女の子って?
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「はぁ〜」

 

どこまでも続く晴天の下、高くそびえる城壁の上でひとりため息をつく。

 

最近、胸の中がモヤモヤとしていて自分の仕事がまったく手につかった。

 

そのモヤモヤの原因はわかっていた。

 

「・・・・・・一刀」

 

それは、自分をひとりのかわいい女の子と言ってくれた人。

 

気づけば、彼のことばかりを考えていた。

 

「うち、どうしたんやろ・・・」

 

彼は自分に女の子として接してくれた。・・・・・・・・とてもうれしかった。

 

でも、最近・・・・・ふと思ってしまう。・・・・・・・・自分は本当に女らしいのかと。

 

一刀がほかの子と、話をしているところを、見るとなおさらそう思ってしまう。

 

一刀は本当に自分を女として、見ていてくれてるのかと。

 

彼の言葉を信じていないわけではない。ただ自分に自信が持てなかった。

 

「・・・そりゃー、一刀が接してきてドキドキしたときは、あったけど」

 

「こんな、気持ちは初めてや」

 

考えても答えは出ず、行き場のない気持ちばかりが溢れ出してくる。

 

「何なんやろ、この気持ち?」

 

やきもち?

 

「ちゃう!ちゃう!そんなんやない!」

 

「一刀は・・・・・・ちゃんと、うちのこと見ててくれるもん」

 

「はぁ〜」

 

「あーもー、どないすればええねん!」

 

頭の中がごちゃごちゃして、どうしようもなくなった。

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「お、やっぱり姉さんやったか」

 

「こんにちは、霞さま」

 

「こんにちは、なのー」

 

「おお、凪に真桜、沙和やないか。どないしたん」

 

「はい、先ほど警邏から帰ってきたところ、城壁の上に霞さまがいたので」

 

「姉さん、どないしたねん遠くから見てもわかるくらい落ち込んで」

 

「霞さま、元気ないのー」

 

「あぁ、ちょっと考え事しててな」

 

「嘘や、あんなに落ち込んでたやんか、なんか悩みでもあるんやろ」

 

「霞さま、もしそうであれば我らに相談してくれませんか?力になれることが、あるかもしれません」

 

「そうなのー。私たちでできることがあれば、なんでも協力しちゃうのー」

 

「三人と、ありがとうな」

 

そうやな、ひとりでうじうじ考えるよりは、ええかもな。

 

 

 

「実はな、うち悩み事があるねん」

 

「まぁ、そら〜わかるわ。あんだけ落ち込んでたらなぁ」

 

「うんうん、それでどんな悩み事なんのー?」

 

「それがな・・・・・・・一刀のことやねん」

 

「隊長のこと・・・・・・はっ!まさか隊長に・・・・・・・す、すいません、そっち方向のことの相談にはちょっと・・・・・」

 

「・・・・・・・まったく、さすがは魏の種馬やな隊長も」

 

「女たらしなのー」

 

「いや、そういうんやなくてやな・・・・・」

 

「ち、違うんですか!」

 

「凪、先走りすぎやて」

 

「凪ちゃん、スケベなのー」

 

「さ、沙和、私は決してそのようなことは!ってお前たちも言ってたじゃないか!」

 

「まあ、ほら話が進まないやろ。そんで隊長何に悩みがあるねん」

 

「その・・・・・な、一刀がうちのこと、どう思っとってくれてるのかが、気になっとんねん。一刀はうちのこと、魅力のある女の子って言ってくれた。でもうちはぜんぜん女らしいことできへんし、格好だってこんなんやし、一刀はああ言っとるけどうちは正直言って自身がないねん」

 

「あぁ〜、つまり姉さんは女の子らしくしたいっちゅうことやな」

 

「うん・・・・・・まぁ、そういうことになるなぁ」

 

「んー、でも女らしくかー。うちが思うに姉さんは十分女らしいと思うで?」

 

「そう言うけど、うちは女らしいってことを実感したいねん」

 

「実感したいと言っても、言葉以外で伝えるというのは難しいですね」

 

「やろ?だから困っとんねん」

 

「んー、どうすればええんやろか?」

 

「えー、そんなの簡単なのー」

 

「え?沙和なんかいい考えでもあるんか?」

 

「うん、霞さまにカワイイ服を着てもらえばいいんだよー」

 

「あー、なるほどそうすれば自分が女らしいってこと実感してもらえるな」

 

「え、で、でも、うちこの袴以外着たことなくて、その・・・・・・恥ずかしいわ」

 

「なに言ってるねん、姉さん!だからこそ着るんやないか」

 

「そうですよ、霞さまならきっと似合います」

 

「な、凪まで」

 

「決まりやな。じゃあ沙和、姉さんのために仕立てしてや」

 

「わかったのー。それじゃ、霞さまのために張り切っちゃうのー!」

 

「え?ちょっ、まてってー」

 

こうして四人は城壁をあとにした。

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「う〜ん、これでもないのー」

 

それからすぐに、沙和の部屋で霞の服選びが始まった。

 

「お、これなんてええんとちゃう」

 

「う、真桜・・・・・それは無い」

 

「えーー、なんで!いいやんメッチャ、かわええやん!なぁ沙和?」

 

「真桜ちゃん・・・・・さすがにそれは無いの」

 

「なぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「なぁ、どこが・・・・いけんの?うちの・・・・趣味が、悪いか?」

 

「あ、これなんていいのー」

 

「沙和ーーーーーーーーーーー!」

 

「うん、そうだな」

 

「凪までーーーーーーーーーー!」

 

いじけた真桜はほっといて服選びは続いた。

 

「な、こんな短いの穿かなあかんの?」

 

沙和が手にしていたのは、かなり短めのスカート。

 

「そうなのー。あ、あとはこれと、これと、これで・・・・・・。よーし決まったの早速、霞さまに着てもらうのー」

 

そう言って、沙和が服を渡してくれる。

 

「沙和、本当に着なあかん?」

 

「今更なに言ってるのー。ほら手伝ってあげるのー」

 

「わ、わかった、わかった着るて」

 

そうして霞は、しぶしぶ選ばれた服に着替えた。

 

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「な、なんや、やっぱ、うち・・・・・・この服似合ってへんか?」

 

「いや、そうやなくて・・・・・・なぁ、沙和?」

 

「う、うん、そうなの・・・・・・ねえ、真桜ちゃん」

 

「じゃあ、なんか 言うてなぁ!」

 

「似合いすぎ・・・・・・・です」

 

「えっ?」

 

「似合いすぎているんです。霞さま」

 

「正直、びっくりなのー」

 

「まさか、ここまでとはなぁ」

 

「二人と、それはどういう意味や!」

 

「ま、まあ、すごく似合ってるのー」

 

「うんうん、あっ!そうや。いいこと思いついたで」

 

「ん?なんだ真桜、いいことって?」

 

「このかわいい姉さんの格好を隊長に見せたるや」

 

「なっ!真桜!」

 

「あー、それいい考えなのー」

 

「そうだな、きっと隊長もびっくりするだろう」

 

「よーし、そうと決まったら、凪、沙和、隊長呼びにいくで」

 

「ちょっ!まて一刀にこんな格好、見られたら恥ずかしいくて死んでしまうて!」

 

「いいやん、元はと言えば隊長が姉さんのこと本気で、女らしいか思っているかで悩んでたんやろ?なら丁度いい機会やん」

 

「そうなの!こんなにカワイイ霞さまを見たら、隊長もイチコロなのー」

 

「霞さま、もっと自信を持ってください」

 

「うー、・・・・・・・わかった」

 

「よし、じゃあ隊長呼びにいくで。姉さんは部屋で待っとって」

 

そう言うと、三人を出て行った。

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「ふー、こんなもんか」

 

華林に言われていた報告書がようやく完成した。

 

「これで、本日の仕事は全部終わったな」

 

コンコン

 

「はーい、どうぞー。開いてるよ」

 

「よー、隊長」

 

「なんだ、凪たちか。どうしたんだ?」

 

「なあ隊長、今、暇?」

 

「ああ、今、丁度仕事が終わったところだ。何か用なのか?」

 

「はい、今すぐ、霞さまの部屋に行ってください」

 

「え?霞の?なんで?」

 

「何でもいいから早くいくのー。ほら、駆け足ー」

 

「な、急になんだよ」

 

そう言っている間に俺は部屋の外に放り出された。いったい何なんだ?

 

「あー、隊長くれぐれも気引き締めてな。あれは相当やばいで」

 

「がんばってなのー」

 

「いってらっしゃい、隊長」

 

こうして、俺は霞の部屋に行くことになった。

 

 

 

うーん、いったい何があるのだろう?

 

気を引き締めろって・・・・・・・・・。まさか俺、なにか仕出かした?いやいや、まったく思い当たる節がないぞ。

 

くそ、どこで地雷、踏んだんだ、俺!

 

霞が相当、やばいってことは俺の命に関わるぞ!

 

そんなことを思っているうちに霞の部屋についてしまった。

 

「こうなったら、覚悟を決めるしかない」

 

二・三度深呼吸をすると俺は意を決して扉を開けた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・へ?」

 

部屋に入った瞬間、俺の思考は止まった。

 

部屋にいたのは霞だった。

 

そう霞なのだが、俺の目の前にいる霞は袴姿の霞ではなかった。

 

「一刀・・・・・・・・入って」

 

「あ、ああ」

 

その言葉と同時に俺は思考回路が再起動した。

 

しばらく無言の空気が流れた。

 

いったいどうしてしまったんだ!い、いやそれは、この際どうでもいい。なぜなら今、目の前にいる霞がメチャクチャかわいいからだ。

 

た、確かに、これは相当やばい!ズッキューン!とか効果音が流れてきそうだ。

 

「なぁ」

 

「ひゃっ、はい?」

 

思わず声が裏返ってしまった。

 

「一刀・・・・・・どう・・・・かな、この格好。やっぱ・・・・・似合ってへん?」

 

「そ、そんなことないよ!メチャクチャかわいいって!」

 

「そう・・・か?よかった」

 

「うち、ずっとな、一刀に女の子として見てもらいたかっねん。一刀は女の子だ!って言ってくれてたけど、自分はそのことに自信が持てなかった。それで凪たちに相談してこの服選んでもらったんやで。」

 

「正直言うて不安だったけど凪たちが一刀に見てもらえば、絶対喜んでもらえるって言われたんや」

 

霞の言葉が胸にじんわりと、しみ込んでくるような感じだった。

 

「凪たちの言う通りだよ」

 

「あっ!」

 

「俺、今すごくうれしいよ」

 

俺は霞を思いっきり抱きしめた。

 

「な、ちょっ、一刀・・・・・・く、苦しいわ」

 

「霞がいけないんだぞ?こんなにかわいい格好して、かわいいことばっかり言うから」

 

そう言って俺は霞にキスした。

 

「んっ!・・・・・・一刀、うちも・・・・うれしい。」

 

「霞、これで信じられた?自分がすごくかわいくて、女の子らしいってこと」

 

「うん、一刀の・・・・・・・言う通りやったわ」

 

「一刀・・・・大好きやで!」

 

「俺もだよ、霞」

 

 

 

霞は女の子だ。そんなことずっと前からわかっていたつもりなのに。俺は今日、霞の本当の『女の子』知ることができた気がした。

霞が普通の女の子としていられる日が来ますように。

俺は心の中でそう願った。

説明
真・恋姫無双の霞のアフターストーリーです。初めての投稿なのでたくさんの人に読んでもらえたらうれしいです。
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コメント
コレは間違いでは?という部分を見つけたので投稿(2Pの霞の台詞〜自身がないねん→自信がないねん)では?(水上桜花)
悩んでいる霞に萌えました!こういう恋愛に疎いところが大好きです!(Hikaru)
MiTi様ご感想ありがとうございます。自分も魏のヒロインでは凪と霞が一番好きです!(ユウ)
自分の中で魏のヒロインランキングは1:凪・霞 3:天和 となってます。ので、このSS読めてよかったです!(MiTi)
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