真・恋姫†無双 例えばこんな外史 〜王者たる者〜
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天を裂いて

 

流星と共にその者は現る

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「流れ星!流れ星だよ愛紗ちゃん!鈴々ちゃん!」

 

桃色の髪を弾ませはしゃぐ女性。劉備、字を玄徳、真名は桃香という。

 

「お待ちください桃香様!」

 

愛紗と真名で呼ばれたこの女性。関羽、字を雲長。今はまだ世に知られていないが、後に『美髪公』と呼ばれる一騎当千の豪傑である。

 

「お姉ちゃんはせわしないのだ。でもでも、真っ昼間に流れ星なんて管輅の予言通りなのだ!」

 

鈴々。これも彼女の真名である。張飛、字を翼徳。女性と呼ぶにはまだ幼すぎる身長と体格。だが、彼女もまた一騎当千の力を持つ豪傑である。彼女たちがお互いを真名で呼んでいるのを見れば、彼女たちの仲の深さを知れるだろう。

 

「愛紗ちゃんは管輅ちゃんの予言信じてないの?」

「うっ、いや、そういう訳ではありませんが・・・」

 

桃香の不安げな上目遣いに愛紗はまだ勝てたことがない。桃香の潤ませた瞳を見ると、どうしても強く言えなくなってしまうのだ。本人は無自覚だが、これは立派な武器と言えよう。

 

「流れ星、あっちの方に落っこちたのだ。早くしないとどっか行っちゃうかもしれないのだ」

「た、大変!愛紗ちゃんほら速く!」

「だからお待ちくださいと言っているのです!」

 

駈け出そうとする桃香と鈴々の首根っこを?まえる愛紗。

 

「いくら予言通り『天の御使い』が現れたとしても何があるかわかりません。私が先行します。後に着いて来てください。鈴々、桃香様を頼む」

「愛紗もほんとは一番に走り出したいくせに〜」

「愛紗ちゃんずるーい!」

「違います!断じて違います!さぁ速く行きますよ!」

「待つのだ愛紗―!」

「愛紗ちゃーん!鈴々ちゃーん!置いてかないでー!」

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平原にその男性は立っていた。いや、佇んでいた、と言った方がしっくりくる。その男性は佇んでいたのだ。気品、風格、彼はそんな空気を纏っていた。愛紗が先にその男性に気付いた。背を向けているため、顔はわからない。だが、声をかけると、その絵を壊してしまいそうな、そんな雰囲気を感じた。だが、彼こそが求めていた存在なのだ。気力を奮い、いざ声をかける。

 

「あの・・・あなたが天の・・・」

 

男性が振り向く。ただそれだけで愛紗は息を呑んだ。

 

「美しい髪だ」

 

一言。ただ一言聞いただけで確信した。『天の御使い』その名に恥じぬ威厳、風格。彼にはそれが備わっている。

 

「さぞ名のある騎士とお見受けする」

 

愛紗はすでに心を奪われていた。この方こそが生涯通して心から仕えるべき主であると!

 

「あ・・・」

「あなたが天の御使い様ですか!?」

 

桃香。鈴々と共にようやく追い着いての第一声がそれである。桃香らしいと言えるのだが、この時ばかりは愛紗も水を注された気分になった。

 

「無礼者」

 

会話に割り込んで言葉を叩きつける。無礼者、確かにその通りだ。だが彼の言葉に怒気はなく、落ち着いた、穏やかで静かな声だった。

 

「名乗られよ」

 

威は感じるが、怒られた、ではなく、諭された、と感じる。不思議な、水のように染み渡る声だった。

 

「あ、えっとごめんなさい!私は劉備、字は玄徳と言います!」

「ふむ・・・」

 

愛紗、鈴々も続けて名乗る。それをこの男性は黙って聞いていた。

 

「“あざな”か。聞かぬ名だ。奇怪な事にたびたび遇った事はあるが・・・ふむ」

「あの・・・」

「では私の番だな」

 

三人は耳を傾ける。一言一句聞き逃さぬように。

 

「私はアーサー。今はただそれだけを名乗っておこう」

 

『天の御使い』としてのアーサー王の物語が始まる。

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あとがきなるもの

思いつきで書きました。ちょこっと調べたら、ペンドラゴンってアーサー王の苗字じゃないんだってね。初めて知りました。

作者はこういう外史を思いつくだけは思いつくんですが、話を作ることはできないんですよ。要所要所だけ思い浮かんで、あとはさっぱりって感じです。なのでこういう話はほんと要所要所だけ書いて終わりにしようって思ってます。中途半端ですけどね。

 

さてさてこんな外史はどうでしたでしょうか?少しでも楽したのなら幸いです。

説明
今日電車の中で思い浮かんだ話です。
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タグ
真・恋姫†無双

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