真・金姫†無双 #2
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#2

 

 

そうしてやって来ました大きな街。確か長沙とか言ったか。街の中央にはデカい建物もあるし、夕方の割には、通りも大きく人も店も多い。

 

「待て、雪蓮!早まるな!」

「大丈夫だって!」

 

それに賑やかだ。なんかめっちゃエロい格好をした女性が、同じくエロイ眼鏡の制止を振り切って駆け出していった。

 

「鬼ごっこでもしてんのか?」

 

それはいいとして。

 

「――――よし、だいたいの貨幣価値は覚えた」

 

色々な店をまわり、何がどんな値段で売られているかを把握し、また例えば店を構える際の金額も聞き込みを行なった。そして、最後にやって来たのは1軒の商家。

 

「お邪魔しまーす」

「おう、どうしたぃ!」

 

ふむ、なかなか人の良さそうなおっさんだ。それでいて、金の匂いを嗅ぎつける力を持っていそうだ。内装を見れば、それがわかる。

 

「ちっとおっちゃんに買って欲しいものがあってな」

「へぇ?」

 

他人と比べればみすぼらしい恰好の俺に対して、負の視線を見せてはいない。今は、まだ。

 

「俺はこの街でもそれなりの店を構えちゃいるんだが、その俺に対してどんなもんを見せてくれる?」

「あぁ――」

 

さて、どんな反応を見せてくれるのやら。

 

「――コレさ」

「なっ……」

 

おっと、これはまた嬉しい反応だな。

 

「……それをすぐに隠せ」

「え?」

 

だが、すぐにその表情が変わる。

 

「ここだと他人が入ってくるかもしれねぇ。奥に行くぞ」

「…………なるほどね」

 

想像以上の一品だったらしいな、俺の制服は。

 

 

 

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「お前、これを何処で手に入れた?」

 

おそらくは主人の私室か私用のスペースで、商談に入る。まずは主人から質問が来た。

 

「西域の果て、って言ったらわかるかい?」

「……羅馬か?」

「あぁ」

 

俺の言葉に、それなら納得が出来ると言わんばかりに頷き、俺の出した品をマジマジと見つめる。まぁ、古代ローマにポリエステルなんて代物ある訳もないがな。

 

「少しなら触ってもいいぞ。絹とはまた違った感触で、それにほら、夕陽に煌めいているだろ?」

「いいのか?……おぉ!なんて滑らかな手触りだ。それに、元は白いのに、こうして紅くも色を変える……」

「どうだ、買うかい?」

 

俺の切り出した言葉に、店主は予想外にも、腕を組んで天井を見上げた。

 

「買わないのか?だったら他の――」

「待った」

 

しばしの沈黙の後、俺はこれ以上粘っても仕方がないと切り上げようとすると、文字通りに待ったがかかる。

 

「なんだ?」

「ひとつ聞きたいんだが……何故、俺のところに来た?」

「へぇ…」

 

思わず感心してしまった。きっと、俺の意図と彼の疑問の答えは同一のものだろう。

 

「そんなに上等のものなら、城に行ってもよかった。それに、此処よりもデカい商家は他にもある。何故、俺なんだ?」

「ひとつずつ答えようか。まず、城に関してだが、あそこはまず有り得ない」

「何故だ?いや、お前が流れの商人なら、役人に対していい思いをしていない事も想像がつく。だが、この街の孫策様は、欲に溺れるような御方じゃないぜ?」

 

孫策が治めてるのか?まぁ、いい。

 

「アンタが言う通り、俺は流れの商人だ。確かに面倒な役人に出会った事もある。だが、それ以前の問題なんだよ」

「それ以前?」

「あぁ、いま言った通り、俺は流れだ。この街での実績などない。そんな人間が、いきなり大層な代物を持って城にやってきたら、どう思う?」

「そりゃぁ、何か便宜を図れと……そういう事か」

「御明察。まずいい印象を与える事は難しい。さらに言うなら、それを受け入れるような人間が、商売をする相手足り得ないのは、真っ当な商売をしている人間ならわかるだろ?」

「まぁ、な」

 

ほんのわずかに表情を曇らせる。この人もそういう経験があるのだろう。

 

 

 

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「さて、2つ目の質問だが、なんでアンタの所に、だったか」

「あぁ。さっきも言った通り、他にも大家はある」

「それに関しては、巡り合わせだな」

「巡り合わせ?」

 

人の縁なんて、そんなもんだ。

 

「最初に目に入った、それなりの店を俺は選んだだけだ」

「なんだ、それだけの――」

「だが、これを売ろうと思ったのは、俺の意志だ」

「――えっ?」

 

理由は単純である。

 

「アンタは、俺の服装を見ても、断る事はなかった。こんな何処にでもいる格好の俺を、アンタは侮蔑の目を向けず、門前払いしなかった」

「まぁ、売りたい物があるって言うからには、商人としてはまず見なけりゃな」

 

そうじゃないんだ。俺は大仰に手を広げて、言葉を返す。

 

「人ってのは、自分と同じ境遇にある人間との集団を作りたがる。金を持ってる人間の大方が、俺みたいな見た目の奴を相手にすると思うか?」

「……」

「そういう事だ。アンタは俺を見ても、まずは話を聞こうとしてくれた。そして、品物を見て、俺の心配を――幾分かではあるが、してくれた。それだけの事さ」

「なるほどな……」

 

納得がいったらしい。主人は頷くと、笑顔で言う。

 

「買おう」

「多謝。幾ら出す?」

「そうだな、これほどの物なら――――これくらいだ」

 

提示された額は、俺が最低限のものと決めていたものだった。俺と感性が似ているのか、あるいは甘く見ているのか……。

だが、俺の考えはいい意味で裏切られる。

 

「ただし」

「ん?」

「それは金だけだ。今出せるのはそれくらいだからな」

「どういう意味だ?」

「蔵に置いてある商品も、幾つか持っていっていい。あるいは、馬や武具なんかも用意出来るぜ?」

「アンタ……最高だ!」

 

 

 

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商家の主人――麋家とあった――と契約を結ぶ事に成功した。金と薬、米や塩、作物の種や苗、さらには武器の類や馬とそれらを積む台車を街の入口に用意してくれると言うのでお言葉に甘え、またそれまでにしばし時間がある為、俺は夕陽の沈みかけた街を、もう少しばかり散策する事に。

 

「この時代にも居酒屋はあるんだな。流石に提灯はないけど」

 

諸々の店は店仕舞いをし、その賑わいを受け継ぐように、居酒屋の店前にある燭台が燃え始める。

 

「酒の味はわかんねーしなぁ」

 

一人ごちながら、閉店間際の茶屋で茶を飲む。味は……特に悪いわけではないが、美味いとも思わない。俺の舌がガキなだけなのか。

 

「でも、((麋|ビー))のオッチャンも気前いいなぁ。もう少し色をつけとくかなー」

 

そんな事を考えつつ、ズタ袋を漁る。元の世界から持ってきた学生鞄に入っていた教科書や筆記用具、空の弁当箱、それからポケットに入っていた野菜類の種。

 

「トマトとかないだろうし、あげちまうか?いや、実がなってないものを渡してもわかんねーだろーし……無難に美術のテキストでもやるか、観賞用とかいって」

 

折角よくしてくれた訳だし、もうひと品渡しておこうと、先の商家に戻った、その時の事だった。

 

「くそっ、この商家があるから……」

「何やってんだ、アイツ?」

 

商家の影に、1人の男が蹲っていた。見れば、壁に向かってゴソゴソと何やらしているようだった。不思議に思った次の瞬間。

 

「火ぃっ!?」

「な、なんだテメェは!?」

 

男のいた場所から、火が上がる。俺の驚声に反応し、男が俺を振り返った。

 

「見られたからには……死ねぇ!」

「どわっ!?」

 

と思えば、短刀か何かで襲い掛かってきやがる。

 

「危ねぇじゃねーか!って、あぁ!火が!?」

「おらぁ!」

 

こういう時はどうすれば!?……って、どっちもヤバいなら、どっちも解決すりゃいいじゃん。

 

「火事だぁあああああああああああああああああああ!!」

「ぐはぁっ!」

 

叫ぶと同時に男の腕を掴み、投げつけ、そして抑え込む。

 

「どうした!?って、お前、昼間の……」

「あぢあぢ、あぢぢぢぢぢぢ!」

 

火のついた、木壁に。

 

「おっちゃん、こいつ放火犯!警察呼んでくれ!」

「はぁ?」

 

 

 

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無事に放火犯を兵に引き渡し、ひと段落。

 

「恨みはやっぱ買っちまうもんなのかなぁ」

「仕方がないさ、ある意味、勝負してるようなもんだからな。要は、それをどれだけ減らしていくかだと思うぜ?」

 

おっちゃんの言葉に、成る程と頷く。流石は商売の先輩だ。

 

「それはいいとして、助かったよ。お前がいてくれなかったら、どうなったか分からないからな」

「なに、商売仲間の為だ。なんて事はない」

 

よくして貰ったしな。

 

「さて、そろそろ俺は行くよ」

「夜なのにか?」

「夜の方が、賊も少ないだろうしな」

「そりゃそうか。まぁ、気をつけてけよ」

「おう」

「また長沙に来る事があったら、いつでも来い」

「おう」

「それと、珍しいもん手に入れたら、また見せてくれ」

「どこに転売する気だか」

「お得意様をバラす訳にはいかねぇな」

「違いない」

 

笑い合いながら、俺達は別れる。次にこの街を訪れる時は、彼に会いに行こうと決めながら。

 

果たしてその誓いは、割と早い段階で実行される事となる。

 

 

 

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あとがき

 

 

と言う訳で、#2でした。

 

 

前書きにも書いた通り、自分でも何をしたいのか分からない。

 

 

つーか亞莎出てきてねーじゃんorz

 

 

一刀君が色々と吹かしてるけど、チートって便利な言葉で誤魔化させてください。

 

 

とりあえずフラグだけ立てておいて、使い時があれば使う感じ。

 

 

酔っ払ってるのでグダグダですが、ご容赦おば。

 

 

ではまた次回。

 

 

バイバイ。

 

 

 

説明
日付は変わったけど、まだ日は変わってないよね?

という訳で、今回も迷走。

何をしたいのか、自分でもわからない。

どぞ。
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コメント
これは面白前回の猫見てたからまぁギャグならギャグでもいいや程度で見始めたそしたらつぼった (ほいほい)
>>summon様 次出てくるかもわからないんだよ!(一郎太)
>>enrem様 お金儲けのための資金にするんだよ!(一郎太)
いやぁ、いいおっちゃんでしたね。亜莎はこれからですもんね。(summon)
2話の時点で空気なメインヒロインの亞莎・・・ しかし、制服売っちゃうとは思い切ったことしますね今回の一刀はwww(happy envrem)
>>あるるかん様 鬼ごっこでもしてたんだと思うよ!(一郎太)
>>叡渡様 そう、これから可愛く頑張ってくれるのですよ(一郎太)
>>IFZ様 誰かが言うと思ったんだよ!(一郎太)
>>きたさん様 次回登場!(一郎太)
>>本郷 刃様 #4くらいからだと思うよ!(一郎太)
>>一丸様 できれば楽しいSSにしたいものだぜ(一郎太)
>>アルヤ様 言わなけりゃ、伏線ってわからないと思いたいよ!(一郎太)
>>不知火様 次回から可愛くなってくれると思うよ!(一郎太)
冥琳が早まるなって言っていたが・・・・雪蓮はどこに行ったんだろ?ww 亞莎は次・・出ます・・・よね?(あるるかん)
一刀「格好なんてただの飾りです。偉い人には、それが判らんのですよ」(IFZ)
今回の一刀クン、内政で能力を見せてくれそうですね? ところで亞莎タンはどうしたのかな〜?(きたさん)
一刀は相変わらず凄いですね〜。あ、亞莎の活躍は、その、えと・・・このあとですよ、そうこのあと! きっとそうですよ!(本郷 刃)
制服売っちゃった!?wwwwwwこれで、天の御使いになる可能性がかなり減ったねえ〜〜wwまあ、この一刀の性格だと自分からなりそうにはないけどねwwではでは、続き楽しみに待ってます。(一丸)
亞莎の空気っぷりwww。しかもそれ使い時が無けりゃ伏線ブッチぎるっていってるようなもんじゃないかい?(アルヤ)
この一刀くん最高 こんな一刀くんを求めていた! 亞莎は、まぁ、ほら、その……仕方がないですよ!(神余 雛)
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