Sonic・the・hedgehog 【Running out of control ――― EMERALD】(7) |
「バレット……?」
ソニックは聞き返した。
「やっと記憶を取り戻したぜ、ソニック。」
「……へぇ、記憶を取り戻した瞬間カッコよくなったじゃないか!」
ドンッ!
ソニックが笑みを浮かべると同時に大きな地響きがした。
「ホゥ……記憶ヲ取リ戻シタダト?」
ダークは不敵な笑みを浮かべる。
「……ああ、何もかも思い出したぜ。俺がGUNの新兵だってことも――――
お前にあの時やられたってこともなぁ!!」
ドンッ!!
バレットは大きく跳躍しダークの顔面の目前まで跳んだ。
ジャキッ!
「グレネードフラッシュ!!!」
「!!」
ダークはふと異変を感じた。
バレットの放ったあの光線が先程とは比べ物にならない程の大きさと威力を持っていたためである。
「グオッ!?」
不意をつかれまともに光線を喰らったダークは一瞬怯む。
「効いたッ!?」
シルバーは信じられない様子で叫ぶ。
ソニック達も同じ様子だった。
先程まで三人がどんなに攻撃しても微動だにしなかったあのダークにダメージを与えることが
出来たのが信じられなかった。
「あの時の礼――――たっぷりとお返しするぜ!!」
ジャキッ!!
バレットの体には幾つもの銃器が付いていた。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!
その銃器で一斉にダークにありったけの弾丸を撃ち込む。
「グウオオオオオオオオオオ!!!!」
弾丸を喰らい続け、ダークはもがき始めた。
「ダーク!!」
ビュンッ!
ダークの大きな頭の周りには四つの姿があった。
回転しながら突っ込んでくるソニック。
ダークに光の矢を放とうとしているシャドウ。
掌の魔方陣に青白い光を溜めているシルバー。
そして―――
コォォォォォォォォォォッ!!!!
ダーク目掛けて再びブラームスの銃口に光を溜めているバレット。
―――――ニッ!
だが、突如ダークはにやけた。
「甘イワ!!」
バッ!!
ダークは頭の周りに半透明の黒いバリヤーを張った。
バリッ!
「ぐあぁッ!!」
「グッ!」
「うおッ!?」
「うあッ!!」
バリヤーに当たり、四人は四方に弾き飛ばされる。
ヒュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ………
ドガ――――ン!!!
ソニックとシャドウはビルに、シルバーとバレットは地に叩きつけられた。
ドサッ!
その刹那、ソニックとシャドウも地に叩きつけられる。
「く……ッ!」
シルバーとバレットが素早く受身の体制を取ると、少し遅れてソニックとシャドウも立ち上がる。
ギンッ!
ダークはシャドウを睨みつける。
「……シャドウ、貴様ハ何モ思ワナイノカ?」
「何のことだ?」
突然の言葉にシャドウは聞き返す。
するとダークは徐にバレットを指差した。
「……貴様ノ大事ナマリアヲ殺シタGUNノ隊員ガココニイル。ソレニ貴様ハ何モ感ジナイノカ?」
「!!」
バレットは眼を見開いたが、シャドウは静かにバレットを振り向く。
ザッ―――
そしてゆっくりとバレットの方へ足を動かせた。
「シャドウ!」
「待て!」
シルバーが止めに入ろうとするのをソニックが静止した。
「ソニック!?」
「………これはあいつらの問題だ。俺達にはどうしようもない。」
ソニックは言い終えると視線を再びシャドウ達へ向ける。
「シャドウ……」
バッ!ババババババババババ!!!!!!
バレットがその名を呼ぶとシャドウの手に光が集まった。
「フフフフフ……」
ダークはその光景を悠然と眺めている。
「――――GUNを代表して言う。マリアの件は……悪かった。」
「………」
シャドウは何も言わずに歩行する。
「けどなシャドウ……俺の大事な上司……いや……俺の兄貴分のガンもアンタと間違われて
GUNの隊員に射殺されたんだ。大事な人を失ったのはアンタだけではないんだ……」
「………」
「だが、それでもアンタが許せないってんなら―――好きにしてくれ」
―――――バッ!!!!バリバリバリバリバリバリ!!!!!!
シャドウの手に集まった光がさらにつよくなった。
まるで懐中電灯の中を覗き込んだかのようにぎらつく光を手にシャドウはゆっくりとバレットへ近づく。
――――スッ
シャドウがある程度バレットに近づくとシャドウは徐に腕を上げる。
バレットは覚悟を決めて目を閉じた。
「カオススピアッ!!!」
シャドウの声が聞こえる。
しかし、何も変化は起こらない。
「………?」
目を開けたバレットが眼にしたのは――――
ドガァンッ!!
ダーク目掛けて大きな光の矢を放ったシャドウだった。
「………ドウイウツモリダ?」
煙の中から防御体制を取っているダークが見え始める。
シャドウは鼻を鳴らす。
「マリアが誰に殺されたなど、どうでもいいことだ。」
「何?」
「僕はマリアの願いを叶える―――ただそれだけだ。」
「……ホウ。」
意外な答えだ――――そう言いたげなダークは片手を天に上げる。
「確カニ貴様ニトッテハドウデモイイコトナノカモナ……」
そう告げたダークの片手に暗黒色の空から不気味な光を放つ七つの光が舞い降りる。
「ダガ、俺ハGUNニマリアヲ殺サレ怒リニ捕ラワレタプロフェッサーノ意志ニヨッテ作ラレタ
究極生命体。俺ハヤハリGUN……イヤ、人間共を許スコトハデキナイ!!!」
ブンッ!!
ダークが片手をバレットに向かって振り下ろすと七つの影――――カオスエメラルドが
バレットに猛スピードで突っ込む。
「!!」
「ハイク!」
ガッ!!
突然の出来事に身動きの取れなかったバレットの腕を掴み、ソニックはエメラルドの突進撃を避ける。
ドガッ!!
重々しい音をたててカオスエメラルドは地に突っ込んだ。
突っ込んだところはまるで隕石が落下したかのような惨状となっている。
「サンキューソニック!」
「Don‘t mind!」
だが、安堵していられなかった。
「!」
カオスエメラルドが再びソニック達に突っ込んできたのだ。
「俺が止めてやる!」
「シルバー!」
二人の前に舞い出たシルバーはカオスエメラルドに手を伸ばす。
しかし、カオスエメラルドは止まらない。
「な―――ぐあッ!!」
そしてそのままシルバーの腹に突っ込んだ。
「シルバー!」
ソニックは叫ぶが――――
「ハハハ!貴様等固マリスギダ!!」
「なッ!?」
三人の居る場所にダークが拳を振り下ろす。
「ハァッ!!」
バキッ!!
「ナニッ!?」
シャドウがダークの腕を鋭く一蹴しそのまま押しのける。
「貴様の相手は僕だ!」
ギュンッ!!
そしてシャドウはそのままダークの顔へ突っ込む。
「ハアアアァァァッ!!!」
そして凄まじい勢いで攻撃ラッシュを続ける。
「小賢シイ!!」
ダークはシャドウを振り払おうと藻掻くがシャドウのスピードが速すぎて捕らえられない。
「ソニック、シルバー!一度カオスエメラルドを引き付けてくれ!」
バッ!!
そう叫ぶとバレットは二人の傍から離れる。
「お、おいハイク!?」
「ソニック!危ない!」
バレットを振り返ったソニックはシルバーの声でハッと正面に向き直る。
眼前にカオスエメラルドが迫っていた。
「くッ!」
ソニックはなんとか間に合い避ける。
「行くぜ……!」
バレットは大きなミサイルを構えていた。
しかし、照準は何も無いただ真っ暗な天だった。
「いっけぇ――――!!!!」
ドンッ!!!
ミサイルの銃口から光る弾丸が放たれた。
そしてその光は――――闇色の空に大きく光った。
「あれは!?」
遥か遠く離れた場所にあるエッグマンの基地の屋上から戦いの場を見守っていたテイルスは
驚いた声を上げる。
そして遠くの空に花火のように輝く光を確認すると基地の中へ走り戻る。
「ナックルズ!ハイクから『カオスエメラルド出現』の合図だよ!」
「おう!やっぱりあの銃を作っておいて正解だったな!」
「いいから早く始めて!」
喜々とするナックルズをエミーが急かした。
ナックルズは目の前にあるマスターエメラルドに手を置くと跪いた。
「――――行うもの其は7つの混沌、混沌は力、力は心によりて力たり、抑えるもの其のは混沌を統べるもの!頼むマスターエメラルド!あいつから―――ダークからカオスエメラルドを解放してくれ!!」
カァッ!!!
マスターエメラルドが神々しく輝いた。
「ったくまだ来やがるか!」
バレットはカオスエメラルドから必死に逃げながら苦々しく吐き捨てる。
バッ!
「こうなったらもう一度俺の力で止めてみせる!」
シルバーが再び二人の前に舞い出て凝結したカオスエメラルドに腕を伸ばす。
「お、おい無茶だよせ!!」
ソニックが制止しようと試みるもシルバーは動かない。
「うおおおおおおおお!!!」
シルバーは腕に力を込める。
その時だった―――。
―――――トサッ
七つのカオスエメラルドが勢いを失い、シルバー達の前に落下した。
「なっ!?」
ソニックは呆気にとられ、静止したカオスエメラルドをぼんやりと眺めた。
「やったぜソニック!俺が止め――」
「どうやら間に合ったようだなナックルズ達。」
シルバーの言葉を遮りバレットが言う。
「どういうことだ?」
「テイルスに頼まれたんだ。ダークがカオスエメラルドを出現させた時にこの銃を空に撃てってな。」
「なるほど、カオスエメラルドの出現を見図らってマスターエメラルドを使ったってワケか!」
「ですよねー」
手を叩くソニックを他所にシルバーはがっくりとうなだれる。
「ぐあッ!!」
「「「!?」」」
頭上から聞こえた叫び声にソニック達は顔を上げた。
ドガ―――――ン!!!
それと同時にシャドウが三人の近くにあったビルの瓦礫の山に勢いよく突っ込んだ。
「シャドウ!!」
ガラガラと音を立てる瓦礫からよろよろと片腕を抑えながらシャドウが姿を現す。
「チ……!」
シャドウの見仰ぐ上空では龍の如く浮遊するダークがこちらを睨みつけている。
悪寒が奔るような鋭い眼光で―――。
「……カオスエメラルドノ様子ガオカシイト思ッタラコノ力ハマスターエメラルドカ……?」
「ハンッ!残念だったなダーク!お前の野望もここまでさ!!」
ダークを指差すソニックの周りにシャドウ、シルバー―――そしてバレットが集まった。
固まった四人の周りに静かに淡い光が集まってくる。
グオオオオオオオ――――!!!!
「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」
四人の姿が徐々に神々しい金色の姿に変わっていく。
「な―――何だ―――この力は!?」
バレットは自身の中に漲ってくる力に疑問を感じ動揺を隠せない。
「!!」
そしてバレットの持っていた銃器が浮かび上がると同時に彼の胴体に吸収されるように消える。
「「「「―――――ハァァァッ!!!!!!!!!」」」」
「――――!」
ダークは息を飲んだ。
今ダークの目には神々しく金色に輝く四人の姿が映っていた―――
スーパーソニック
スーパーシャドウ
スーパーシルバー
――そして――スーパー――――バレット。
「こ……これは!?」
今自分に何が起こっているのか理解できず、バレットはうろたえる。
「落ち着けバレット。俺達はカオスエメラルドの力を使ってパワーアップしたんだ。」
「―――何だって?」
「要は、僕達の力が遥かに高まったということだ。」
「―――ってことは……」
「ああ、今度こそ―――あいつを滅ぼす!!」
バッ!
シルバーの言葉を合図に四人はダークを指差す。
「―――――」
ダークは動じなかった。
「クックック―――ハーッハッハッハ!!!」
そして突如高笑いをする。
「どうした?焦りすぎて気が動転したのか?」
ソニックが嘲笑する。
だがすぐに四人は異変を感じる。
「グッ!!」
その理由は直後に分かった。
動こうと試みるが四人は動くことが出来なかったのだ。
「こ……この……感じは……まさか……!?」
ソニックは苦しげに告げる。
「貴様ハ覚エテイルカ……コノ力ヲ……」
ダークは四人に手を向けている。
「―――タカガマスターエメラルドノ力デ俺ノ力ヲ制御デキルトデモ思ッテイタノカ?」
「ば―――馬鹿な――!」
そう、ソニックは一度体感したこの苦しさを痛感していたのだ。
――――スーパー化を強制的に解除させられたあの時の苦しさ
そしてまた異変が起こっていたのは戦いの場だけではなかった。
「ナックルズ!!」
テイルスが驚いたように声を上げた。
無理もない。
―――マスターエメラルドにヒビが入り始めていたのだから。
「クソッ!マスターエメラルドはこの馬鹿デカい力に耐えられないのか!?」
「どうするのじゃ!?このままでは壊れるのも時間の問題じゃぞ!!」
その場にいた一同は焦り出した。
「………」
だがただ一人―――ナックルズは冷静だった。
「…………」
何も語らずに自分の額に手を置き、もう片方の手をマスターエメラルドにつけた。
「ナックルズ……?」
エミーが不安そうに尋ねる。
「――――俺の魂とマスターエメラルドを連結する。」
「なんじゃとッ!?」
「でもそしたらナックルズの命も……!!」
テイルスが止めに入ろうと試みるが―――
「分かってる。この賭けがどれだけ危険だってこともな。だが……俺はこいつを守るために戦ってきた。時には壊れたことだってあった。それでも俺は―――もうあの時みたいに、ダークに壊された時みたいにもう壊されたところは見たくねぇ。だから俺は誓ったんだ。
また壊れることがあった時には――、俺も一緒に壊れてやるってな。もう覚悟は出来ている。」
その場にいた一同はナックルズをもう止めに入ろうとはしなかった。
―――いや、彼を止めてはいけないと悟っていたのだ。
ナックルズは意識を集中し始めた。
「うおおおおおおおおおおおおお!!!」
マスターエメラルド――――そしてナックルズの体もエメラルド色に強く光り出す。
「ハハハハハハハハハハハハ!!!所詮貴様ラノ力ハソノ程度カ!」
「く……くそッ!!」
高笑いをするダークを目の前にソニック達は必死にもがく。
その時だった―――
「―――?」
バレットは異変を感じた。
「うご―――ける――?」
「―――ナンダト?」
思いもよらぬ言葉にダークは聞き返す。
突如の解放感を感じたのは彼だけではなかった。
「これは……」
「フン……」
シルバーとシャドウも自分の体を見下ろす。
「ナックルズか……?」
ソニックは赤く染まりきった空を見上げる。
ソニックは強く拳を握る。
「さぁーて、今度こそパーティの始まりだぜ!!」
そしてダークを振り返った。
「……マアイイ。折角ダ、人類ヲ滅ボスタメニ作ラレタコノ究極生命体……全力デイカセテモラウ!!!」
ダークは再び大きく咆哮をあげた。
「サアカカッテクルガイイ!!貴様達ノ無力サヲソノ身二刻ンデクレル!!」
ダークが叫ぶと空間が震えるような衝撃波を発した。
ギュンッ!
スーパーソニック達は動じることなくそれぞれ四方に飛行する。
そのスピードは計り知れなかった。
「!!」
突如目の前から姿を消した四人を探すべくダークは猛スピードで大きく旋回しながら周りを見回す。
「ガッ!?」
こめかみに重く鋭い一撃が当たる。
まるで豪速球で投げられた野球ボールがこめかみに直撃したような衝撃だった。
ダークは唸りながら闇雲に腕を振り回し振り払おうと試みる。
それと同時に先程当たった姿が再び姿を消す。
いや、ダークの顔から離れたのだ。
「ヘッ!まだまだ行くぜ!」
その正体―――スーパーソニックはどこからか叫ぶ。
「カオスランスッ!」
ドガンッ!
続いてどこからかシャドウの声が聞こえる。
だがそんなことを気にしている余裕は無かった。
ドガンッ!
「グッ!」
どこからか飛んできた『カオススピア』のパワーアップ型―――赤い光が
ダークの顔面にあたり爆発を起こした。
ギンッ!
ダークは鋭い眼光で周りを見回す。
しかし見えるのはまるで流星のように光る螺旋を残しながら光速で移動する四つの姿
――辛うじて自らの肉眼で確認できた。
「小賢シイ虫ケラ共ガ……!」
バッ!
ダークは両腕を胸の前で組む。
「バアァァァァァ!!!」
ババッ!
ギュウウウウウウゥゥゥゥゥゥ………ン
そして両腕を振り上げると周りの時の流れが遅くなる。
それと同時にソニック達の姿も丸裸だった。
「隙ダラケダ!!」
バキィッ!!
「「「「ぐぁッ!!」」」」
ヒュウウウウウウウ――
ドガ―――ン!!
ほぼ同じ場所にいた四人をダークは地に殴り落とす。
その刹那、時の流れも元に戻った。
瓦礫目がけて振り下ろしたダークの拳がパラパラと音を立てながら退けられる。
「貴様等ガカオスエメラルドノ力デパワーアップシ光速デ移動シナガラ
攻撃シテクル等トックニ予想済ミダ!」
ゴオオォォォォォォォ!!
しかし、拳が退けられたところから神々しいオーラを纏いながら傷一つ無い四人の姿が現れる。
「……ホゥ」
ダークの表情から笑みが消える。
「効いたぜダーク。」
ソニックは体についた埃を叩き落としながら告げた。
「オノレ……!」
(予想以上二パワーアップシテヤガル……!)
ギリギリとダークは悔しそうに歯軋りする。
ドンッ!
シャドウが一気にダークの顔面に肉薄する。
「!」
「貴様の力はその程度か?」
シャドウの体が紅に染まる。
「―――『カオス・ブラスト』!!」
ドガ――――ン!!
「グアアァッ!!」
シャドウは体に溜めたエネルギーを一気に放出し爆発を起こした。
堪えたのかダークの声が少し漏れる。
「おわッ!?」
その衝撃はとてつもなく強大で離れた場所で浮遊するソニック達もその爆風で少し体勢を崩す。
爆発によって巻き起こった噴煙でダークの顔を確認することができない。
グォッ!
「!!」
刹那、噴煙の中から黒い手が伸びてきてシャドウの身を拘束した。
「シャドウ……ニックキシャドウ……」
「油断したか……!」
シャドウはもがく。
「パワーアップシテモソノ程度カ……ツマラン」
「チッ……!」
シャドウは腕のリミッターを外そうと試みるもその動きもダークによって封じられる。
「クタバルガイイ!!」
カアアァァァァァァ―――!!!
ダークの口に闇色の光が集まる。
「死ネ!!『ダーク・フレア』!!」
「シャドウ!」
ダークの口から闇色の大きな光線が放たれた刹那、スーパーシルバーがシャドウの前に現れる。
「シルバー!何をする気だ!?」
「俺が光線を止めてやる!」
バッ!
シルバーが両手を前に出し、通常時よりさらに大きい魔法陣の盾を出現させる。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
盾に光線がぶつかり、耳が痛くなるような音を立てる。
「……貴様ハ一度ソノ作戦ガ失敗シタノヲ忘レタノカ?」
光線を出しつつもダークは問う。
「甘く見るなよダーク!俺だって伊達にただスーパー化した訳じゃないぜ!」
「ホゥ……ナラバコレニモ耐エラレルカ!?」
ドンッ!
ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!
ダークは光線を更に大きくすると同時に目から光線、腹から闇色の光の矢といった様々な
攻撃を繰り出してきた。そしてそれらもまた盾にぶつかる。
「うぉっ!?」
流石のスーパーシルバーも分が悪く表情を歪める。
「無茶だシルバー!」
ソニックの叫びも気にもとめずシルバーは耐える。
「フフフ……ヤハリ貴様ハソノ程度カ……」
「こりゃぁちょっとヤバイかもな……」
しかしシルバーはまるで危機感を抱いているようには見えなかった。
「隙だらけだぜダーク!!」
ダークは背後から聞こえた声に視線を少し向ける。
ドガンッ!!
「!!」
その刹那、ダークの顔に何かが当たり爆発する。
それと同時にダークの拳の力が弱まった。
バッ!
シャドウは再びダークの顔面めがけて肉薄する。
「『カオス・ブラスト』!!」
ドがァァァァァァァァァン!!!!
そして再び大爆発を起こす。
「グアァァッ!!!」
ドガァァァンッ!!
ダークは体勢を崩し地へと落下する。
「グッ……誰ダ!?」
ダークは爆発した何かが飛んできた方向を睨む。
「俺さッ!」
そこに居たのは片手をダークに向けているスーパーバレット。
バレットの掌からまさに弾丸を撃ったばかりの銃口のように煙が出ていた。
「貴様……ッ!」
「言っただろ?あの時のお返しをたっぷりさせてもらうってな!」
ババッ!
バレットは両手をダークの方に突き出す。
「行くぜッ!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
ドッドッドッドッドッドッドッドッ!!!!!
ドガンドガンドガンッ!!!
バレットの掌や体全体からマシンガンの如く弾丸やグレネードやレーザーが放たれる。
「グッ!!!」
流石のダークも倒れている状態でのこの攻撃は効いたらしく呻き声を上げる。
「これでとどめだッ!」
ババッ!
バレットは両手を天に向ける。
カァァァァァァァァァ!!!
そこに大きな光が集まる
「『グレネードフラッシュ』!!」
ドンッ!!
バレットがダークに腕を降りおろすと両手から大きな光の光線が放たれる。
ギラッ!!
ダークの目がその光線に向けられた。
「『ダーク・フレア』!!」
突如ダークが腕を上げると同時にその掌からグレネードフラッシュより遥かに大きな闇色の光線が
放たれる。
「なッ!?」
グレネードフラッシュは呆気なくダークフレアに打ち負かされる。
そしてその光線がスーパーバレットを包み込んだ。
「うあああああ!!!!」
ヒュウウウウウ――――
ドガ――――ン!!
そして大きく吹っ飛ばされビルに突っ込む。
「バレット――!!」
シルバーは叫ぶ。
「ハッ、雑魚ガ……グァッ!!?」
ガガガガガガガガガガ!!!
ダークがバレットに気を取られている隙にソニックがダークの腹へ突っ込む。
「ハッ!どうしたダーク!スピードが落ちてるぜ!?」
「オノレ……小賢シイハリネズミガァッ!!」
ダークはソニックに攻撃を仕掛けるがソニックが目まぐるしく移動するため攻撃が当たらない。
「COME ON!」
ドガンッ!!
「グァッ!!」
ソニックが再びダークの腹に突っ込む。
ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
そして腹だけでなく顔や胴体にも猛スピードで突っ込む。
「グオオオォォォォォォォッ!!」
ダークはもがきだす。
そして拳を握り締めた。
「オラアアアァァァァァァァッ!!!」
ギュウウウゥゥゥゥ――――ン
そして拳を振ると周りの時の流れが遅くなる。
ソニックはダークの顔面手前で動きが止まった。
「調子ニ乗ルナ!」
バキィッ!
「ぐあッ!」
ダークがソニックを殴りつけると時の流れが元に戻った。
ヒュウウウウウウ――――ン
ドガ――――ン!!!
ソニックはビルに突っ込む。
バレットとソニックが突っ込んだ大きなビルはとうとう崩壊し崩れ落ちた。
ソニック達は同じ場所に集まりダークを睨みつける。
ダークもまた四人を睨めつけていた。
両者共息が上がっている。
グオオオオオッ!!
突如ダークが空高く飛び上がりソニック達を見下ろす。
「なんだ!?」
シルバーが叫ぶ。
「貴様ラハ強カッタ。ダガ、コレデ終ワリダ!!」
コオオォォォォォォォォォォォォッ!!
ダークが両手を広げるとその手、そして口に闇色の強い光が集まる。
それと同時に地が大きく揺れる。まるで地球全体が揺れているようだった。
「おっと……これはヤバイ攻撃が来そうだな……」
ソニックの額に汗がつたう。
「なら、これの出番だな。」
「WHAT?」
バレットは背中から唯一つ彼に吸収されていない大砲のような銃器を取り出す。
「……もうこれしか手はねぇ。」
「何だそれは?」
「実はテイルス達にもう一つ銃を渡されていたんだ。この銃でソニックとシャドウを弾にして二人を
ダーク目掛けて撃つ。」
「YES!それなら行けるかもしれないな!」
「……」
しかしバレットは俯く。
「どうした?」
シャドウが怪訝そうに訊くとバレットは静かに顔を上げる。
彼は真剣だがどこか翳のある眼差しだった。
「――――俺は死ぬかもしれない」
「………」
その場に居た一同は何も言わなかった。
「あのおっさんから言われた……スーパー化している二人を弾にする時は発射台にかなり負担がかかる。その力の強さは……時速200キロでこちらに向かって走ってくる二台の大型トラックを生身で受け止めるようなものらしい。最悪の場合……発射台は壊れるそうだ。」
「――なら、そいつは………」
「でも仕方が無い。この銃に賭けよう。」
反論しようとしたソニックの言葉を遮りバレットは言う。
「だがお前は―――!」
「俺はもう……十分世界を楽しんだ。もう……思い残すことは無いさ。今後世界に何かあったら
アンタ達がどうにかしてくれるだろうしな……」
ジャキッ!
バレットは照準をダークに向ける。
「さあ入れ!ソニック、シャドウ!」
(兄貴――――俺もそっちに行くかもな――――)
「……頼んだぜバレット。」
「君の意思、見せてもらった。後は僕達に任せてもらおう。」
ギュウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!
二人は銃の中で勢いよく回転を始める。
「……ぐッ!!」
その刹那、銃がとてつもなく重くなる。
ガクガクガクガクガクガク!!!
照準が目茶苦茶になり上手くダークに向けられない。
「ぐおおおお……おおおお……!!!」
ボシュッ!
バレットの体のあちこちから血が吹き出る。
高エネルギーを支える彼の体にはいくらスーパー化しているとは言えとても耐えられるものではなかった。
―――………バレッ…………ト………後は………た………の………む………………ぜ…………
突如彼の脳裏に彼にとって最も大切な人の言葉が響き渡った。
「ガン……!?」
バレットは顔を上げる。
しかし、状況は変わらなかった。
「……くそ、こんなところで……諦めて……たまるかあッ!!」
グググググ……!!
バレットは腕に力を入れ何とか照準を合わせようと試みるがやはり上手くいかない。
だが―――
「……?」
突如銃が軽くなる。
突然の出来事で彼には事の次第が分からなかった。
「手伝うぜ、バレット!」
隣から声が聞こえバレットは顔を向ける。
「シルバー!?」
正体は両手を銃に向けているシルバーだった。
「俺はせいぜいこれぐらいしか出来ない。だがなバレット……お前を死なせはしない!」
「シルバー……」
――――頑張れよ、シルバー。
「―――もう二度と、あんな悲劇は起こさせない。未来は俺が救ってみせる!」
シルバーの脳裏に浮かんだのは嘗ての未来で唯一の仲間―――世界のために消えてしまった友の
言葉だった。その言葉を胸にシルバーはこの銃に全てを託す。
ピッ!
照準はダークに向いていた。
「発射準備OK!シルバー、行けるか!?」
「おう!これで終わりにしてやるぜ!」
二人は顔を見合わせ、頷きあった。
ゴオオォォォォォォォォォォォォッ!!
「消エテ無クナルガ良イ!『ダーク・フレア』!!!」
ドンッ!!!
ダークからとてつもなく大きな光線が放たれる。
「「いっけぇ―――!!!」」
ドンッ!!!!
バレットが引き金を引くと銃口からダークフレアに匹敵する大きさの光線が放たれる。
二つの光が今、一つとなった。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガが!!!!!!!!
二つの光線がぶつかる。
「グ………グググ……!!!!」
ダークは苦しげな表情を見せる。
「「うおおおおおおおおおおお!!!!」」
ソニックとシャドウも叫んだ。
――――お願いよシャドウ―――私の代わりに―――――
シャドウの脳裏を彼にとって一番大事だった女性―――マリアの言葉が駆け巡った。
ドンッ!!
バレットが放った光線が僅かにダークフレアを押す。
「何!?」
ダークも粘った。
「何故ダ!?何故奴ラは止マラナイノダ!!?」
――――ソニック、絶対無事に帰ってきてね!
そしてソニックの脳裏に彼の親友の言葉が駆け巡る。
ドンッ!!
バシュッ!!
ソニック達はダークフレアを打ち破った。
「ナッ!?馬鹿ナ!」
ダークはその反動で動けなかった。
ドシュッ!!!
ソニックとシャドウは――――ダークの体を突き破った。
「グオアアアアアアアアァァァァァァァァァァ!!!!!オノレ……オノレ!!!!何故ダ!何故奴ラハ止マラナイノダ……!?」
ダークの体が光りだす。
ギュンッ!
ソニックとシャドウが動きを止め、ダークを振り返る。二人の隣にシルバーとバレットも並ぶ。
ビッ!
ソニックは人差し指を立てた。
「俺達は止まらないさ。止まった瞬間、そこに退屈が待ってるからな。」
ソニックの表情には笑みが浮かんでいた。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!」
「失せろ!プロフェッサーの失敗作が!!」
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!」
カアアアァァァァァァァァァァァァァッ!!!!
闇は霧散し、この世から姿を消した。
キィ―――
僕はゆっくりと扉を開ける。
ここは工作室。僕が発明品を作ったりする時に使う部屋さ!
――――ん?そうだ、僕の名前はテイルス!ソニックの相棒だよ!
ゴトンッ!
ああ〜重かった!
え?こんなに大きな箱を何に使うかって?
それはね……これを直すためさ!
この壊れた僕の愛機、トルネードを直すための材料を集めてたんだ!
さてと、早速修理に入ろっかな?
ガチャガチャ……
ふぅ、大分直ってきた。
僕達はあの後、それぞれ別の場所に帰ったんだ。
ダークを倒した後、シルバーはそのままカオスコントロールで未来へ帰ったんだって。
帰り際にね―――
「皆、ありがとな!いつか未来にも遊びに来いよな!じゃあ、元気でな!!」
って言ったんだって。僕もお別れ言いたかったなぁ〜……。
ナックルズは相変わらずあの森の中でマスターエメラルドを守ってるよ。
もう二度とマスターエメラルドを無くしたり壊させはしないって意気込んでた。
エッグマンは……相変わらずまた何か企んでるみたい。
もう、悪者を退治するとすぐにこれなんだから……。
シャドウはGUNでミッションを頑張ってるみたい。
そうそう、GUNと言えば――――
バタンッ!
「ソニック――――!!」
「うわぁっ!?」
「あ、テイルス!ソニックは!?」
「え!?さ、さぁ〜?またどこかに走りに行ってるんじゃないかな?」
「もう!ソニックったら〜!今日はデートの約束してたのにぃっ!!」
「……それってエミーが勝手に決めたんじゃ――――」
「何ですって?」
「い、いや、なんでもないよ!」
「ソニック―――!!」
バタバタと大きな音をたててエミーはどこかに走って行っちゃった……ふぅ、ビックリした。
……あ、そうそう。GUNと言えばね、バレットが兵隊のトップになったんだって。
まぁ相変わらずサボってるみたいだけど……。
エミーは……さっきの様子見れば大体分かるよね。いつもと変わらないよ。
ソニックも変わらないかな。今日もどこかで走り回ってるみたい。
けど、ソニックは―――
「いつ消えても大丈夫なように世界を堪能しなきゃ♪」
とか言ってたんだけど……どういうことなんだろう?
……さてと、トルネードも直ったしちょっと空中散歩でもしようかな?
グオオオオオオオ―――
目の前の大きな扉が開いていく。
「エンジンON!」
ブルルルルルルルルルルルルル!!!!
トルネードのプロペラが勢いよく回りだした。
グオオオオオオオ―――――ン!!
「いやっほぅ―――!!」
今日の空もいつもと同じように青く広がっていた。
これからどんな冒険が僕達を待っているんだろう――――?
☆あとがき☆
ども、こたと申します。
この度は自分の初投稿作を読んでくださり、誠にありがとうございます。
自分がソニックと出会ったのはうろ覚えですが確か4歳頃……だった気がします。
飲食店を営業していたとある芸能人の方の自宅へ遊びに行った時、やらせて貰ったゲーム……
それが「ソニックアドベンチャー」でした。
昔から多くのゲームに携わってきたもののソニックを全く知らなかった当時の自分は「なんだこの
青いの?」的なことを思っていた気がしますw(まぁ当時の自分にとって将来そのキャラが将来自分の
人生を変えたキャラになるとは思ってもいなかったでしょうが(笑))
そして十何年時を経て……「スマブラX」でソニックと再会しそこからガチはまりしました。
実は、小説家になろうに出会う前もとあるサイトでこの小説を書いていたのですが……
何故か途中で挫折し、中途半端な状態で終わらせていましたw
内容も目茶苦茶で四年ぶりに読んで自分で書いておきながら笑ってしまいました(笑)
まず、ハイクの設定が全く決まっていなかったんですw
そしてダークの設定も違いました。当初ダークはシャドウが生まれる前の究極生命体という設定でしたがよくよく考えたら矛盾が生まれたためジェラルドの憎しみの塊……という設定にしました。
後、シルバーの登場は当初の設定ではありませんでした。というのも実を言うと作者は個人的にあまりシルバーに興味が無かった……というのもありますが、シルバーは戦闘シーンを書くのが難しいため出していませんでした。
ですが、この小説に感想を書いてくださった方の中にリクエストがあったため出しました。まぁ内容的にも彼は活躍してくれたので結果オーライですねw
そして、お詫び。
最後の方投稿が遅くなって誠に申し訳ありません。投稿忘れ……てたんじゃなくて、多忙だったため投稿できませんでした。
現在は別小説『超次元ゲイム ネプテューヌmk2〜blue wind〜』そして『神次元ゲイム ネプテューヌV〜The blue mith〜』にて活動中です。神次元の方には本作品のハイクも少しだけ登場してます。もしよろしければ暇な時にでも覗いてやってください。
では、そろそろ失礼します。
別小説にて引き続きよろしくお願いします!
こた
説明 | ||
いつものようにソニックとエッグマンは戦っていた。ソニックが七つのカオスエメラルドを使いスーパーソニックへ変身し、誰もが勝負はついたと確信した… しかし、異変は起こった。 突然暴れ出し、ソニック達を攻撃するカオスエメラルド。一体カオスエメラルドになにが起こったのか? そして、禍々しい暗黒色のハリネズミ――「ダーク・ザ・ヘッジホッグ」。彼の目的は?そしてその正体は? ソニック達の新たな冒険が始まる!――― どうも、こたです。別のサイトで書いていたので知っている方は知っていると思われる作品を読みやすくリメイクしたものです。現在執筆中の『超次元ゲイム ネプテューヌmk2 〜Blue wind〜』の方もよろしくお願いします! | ||
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