天才と二重人格と世界一過保護な兄と 第2話 宣戦布告とミーティング
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文月学園の校門の前に、1人の女性がいた。

 

彼女の左手には1枚の写真がある。

 

そこには腕を組んでいる雄二と翔子、手をつないでピースをしている明久と経久、経久の肩に手をのせている彼女がいた。

 

「経久も明久も雄二も翔子もここにいるのね……」

 

彼女はそう言うと、写真をポケットにしまって歩き出した。

 

 

右手にある袋の中に入っていたであろう文月学園の制服を着て――――。

 

 

 

〜明久SIDE〜

 

「明久、Bクラスに宣戦布告をたのm「「たぁぁぁぁぁぁっ!」」うおっ!? あぶねえっ!」

 

雄二が僕に宣戦布告を頼もうとしたら、兄さんと秀吉がいきなり雄二に攻撃した。

 

というか2人とも、殴ろうとした手にカッターを持ってるのは危ないからね!?

 

でもまぁ多分、2人が雄二に攻撃したのは『あの噂』を知ってたからなんだろうけど。

 

「雄二テメェ、明久に怪我させる気か!?」

 

「今回に関しては同感じゃ、雄二よ。お主、正気か?」

 

やっぱりね。でも僕を心配してくれてのことなんだろうからちょっと嬉しいかも。

 

「雄二、Bクラスだよね? 僕、行ってくるよ」

 

「明久!?」

 

「お主、もしかして知らぬのか!? 下位クラスの人が上位クラスに宣戦布告に行ったら…っ!」

 

「それ、僕は迷信だと思ってるから。それにもしそうなったら……」

 

僕はそう言いながら、ある場面のシミュレーションをする。

 

うん、これなら大丈夫だろう。そう思い、再び言葉をつなげる。

 

 

「――――返り討ちにしてあげるから♪」

 

 

後ろで震えているであろうFクラス(兄さん、雄二、秀吉除く)を放っておいて、僕はBクラスへと向かった。

 

 

 

…………でも、なんでBクラス?

 

 

〜雄二SIDE〜

 

明久は満面の笑みであの怖い言葉を放つと、そのまま教室から出て行った。

 

つーかあんな明久、久しぶりに見たぜ……。中学の時以来か?

 

「……さて雄二、聞かせてもらおうか。なぜ明久に行かせたのか」

 

「お主の情報は世界一と言っていいほど量が多い。しかも的確じゃ。『あの噂』を知らないはずがなかろう」

 

確かに秀吉の言う通り、『あの噂』については知っていた。もちろん明久も。

 

それなのになんで行かせたかっつーと……。

 

「お前らはさっきの明久を見て、怪我して帰ってくると思うか?」

 

「「………」」

 

そりゃ思わないよな、普通。

 

まぁ、俺はそれを予測したうえで明久に頼んだんだが……。

 

「明久の奴、加減はするよな……?」

 

そう思っていると、とある場所から男達の悲鳴が聞こえた。となると、やることは1つだな。

 

俺はある番号に電話をかけた。どこかって? それは……

 

 

「すみません、明久の制服をお願いします」

 

 

頼んだ1分後には服が届いてる、俺達用の服屋だ。

 

 

〜明久SIDE〜

 

「ただいまぁ〜」

 

僕がFクラスに戻ると、雄二が新品の制服を差し出してくれた。

 

僕はそれを受け取り、秀吉に教えてもらった早着替えの方法で即座に着替えた。

 

着替え終わると、姫路さんと島田さんが僕の方に駆け寄ってきた。

 

「吉井君、大丈夫ですか?」

 

姫路さんはどうやら優しい子のようだ。

 

「うん、大丈夫だよ。怪我するほどじゃなかったし」

 

「良かった。ウチが殴る余裕はあるんd「経久サンダーマウンテン!」痛ぁっ!」

 

島田さんはもう少し学習しよう。

 

そして兄さん、今の技、いつのまにできたの?

 

「おーい、明久に経久に秀吉! それから姫路達も、ミーティングするぞー!」

 

「あ、うん! 今行く!」

 

雄二に呼ばれ、僕達は屋上へと向かった。

 

 

 

 

 

「土屋、さっきの明久の早着替えの写真、撮ってないだろうな?」

 

「……撮りたくても取れなかった…っ!」

 

「ムッツリーニよ、いくら明久が人気でも、1枚でも写真を撮ったらADJ団とワシ……今は経久もじゃな。が許さないということを忘れたのか?」

 

「……っ!!(ブンブンッ)」

 

「今回は撮ってないみたいじゃから許すが……次はないぞ?(ギロリ)」

 

「……っ!!(コクコクッ)」

 

「そんじゃ、行こうぜ、秀吉」

 

「そうじゃな。明久達が待っているかもしれんからのぅ」

 

 バタバタバタ……

 

「……死は免れた(ボソッ)」

 

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あの後兄さんと秀吉と土屋君が屋上に来て、昼食を食べながらミーティングをするという事になった。

 

ところで、土屋君は顔が真っ青だけど、どうしたんだろう?

 

「兄さん、秀吉、どうぞ」

 

「サンキュ! いやー、やっぱ明久のは美味いや♪」

 

「本当じゃのぅ。さすが明久じゃ」

 

「雄二は……翔子さんのだね」

 

「ああ。お前のも美味いが、翔子のもかなりの物だからな」

 

そう僕達が弁当の話をしていると、姫路さんと島田さんがこっちを見てきた。

 

「2人とも、どうしたの?」

 

「それ、本当に吉井君が作ったんですか?」

 

「そうだよ」

 

「嘘ね。吉井に作れるわけないもの」

 

「はい、嘘ですね」

 

「「「は?」」」

 

 ドゴォン!

 

「兄さん!?雄二と秀吉まで!?」

 

2人が僕のことを嘘つき呼ばわりしたら、3人が壁に足を激突させた。

 

2人は壁側に座っていたから被害は受けなくても、振動はかなり伝わってきたはずだ。

 

いきなりのことで硬直していたが、島田さんが我に返って3人のことを睨んだ。

 

「ちょっと、何すんのよ!」

 

「あァ? お前らが明久のことを嘘つき呼ばわりしたからだろうが」

 

「勝手に決めつけて…ずいぶんと偉くなったもんじゃな?」

 

「本当のことでしょ!」

 

「……(ハアッ)お前らをここに連れてきたのが間違いだったかもな」

 

3人のオーラに気圧されたのか、島田さんが震えている。

 

確かに勝手に決めつけた島田さんが悪いんだけども、図的に状況を知らない人が見たら兄さん達が悪人呼ばわりされてしまうからなぁ……。

 

「そろそろストップ。話が全然進んでないじゃないか」

 

「ん、そうだったな。仕方ない、この辺にしといてやるか」

 

「……ツギハナイカラナ?」

 

「は、はい……。すみませんでした……」

 

ふぅ、何とかなったよ。しかも兄さんの様子からして、放っておいたらどうなっていたことやら。

 

雄二はみんなが座ったのを見て、今回のことを話し始めた。

 

「そんじゃ、午後からBクラス戦が始まるわけだが……質問のある奴は?」

 

「はい」

 

「やっぱりお前か、明久」

 

だって雄二ならDクラスから始めると思ってたんだもん。疑問に思うよ。

 

しかもいきなりそんな上のクラスからだし。

 

「お前が言いたいことはわかる。だが俺達がやろうとしているAクラス戦のやり方で、わざわざDクラスとかなんかと戦う必要があるか?」

 

「必要……ないね」

 

「ああ。だが士気は上げときたいし、Aクラスとは本気で戦いたいと思っている。ここまで言えば島田とかにはわからなくても、明久とかにはわかるだろ?」

 

「うん、よくわかったよ」

 

僕達が本気を出しちゃったら今のところ互角に戦えるのは翔子さんと優子さんくらいだからね。

 

すると島田さんが少しうなった後、雄二に聞いてきた。

 

「あんた達の目的まではわからないけど、要するにAクラス以外は強敵でもなんでもないってこと?」

 

「そうだ。理解が早くて助かる」

 

「話は以上か? だったら早く弁当を食おうぜ」

 

「そうじゃの。せっかくの明久の弁当の味が不味くなってしまうのじゃ」

 

「そうだな。お前ら、弁当を食べて構わないぞ」

 

雄二から許可が下りたので、僕達は弁当を食べながら雑談を交わした。

 

 

 *

 

 

昼食が終わり僕達は教室へ帰ろうとした。しかし雄二に大事なことを話し忘れているのに気がつき、あわてて雄二に近寄った。

 

「雄二、1つ伝え忘れてたことがある」

 

「お前が伝え忘れるだなんて珍しいな。なんだ?」

 

「Bクラス、((あの人|・・・))がいるよ」

 

「っ! ……そうか、面白くなりそうだな」

 

そう言った後に雄二は屋上の扉を閉め、僕と教室に戻った。

 

この時、僕達がにやりと笑っていたことに気づいたのは誰もいなかった。

 

 

――――僕達以外に屋上にいた1人を除いて。

 

 

「どうやら転入早々面白くなりそうね」

 

 

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補足設定です

 

 

☆俺達用の服屋(By.雄二)☆

その名の通り、明久、経久、雄二、翔子、秀吉、優子、謎の女性専用の服屋。

なぜこの7人だけなのかというのは中学生編の時に説明。

 

 

それから雄二は康太に頼んで情報収集をしているわけではなく、自分でやっています。

 

 

説明
これは「バカと天才と世界一過保護な兄」の題名を変えた作品です。内容的には続きとなっております。

遅くなってすみませんでした!
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