武装神姫 生まれ来る私へ 10
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 ティールームに入ると建機型神姫のオーナーが入口近くのテーブルにつき、その上に建機型神姫をおろしていた。こちらに気がついたのか私たちに大きく手を振った。オーナーは訝るようにゆっくりとテーブルに近づき、声をかけた。

 「あの」

 「立ち話もなんだから、座んなさいよ。その子もテーブルに降ろしたら」

 オーナーは渋々といった感じで席につくと、私を取り出しテーブルの上で胡座をかいている建機型神姫の前に置いた。

 「アンタも座んなよ」建機型神姫に言われ、私も胡座をかいた。

 「あたしはミツビシ・コマツ。この子は政、よろしくね」

 「おう、ステゴロの政だ。よろしく頼むぜ。」建機型神姫がオーナーに向かって手を振った。

 「政、ラビィ経由でオーナーカード送っといて。」

 「あいよ、親方。ラビィ、受けてくんな」言うが早いかオーナーカードが送られてきた。受け取ったオーナーカードをオーナーのPDAに転送し、その旨を伝えた。

 「こちらからも送りますか」荷物からPDAを取り出しているオーナーに確認すると、オーナーは無言で頷いた。建機型神姫に伝え、こちらのオーナーカードを送った。

 「酉 三歩(トリ サンボ)か。よろしくね。」

 「で、ミツビシさん」

 「コマツでいいわよ。本名じゃないんだし。あなたもそうでしょ、酉さん」

 「コマツさん、ご厚意はありがたいんですが、今日はここがどんなところか様子を見に来たのでゆっくりと見て回りたいんですが」

 「まあ、そう言わずに。」コマツはPDAに目を落とした。「あ、CSCこうなってるんだ。ラビィちゃん、落ち着いてるわけだ。」

 「他の兎型は違うんですか」オーナーは怪訝な顔をして私に目を移した。私に問われてもわからない。他の兎型に会った事はないのだ。落ち着いている、と言われてもそう意識したことはない。他の兎型は違うのだろうか。

 「もうちょっと攻撃的かな。ヴァルカン・ラボの神姫はAIの基本性格が軍隊調だし」

 「そういった感じはあまりしないな。必要なこと以外あまり喋らないけど軍人的ではないな」

 「CSCの構成ね。あと、オーナーとのやり取り。それで神姫のAIの性格は変わっていくから」

 「CSCはついてたのを入れただけなんだけど」

 「ブラッドストーンが三つ付いてたの、他には。」コマツは驚いたようだった。「中古で買ったんだろうけど、普通は基本CSCが一つづつ付いてるはずよ」

 「いや、これだけだった。神姫ショップじゃなくて近所のリサイクルで買ったからかなぁ」

 「結構な博打ね。ブラッドストーンは命中と回避が上がるけど、上がらないこともあるし、他が下がることもあるのよ。兎型は命中精度が良くて回避性能もそこそこだからブラッドストーン三つで命中、回避性能を大幅に上げるのは悪くないわ。回避型相手でも当てていけるし。うちのは当たらないし、避けられないもの」

 「親方ァ、そう言うなよ。イイのが入ればアタイだって結構イケるんだぜ」不満そうに建機型神姫が口を挟んだ。」

 「当たればね」険のある目で見下ろした。

 「あと、命中回避が高い神姫は洞察力があって冷静な子が多いみたいなの。この子、そんな感じだしCSC当たり引いたかもね」

 「そういうモンなのか」オーナーは小首を傾げた。

 「そういうモンなの。バトルロンド始めるんならそれくらいは調べといたほうがいいわよ。」

 「バトルロンドやるつもりなかったからね。そういうの、全然調べなかった。」

 「じゃ、なんでこの子買ったの。」

 「PDAの代わりに使うのも面白いかと思って。」

 「それなら、武装じゃなくて普通の神姫買えばいいじゃない」

 「たまたま入ったリサイクルショップで安く出てたモンでね」

 「普段はこの子どうしてるの」

 「リモコン、かな」

 コマツはため息をついた。「ラビィちゃん、なんか可哀想」

説明
コマツ姐さんのレクチャーが始まります。
筆者の脳内設定が出始めますが、解釈の一つと思ってください
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