超次元ゲイム ネプテューヌmk2 〜Blue Wind〜(~act of treachery~)
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「………………………」

 

教祖室、先程コンパ達がチカを休めている部屋に一同は集まっていた。

だが、室内は緊迫した情勢となっている。

 

「え……えっと……」

 

ベッドの上にちょこんと正座しているチカをアイエフ達が見下ろしていた。だが、その表情はむすっとしている。

 

 

「………えと…………仮病装って……ごめんなさい…………」

 

 

ベッドの上に無造作に敷かれた布団へチカが頭を付け土下座した。

ソニック達が教会に戻った時に最初に見た光景――何故かチカがケイブとグランドに説教を受けていた。グランドから事情を聞くと、どうやらチカは何者かによってさらわれた時にはホントに意識を失ったらしいんだが、ネプギア達がアンダーインヴァースにまで助けに来た時にはすでに意識を取り戻していたらしい。最初は悪ノリで演技していたらしいのだが、段々と事態が深刻化していき種明かしのタイミングが掴めなかったらしい。だが、コンパの看病中にとうとう自首したらしいのだ。

 

「……ッたく、お前のせいでどれだけ迷惑かかってると思ってんだ……」

「あなた、事の重大さに気づいていないの?」

「それでも教祖かよ……」

 

グランドとケイブの説教が段々とエスカレートし始めている。チカが若干涙目だった。

 

「で、でもチカさんは無事だったんだし……結果オーライってことで……!」

「確かに、いつまでも説教してたら次に進めないぜ?今はゲイムキャラの居場所を聞くのが先だろ?」

「まぁ、気づかなかった私達も悪いんだけどね……」

 

ケイブとグランドは顔を見合わせ肩をすくめた。

 

「……確かにな。チカ、ゲイムキャラの居場所をこいつらに教えてやってくれ。それで許してやるよ。」

「あ……『アンダーインヴァース』の奥……私が捕まってたとこより更に奥に居ます……はい……」

「あら、意外とあっさり分かったわね?」

「じゃあ、そうと分かったら早く行こうよ!」

 

日本一が言うと出口に向かって歩いていく。ネプギアも出口へと向かうべく歩き出そうとした時だった。

 

ガシッ……!

 

「ふぇ?」

 

途端に手首を掴まれる。

 

「……けど、その前に一つだけ聞かせて……」

 

振り返ったネプギアはビクッと肩を震わせた。

まるでチカが幽霊のようにゆらー……と髪を垂らしネプギアを見つめていた。

まるで、この世に言い切れぬ程の未練を残し成仏したくともできぬ幽霊のように……

 

「え?え?」

「――……お姉様……お姉様はどうなったのおぉぉぉぉぉぉぉ!?」

「いやぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

そしてまた一つ……ネプギアのトラウマが増えた。

 

 

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「そう、お姉様は無事……よかったわ。」

「えぐ……えぐ……」

 

先程までと違い、強気な表情になったチカの足元でネプギアが泣いていた。

ソニックが歩み寄り抱きかかえるとアイエフ達の所へと戻る。

 

「うぇぇ……ソニックぅ………」

「よしよし……怖かったな……」

 

ネプギアが泣きながらソニックに抱きつく。まるでお化け屋敷入った子供が父親に縋る様な光景であった。

 

「さて、失礼したわ。ゲイムキャラの件だけど、持っていくことを許可するわ。報告も結構よ。」

「そんなあっさりにいいんですの?」

「えぇ、お姉様を救うためだもの。お姉様が帰ってくるまで私達がリーンボックスを守ってみせるわ。そのかわり……一刻も早くお姉様を助け出して。それが条件よ。」

「私達も……そのつもりよ。」

「あ、あの!」

 

突如5pbがアイエフの両手を掴む。

 

「ぼ、ボクも連れて行って!」

「え?」

「ボクも、女神様を助け出すお手伝いがしたいんだ!ボクを大きくしてくれた女神様のために―――」

「ダメよ、5pb。」

 

しかし、5pbはケイブに手を掴まれ言葉を止められる。

 

「あなたはこの後、今年最大の勝負にでるのよ?」

「そ、それは分かってる……けど……!」

「最大の勝負?」

 

アイエフが首を傾げる。

 

「5pbはこれからプロの歌手になるための最終審査……『ファイナル・ディーヴァ』に出場予定なの。5pbの夢を実現するためにも、この審査は欠かせないわ。」

「だったら……!」

 

泣き止んだネプギアが立ち上がる。

 

「ここは私達に任せてください!ベールさんは私達が必ず救ってみせます!」

「……………!」

 

5pbは不満げに顔を背けてしまった。

 

「この審査は俺とケイブが警備員を務めることになってるからな。誰にも邪魔はさせねぇ。」

「さぁ、早く行って。お姉様―――ベールをよろしくお願いするわ。」

 

チカが頭を下げた。

 

「…………行くぜ、『カオス・コントロール』!」

 

ネプギア達も会釈するとソニックがカオスエメラルドを振り上げ、教会から消え去った。

 

「―――さ、行くわよ5pb。」

「……………………………」

 

ケイブから愛用の青いギターを無言で受け取ると、5pb達も部屋を後にした。

 

 

 

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場所は再び『アンダーインヴァース』。

 

一同は先程チカが捕まっていた場所より奥へと足を踏み入れ始めていた。

 

 

 

それにしても……とアイエフが周りを見回す。

 

「ほんっとに、なんで溶岩がこんな近くにあるのに平気なのかしらね?」

「RZKだっけ?やっぱそれの力なんじゃないの?」

「それにしても……どうせなら触っても大丈夫なようにして欲しいですの。がすとにかかればそんな感じの機械三日あれば作れるですの。」

「じゃ、じゃあがすとさん、今度一緒に作りませんか?」

「いいですの。その前にリーンボックスに許可取るですの。」

「な、なんか話がどんどん進んでるですぅ……」

 

そう言えば……ネプギアが口を開く。

 

「5pbさん……合格できるかな?」

「あいつの頑張り次第さ。あいつは自分の作り出した道を歩んでいる。その先に何が見えるかはあいつ次第さ。」

 

頭に両手を置いた先頭を歩いていたソニックが返答した。

 

「人生ってのは『作りかけの道』さ。それは人によっては長かったり短かったり……険しかったり楽だったりする。けどな、どんな道であれ諦めずに走って……決して立ち止まらず走り続ければ必ず『何か』が見えてくるぜ。」

「『何か』?」

「答えは人によって違うさ。俺にもその何かは分からないぜ?けどな、俺はその答えを見つけるまでは走るのを止めないさ。俺のためにな。」

 

何か……?

 

歩きながらネプギアが考え込む。

 

トッ――

 

急に立ち止まったソニックにネプギアがぶつかる。

 

「ソニック……?」

「……あれ、ゲイムキャラじゃないか?」

 

ソニックが徐に人差し指を上げた。一同がその指先に目をやる。20m程離れた場所にある岩に埋め込まれた『何か』がキラッと光った。

 

「あれって……!」

 

ネプギア達が駆け寄る。案の定ゲイムキャラのディスクだった。

 

「ん…………あなた達は……?」

 

緑色に光るゲイムキャラのディスクから同じ緑色の光が飛び出す。

 

「リーンボックスのゲイムキャラさんですか?」

「はい、そうです。」

「私はプラネテューヌの女神候補生ネプギアです!女神達を救出すべくゲイムキャラさんの力をお借りしに来ました。どうか力を貸して頂けませんか?」

「…………力になりたいのは山々ですが、私はリーンボックスを女神の代わりに――」

「チカからは許可を得てるぜ?それでもダメか?」

「………………………………」

 

ゲイムキャラは急に黙り込んだ。

 

お願い……!

 

とくん、とくんと心臓が小さく鳴っているのをネプギアは感じる。

 

「………………分かりました。」

「…………本当ですか!?」

「えぇ、あなたから邪気を感じない。あなたは心の底から女神を愛している。それを感じました。力をお貸ししましょう。」

 

光がそう告げるとディスクの中へと戻っていく。

ネプギアはディスクを岩から取るとポケットへとしまいこんだ。

 

「……これでゲイムキャラが全部揃いました!」

「これでねぷねぷを助けに行けるですね!」

「year!プラネテューヌに戻ろうぜ!」

 

だが、アイエフは眉間に皺を寄せていた。

 

――なんだか、今回は上手く行き過ぎてる気が……?

 

今までなら、ゲイムキャラに会うと必ずあの下っ端……またはあのハリネズミが襲撃に来たのに対して今回に至っては何もないなんて……?

 

「アイエフ?どうしたの?」

「……ん、なんでもないわ。戻りましょう。」

 

きっと考え過ぎね……そう開き直ったアイエフに笑顔が戻る。

 

「でも……がすとは5pbの様子が気になるですの。応援には行かないですの?」

「あ……そう言えば5pbさん……」

 

今頃最終審査だっけ……?

 

「……そうですね、少し様子を見に行った方がいいかもしれないです。」

「All Right!カオスコントロールで一気に向かうぜ!」

 

一同がカオス・コントロールでワープを試みた時だった。

 

ザンッ!

 

『ッ!?』

 

先程までゲイムキャラが埋め込まれていた岩に何かが突き刺さる。危険を察した一同はバックステップし岩から離れた。

ある程度離れた場所まで行くと再びあの岩に視線を向けた。ゴツゴツした岩に斜めになるように不気味な赤いオーラを纏った剣が突き刺さっている。

 

「へぇ……流石プラネテューヌの女神って言うだけある……て言うべきかな?」

「誰ですかッ!?」

 

ネプギアが叫び、上空を見上げる。

 

ネプギア――いや、一同は言葉を失った。

 

 

 

スッ――

 

その姿は岩に降り立つと剣を引き抜いた。

 

「…………初めは弱そうに見えたけど、人を見かけで判断しちゃいけないってこういう事を言うんだよね。」

 

その姿は…………『女神』

 

「お前……女神か?」

「………………………………………」

 

女神の姿をした彼女はピクっと片眉を吊り上げた。

雪のように白い肌、紫色の瞳。若干童顔寄りではあるが、誰もが美しいと言うであろう容姿を有している。ほぼ全裸に近い程の露出度の高い白い戦闘服を身に纏っている。緑色の長髪を靡かせ、ネプギア達を見下ろしていた。

彼女の一番の特徴は胸の大きさだった。顔の幼さから判断し恐らくネプギアとあまり年が変わらないように見えるが、未だ成長中のネプギアの胸とは比べ物にならないほどの大きさ。外見から判断し恐らくFサイズだろう。

 

「―――『グリーン・シスター』……なんて懐かしい名前を長い間使っていたわ……」

 

「グリーン………シスター………?」

 

ていうことは……リーンボックスの女神候補生!?

 

ネプギアはそう聞き返そうとしたが……

 

「けど、今は違う。私は……犯罪組織の特命戦闘部隊隊長『レーラ』よ。」

 

彼女――レーラは口端を吊り上げた。

 

 

 

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「レーラ……ちゃん……?」

 

突然過ぎて、ネプギアには何が何だかさっぱりだった。

 

「あなた……リーンボックスの女神候補生なの?」

「……元、よ。今は違うわ。今は犯罪神マジェコンヌ様に仕える一戦闘部員よ。」

「ど、どういうこと?なんで女神候補生が犯罪組織なんかに!?」

「…………単純よ。」

 

レーラが天を仰いだ。

 

「私はね……この世界、ゲイムギョウ界が嫌いになったの。女神なんて所詮脆弱よ。シェアなんてものに頼らなきゃ国を治めることだってできない。今回の事件もそうよ。『マジェコン』って新たなつっかえ棒が入り込んできたが為にいとも簡単に我らが犯罪組織に女神は負けた。ゲイムギョウ界の住民だってそうよ。そんな女神に普段は頼りっぱなしでいなくなったらいなくなったで『マジェコン』という新たな快楽に走っていくような見かけ上だけで女神を信仰する所詮ただの薄情者の集まりに過ぎないわ。そんな世界をどうやって好きになれというの?だから、こんな廃れた世界を壊すためにもあなたの持ってるゲイムキャラを壊す必要があるの。だから、早くそれを渡しなさい。」

「―――…………」

「聞こえてるんでしょ?無視するなら手を引きちぎってでもディスクを奪い取るわ。」

「…………どうして………」

「え?」

 

「――――どうして、そんなことを言うのッ!?」

 

ネプギアの叫びに周りの仲間がビクッ、と肩を震わせた。

 

「はぁ?話聞いてなかったの?」

「聞いてたよ……けど、レーラちゃん……どうしてそんなにゲイムギョウ界を悲観的に見るの?確かに女神……お姉ちゃん達と私は犯罪組織に負けた……それに沢山の人がマジェコンに走ったかもしれない――――…………けど、それでも世界の人達を愛しているお姉ちゃん達が頑張った結果なんだよ!?」

「でも、結局は負けたじゃない。所詮女神なんて脆いのよ。」

「それでも、お姉ちゃん達はみんなが大好きだったから……ベールさんだって、絶対レーラちゃんが大好きだったから……それなのに、どうして女神やゲイムギョウ界のみんなの悪口を言うの!?」

「……………………………………………」

 

バッ!

 

パープルシスターが言い放つとレーラが赤いオーラを纏う剣を片手にショットガンから放たれた弾丸の如く飛来してくる。それと同時にネプギアが女神化し、パープルシスターへと姿を変える。

 

ガッ!

 

レーラの剣とM.P.B.Lがぶつかり、金属音が響く。

 

「くッ……!」

 

手にビリビリと伝わってくる振動が痛く、パープルシスターは歯を食いしばり片目を閉じる。

 

「……私のために?笑わせないで。」

 

余裕の笑みを浮かべたレーラが嘲笑し、パープルシスターの目元に口を運ぶ。

そして、告げた。

 

「――あんな弱い人、女神でも私のお姉ちゃんでもなんでもないわ。」

「ッ!!」

 

バッ!

 

その言葉にエンジンが入り、パープルシスターはM.P.B.Lを力の限り振りレーラを弾き飛ばす。

 

「ハァ……ハァ……」

「ネプギア……」

 

アイエフがレーラに警戒しつつその名を呼ぶ。

 

「―――お願いします、私一人にやらせてください。」

「…………本気か?」

「私がやらなくちゃいけないんです。女神として…………」

 

仲間達は何も言わなかった。

今のネプギアに何を言っても無駄だ、と察したのか目で合図するとその場を離れ岩陰に隠れる。

 

「……………………」

 

ソニックはその場に留まっていたが、数秒間パープルシスターの背中を見つめると跳躍しその場を離れた。

 

「―――いいわ、そっちがその気なら相手をしてあげる。まぁ、そっちの仲間はあなたを置いて全員逃げていったみたいだけど。」

「……逃げたんじゃないよ。みんな、私を信じて……私に全てを託してくれたんだよ。」

「………ふん、まぁいいわ。私の鬼刀・柳生―――いえ、レッドバーニングソウルの力を見せてあげる。」

「…………!?」

 

どこかで聞いたことのある名前だった。だが、聞き返す間もなくレーラがレーラが剣を掲げる。

 

「――剣にやどいし『憎悪に囚われし堕天使』よ……その憎悪――爛?(バイル)を解き放ち我に力を与えよ……!」

 

その刹那、溶岩がレーラを取り巻き始める。

 

「レーラちゃん!」

 

パープルシスターの叫びも虚しく、溶岩が瞬く間にレーラを飲み込むとまるで生き物の様に溶岩がモゾモゾ動き出す。

 

カッ!

 

溶岩が中に浮かび球体に姿を落ち着かせると眩い光を発した。

 

「…………………ッ……!」

 

目を開いたパープルシスターが目にしたのは―――逆らえるはずのない運命に無理矢理逆らい道を踏み間違えた『堕天使』。

 

「――女神なんていらない。いや、こんな世界はいらない。」

 

白から赤へと変わった長髪と戦闘服。美しく螺旋を描くように地肌がさらけ出されている。背中からはまるでマグマのような色をした蝶を彷彿させる羽。

まさに、『堕天使』に相応しい姿である。

 

「我らが犯罪組織によって破壊されるのがこの世界の最も相応しい運命なのよッ!!」

 

レーラの瞳は最早女神の物ではない。

 

―――大切な何かを失ってしまった、悲しき堕天使の瞳であった……

 

「―――違うよ。」

「?」

「……レーラちゃん、私は絶対にそうは思わないよ。レーラちゃんはそう思ってるかもしれないけど、少なくともここにいる皆は絶対にそう思っていない。確かに、沢山の人が間違った道を歩んだかもしれないよ。でも、それでも私達女神を信じ続けてくれてる人もいる。レーラちゃんだって、リーンボックスの人達に絶対必要とされてるはずなんだよ!?」

 

パープルシスターが言い放つとレーラははぁ、と息を吐く。

 

「……どうやら、何を言っても無駄みたいだね。まぁ、どの道私はあなたからディスクを奪う必要があったわ。」

 

レーラが剣を構える。

 

「――覚悟しなさい。」

「……どうしても戦わなくちゃいけないの?」

 

キッ、とレーラが表情を一変させると一気にパープルシスターに肉薄する。

 

ガッ!

 

再び剣とM.P.B.Lがぶつかる。

 

「いつまで甘えたこと言ってるの?どんなに綺麗事あげたって所詮世界なんて力のない人が何を言ったって受け入れてもらえないの。『世界って物』は所詮力のある者にしかついてこないのよ!」

 

レーラがそのまま強引に剣を振りパープルシスターを空中に投げ飛ばす。

 

シャッ!

 

吹き飛ばされたパープルシスターの眼前に再びレーラが姿を現す。

 

「く……ッ!」

 

パープルシスターも負けじと態勢が整わないままM.P.B.Lを振る。

 

 

 

 

 

 

 

―――そう、『戦いは、既に始まっていたのだ……』

 

説明
今回より、ネプの世界側のオリキャラ登場です。
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ネプテューヌ 超次元ゲイムネプテューヌ ソニック ネプギア クロスオーバー 

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