ファイアーエムブレム〜永遠の絆〜 序章〜運命の出会い〜 後篇 |
〜タニア城内・中庭〜
「(まずは先手必勝………!)ハアッ!!」
戦闘開始の合図が下されるとミリーナは袈裟斬りで攻撃した!
「甘い!」
しかしガントは槍を振るって攻撃を弾き
「ハアァァァァァ――――ッ!!」
攻撃を防がれたミリーナは連続で攻撃を仕掛けた!
「……………」
しかし連続攻撃をガントは全てさばいていた!
(……兄さんの話通り、さすがね………重歩兵なら普通こんな連続攻撃、見切れないのに………)
攻撃を捌かれているミリーナは内心舌を巻きながら、攻撃を続けたが
「戦闘中に考え事とは余裕だな!カアッ!!」
ミリーナの様子に気付いたガントはすざましい突きを放った!
「!!」
攻撃に気付いたミリーナは大きく後ろに跳んだ後、なんと近くにある木にバックステップだけで一瞬で上って行って、枝に乗った!
「見かけによらない動きをしますね、姫様。」
「………そうね。(何で動きまであいつに似ているのよ………?)」
「……………(この娘………何者だ?先程の剣撃といい、今の動きといい、まるでアルと戦っているように感じるが………)」
戦いの様子を見ていたウォーレンは驚きの表情で呟き、ティーナとガントは真剣な表情でミリーナを見つめて考え込んでいた。
「ヤー―――ッ!!」
そしてミリーナは枝から跳躍して、強烈な一撃を放とうとした!
「オォォォォォ…………!」
対するガントは槍を振り回した後
「ハアッ!!」
気合いと共にすざましい突きを放った!
「キャッ!?」
ガントのすざましい威力を込めた一撃による武器とぶつかり合い、体重の軽いミリーナは吹っ飛ばされた!吹っ飛ばされたミリーナは壁にぶつかろうとしたが
「…………………フッ!!」
なんと吹っ飛ばされながらも態勢を変えて、ぶつかりそうになった壁を足で蹴って、その勢いでガントに一気に近づいた!
「何!?」
それを見たガントは驚き
「ハアッ!!」
「!!」
ミリーナの勢いを利用した攻撃を受け止めた!
「…………………」
攻撃を受け止められたミリーナは一端ガントから距離を取り
「闇に包まれよ!ミィル!!」
「なっ………魔法だと!?」
闇魔法を放ち、魔法に気付いたガントは自分の足元に出来た魔法陣から離れて回避した。すると魔法陣から暗黒の球体が出て来た!
「!!闇魔法………!魔法を使えるとは聞いていたが、まさか闇魔法とは………」
(下級とはいえ、ミィルは闇魔法………理魔法より高度な魔法である闇魔法を詠唱なしで唱えられるという事はかなりの術者の証…………それこそ”ドルイド”でしかできない事…………この娘………本当に何者………!?)
ミリーナの魔法を見たウォーレンは驚き、ティーナは考え込んでいた。
「ルナ!!」
そしてミリーナは続けて魔法を放ち、魔法による暗黒の球体がガントの背後に現れた!
「なっ!?グウッ!?」
回避しようとしたガントだったが、命中してしまい呻いて怯んだ!
「これで………チェックメイト!!」
その隙を狙って、ミリーナは剣を構えて一気に距離を詰めて、剣を地面に跪いているガントに振り下ろした!
「舐めるなぁっ!!」
しかしその時ガントは気合いを入れて立ち上がった後、ミリーナの攻撃を受け止め
「オォォォォォォッ!!」
すざましい勢いで連続でミリーナに攻撃を仕掛けた!
「っつ………!(なんて威力………!それも重歩兵なのにこれほどの速さで攻撃できるなんて………!反撃どころか武器を弾かれないようにするのが精一杯………!)」
ガントの攻撃をミリーナは必死で受け流していたが
「カアッ!!」
「っつ!?剣が………!」
ガントの強烈な一撃を剣で受け止めた際、剣が弾かれて、驚いた!
「そこだぁっ!!」
そして驚いている隙を狙ってガントは再び強烈な一撃を放った!
「!!」
しかしミリーナは身体を横にずらしてギリギリ回避した後、後ろに大きく跳躍して再び距離を取った後、自分の近くにあった兵達の鍛錬用の弓と矢筒を手に取り
「ハアッ!!」
弓を引き絞って矢をガントに放った!
「何!?」
ミリーナの予想外の攻撃に驚いたガントは盾で防御した!
「ヤアッ!!ハッ!!」
そしてミリーナはガントから距離をとって、走りながら矢を放って行った!
「クッ………弓もできるとは聞いていないぞ!?」
ミリーナの攻撃を盾で防ぎながらガントは叫んだ。
「弓ができるか聞かれなかったから答えなかっただけですよ……!」
ガントの叫びに対し、ミリーナも走って移動をしながら叫んだあと、次々と攻撃を加えて行った!
「クッ………ちょこまかと………!」
ミリーナの攻撃にガントは防御したり回避しながら唇を噛みしめていた!
「(矢はもうこれが最後の一本ね………剣はあそこ………なら、奥の手を使うしかないようね………!)ハッ!!」
一方ミリーナは矢筒に残されてある矢を数えた後、最後の矢を放った!
「!!」
対するガントも最後の矢を盾で防御した!
「闇に包まれなさい!」
「クッ!?厄介な………!」
そしてミリーナの行動によって自分の足元にできた魔法陣に気付くと、魔法陣から離れた!
「!何!?」
しかしいつの間にか自分の周囲は全て魔法陣に囲まれた事に気付いたガントは驚いた!
「馬鹿な!?一瞬であれほどの魔法陣を作るとは…………!」
(この魔法の使い方………どこかで………)
その様子を見たウォーレンは驚き、ティーナは考え込んでいた。
「ミィルオブセシオ(包囲するミィル)!!」
そしてミリーナが叫ぶと魔法陣から現れた暗黒の球体が一斉にガントを襲った!そしてミリーナは魔法を放った後、走り出して自分の剣を拾い、ガントに向かって走った!
「!!そ、そんな………!あの魔法は………!」
それを見たティーナは驚いた!
「オォォォォォ………!」
一方ガントは槍を構えて溜めた後
「カアッ!!」
気合いを入れて槍を薙ぎ払い、なんと球体を全て真っ二つに斬った!
「なっ!?」
一方剣を拾った後、ガントに剣を構えて走りながら向かって行ったミリーナは驚いた!
「クッ………ハアッ!!」
そして唇を噛みしめた後、ガントに近づいて剣を一閃した!
「させん!」
「!そ、そんな………!」
しかし攻撃は攻撃に気付いて構えたガントの盾によって遮られ
「ハアッ!!」
「カハッ!?」
武器を手放したガントの素手の攻撃が腹に命中し、呻いて武器を手離し地面に跪いた!
「………勝負ありだ。」
そしてガントはミリーナの剣を拾って、ミリーナの首筋に剣の切っ先を向けて静かに呟いた。
「………はい。」
一方ミリーナは頷いた後、両手を上げ、降参の意を示した。
「――――そこまで!」
その様子を見たティーナは制止の声を上げた後、厳しい表情をしてウォーレンと共に2人に近づいた。
「フフ………ガント様には真っ向勝負では勝ち目はないと思って、小手先を使わせてもらったのですが………それも意味は為さなかったようですね。」
「そんな事はないぞ。俺もお前の変化自在の戦い方には苦労した。まさか剣に魔法、さらに弓まで使えるとは………お前のような者は初めてだ。自分の力を誇るといい。」
一方ミリーナは立ち上った後、苦笑し、ミリーナの言葉を聞いたガントは口元に笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。………ライブ!!」
ガントの賞賛に頷いたミリーナは腰に刺していた杖を出して、ガントの傷を回復した。
「本当に杖まで使えるとは………どうだ?侍女等やめて、いっそ親衛隊に来ないか?お前の実力なら文句なしに合格レベルだし、杖と魔法は俺達にとって助かる戦力だ。」
「えっと………それはさすがに遠慮しておきます。私は侍女になる為にここに来たのですから……キャッ!?」
そしてガントの言葉にミリーナが苦笑しながら答えたその時、ティーナはミリーナの服の襟元を強く掴んで自分の所に引き寄せた!
「ひ、姫様!?一体何を………」
ティーナの突然の行動にウォーレンは驚いて言ったが
「貴女………何者!?百歩譲ってその剣や貴女の戦い方の事は納得できるとしても………先程使った魔法(ミィルオブセシオ)………あれは見逃がせないわ。あれは………”骸黒の民”が使っていた魔法よ!」
ティーナは気にせずミリーナを睨んで叫んだ。
「なっ!?それは本当なのですか、姫様!!」
一方ティーナの言葉を聞いたガントは驚いた後、信じられない表情でミリーナを見つめながら尋ねた。
「ええ………かつてアルをナバタまで連れて行った時、あいつらと遭遇して戦いになって、復活したばかりのアルに使った魔法よ。…………最もあいつはミィルを集束させて剣で跳ね返したけどね。………さあ、答えて!貴女は何者!?」
「…………………………(さすがにアレを使ったのは不味かったわね………)」
ティーナに問い詰められたミリーナは静かにティーナを見つめながら、内心舌打ちをした。
「”骸黒の民”…………確か姫様を攫い、アルの死の原因となった奴等か……!」
「ああ………!」
そしてウォーレンとガントは油断なく武器を構えてミリーナを睨んだ。
「(………仕方ない。ある程度の真実は話しましょう………)……………ええ。確かに私は”骸黒の民”の末裔です。」
「馬鹿なっ!?奴等の残党が残っていたというのか!?」
「!!やっぱり……!」
そして静かに呟いたミリーナの言葉を聞いたガントは驚き、ティーナは睨み続けた。
「………ですが、誤解なさらないで下さい。私は彼らと違って人と竜に復讐心等抱いていませんし、むしろ私は彼らに実験体として扱われ、彼らを憎んでいたぐらいです。」
「”実験体”…………どういう意味よ、それ。」
ミリーナの答えを聞いたティーナは眉を顰めて尋ねた。
「………”始祖竜”。」
「「!!」」
そしてミリーナが静かに呟いた言葉を聞いたティーナとガントは目を見開いた。
「………彼らは始祖竜の力を”神将器”を使わずに自分達の力として利用できないか試行錯誤した結果………始祖竜の血を自分達の血に混ぜて利用できないか、実験していたのです。」
「………信じられねえ事を考え付いたんだな………」
「………奴等らしい。」
ミリーナの説明を聞いたウォーレンは驚き、ガントは表情を歪めて呟き
「………まさか貴女の瞳と髪がアルに似ているのって………」
「はい。私は数ある実験体の中での”成功体”で当時生きていた”始祖竜”の2人―――ミリィザとアルの血を混ぜた結果ある程度成功し、髪と瞳は”碧き覇者”アルと同じ色に。………そして容姿は彼の母であるミリィザによく似た容姿に変化したんです。」
身体を震わせながら尋ねたティーナの疑問にミリーナは静かに答えた。
「………貴女にアルの血が………」
(という事はこの顔がアルの母親の顔か…………まさかこんな形で見る事になるとはな…………)
ミリーナの答えを聞いたティーナは身体を震わせ、ガントは静かにミリーナを見つめていた。
「………さっき”成功体”って言ったが失敗した奴らはどうなったんだ?」
「………皆、拒絶反応が起きて、苦しみながら息絶えました。」
「!!」
自分の質問に答えたミリーナの言葉を聞いたウォーレンは絶句した。
「………恐らくよほど相性が良くない限りは人の身では竜の………それも”始祖竜”の力なんて扱えない証拠だと思います。………実際、私自身は2人のように竜化はできないのですから。」
「………そう。それでどうして私達の元に来たのよ。」
ミリーナの話を聞いたティーナは顔を地面に向けて静かに呟いた。
「それは勿論、貴女達への恩返しと贖罪です。」
「恩返しと贖罪だと?」
ミリーナの言葉を聞いたガントは眉を顰めた。
「………貴女達のお蔭で私も自由の身となりました。その恩を返す為と………そして………私達のせいで貴女達の幸せを奪った罪を償う為に………貴女達の元に来ました。」
「(アル………)……………そう。それにしてもやけに正直に話してくれたようだけど、どうしてかしら?そんな事話したら、私達に処断されるかもしれないと思わなかったのかしら?」
「それで貴女達の気が収まるのでしたら構いません。………私は貴女達に恩を返したく、そして罪を償いたい。それだけです。」
「…………………………」
「姫様……………」
ミリーナの話を聞いて強く握っていたミリーナの服の襟元から手を離して、顔を地面に向けているティーナをガントは心配そうな表情で見つめた。
「…………………そう。…………………だったら貴女のその思い………本物かどうかこれから見極めさせてもらうわ。」
そしてティーナは決意の表情で顔を上げて、ミリーナを見つめて言った。
「え………じゃあ………」
「………これから私御付の侍女としてよろしくね、ミリーナ。」
驚きの表情で自分を見つめるミリーナにティーナは優しげな微笑みを浮かべた。
「………よろしいのですか?」
一方ガントはミリーナを気にしながらティーナに尋ねた。
「ええ。………だけど少しでも疑いが出て来たら、その時は覚悟しなさい。」
「はい!」
「それと………あいつの………アルの幼い頃やミリィザさんの話を時間がある時でいいから、話してもらってもいいかしら?」
「あまり多くは知っていませんが、私の知っている事でよろしければ、喜んで。」
ティーナに尋ねられたミリーナは会釈をして答えた。
「後、ついでに親衛隊員としても扱うから覚悟しておきなさい。ガントの鍛錬は厳しいからね。」
そしてティーナは悪戯が成功したかのような笑みを浮かべた。
「え!?」
「ひ、姫様!?」
「何故親衛隊員としても扱うのですか?」
ティーナの話を聞いたミリーナ達は驚いた。
「あら。この娘の能力で侍女の仕事だけをやらすなんて勿体ないじゃない。しかも私と同じ性別なんだからいざという時にガントの代わりに私を護衛できるじゃない。」
「確かに………その娘の能力なら素手の状態でも十分戦えるレベルの上、刺客のふいを付けますね……」
「まあ普通、侍女が魔法や剣を使うなんて誰も思わねえな。」
ティーナの説明を聞いたガントとウォーレンはそれぞれ納得した。
「どう?勿論やってくれるわよね?」
「はい!…………」
ティーナに尋ねられたミリーナは頷いた後その場で跪いて、ティーナに自分の剣を差し出した。
(あれは………!)
(”騎士の誓い”…………!)
ミリーナの行動を見たガントとウォーレンは驚いた。
「ティーナ様。これより私、ミリーナはこの命ある限り、貴女にお仕え致します。どうか剣をお取り下さい。」
「………………………」
剣を差し出されたティーナは静かに受け取って、剣を見つめ
「………ミリーナの誓いの剣………確かにお受けしました。………これからよろしくね。」
剣の柄に口付をした後ミリーナに剣を返し、微笑んだ。
「はい!」
「ハハ………侍女なのに”騎士の誓い”をするなんて前代未聞だな。貝殻を叙勲されたお前といい勝負だな、ガント。」
「そうだな………」
力強く頷きティーナを見つめているミリーナをウォーレンとガントはそれぞれ口元に笑みを浮かべて見つめていた。その後ガントとウォーレンはミリーナと談笑を始め、ティーナはその様子を見つめた後空を見上げた。
(あの娘(ミリーナ)との出会い………何かが起ころうとしているのかしら………)
〜同時刻・西方三島・キルマーとアイリーンの墓〜
「………………」
一方その頃アルはキルマーとキルマーの恋人、アイリーンが眠る墓の前に花束を供えて黙祷をした後、立ちあがった。
「アル様………」
そこに美しいエメラルドの髪を腰まで伸ばし、紅の瞳を持った神秘的な雰囲気を纏わせた女性がアルに近づいて来た。
「………ニニアンか。どうしたんだ?」
「はい。エフラム様がアル様がおっしゃっていたイリアの天馬騎士のお二人から返事が来て、今お二人がこちらに向かっていると。」
振り返ったアルに尋ねられた女性―――ニニアンは静かに答えた。
「わかった。………にしても変わった貴族だな、エフラムって。エトルリアの貴族の嫡男の癖に武者修行なんて事をしているんだからな。」
「フフ、そうですね。エフラム様を見ているとヘクトル様を思い出してしまいます。」
アルの言葉にニニアンは微笑みながら答えた。
「………ま、お前も人の事は言えねえけどな。永遠の眠りを覚まさせた俺の頼みを聞いて今まで一緒に旅しているんだからな。別に嫌ならいつでもやめていいんだぜ?お前には俺と違って家族がいるしな。」
「………………私はあの子に親として何もしてあげられませんでしたから………せめて、あの子が手に入れた平和は守る為に手伝いたいのです。」
「………そっか。………じゃ、行くか。」
「はい。」
アルと共に歩き出したニニアンは立ち止まって空を見上げた。
(エリウッド様………いつか必ずお会いに行きます………ロイ…………貴方達が手に入れた平和は必ず守ってみせるわ………)
そして2人は自分達の同行者達が待っている場所に向かった……………
今回の話のように今後も他のFEのキャラをこの世界のキャラとして出したり烈火キャラも出したりします。ちなみにティーナや他の勢力の戦闘BGMは暁のエリンシアside、アル側は暁のアイクsideの戦闘BGMだと思って下さい。………感想お待ちしております。
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