IS x アギト 目覚める魂 34: 試運転と戦い 2 |
「すごーい!」
「織斑君てあんなに強いんだー!」
「コーチしてもらいたいなー!」
「野外に出たらまるで獣ね。」
「だが、野生の勘と言う物はあながち侮れる物じゃない。野生のスピード、パワー、瞬発力。獣は人間が持っている物を持っていない故に、強いと俺は思う。」
楯無の言葉に秋斗はニヤリと笑う。
「人間が持っていて獣には無い物?理性かしら?」
「そうだ。戦いに於いて情、遠慮などは無用。倒してからでも理性をオンにすれば良い。戦いとは輝かしい物じゃない。陰湿で、重くて、苦しい物だ。」
「まるで、戦争から戻った軍人の言葉ね。」
「俺はいつも戦ってるからな。お前、人殺した事あるだろう?」
「え?」
「臭うんだよ。血が、な。」
秋斗の表情は曇る。観戦中に一条から連絡が来たのだ。
『氷川が・・・・氷川がアンノウンにやられた!』
送られて来た映像記録が見せたのは、斧と楯を持ったサソリの様な紫色のアンノウン、スコーピオンロード レイウルス・アクティア、そしてライオンの様な姿をした地のエルだった。
「あの尻尾か・・・それに、こいつは・・・・上級タイプ!」
氷川のレントゲン写真も添付されていたので、見ると心臓付近に金属の様な小さな楕円形の物が視認出来た。
(小沢さんが言っていた全身凍傷による壊死って・・・・コイツが理由か・・・!!)
早くそのアンノウンを探し出して始末しなければ、氷川が殺されてしまう。
(いや、待てよ・・・・氷川さんにはアギトの力は宿っていない筈なのに・・・・他のアギト達を誘き出す為の餌か・・・?だが、奴らはそこまで回りくどい事はしない筈なのに・・・・うーむ・・・・)
そして、再び試合終了のブザーが鳴る。見ると、一夏が右肩に雪片を乗せて仁王立ちしていた。後ろでは鈴音がISを解除した状態で倒れている。これで代表候補の四人抜きである。
「何なのよ、あの能力はぁ?!!!」
「まあ、確かにワンオフが幾つもあるのはズルいだろうな。残りは一人か。」
「二人よ。私もやるの、忘れないでくれる?」
「まあ、一夏が勝つかどうかは・・・・運次第だな。次は簪か。完成したばかりの専用機の力、俺も興味がある。」
鈴音がピットに戻り、簪が打鉄弐式を装着してカタパルトで射出された。
「ほう・・・・荷電粒子砲と薙刀・・・それに・・・・ワーオ、えげつないな・・・・四十八発のミサイルか。」
そして試合開始から五分。突如打鉄の右足のスラスターが爆発してバランスが崩れた。
「やばい!」
一夏はフィーラーを伸ばして腕を絡めとり、自分の方に引き寄せてゆっくりと地面に降りた。
「ふう・・・・大丈夫か?」
(グスッ)
だが、簪は泣いていた。
「おい・・・?」
「やっぱり・・・・駄目だったよ・・・・・全然・・・・一夏のデータ貰っても・・・駄目だった・・・・!!」
一夏の胸を乱暴に叩くが、一夏は何も言わなかった。
「気にするなよ。専用機を組み上げる事自体が大変なんだ。失敗がナンボのモンだ?今度は俺も手伝うから。だから、泣くな。」
頭を軽く撫でてやるとピットまで運んだ。
「さてと・・・・」
そして、爆発音。アリーナのバリアが破られ、地面に何かが降り立った。
「紫色の蠍・・・!お前か・・・!(来い、マシントルネイダー!)」
その砂煙の中に紛れ込み、秋斗と一夏は変身した。
「フン!(一夏、お前は簪をこの場から遠ざけろ。その間足止めは俺が。)」
「ハァッ!(はい!)」
一夏は簪を抱きかかえるとピットに連れ帰り、身振り手振りで逃げる様に指示する。そして再びスコーピオンロードと戦っているアギトに加勢する。
「何ですの、今度は!?」
「あれ・・・・あの時私達を助けてくれた・・・・」
「ああ。見間違える筈が無い。」
「アギト・・・・!!」
「兎に角、今は生徒の避難を急がせよう。僕達がこの場にいても邪魔になるだけだし。」
代表候補達は全員観客席の方に急いだ。
「フッ、ハァッ!」
「ッルァア!」
攻撃を繰り返すギルスとアギト。だがスコーピオンロードの楯で全て防がれてしまう。楯に触れるどころか、触れる一歩手前で手が止まってしまうのだ。
(ここは押し切る!)
両手をクロスさせ、思い切り広げた。瞬時に目と体の色が変わり、バスターフレアがメタファクターの中から出現する。それを思い切り振り被って楯に叩き付ける。
「ウゥオオオオオオオオオオオ!!!!」
だが幾ら力を籠めた所で楯に触れるだけで破壊するには至らない。
『シュウゥゥ・・・・』
頭についた毒針を伸ばしてギルスの首筋に突き刺そうとするが、届く前にそれがバッサリと切り落とされた。見ると、アギトがフレイムフォームに変わっており、フレイムセイバーを握っていた。一旦距離を取ると、スコーピオンロードの後ろからマシントルネイダーが疾走、二人を乗せて再びスコーピオンロードに近付いた。飛び降りながらアギトはセイバーブレイクで楯を破壊、二撃目はギルスのブリザードフォールで真っ二つに切り裂かれた。アンノウンが爆発すると、その爆発の中にまぎれて変身を解除した。
「どうにか、なったな・・・」
「はい・・・でも、変身して、姿を見られずにまた解くのが段々と大変になって来ました。」
「いや、もう見られてる。」
「え?」
「代表候補達全員に、な。勿論考えがあっての事だ。これ以上詮索される前に俺達がどう言う事をして来たのかをしっかりと説明した上で奴らがどうするかを決めさせる。考え難いが、もし委員会に連絡するつもりならその時は・・・・」
「考えがあっての事、なんですよね。」
「ああ。すまないな。」
「別に、良いっすよ。」
だが、突如体に異変が起こった。
ドクンッ!
「アグッ!?」
まるで心臓を鷲掴みにされた様な激痛に胸を押さえた。
ビキキッ、ビキッ、バキッ、ボキキッ!
「あ、グァッ!?うぐ・・・くっ・・・何、だ・・・・これ・・・!?(もしかして・・・アギトの力が、暴走してるの、か!?)グゥアアアアアアアアアアアアア!!」
突如体を襲った余りの痛みに一夏は身をよじり始めた。体中が熱くなったり冷たくなる。激しい目眩と頭痛で地面に倒れた。体中の骨が軋み、筋肉が過度な収縮を始めた。口から吐瀉物がザブザブと溢れ出し、更に目、耳、鼻、口から鮮血が溢れ、土を汚す。体を押さえ、空に向かって吠えた。水から上がった魚の様に体が断続的に激しい痙攣を起こし始め、白目を剥いて意識を失った。
説明 | ||
はい、三十四話です。今回は一夏が・・・・ | ||
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コメント | ||
そうです。そこは修正しましたので、分かり辛かったのならすいません。(i-pod男) 気を失ったのって一夏なんですか?よくわかりません(竜羽) |
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