IS 飛翔する白き翼 第7話
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それから5日後の土曜日アリーナ

 

ヒイロは一夏達の訓練に付き合うためアリーナに来ていた。

あの後、シャルルは一夏と同室になり、少ない男?としても一緒に特訓をしている。ちなみに部屋は2人部屋なのだが、あいている部屋がなくヒイロも簡易ベッドで構わないという事で窮屈ながら3人で生活している。

 

(もっとも俺は本音達に捕まって部屋でお菓子を食べらされたり、シャルルやボーデヴィッヒに関することを調べていて2日ぐらいしか特訓に付き合っていないが・・・まあ、その結果いろいろなことがわかった・・・)

 

一夏の特訓においては白式が高機動型の為FAパックは使わないので、織斑先生から許可をもらって夜1人でFAパックの訓練をしている。今はシャルルが一夏に講義を行っている為、ヒイロは残りの3人と模擬戦を行っているのだ。

 

「一夏がオルコットさんや凰さんに勝てないのは単純に射撃武器の特性を把握してないからだよ。近接格闘戦だけの一夏の白式じゃあ知識として知っているだけじゃ勝てないよ。さっきもほとんど間合いを詰められなかったでしょ。まあ、ヒイロの射撃は正確すぎるけどね・・・・」

 

「うっ、確かに…『瞬時加速』も読まれていたしな・・・」

 

「瞬時加速は直線的だから軌道が予測できるからね。でも、加速中に軌道を変えない方がいいよ。空気抵抗や圧力の関係で負荷がかかると危険だしね」

 

「なるほど…にしてもシャルルの説明はわかりやすいな!」

 

シャルルの説明は一夏にとってもわかりやすかった。

 

(ヒイロはいつも模擬戦による実践型だしな、いる日も少ないし…あの3人に至っては…

 

箒の場合 「ズバーンとやってだな、ガギン、ガギンという感じだ」

 

鈴の場合 「なんとなくわかるでしょ?感覚よ、カ、ン、カ、ク」

 

セシリアの場合 「防御の時は右半身を斜め上前方に5度傾けて回避の時は後方20度反転・・・」

 

正直言って全体の10パーセントもわからん!!)

 

「とりあえず射撃訓練をした方がいいと思うんだけど…一夏の白式って後付武装って無いんだよね?」

 

「ああ、拡張領域が空いてないらしい。だから量子変換も無理だって言われてる」

 

「それって多分だけど、ワンオフ・アビリティーの方に容量を使っているからだよ」

 

「俺ので言うと『零落白夜』の事だよな?」

 

「そう・・・ISと操縦者が最高の相性状態にある時自然発生する能力の事だよ。相性に依存する能力だから発動しないケースが多いけどね。それを補う為にアビリティー以外の特殊能力を複数の人が扱えるようにしたのが第3世代型ISだよ」

 

「そうなのか…」

 

「話がそれちゃったけど、一夏、僕のを貸すから射撃訓練してみよっか?」

 

とシャルルは55口径アサルトライフル『ヴェント』を展開しそれを一夏に渡した。

 

「あれ?ほかの機体の武装って使用できないんじゃ・・・」

 

「所有者が使用許可すれば使えるんだよ。ほら、1マガジン分撃っていいから。」

 

シャルルに促されライフルを構え

 

「わかったけど、これどうやって狙うんだ?」

 

「センサー・リンクはできてる?」

 

「銃器を使う時のやつだよな?探してるけど見当たらない」

 

「完全に格闘オンリーの機体なんだね…じゃあ、目測でやるしかないね」

 

「んん…やってみる」

 

そして、一夏は出てきた的に向ってライフルを連射した。かなりの火薬の爆発音に驚きながらもシャルル指導の元、徐々にだが的の中心に弾が当たりだした。

 

「なんか想像以上に音や反動が大きくて驚いたのと…とにかく弾が速いなあ」

 

「確かに実体弾の場合は反動が大きいね。ビーム兵器はわからないけどレーザーの場合は反動が少なくて弾速ももっと早いよ。その分消費エネルギーも大きいんだけどね」

 

そのとき、模擬戦を終えた4人が近づいてきた。3人とも個々の能力は決して低くないが、チームワークが悪く、多数だとしてもヒイロの相手にはならなかった。3人はへとへとのようだが、ウイングは無傷でヒイロの呼吸も乱れていない。今は、頭部だけを部分的に格納しているのでヒイロの顔が見える。

 

「ああ、ヒイロちょうどよかった。頼みなんだけど、ビーム系貸してくれないか?ちょっと使ってみたいんだが・・・」

 

ヒイロはすこし考えサンドロックのビームマシンガンを展開して渡した。

 

「貸せるのはこれぐらいだが、この場でつかうだけだぞ?」

 

「わかってるよ」

 

そして、一夏はビームマシンガンを構え的に向かって撃った。連続した黄色い火線が的にいくつも当たっていく。

 

「さっきとちがって全然反動がないな。撃ってる感じがしないから狙いやすい・・・・お前のあのライフルもこんなもんなのか?」

 

「いや、アレの出力は桁違いだからな・・・」

 

「やっぱそうか・・・」

 

この前の襲撃事件の際に見ているので、あまり驚かなかった。そして、シャルルのISを見て言う。

 

「そういえば、シャルルの機体って山田先生のとちょっと違うよな?」

 

シャルルのISは真耶の使ったラファールとは違い、色がネイビーカラーからオレンジ色になっていることと物理シールドが少なくなっており、左手に一つ直接接続されている。

 

「まあね、僕のは専用機だからかなりいじってあるよ。正式名は『ラファール・リヴァイヴ・カスタムU』。基本装備をいくつか外して拡張領域を倍にしてあるんだ」

 

「倍!?」

 

「量子変換してある装備だけでも20くらいあるよ」

 

ISの拡張領域は広ければ広いほど、たくさんの武器を乗せられる。だが、かといって同時に使える数は限度があり、呼び出し時間のリスクを考えれば扱いは難しい。

 

「まるで火薬庫だな・・・・たしか、ヒイロのガンダムにも結構容量あるんだよな?」

 

「まあな・・・」

 

「君の機体は本当に変わってるね。全身装甲だし、ビーム兵器をもってなおかつ変形機構もあるんだから・・・・」

 

「・・・・・」

 

その時、アリーナが慌ただしくなった。

 

「あれ、ドイツの第3世代型じゃない?」

 

「うそ・・・まだ、本国でトライアル段階だったんじゃ・・・」

 

メンバーはピットにいる周囲の注目の的になっている存在に視線を移した。

 

「・・・・・」

 

 そこにはもう一人の転校生であるドイツ代表候補生であるラウラ・ボーデヴィッヒが漆黒のISを展開してこちらを向いていた。

 

「おい」

 

「・・・なんだよ」

 

ISのオープンチャンネルで声が飛んでくる。聞こえてくる声に敵意を隠す様子はなく、一夏に恨みがあることがよくわかる。

 

「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話が早い・・・私と戦え」

 

「・・・・・嫌だ。理由がねえよ」

 

「貴様にはなくても私にはある!・・・貴様がいなければ教官が大会2連覇の偉業をなしえただろうことは容易に想像できる。だから、私は・・・・貴様の存在を認めない!!」

 

(やっぱりこいつもまた千冬姉のことか・・・だからって俺とこいつが戦う理由にはならない・・・)

 

一夏は昔のある事件により千冬を慕う女子たちから恨まれている。だが、この学園では皆優しいし、最近はそんなことにもあわなかった。

 

「また今度な・・・トーナメントだってあるだろう?」

 

「逃げる気か・・・ならば・・・戦わざるを得ない状況にしてやる!!」

 

瞬間、ラウラは右肩に装備された大型レールカノン『シュヴァルツェア・レーゲン』が火を噴いた。

 

「「「一夏(さん)!!!」」」

 

突然の砲撃に一夏は回避行動が間に合わない・・・・・・しかし、

 

「・・・こんな密集空間で戦おうとするなんて、ドイツの人は随分沸点が低いんだね。」

 

「くっ、フランスの第2世代型ごときが・・・!」

 

危険を一早く察知したシャルルが物理シールドで咄嗟に防いだのだ。

 

「未だ量産の目途が立たないドイツの第3世代型よりは動けるだろうからね」

 

2人の間に火花が散る。ラウラがレールカノンを再度発射しようと構え、シャルルも同時にアサルトライフルを展開し、いつでも戦闘が起きようとしていた。しかし・・・

 

「そこまでだ・・・ラウラ・ボーデヴィッヒ。こいつの威力は報告されているのだろう?」

 

いつの間にか後ろでラウラの頭にバスターライフルの銃口を向けているヒイロがいたのだ。

 

「!?」

 

「いっ、いつの間に・・・」

 

シャルルがそうつぶやく。ラウラを含めこの状況を見ている誰もがヒイロの動きが見えなかったのだ。

 

「もう一度いう・・・武装解除しろ」

 

「くっ・・・」

 

ラウラは間合いを取りながらヒイロに向き直り、緑色のツインアイを睨みながらISを解除してそのままピットの奥に消えた。ヒイロもバスターライフルをリアアーマーに直すと、一夏の元に飛んだ。

 

「ありがとな、シャルルにヒイロ。おかげで助かったぜ」

 

「僕は当たり前の事をしただけだからね」

 

「別に構わない」

 

「さて、俺達はもう着替えるから・・・箒、鈴、セシリアもありがとな。練習に付き合ってもらって・・・」

 

「「「・・・」」」

 

「じゃあな、また夕食で・・・・」

 

そう言って男子3人は更衣室に戻っていった。

 

 

更衣室

 

「一夏、本当に大丈夫?」

 

「大丈夫だよ。ごめんな、心配かけて」

 

一夏はそう言いながらシャツに手を通した。ヒイロは制服の上を着ていて、シャルルはロッカーから制服をとるともう更衣室を出ようとした。

 

「じゃあ、僕は用事があるから先に行ってるね・・・!」

 

「え、また?」

 

そういうとシャルルは更衣室を出て行った。初めの1回は一緒に着替えたものの、シャルルはその後何かにつけて理由をつけて先に帰ってしまうのだ。ヒイロは理由を知っているのだが、シャルルが自分で言うまでは知らないふりをすることにしていた。だが、理由を知らない一夏にしてみればなぜ?と思ってしまうのだ。

 

(なんか距離があって寂しいんだよな・・・・何か恥ずかしいことでもあるのか?)

 

「なあ、ヒイロ。シャルルって裸見られて恥ずかしいのか?」

 

「・・・人それぞれだろう」

 

一夏の核心を突きつつ、的外れな問いにヒイロはそう答えるしかなかった。

 

「そうなのかな・・・」

 

「ではな、先にいっているぞ・・・」

 

「ああ、俺もすぐに追いつくから・・・」

 

そういうとヒイロは更衣室を出た。

 

 

中庭

 

「デュノアは知るべきだろう・・・反応を見るにアイツは父親の事は勘違いしている。だが、それをアイツに知らせるべきかわからない」

 

ヒイロはデュノアの事を調べる際にデュノアの父親のパソコンからある物を見つけていた。

 

「だが、それ以上に危険なのは・・・・『何故ですか・・・・・何故こんな所で教師など!?』・・・ん?」

 

ラウラの声が突然聞こえてきたので、ヒイロは声のする方に気配を殺して近づいた。道から少し外れた木々の中で千冬相手にラウラが問いかけていた。

 

「何度も言わせるな。私には私の役目がある・・・それだけだ」

 

「しかし、このような極東の地で何の役目があるというのですか!!お願いします教官!我がドイツで再び指導を・・・・ここではあなたの能力は半分も発揮されません! 」

 

ラウラがそこまで言った時、声に気が付いたのだろう一夏もやってきた。ただ、俺には気付いていない。

 

「この学園の生徒はISをファッションか何かと勘違いしている・・・そのような者達に教官が時間を割かれるなど・・・・」

 

「そこまでにしておけよ・・・小娘が」

 

ラウラの言葉を遮るように千冬はドスをきかせ、そう言った。ラウラも突然のことに体がビクッと反応して、それは一夏も同じだった。

 

「少し見ない間に偉くなったな・・・15歳でもう選ばれた人間気取りとは・・・笑わせる」

 

「わ・・・私は・・・」

 

「話は終わりだ。さっさと寮に帰れ」

 

「・・・・・」

 

ラウラはそのまま無言で走り去っていった。

 

「さて・・・そこの男子盗み聞きか?異常性癖は感心しないぞ」

 

千冬は俺ではなく、一夏に向かって言った。

 

「なんでそうなるんだよ!千冬ね『学校では織斑先生とよべ!!』・・・・」

 

一夏の言葉が終わる前に千冬の鉄拳が炸裂した。

 

「そらお前も早くいって月末のトーナメント戦の事でもやってろ。このままだと初戦敗退確実だぞ」

 

「わかってるよ・・・」

 

「そうか・・・わかっているならいい」

 

最後の言葉の時の千冬の顔は、教師としてではなく姉としての顔だった。だが、一夏がサルトすぐに教師の顔に戻り、ヒイロのほうに顔を向けた。

 

「お前もだぞ、ヒイロ」

 

「気づいていたか・・・」

 

千冬に言われヒイロは素直に木の陰から姿を出した。

 

「本気ではないのだろう?」

 

「・・・・・」

 

「まあいいさ。・・・ヒイロ、一つ聞きたいことがある」

 

「なんだ?」

 

千冬は自分との模擬戦の最後にヒイロが言った『俺は弱者だ・・・』の意味を知りたかった。

 

「私との模擬戦の終わりに言ったあの言葉・・・あれはどういう意味だ?」

 

「・・・・・俺は、戦うことでしか自分の存在意義を見出せなかった。それだけだ・・・・」

 

ヒイロはそういうと、そのまま寮へと歩いて行った。その背中に千冬は何もいうことはできなかった。

 

 

寮内廊下

 

「ああ〜、ヒイろんだ〜奇遇だね」

 

「布仏か・・・」

 

「うちもいるよ」

 

そこには本音だけでなく、沙紀も一緒にいた。しかも、今はIS学園の制服を着ている。

 

「倉持、お前はここに来なくてもよかったのではないか?」

 

沙紀は技研の事もあるので登校は免除されているはずだ。

 

「うちのISのデータを取らないかんし・・・それに丁度、月末にはトーナメントがあるきね。それやったら学校に行こうかなと思って・・・」

 

「それでねえ、私が寮を案内してるんだよ〜。沙紀ちゃん全然知らないから〜」

 

いつものゆっくりした声で本音は言う。

 

「まあ、そういう事やき・・・そうや!明日の放課後、ちょっとISの特訓に付き合ってくれん?フルアーマーの調子も身を持って知りたいし」

 

「・・・構わない」

 

どうせ、一夏の特訓はシャルルの方がやっているのですぐに了承した。

 

「よかったよ。じゃあ、うち等はまだ行かないかん所があるき・・・また明日ね!」

 

「うん、じゃあねえ〜ヒイろん」

 

「ああ、それではな・・・」

 

そこで、ヒイロは沙紀と本音と別れて、部屋に向かった。

 

 

部屋

 

部屋に着いたヒイロに待っていたのは、シャンプー片手にお風呂場のドアの前で呆然と突っ立っている一夏だった。しかも、ヒイロが近づいても微動だにしない。

 

「どうかしたか、一夏?」

 

そこでようやく一夏の顔がこちらを向いた。だが、驚愕の顔は変わっていない。

 

「ヒイロか・・・実は・・・シャルルに・・・胸があったんだ・・・・」

 

「きゃああああああああああああああああああああ!!!」

 

その言葉と同時に風呂場の中からシャルルの悲鳴が絶叫した。

 

 

 

5分後

 

「それで・・・なんで男のフリをしていたんだ?」

 

一夏とシャルルがようやく落ち着いたので、シャルルから事情を聞く事になった。一夏とシャルルは別々のベッドに向かい合って座っており、ヒイロは壁に手を組んでもたれている。

 

「うん、それはね・・・デュノア社の社長・・・その人からの直々の命令なんだ」

 

(その人?)

 

一夏にはその単語に違和感を覚えた。

 

「命令って・・・親だろ?なんでそんな・・・」

 

「僕はね・・・愛人の子なんだよ」

 

「愛人・・・」

 

ドラマの中でしか聞かない単語に一夏は一瞬戸惑った。

 

「うん、2年前に母が他界した時に初めて父の事を知ったよ・・・」

 

それからシャルルはその後の事を二人に話した。検査でIS適性が高かったことで社の非公式テストパイロットになったこと。初めて父親と本邸であった時に、本妻からいきなり『この泥棒娘が!』って言われ殴られたこと。

そして、本妻の2人いる娘の内姉にあたる人からのイジメ・・・・

 

「時には、雑巾の絞り水を頭からかけられたこともあったよ。義姉からはいろいろやられたけど、義妹は優しかったな・・・」

 

「そんなのってありかよ・・・」

 

このことに一夏は絶句するしかなかった。

 

「それから、少し経ってデュノア社は経営危機に陥ったの・・・」

 

「え、デュノア社って量産型ISでは世界第三位のシェアをほこるんだろ?」

 

「欧州連合の統合防衛計画『イグニッション・プラン』か・・・」

 

「そうだよ、ヒイロ。『イグニッション・プラン』での次期主力機は第三世代型がメインでフランスは計画から除名されているんだ・・・つまり、フランスにとって第三世代型の開発は急務なの。デュノア社でも第三世代型を開発してたんだけど、もともと第二世代型最後発だから圧倒的にデータも時間も不足しているから、なかなか形にならなくて・・・だから、次のトライアルに選ばれなかったら援助を全面カット、IS開発許可を剥奪する

ことになったの」

 

「大体は飲み込めたけど・・・・それと男装とどう関係が・・・・」

 

「簡単な事だよ。単純に人目を引く広告塔・・・それと、男同士ならヒイロ・ユイ、織斑 一夏と接触しやすい・・・可能であればデータをとれるだろう・・・・ってね」

 

「データって・・・」

 

「そう、ガンダムと白式のデータを盗めって言われたんだよ・・・僕はあの人にね」

 

一夏は何も言えなかったが、ヒイロにとってはあまり衝撃的な事ではなかった。データを盗むのに、変装してだますといったことは基本中の基本だ。まして、この世界における自分と一夏、ガンダムと白式を考えるとそうするのは当たり前の事だった。

 

「まあ、そんな所かな・・・今まで騙しててゴメン。話したら楽になったよ。会社は潰れるかもしれないし・・・僕も本国に強制送還されるかもしれないけど・・・・もうどうでも『それでいいのか?』・・・えっ?」

 

「シャルルは本当にそれでいいのか?」

 

「良いも悪いもないよ・・・・僕には選ぶ権利がないから・・・仕方ないよ」

 

「仕方なくないだろ!親がなんだって言うんだ!!確かに親がいなけりゃ子供は生まれない、だからって親が子供になにしてもいいわけないだろ!!生き方を選ぶ権利は誰にだってあるはずだ!親なんかに邪魔されるいわれなんてないはずだ!!」

 

「・・・うん・・・そうだね・・・一夏の言うとおりだよ。でも、僕には何も・・・」

 

すると、一夏は突然立ち上がった。

 

「特記事項第二十一。本学園における生徒は在学中において、ありとあらゆる国家、組織、団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されない・・・・ってことは、在学中は大丈夫ってことだろ?その間に何か解決策を見つければいい。ここにいろよ、シャルル」

 

「一夏・・・・」

 

「なあ、ヒイロお前もそう思うだろ?」

 

「そうだな・・・・だが、その心配はない」

 

「「えっ?」」

 

ヒイロは机に座り、ノートパソコンを起動させてこの前ハッキングした時に見つけたものを画面に表示させ、二人に見せた。画面にはメールと思われる文面がいくつかあった。

 

「これは、お前の父親のパソコン内にあったものだ・・・・」

 

メールの中には、IS学園理事長やIS委員会、そしてフランス大統領宛ての物まであった。しかも、その文面には、妻によって学園に男装で入れざる負えない状況になったが、せめて娘を楽しく安全に学校生活を送れるように協力してほしい。また、男装がばれてもシャルルに罪が及ばないようにしてほしいという事が書いてあった。

 

「そんな・・・」

 

「この内容から見るにお前の父親が計画したことではない。だが、今では副社長である本妻の方が実権を握っている為に従わざる負えない状況という事だ。そして、さっき一夏が言った特記事項第二十一の事も知っていたことも考えられる・・・学園に入れることで、本妻や義姉からお前を離すことで守ろうと考え、本妻の計画に乗ったのだろうな・・・お前の父親の願いはメールの返信を見れば、無事思いが届いたのだろうな・・・お前が3人目の男というのは外では報道されていないし、学園のデータの中にはお前は女として登録してある。第一教師達は一言もお前を男子とは言ってないしな・・・」

 

シャルルはもう涙を止めることができなかった。今まで父親がこんなにも自分の事を愛していたなんて思ってもいなかったのだ。

 

「シャルルよかったな。良い父親じゃないか」

 

ヒイロは一夏にシャルルを任せて部屋を出た。

 

「あとはアイツだけだな・・・・」

 

昔の自分とそっくりなラウラ・ボーデヴィッヒの姿を思い浮かべた。

 

 

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回答コーナー

 

鬼龍皇さんからの質問  何故千冬はヒイロを名前で呼んでいるんでしょうか?基本的に公私を分けているので弟の一夏でさえも名字で呼んでいるので違和感があるのですが・・・

 

A,ヒイロは異世界から来たということで、日本人ということになっておりヒイロを緋色と苗字に『緋色 ユイ』という名前になっているので、千冬からはヒイロと言われているのです。

というのは質問があって初めて気づいて無理やり書いたもので、まったくかんがえていませんでした。すみません。これからも設定に違和感があれば指摘してください。

説明
今回はシャルルの秘密編です。
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ヒイロ・ユイ ガンダムW インフィニットストラトス 

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