗な町を守って行きたいって思った。
あの町は、私の誇りなの。
だから、妥協しない。
お母さんが引退して、この村に移り住むようになってからも、この気持ちを失った事なんてないわ。
だから、あの町に行く事は、私にとって決定事項なの。
そんな甘い誘惑、言わないでよ。
波才「馬鹿言わないの。いつも言ってるでしょ?私は「あの」町がいいの。武官だったらどこでもいいわけじゃないのよ」
丁重に断った。
今は泳がせてあげるわよ、劉備。
自由に泳ぎなさい。
でもね、いつかは私がすくい取ってやるんだから。
その翌朝、決めていた通り、私達は町に行き、アイツらはお母さんの形見を売って資金を調達していた。
今から、それを使って兵を集めるようだ。
波才「もういいわね?これ以上一緒にいる必要なんて無いし。私もそろそろ行くわね」
相変わらず、私はかわいげの無い事しか言えない。
離れたくないって言えば良いのに。
素直じゃない自分が恨めしい。
孫霊「そうか・・・、本当に、寂しくなる。風邪を引かないように気をつけるんだぞ?」
それでも、アイツは優しい。
どこまでも、無限に優しい。
・・・、コイツになら、いいよね?お母さん。
波才「フン、ホント張り合い無い男ね、つまんない。・・・、彩よ」
孫霊「ん?」
波才「だから、彩。私の真名よ。アンタだけにあげる。ありがたく思いなさい」
お母さんから言われてた。
真名は、将来を誓いあった相手にだけにあげなさい、って。
そうしないと、後で死ぬ程後悔する、って。
アンタにあげるわ、劉備。
アンタは魅力的だから、先手取っとかないとね。
孫霊「そうか、ありがとう、彩。私もお前に真名をあげたいが、生憎私にはそういったものはないんだ。ただ、「真なる名前」としての意味ならば、劉備が真名になるから、改めてお前にこの名を渡そう。私の真名は、劉備だ」
彩「そう・・・、分かったわ、ありがとう劉備。いい?それなりに強くなったら、絶対に私の所に来なさいよ?首根っこ引っ付かんでも配下にしてやるんだからね」
孫霊「ははっ、頼もしいな。・・・、それでは、私もそろそろ行こう。元気でやれよ、彩」
彩「お互い様よ。元気でいなさい、配下君?」
そういうと、私達は互いに逆の方向へ歩き出した。
覚悟してなさい、劉備。
この波才、欲しいものは少ない代わりに、絶対手に入れるから。
また会いましょう、旦那様!
なかがき
ちょっと臨時で聞きたい事があります。
この作品って、一つ一つが長過ぎますか?
感想、訂正等のついでに教えてもらえると幸いです。
オリキャラって扱いが難しい事が分かりました
説明 | ||
史実の劉備玄徳が恋姫の世界に行った場合のお話です。 今回は今後の方針についてのお話です。 感想とかいただけると嬉しいです(0w0) |
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コメント | ||
まあ奇貨居くべしにするとなったら前後の会話ちょっと変えなきゃ変になりますが。(陸奥守) 4P 依存→異存です。この時代の中国に先行投資という言葉ってありましたっけ?奇貨居くべしにした方が良いと思います。(陸奥守) |
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