同居人8 |
第八話 「蒼星石」
朝、呼び鈴とドアを叩く音で目が覚めた
J 「うるせぇな・・・」
朝っぱらから誰が騒いでんだ?
そう思いながら毛布の中で耳を澄ますと
としあき 『うおー、タケルちゃーん、あーけーてー』
タケルって誰だよ
としあき 『へへー、こんなこともあろうかと合鍵作っておいて良かったよ』
岡田 『お前いつの間にそんなもん作ったんだ?』
としあき 『へへー、秘密♪それじゃ入るよーって、ああーッ!!鎖してあるー』
秀吉 『まぁ、寝るときは普通かけるから当たり前だよな』
としあき 『よぉーしこうなったら・・・これでこうして・・・えいっ
やったー、開いたよー』
岡田 『これって犯罪じゃないか?』
としあき 『それじゃ、突入ー♪』
なんか嫌な予感するんだが
その間に足音がどんどん近づいてくる
くそー、まだ眠ぃのに・・・仕方ない起きるか
覚悟を決めてベットから起きると
水銀燈 「んん・・・」
布団の中でうずくまっている水銀燈を発見
J 「いやぁぁぁぁーーーー!!!」
としあき 「タケルちゃーん、開けるよー」
J 「NOぉぉぉぉぉーーーー!!!!」
まさに前に虎、後ろに狼ってやつだ
タケルってのが誰かは知らんが今開けられるのは非常にやばい
俺は急ぎ寝ている水銀燈と自分に布団を被せる
しかし、やはり水銀燈の部分だけ不自然に膨らんでしまう
くそっ、こうなったら・・・
俺が覚悟を決めて行動に移ると同時にドアが勢い良く開く
としあき 「タッケルちゃーん、おっきー出来たかなー?」
そこから入ってきたのはアホ毛が特徴的な赤髪の女性と
一応他人のフリをする2人
赤髪の方はご丁寧にアホ毛を針金で補強していた
これは『マブらぶ』のあの人のコスか?
J 「お、おっす」
ちなみに俺は首だけを布団から出している状態だ。
実は布団の中では水銀燈がばれないように思いっきり抱きしめているのだ
としあき 「早く起きてよー、宿題やるんでしょ?」
いつ見ても見事だな、としあきの変装
声まで女性の声になっているところが恐ろしい
秀吉 「いいなぁ、純夏ちゃんに起してもらえるなんて
この幸せ者!」
J 「だったら代わってやろうか?」
朝から女装した同級生に不法侵入されて
うれしいと思う奴はあんまいないと思うぞ。
J 「そんなことより着替えるから出てけよ」
その時、水銀燈が目を覚ましたのか毛布の中で動き出す
俺はすぐさま水銀燈の動きを封じるため右手で足
左手で頭を押さえつける形で
思いっきり抱きしめる
もちろん、水銀燈も驚いて暴れるが放すわけには行かない
そうして、誰にも気づかれることのないバトルが勃発している最中に
岡田 「ん?どうかしたか?」
岡田が俺の異変に気づきやがった
J 「い、いやなんでもなゐ」
何とか自分なりに平静を装って返答するが
どうやらかなり変な表情をしてたらしい
岡田 「そ、そうか。だが救急車必要なときはいつでも言えよ」
そんなやばいのか、今の俺の顔
秀吉 「それより早く起きろよ、下で待ってるからな」
そう言うと部屋から出て行く岡田と秀吉
J 「あ、ああ」
と、そこへとしあきが近づいてくる
としあき 「ねぇ、タケルちゃん、おはようのキスしてあげようか?」
J 「失せろ」
としあき 「ちぇっ」
なぜか残念そうにとしあきは出て行く
まったく、わけわかんない奴だ
その時、俺は異変に気づく
さっきから水銀燈が暴れていないのだ
やべっ、必死に締め付けたから気絶したか?
恐々布団をめくるとそこには顔を赤くした水銀燈
もしかして窒息してたのか?
すると水銀燈は両手の人差し指を合わせながら上目遣いで俺を見てくる
水銀燈 「えっとぉ、人間の気持ちは嬉しいけどぉ。私にはアリスゲームという
やらなくちゃいけない事があるしぃ・・・」
J 「なにわけわかんないこと言ってるんだ?」
水銀燈 「なにって、あんなに強く抱きしめるから・・・」
J 「あいつらにばれないように押さえつけてただけだが?」
すると水銀燈は彫刻の様に固まった
J 「それより今友達が来てるんだ。部屋から絶対出るなよ」
そう言ってベットから出ようとした瞬間
水銀燈 「に、人間の・・・ばかーー!!!」
怒声とともに水銀燈の右拳が俺のお腹を襲った
そのままくの字になり、倒れる俺
へへ、いいパンチ持ってるじゃねぇか、おっちゃんと一緒に世界狙おうか?
俺が丹下のおっさんを思い浮かべている間に
水銀燈 「もう、知らない!」
そう叫ぶと窓から外へ出て行った
一体なんだってんだよ
その後、服を着替えて一階へ降りるとすでに奴らは準備万端で待っていた
もちろんお茶菓子なども配備済み
岡田 「遅かったな、先に始めてたぞ」
J 「ああ、ちょっとあってな・・・。それで宿題は分担してやるのか?」
秀吉 「ああ、ちょうど4教科あるしな」
としあき 「それじゃ一人一教科づつやればすぐ終わるね
そのあとみんなで遊ぼうよ♪」
岡田 「OK。それでみんなはどれやるんだ?俺は数学だな」
としあき 「わたしは英語かな」
岡田 「お前らは?」
ふっ、つまりお互い得意な教科をやると言うわけですな
俺と秀吉は顔を見合わせてうなづく
秀・J 「「保険体育」」
岡・と 「「ねぇよ」」
その後、仕方なく俺は理科、秀吉は社会をやることになった
としあき 「ねぇ、アルファベットでGの次ってなんだっけ?ど忘れしちゃった」
秀吉 「確か、自慰(G)の次はえっち(H)だろ?そうですよね先生」
J 「うむ、そしてえっち(H)した後に愛(I)が来るんだ」
岡田 「お前らそんな覚え方してたのか・・・」
J・秀 「「もっち」」
そんなことをしゃべりながら時間は過ぎる
1時間後
秀吉 「み、緑のゴリラがやってくる!
気をつけろ!奴らに理屈は通じないぞ!!
は、早くワクチンを持ってくるんだ!
じゃないと俺のワイフが手遅れに!?るあぁぁぁぁーーー!!!」
知恵熱で頭から煙の上がった秀吉がテーブルの上で騒ぎ出した
岡田 「安心しろ、お前はもうとっくに手遅れだ」
としあき 「はははは、馬鹿だなぁ秀吉は
緑のゴリラじゃなくて黄色い猿だよ大佐」
俺の隣ではラリ猿の電波をアホ毛で受信した純夏(としあき)が英語の教科書を
ものすごい速さでめくってる
ちなみに俺は天に召されてる
岡田 「お前らこんなんでよく今まで宿題やってこれたな」
さらに1時間後
J・秀・と 「「「お、終わったぁー・・・」」」
岡田 「おつかれさん・・・ていうか、としあきって成績俺よりよくなかったか?」
すると、としあきは何とか首を岡田の方に向け
としあき 「今日・・・コスプレに体力・・・使い切ったから・・・」
岡田 「アホだな」
と、その時、秀吉が急に立ち上がった
秀吉 「さぁ!!皆の者、難敵は撃破した!
これより全員で遊びつくすぞー!!!」
まるで水を得た魚・・・いや、バナナを得た猿のように元気になる秀吉
岡田 「さっきまで死んでたのに変わり身早いな」
秀吉 「遊びは別腹さ!」
猿顔なのに爽やかな顔をする秀吉。猿顔なのに。
そして俺達はいろんなことを忘れるかのように遊びまくった
さらに数時間後
遊び疲れ休憩しているとき
俺達の近くを何かが通った
他の三人は気づいていないが俺にはハッキリわかった
水銀燈が帰ってきた。
しかも俺達のすぐそばを羽ばたいていった
おそらく冷蔵庫へ行ったのだろう。狙いはヤクルトか
って、冷静に観察してる場合じゃねぇ!
J 「ちょっと失礼」
俺は急ぎ台所へ向った
水銀燈 「♪♪♪」
なぜか上機嫌で冷蔵庫を開けようとする水銀燈
J 「お帰り」
水銀燈 「あら人間、ただいまぁ」
妖しい笑みで微笑み返してくる
J 「なにやってんだ?今友達来てるから目立つ行動は控えろっていっただろ?」
水銀燈 「だって、お客さんが来てるんだったらお茶のひとつでも出さないと失礼でしょう?」
だから目立つなと言っとろうが
J 「いいよ、お茶は俺が持っていくから・・・って言うかお前、お茶淹れれるのか?」
疑いのまなざしを向けると水銀燈は頬を膨らませる
水銀燈 「それくらいできるわよっ!馬鹿にしないでよ」
その割には料理を作ろうとしたとき台所を焼け野原にしたような・・・
J 「まあいいや、それよりお茶は俺が持っていくからお前は部屋で大人しくしてろ」
水銀燈 「わかったわ、それじゃお客さんに挨拶してから」
J 「お前なんで俺が隠れてろって言ったか理解してないだろ・・・」
それを聞いて小首をかしげ、口を×マークにして『?』を飛ばす水銀燈
ははは、めっさ可愛い
数分後
J 「お茶淹れたぞー」
水銀燈が淹れたお茶を持って戻る
秀吉 「サンキュー」
岡田 「おう、悪いな」
としあき 「いいにおいだ〜」
そして三人は出されたお茶を飲む
岡田 「う、うまい」
秀吉 「貴様、いつの間にこんな特技を見につけた」
としあき 「おかわりー」
なに言ってんだこいつら、お茶なんてどれも一緒じゃねぇか
などと思いながらお茶を一口飲んだ俺は一秒前の自分の意見を撤回した
J 「うめぇ」
本当にこれはいつも飲んでるお茶なのか?
それ以前に俺、自分のうちでお茶なんか淹れたことなかったよな
いや、それよりもお茶なんて買ってあったっけ?
その時、俺はようやく気づいた。
この茶葉、あいつが今買ってきたやつなのか
そう思うと、あいつに悪いことしたな
後でお礼言っとかないとな
と、その時ドアの隙間から水銀燈がこっちを覗いているのが見えた
---ブファーッ----
秀吉 「おわっ、きたねぇ!」
吹いたお茶は秀吉の顔面に直撃した
としあき 「顔射♪顔射♪」
ツボに入ったらしく笑い転げるとしあき
J 「わ、わりぃ、変なとこに入っちゃって」
やっぱりお礼言うのやめよ
としあき 「それにしてもいいお茶だね、どこで買ったの?」
J 「ん?あ、ああ、秘密だ」
岡田 「結構高いんじゃないのか?」
J 「そ、そうだね・・・」
ま、まさかそんな高くないよね・・・
俺はこの茶葉を買ったお金がどこから来てるのか想像しないようにした。
数時間後
としあき 「タケルちゃん、今日は楽しかったよ、また遊ぼうね♪」
J 「おう、また今度な」
岡田 「じゃ、また明後日な」
J 「気をつけて帰れよ」
秀吉 「休みの日は計画的にエロるのだぞ。マイサン」
J 「お前も抜くのはほどほどにしとけよ。ダディー」
そう言って3人は帰っていった。
J 「ふー、やっと帰ったか・・・」
実際、遊ぶのは楽しかったんだが、水銀燈が視界にちらついて
緊張しっぱなしだったぜ。
そんなことを考えながらリビングに戻ると
そこにはテーブルを拭く水銀燈の姿
水銀燈 「テーブルの上の物片付けておいたわよ」
見るとすっかりかたされてる食器類
J 「あ、ありがと・・・」
何故こいつは急にこんなことをするんだ?
まさか、何か企みが・・・
すると水銀燈は俺の方に近づいてくる
水銀燈 「終わったわ」
そう言うと羽をパタパタさせている
J 「ああ、ご、ご苦労さん」
何だ、何を仕掛けてくる気だ!?
俺はいつでも対応できるように身構えた
水銀燈 「・・・・・・」
J 「・・・・・・」
沈黙
水銀燈 「それだけ?」
J 「へ?」
ま、まさか金銭の要求ですか銀さん?
仕方なく、俺が断腸の思い出財布を取り出そうとした瞬間
水銀燈 「もういいわよ!」
水銀燈は頬を膨らませるとそっぽを向いてしまった。
?・・・こいつ、まさか・・・
俺はある仮説を立てた。そしてそれを実行してみる
J 「え、偉いな水銀燈。お前は良く気が利くいい子だな」
そう言って俺は水銀燈の頭を優しく撫でてみる
すると水銀燈は目をそらしたまま顔を真っ赤にさせていた
ビンゴだ。こいつ褒めてもらいたかったんだな
そういえば前にテレビで見た事がある
ペットは自分の飼い主にかまってもらいたくて
悪い事か良い事のどちらかをすると・・・。
つまり水銀燈は寂しいんだ
俺が折角の休みに他の奴と遊んでるのが
ほっとかれてるようで嫌だったんだな
そう考えるとさっきまでの奇行&嫌がらせの説明がつく
J 「はぁ・・・」
水銀燈 「なにいきなりため息なんかついてるのよぉ」
自分の頭を撫でてる手にぶら下がって遊びながら聞いてくる水銀燈
J 「あのな水銀燈、俺はお前の事
ほっといたり、のけ者にしたりしないから絶対。」
その瞬間、俺に背を向けてる水銀燈の動きが止まる
水銀燈 「本当?」
その声はすがる様なそして試してるような感じだった
J 「おうよ、『保険体育の鬼』と呼ばれた男に二言はねぇよ」
水銀燈 「それって凄く不安よぉ」
そう言って振り向いた水銀燈は心の底から嬉しそうな笑顔を俺に向けていた
J 「ははっ、それもそうだな」
俺はこいつとの生活がいつまでも続くと思っていた
そして願っていた。
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