ファイアーエムブレム〜永遠の絆〜 序章〜運命の出会い〜 前篇
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〜碧き覇者の墓碑〜

 

「……………………」

輝くような金の髪と透き通った蒼い瞳を持つ女性は大柄の身体をし、鎧を着こんだ男性を傍に控えさせ、巨大な墓碑に近づき、手の中にある花束を置いた。

「「…………………」」

花束を置いた女性と傍に控える男性はその場で黙祷した。

「………久しぶりね、アル………もう………あれから4年経つのね………時が経つのは本当に速い……今日は貴方に教える事があるわ。………ガント。」

「ハッ。」

女性―――タニア領主ティーナは寂しげな笑みを浮かべて呟いた後、傍に控えるジェネラル―――ガントに呼びかけた。呼びかけられたガントはティーナの隣に来た。

「………久しぶりだな、アル…………実は俺な………セルディア姫と婚約したよ………姫様が幸せになるまで結婚はしないつもりだったんだが………姫様に後押しされてな………」

「フフ………ガントったら本当に頑固だったのよ………セルディア姫が好きと自覚している癖にそれでも頑なに結婚を拒んでいたんだから。私が頼んでようやく頷いたくらいよ。………まあ、私がいつまでもあんたの事を引きずっていた事が原因だから、私が悪いんだけどね………」

石碑にガントが話しかけた後、ティーナは苦笑しながら石碑に向けて言った。

「……………姫様………」

「……私は大丈夫よ、ガント。……私はいずれ跡継ぎを産まなくてはならない身。タニアの民の為にもいつまでもあいつの事を引きずる訳にはいかない事はわかっているわ………」

心配そうな表情のガントに言われたティーナは静かに呟いたが

「………でも………もう少しだけ時間を頂戴………貴方が結婚したら………今まで断っていたさまざまな見合いの話も真剣に考えるわ……」

「…………………」

すぐに悲しそうな表情になって呟き、ティーナの言葉を聞いたガントは辛そうな表情で黙り込んだ。

「………どうして私の周りの人達はみんな勝手にいなくなるのよ………!キルマーだって2年前に病で帰らぬ身に………!………何であんたはあの時、消えたのよ………馬鹿………!うっ、うっ………!」

「……………………」

そしてティーナは涙を流して泣き始め、ガントはその様子を悲痛そうな表情で見つめていた。

「………………………さて………と。そろそろ戻らないと政務が溜まる一方ね………また、来るわ、アル。ガント、行くわよ。」

少しの間声を押し殺して泣いていたティーナは涙をぬぐって立ち上がって石碑に話しかけた後、石碑に背を向けた。

「ハッ。」

ティーナの指示にガントが頷いたその時

「姫様――――――!!」

背に剣を背負った青年が慌てた様子で2人に近づいて来た。

「ウォーレン。そんなに慌てて、どうしたの?」

「緊急事態です!今、城に山賊の集団が攻めて来ていると伝令がありました!」

ティーナに尋ねられたウォーレンは血相を変えて言った。

「なに!?」

「なんですって!?どうして山賊が………」

「………恐らく今は城が手薄と思い込んでいるかと………」

「………私がアルの墓参りをよくしているのは周知の事実だったからね………そこを付け込まれたようね………!ガント!ウォーレン!即刻山賊達を掃討するわよ!」

報告を聞いたティーナは考え込んだ後、腰に装着されている鞘から剣を抜いて叫んだ!

「「ハッ!!」」

そしてティーナ達は急いでタニア城に向かった。

 

〜タニア城・城門〜

 

「オラアッ!!へっへっ………今頃タニアの精鋭共はあのでかい墓に集まっているからな。今なら宝は取り放題だ。野郎ども、殺せ、奪え―――!」

一方その頃山賊の集団を率いる頭は自分に襲い掛かって来た一般兵を斧で殺した後、下卑た笑みを浮かべて手下たちに指示をし、指示をされた手下たちはそれぞれ武器を構えてタニア城に突撃した!

「クッ………なんとしても死守しろ!」

その一方タニア兵達は城に入られないように必死に防衛していた。しばらく戦いが続いていたその時!

「闇に呑まれなさい!ミィル!!」

「グアッ!?」

戦場に女性の声が聞こえた後、闇魔法が山賊の一人を襲い、山賊の一人を絶命させ

「ヤ――――ッ!!」

「ガッ!?」

女性―――ミリーナがなんと城壁から跳躍して、剣で山賊の一人を真っ二つにして絶命させた!

「お前は先程の………!」

「話は後です!僭越ながら私も賊の撃退を手伝わさせて下さい!私は剣、闇魔法、杖が使えます!なので少しは皆さんの御役に立てると思います!」

「………剣と魔法を!?………まあいい。ならば、魔法や杖で援護をしてくれ!」

「はい!」

兵の言葉に頷いたミリーナは兵達と共に戦闘を開始した!

「ハアッ!!」

兵達と共に戦っているミリーナは自分に襲い掛かって来る賊には剣を一閃して敵を殺し

「大丈夫ですか?ライブ!!」

傷ついた兵達には次々と杖を使って、傷を回復させ

「させない!ミィル!!リザイア!!」

賊の中にいた弓兵(アーチャー)が弓を引き絞るのを見ると闇魔法で殺して行った!そしてミリーナ達がしばらく戦っているとティーナ率いるタニアの精鋭達が戦場に到着した!

 

「全軍、突撃!賊達を追い払うわよ!」

「オオオオオオオオオオ――――――ッ!!」

ティーナの叱咤激励にガントやウォーレンを含めた兵達は雄たけびを上げて、山賊達に襲い掛かった!

「ハアアアアア――――ッ!!」

ウォーレンは馬を巧みに操って電光石火の如く剣を振るって次々と賊を殺して行き

「光よ!セイニー!!」

ティーナは光魔法で味方を援護し

「姫様に指一本触れさせん!フン!!」

ティーナに近づく賊達はガントが槍を薙ぎ払って豪快に殺して行った!

「ち、畜生………!こんなはずじゃなかったのに………!」

手下達が次々とやられていく様子を賊の頭は信じられない表情で呟いた。

「………賊如きが不相応な事を考えるから、そうなるのです。」

そこにミリーナが静かに近づいて来た。

「女!それもこれもテメェが出しゃばったせいだ!テメエのせいで!ウオオオオオオッ!!」

ミリーナに気づいた頭はミリーナが戦場に乱入してから、拮抗だった戦いが一気に崩れ始めた事を思い出して、ミリーナに斧で襲い掛かって来た!

「………遅い。」

しかしミリーナは余裕の様子で回避をし

「ミィル!!」

「グアアアアアッ!?」

闇魔法を放って敵を苦しめ

「止め!」

剣を一閃して敵の首を刈り取った!

「お、お頭が………!逃げろ――――!!」

それを見た手下達は一斉に逃げ始めたが、それを見逃がさないティーナ達によって全滅した!

 

「終わったわね。……それにしても何で山賊達が攻めて来たのかしら?タニア領は治安が行き届いているのに………」

「ええ………本当に何故このような事が………」

戦後の処理をしている兵達を見つめながらティーナとガントは考え込んでいた。

「姫様!」

その時、門番の兵がティーナに近づいて来た。

「ご苦労様。貴方達が耐えてくれたお蔭で城は守れたわ。………それにしても報告は聞いたけど、あまり怪我人はいないわね?」

「ハッ!それはこちらの者の協力のお蔭で被害は最小限に食い止められました!」

ティーナに尋ねられた兵は敬礼をして答えた後、自分の背後にいたミリーナをティーナに紹介した。

 

「え…………(ア、アル………!?)」

「な………!?」

ミリーナを見たティーナとガントはミリーナが一瞬アルと重なり、信じられない表情をした。

「姫様?」

その様子に気付いたウォーレンは不思議そうな表情でティーナを見た。

「(気のせい………よね?)何でもないわ。………協力感謝するわ。貴女の名は?」

そして気を取り直したティーナはミリーナを見つめて尋ねた。

「ミリーナと申します。ティーナ様の御高名を聞き、ぜひティーナ様に仕えたいと思って故郷を離れ、本日の使用人試験を受ける為に参りました。」

ティーナに尋ねられたミリーナは会釈をして答えた。

「この者は器用な者でして、剣と魔法、そして杖を同時に扱っております。彼女の援護のお蔭で被害は最小限に抑えられました!」

「け、剣と魔法に加えて杖まで………!?」

「………姫様みたいな戦い方だな………」

「………援護が十分できているという事は自分の役割を理解し、戦場でも臨機応変に動けるという事………そこまでできるのになんでわざわざ、侍女になりたいのかしら?むしろ傭兵としてなら貴女、かなり優秀な部類に入るわよ?」

兵の説明を聞いたガントとウォーレンは驚き、ティーナは考え込んだ後、尋ねた。

「私はティーナ様御付になりたいのです!………ですので傭兵は考えた事もありません。」

「……………………」

(何故、そこまでして姫様に仕えたいんだ、この娘は……?)

自分の言葉を聞いた後、決意の表情で見つめられたティーナは静かにミリーナを見つめて考え込み、ガントは不思議そうな表情で見つめていた。

「………ちなみにこの娘の侍女としての成績は?実技試験はもう終わっているはずよね?」

「は、はい。今結果を聞いてきますので少々お待ち下さい。」

そして少しすると兵は戻って来てティーナに結果を伝えた。

(実技も合格………しかも受験者の中で一番の結果………か………)

兵から結果を聞いたティーナはミリーナを見つめながら考え込んでいた。

「そういえば気になっていたが………そのミリーナという娘の髪や瞳をよく見るとアルとそっくりだな………」

「!確かに…………まさかアルの親類なのか………!?」

「………それはさすがにありえないでしょう。だってあいつは本来『人竜戦役』直後で生きていたはずの人よ。第一あいつに親類がいるなんて聞いた事もないわ。単にあいつと同じ髪と瞳を持って産まれただけでしょう……………」

そしてウォーレンの言葉を聞いたガントは驚いた後ミリーナを見つめ、ティーナは静かに首を横に振った後答えた後、表情をわずかに暗くした。

「あの………?」

「っと。貴女には訳がわからない話だったわね。………侍女の件だけど本来ならこの後侍女長が面接するのだけど、貴女はその必要はないわ。さっきの戦いの功績代わりに合格にしておくわ。」

「え!?本当ですか!?」

「ひ、姫様………戦いと侍女の仕事は関係ないのでは………?」

ティーナの話を聞いたミリーナは明るい表情をし、ガントは苦笑していた。

「あら。この娘の実技の成績はさっき聞いたけど十分な成績だからいいじゃない。それと私の御付になりたいって事だけど…………貴女の実力次第では今すぐにしてあげてもいいわよ?」

「え!?でも、実力次第とは一体…………?」

ティーナの説明を聞いたkミリーナは驚いた後首を傾げた。

「…………ついて来て。」

そしてミリーナはティーナに促されてティーナ達と共にある場所に向かった。

 

〜タニア城内・中庭〜

 

「………ここよ。」

「あの………一体ここで何を………?」

立ち止まったティーナにミリーナは不思議そうな表情で尋ねた。

「今から貴女はガントと戦ってもらうわ。」

「え!?」

「ひ、姫様!?」

そしてティーナの提案を聞いたミリーナとガントは驚いた。

「せっかく戦える実力を持っているんですもの。それを眠らせておくのはもったいないでしょう?」

「し、しかし………それだともはや侍女としての範疇を超えているのでは………?」

ティーナの話を聞いたウォーレンは意見した。

「そうね。でも、働き始めの者がいきなり私御付になるのだから、他の侍女とは違う”何か”を持っていないと、みんな納得できないわ。」

「た、確かにそうですが…………さすがにガントを相手にするのは厳しすぎるのは………?」

ティーナの説明にウォーレンは頷いた後、ミリーナに視線をやったその時

「……やらせて下さい!」

「なっ!?」

ミリーナは決意の表情で答え、答えを聞いたガントは驚いた。

「………本当にいいのか?ガントは親衛隊隊長にして現代の”神将”の一人。とても敵う相手ではないぞ。」

ミリーナの答えを聞いたウォーレンは真剣な表情で尋ねたが

 

「そんなのやってみなきゃわかんないです!」

ミリーナは決意の表情で答えた。

「!!」

「…………久しぶりに聞いたわね………どっかの馬鹿がよく口癖にしていたその言葉……」

ミリーナの言葉を聞いたガントは目を見開いてミリーナを見つめ、ティーナは驚きの表情で見つめた後、寂しげな笑みを浮かべていた。

「………本人も了承している事だし、ガント。」

「ハッ。」

そしてガントとミリーナは距離をとって向き合った。

「………言っておくが手加減をするつもりはないぞ?」

「望む所です!」

槍を構え、戦いの態勢に入ったガントの言葉を聞いたミリーナは頷いた後鞘から自分の剣を抜いて構えた!

「え………」

「馬鹿な!?その剣は………!」

「ア、アルが持っていた覇王軍の剣!何故それをお前が………!」

ミリーナが構えた剣を見たティーナとウォーレンは驚き、ガントは信じられない表情で言った。

「何故………と言われても。この剣は先祖から代々受け継がれている剣ですが。」

「(………覇王軍の剣がまだ残っていたというの………?)………始めなさい!」

ミリーナの説明を聞いたティーナは考え込んだ後、戦闘開始の宣言をした!

 

そしてミリーナはガントとの模擬戦を開始した…………!

 

 

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