カーニバル 15 話目 |
ふと我に返ったワンロックが
「おいブラッド、貴様に話がある」
「おお、ワンロックか、くだらない事を止める気になったか?」
「くだらない事だと!」
ワンロックは怒りをあらわにしている。
するとガリズの騎士が
「内紛か、勝手にやっていろ。そうそう住人の一人が我々の
入城を止めようとしたので捕らえているぞ」
城の門からシスターが縄で縛られた姿で出てきた。
「タマっ」
ワンロックは彼女の名前を呼んだ。
タマと呼ばれたシスターは、ワンロックを見ると、少し
申し訳ない表情をした。
「城なんざ、どうだっていいが、タマだけは助け出す」
ワンロックは戦闘態勢に入る。
そこへブラッドさんが近づいて真顔で
「お前は、あの場から逃げた。彼女を助けて、ちゃんと
気持ちを確かめろ」
その後、ボク達の方を向いて
「城と人質を無地に奪還せよ」
風が吹いては止む。
これから、どちらかが倒れ、どちらかが勝利するのだろう。
ガリズの騎士は見た目、ボクと同じくらいの歳にみえる。
目つきは鋭く、剣と盾を装備している。
「どうしてこの国を狙ったんだ?」
「もともと敵対している国だ……だが、ここはハヤブサ王の
いるブルーティア国へ行くには近道であり、我が国とブルー
ティアの中継地点になる」
「どういう事?」
「この国も城も、どうなってもいい、タマを早くこっちへ
返せ」
ボクらの会話にワンロックが割って入ってきた。
もはや、何にも目もくれず、ただただ、あのシスターを
助け出したい想いをワンロックから感じる。
背に隠してある三点に分かれた短い棒をくっつけると、
長い槍になった。
ガリズの騎士も、鞘から剣を抜き、身構える。
一方で。
ガリズの魔導士は、フードを深くかぶり表情は伺えない。
オリンズは、じっと見ているだけだ。
ボクは、この様子なら大事にはならないだろう……
と、思った矢先。
オリンズはマスクで覆われた口元を動かし魔法を唱えた。
手のひらをガリズの魔導士に向けると五本の指先に火の玉が
浮かぶ。
「たこ焼き!」
五つの、たこ焼きの型をした火の玉がガリズの魔導士に
襲い掛かる。
「くッ!」
よけることが出来ず、直撃した。
「ふふん」
オリンズは得意そうな顔をした。
……まさか、オリンズから仕掛けるなんて。
ボクは唖然とした。
こちらから手をだしては、人質の安全は守れない。
弱々しい風が、煙をゆっくりと、まるでカーテンを
開けていくように横に追いやった。
そこには、ある程度ダメージをおった魔導士が立っていた。
フードが爆風で外れて、顔があらわになる。
銀髪のツインテールの女の子だ。
「ウオッカ、大丈夫か?」ガリズの騎士が聞く。
ウオッカと呼ばれた魔導士は
「……ええ、なんとか」
黒い煤や埃を、手で叩いて取り除いている。
ウオッカの魔導服は、最新ファッションで、かなり身なりに
気を使っている。
「ケホケホ、ちょっと貴女、いきなり攻撃魔法とは、どうゆう
了見よ」
「タマさんと、レッドサン城を返せば、もうしないよ」
オリンズは、じっとウオッカの指を見ながら答える。
「ふーん、じゃあ人質もお城も、お返しします……って
なるかー!」
「えええぇぇぇー、てっきり返してもらえると思った」
この様子を黙ってみているシアさんは
「国と国の戦いだって解っているのかしら、あの娘たち……」
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剣と魔法のファンタジー小説です。 続きものです。 |
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