ファイアーエムブレム〜永遠の絆〜 2章〜双聖器〜 |
〜タニア城・執務室〜
「………………」
執務室でティーナは一人で政務書類を片付けていた。その時、ドアのノックの音が聞こえてきた。
「誰?」
「ガントです、姫様。少々相談したい事がございまして………」
「私に?わかったわ。はいって。」
「………失礼します。」
ティーナの返事を聞くとガントが部屋に入って来た。
「…………それで相談したい事って、何かしら?」
「はい。天馬(ペガサス)を一頭イリアから取り寄せる許可を頂きたいのです。」
「ペガサスを?一体誰が乗るのよ。」
ガントの話を聞いたティータは眉を顰めて尋ねた。
「……………先日、姫様御付兼特別親衛隊員になったミリーナです。」
「ミリーナが!?あの娘、ペガサスにも乗れるの!?」
ガントの説明を聞いたティーナは驚きの表情で尋ねた。
「はい。何でも旅の途中でイリアに寄り、野生のペガサスにも乗りこなした事があるとか。………野戦になれば空を駆っての援護は我々にとって助かりますので、是非ミリーナにペガサスを与えて欲しいのです。」
「わかったわ……許可します。……それにしてもあの娘、何でもできるわね………確か馬も乗りこなせたでしょう?」
「ハッ。馬を駆っての戦闘の技術力も高いですな。」
「………加えてあの娘は剣だけじゃなく、魔法、杖、弓もできるしね………フフ、優秀な娘が入ってこっちとしてもありがたい限りね。」
ガントの話に頷いたティーナは上品に笑っていた。
「ええ………それにあいつと手合わせをしていると、アルと手合わせしている気分になりますよ………」
「…………そう…………………ねえ、ガント。貴方はあの娘の事、どう思う?」
昔を思い出すかのような表情のガントの言葉を聞いたティーナは静かな表情で呟いた後、尋ねた。
「どう……とは?」
「”骸黒の民”だったあの娘が言っていた事全てを信じれるかどうかよ。」
「そうですね………アルの親父さんのような存在もいたんですから、俺は信じていますよ。何よりミリーナの俺達に対する普段の接し方を見ていると、どうしてもそんな人物には思えなくて………」
「そうなのよね………礼儀正しい上、気が利く。本当にアルの血が入っているのか疑わしいぐらいよ………それに私も何度か、あの娘をアルと見間違える時があるのよね………」
ガントの話に頷いたティーナは苦笑した後、寂しげな笑みを浮かべた。
「姫様…………」
その様子をガントは辛そうな表情で見つめていたその時
「失礼します、姫様!」
ウォーレンが慌てた様子で部屋に入って来た。
「どうしたの、ウォーレン。そんなに慌てて。」
「ハッ!先程伝令が来まして………この世の者とは思えない存在が領内の村を襲っているそうです!」
「なんだと!?」
「………民の避難は?」
ウォーレンの報告を聞いたガントは血相を変え、ティーナは真剣な表情で尋ねた。
「幸い死傷者を出す事なく非難は終了しています。ただ………相手の中には”竜”がいるそうで………駆け付けた兵達のおよそ半分が”竜”によって殺されました………」
「馬鹿な!?”魔竜”を封印した以上、もう”戦闘竜”は作られないはずだぞ!?」
「…………さっき言った異形の者というのも気にかかるわね………”竜”以外はどんな相手なのかしら?」
「それが………報告によれば、骨のような何かが武器を持っているとか。」
「………一体何が起こっているのでしょうか………」
「………わからないわ。それより問題は”竜”が現れた事ね………」
「………”神将器”やドラゴンキラーはここにはありませんからね………」
ガントの言葉にティータは考え込みながら呟き、ウォーレンも考え込みながら呟いた。
「………いや、あるぞ!ミリーナの剣だ!あいつの剣はアルの剣と同じ覇王軍の剣!竜にも効くはずだ!」
その時、ガントが思いついた様子で叫んだ。
「……………ミリーナも出撃させて!それと、私も出撃するわ!」
「ひ、姫様!危険です!」
ティーナの指示を聞いたガントは血相を変えて叫んだが
「相手は未知の相手よ!未知の相手に魔法や杖なしで挑む訳にはいかないでしょう?」
「し、しかしそれならミリーナがいますし…………」
ティーナの言葉にウォーレンは反論したが
「ミリーナだけではとても手が足りないわ。急ぐわよ!」
ティーナは一蹴し、ガント達と共に出撃した。
〜タニア領〜
「な、なんだあれは………!」
襲撃されている村にティーナと共に到着したガントは信じられない表情で異形の者達を見つめた。
「まさかあれは………”魔物”………!?」
「!?知っているの、ミリーナ!」
そして驚きの表情で呟いたミリーナの言葉を聞いたティーナは血相を変えて尋ねた。
「はい。後で説明しますので今は迎撃を!」
「わかったわ!みんな、行くわよ!」
「オオ――――ッ!!」
ミリーナの言葉にティーナは頷いた後剣を鞘から抜いて空へと掲げて号令をし、ガント達は号令に答えた後、戦闘を開始した!初めて見る相手に対してもティーナ達は怯まず、次々と倒して行った。そしてしばらく戦い続けると
「竜だ―――――ッ!!」
兵達の叫び声が聞こえてきた!
「!!頼むわよ、ミリーナ!」
「はい!」
ティーナの指示に頷いたミリーナは叫び声が聞こえて来た方向に急行した。そしてミリーナ達が到着するとそこには腐食した肉体を持つ竜が暴れていた!
「なんて禍々しさだ………!”戦闘竜”とはまた違った威圧感があるな………」
異形の竜を見たガントは驚きの表情で見つめ
「あれは………ドラゴンゾンビ!ティーナ様!あの竜には光魔法も効きます!」
「わかったわ!………落ちなさいっ!ディヴァイン!!」
ミリーナの言葉に頷いたティーナは光魔法を竜に放った!すると竜の身体は光に焼かれて、竜は悲鳴を上げ始めた!
「ハアッ!!」
その隙を狙ったミリーナが竜に近づいて剣を一閃してさらに傷を増やした!
「オォォォォォ………!」
一方竜もやられっぱなしではなく、ミリーナにブレスを放った!
「!!」
しかし竜の行動に気付いたミリーナは横に大きく跳躍して回避をし
「………アルジローレ!!」
その間に魔道書を出したティーナは詠唱をした後、高位の光魔法を放ってさらにダメージを与えて、悲鳴を上げさせ
「ハアァァァァ………!!」
崩れた瓦礫を利用して、ミリーナは跳躍して竜の頭に着地し
「セイッ!!」
剣を一閃してその場から跳躍して、竜から離れた!すると竜の頭は地面に落ち、身体も倒れた後煙を上げた後、竜は消滅した!
「竜を討ち取りました!」
「ウオオオオオオオオオオオ――――ッ」
そしてミリーナは剣を空へと掲げて大声で叫び、兵達は勝利の雄たけびを上げた!その後村にいた異形の者達を殲滅した兵達はティーナの指示によって戦後処理を始めた。
(ついに現れてしまったわね…………)
兵達と共に戦後処理をしているミリーナは厳しい表情をしながら考え込んでいた。
「ミリーナ、少しいいかしら。」
そこにガントを伴ったティーナが話しかけてきた。
「ティーナ様。何か御用でしょうか?」
「………先程の異形の者達についてよ。さっきの竜の事といい………貴女、何か知っているわね?」
「はい。…………先程現れた竜―――ドラゴンゾンビを含めた異形の者達は”魔物”です。」
「”魔物”…………何故、それを貴女が知っているのかしら?」
ミリーナの説明を聞いたティーナは考え込んだ後、真剣な表情で尋ねた。
「………それを説明するには”始祖竜”の話も必要になってきますが………よろしいでしょうか?」
「………ええ。お願い。」
真剣な表情のミリーナに尋ねられたティーナは表情をわずかに暗くしたが、すぐに表情を真剣に戻して促した。
「”魔物”…………それは遥か昔………”人竜戦役”よりもさらに遥か昔、このエレブ大陸の支配を企んだ”魔王”フォデスが造りだした異形の者達です。」
「”魔王”フォデス?………聞いた事ないわ………」
「それに”人竜戦役”より昔の事を何故、お前が知っているのだ?」
ミリーナの説明を聞いたティーナは考え込み、ガントは真剣な表情で尋ねた。
「……”骸黒の民”達にずっと伝えられた話ですので………人の歴史にもあったのでしょうが、遥か長い年月を得てその歴史はいつの間にか忘れ去られたのだと思います。」
「………そう。”始祖竜”と関係しているのは何故かしら?」
「………当時、人と竜は協力して”魔王”を倒そうとしました。………ですがあまりにも強すぎる為、選ばれた人間達が”始祖竜”の加護を受けた武器で戦っても、倒しきれず、当時の始祖竜が人間達によって弱った”魔王”を”始祖竜”の力で封印したのです。」
「………”始祖竜”の加護を受けた武器………だと?”神将器”とはまた別なのか?」
説明を聞いていたガントは不思議そうな表情でミリーナに尋ねた。
「お二人ならご存知でしょうが”神将器”は竜を殺す為だけに創られた決戦兵器。”始祖竜”の加護を受けた武器―――”双聖器”には”魔”を払う為に創られた武器―――即ち”魔王”と”魔物”達を滅する為に創られた決戦兵器なのです。」
「……”双聖器”という言い方からして、武器は2つかしら?」
「いえ。当時その武器をいくつかの場所に2つずつ封印した事からそう呼ばれるようになったようです。」
「ちなみにどんな名前で、どこに封印されているんだ?今後の事を考えると、その”双聖器”とやらが必要になってくるだろう。」
「………申し訳ありませんが封印されている場所までは存じておりません。封印した場所を知っている者は封印をした当事者―――”始祖竜”のみですので。」
「………始祖竜の力を持つ者がこの世に存在していない今、例え場所がわかっても封印は解けれないということね………武器の名前をもし、知っているのならせめてそちらを教えてくれないかしら?」
ミリーナの説明を聞いていたティーナは暗い表情で呟いた後、気を取り直して尋ねた。
「わかりました………”雷剣ジークリンデ”、”炎槍ジークムント”、”翼槍ヴィドフニル”、”神弓バルフレチェ”、”氷剣アウドムラ”、”風刃エクスカリバー”、”勇斧ウルヴァン”、”魔典グレイプニル”、”光輝イーヴァルディ”、”聖剣アミーテ”…………以上です。」
「………ありがとう。………ロイ様達とも相談しないといけないわね…………」
「ええ。事は大陸中の問題となるでしょうしね………」
「あの………とりあえず、城に戻って今度の事を考えませんか?」
自分の話を聞いて考え込んでいる2人にミリーナは遠慮気味に提案した。
「そうね。戻りましょうか。」
その後ティーナ達は城に帰還した…………
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続きを読みたいので、今書いている連載が終わってからでいいので続きを希望します。(kira) | ||
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