?なんとなく 壊れている自分 the origin 2006-2?
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2006.11.16

「天才絵本作家」

 

凄い絵本作家が現れた

繊細なタッチを巧みに操り

人物を 風景を さもそこにあるように描き出した

港の風景は潮の香りすら感じさせ

魚も今にも食べられそうに見えた

 

私は悔しくて 山の奥まで駆け上がり

生涯魚なんか食べないと誓った

相手の腕が凄い事も 自分の腕が無い事も

どちらも腹立たしかったからだ

怒りをぶつける相手も 方法も見つからず

だから私は山に篭もった

だから私は魚は生涯食べないと誓ったんだ

 

なのに 山で出会った様々な人達は これ見よがしに魚を食べ

「何で食べないの? こんな美味しいものを」

なんて言って 人の気も知らないで魚を口にしている

その動作が一々私の癇に障り 私はまた山奥へと駆け出していく

 

ハンガーのようなロープウェイを伝って 頂上まで辿り着いた

そこで入った山小屋の中で 偶然

かの天才絵本作家の作品を目にしたのだ

 

その天才絵本作家は

シリーズを重ねることに

 

地味に 作品がつまらなくなっていた

 

私はそこでまた 言いようの無い虚無感に襲われたのだった

 

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2006.11.15

「暗殺計画」

 

一瞬だけ開いた ドアの間から

1発の弾丸が 私の胸を打ち抜いた

それは 私の胃に小さな風穴を開けた

 

しかし 何故か痛みを感じない

血も一滴も出ない

打たれた感覚はあるが 何故か痛みを感じないのだ

 

この暗殺計画は 私の戦いを阻止する為のものだろう

だが それが目的なら 尚更私は戦いを止める訳にはいかない

 

彼女と多くの支援者を従えて 私はリングの中央に立つ

姿無き暗殺者よ ここで堂々と一戦を交えようではないか

姿を表せ 日陰に住まう暗殺者を

私を付け狙う 闇に住まう暗殺者よ

 

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2006.11.14

「人類最後の日」

 

モンスター達が動き出した

何とも形容し難い 血の色の物体が

人間を 神を 食い物にしだした

 

全ての人間は天上へ逃げ

全ての神は地下へ逃げた

けれど モンスター達は

天の果ても 地の果ても被い尽くしたんだ

 

そうして人影が無くなった山小屋の脇で

羊達はのんびりと 牧草を食べている

 

あのモンスターは

人は食べる 神は食べる

けれどそれしか食べないのだから

 

羊達はのんびりと牧草を食べ

犬達はのんびりと散歩を楽しむ

そして人と神だけが

存在場所を求めてオロオロするばかり

 

…ねえ あのモンスターって 案外いい奴なんじゃない?

木陰で眠る狼が 一言ぽつりと こう呟いた

 

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2006.11.13

「ナミダノアト」

 

ここには以前 悲しみの記憶があった

今は涙で流され ここに記した事は残されていない

 

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2006.11.10

「盲目のカードゲーム」

 

カードゲームをやろうって?

いいね 楽しそうだね やってみようよ

 

でも 僕は目が見えないんだ

手に取ったカードの種類 教えてくれないかな?

 

…ねえ 本当に僕のカードは そんなに悪いカードなのかい?

本当に 君の出したカードは そんなに良いカードなのかい?

 

それにしても 冬にも関わらず 最近は暖かいね

どうしてだか 君は知っているかい?

 

…ふーん 寒いのが嫌な国の人達が

ここにかかる陸橋の脇に 沢山 暖房を立てたんだね?

僕の身長によりも高い ポール式の暖房を沢山立てて

寒さの来ない国にしたんだね?

僕の知らない間に この国は随分 便利になったんだね

 

…ねえ 本当にこのゲームは 僕が負けたのかな? ねえ

 

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2006.11.9

「五分魂」

 

僕には可愛いペットがいた

1mmにも満たない 小さな緑色の虫

どこに行くにも一緒だった

奇麗な宝飾店で 一緒に宝石を眺めていたよ

 

でも 大人達は

僕のペットを 何の感情も抱かず

親指で潰して殺してしまった

 

僕はとても悲しいのに お姉ちゃんまで

せいせいしたと言わんばかりに僕を見るんだ

 

僕の愛しいペット どこに行くにも一緒だったのに

どうして 殺されなければならなかったの?

何故みんな その事に 無関心でいられるの?

 

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2006.11.8

「存在意義」

 

何故 俺達は 今ここにいる?

何の為に 俺達はいるんだ?

今 俺達は 何故ここにいる?

俺達は 何の為にいるんだ?

 

俺達は 駆け抜ける為に ここに集結したんだ

〜今を紡いで 過去と未来を繋ぐ為〜

 

俺達は 命ある限り 駆け抜けて 駆け抜けて

その先に あるであろう 未来と言う名の 見果てぬ世界を この目で見る為

今と言う瞬間(とき)を 光速で駆け抜ける

 

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2006.11.7

「飢餓の子供」

 

手も足も痩せ細り お腹だけが膨らんだ子供が

あちこちに沢山いる

生気が感じられない 死臭すら漂う子供達が

公園にたむろしてる

 

でも おかしい話よね

ここは砂漠じゃない 都会の真ん中

飢餓の子供達の身なりは それなりにちゃんとしてる

本当に飢えている訳じゃない筈よ

 

見て あそこにいる親子

両親は 愛情も 食糧も 沢山与えている筈よ

けれど 子供は飢餓の様子で死臭を漂わせている

その子の視線は虚ろ でも幸せだと言わんばかりに微笑んでいるわ

 

違う子が 公園に落ちてた雑誌を ミルクを飲みながら興味深そうに覗いている

ナイスバディな女の人が 男の人と絡みながらお色気ポーズを取っている

この写真の光景は いつか そう 遠くないうちに

きっと 空想の産物と化するのだろうね

 

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2006.11.6

「大 地」

 

薄暗い あの空に 私の姉が

眠っていると聞かされた 幼き日の私

 

けれど 人は眠りについても 空には行かず

地の底で果てると いつの日か 私は気付いた

 

地の底で姉は眠り

私は地の上で暮らしている

私は 姉を踏みしめながら 今日も一人で歩く

 

人は大地を血で汚しながら

それでも平気で地を踏みしめる

私の姉を 私の母を 今日も平気で踏みしめる

 

そして 涼しい顔して 生きている

私も 皆も

生きている ありとあらゆるものたちが……

 

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2006.11.2

「人は天国を目指す」

 

人は その昔 神に憧れ

居住区を天界に 伸ばそうとした

石を積み上げ 高い村を作り

その頂上には金で作った居住区を

その中にはプラチナで作った台座を

 

その文明は やがて 風によって滅ぼされ

全ては風化し 無と化した

 

そして再び人類は

技術と言う文明を駆使し 再び天界を目指す

高くそびえる エレベーターとコンクリート

独房のように狭い居住区と 広大な地面を行ったり来たり

 

土台に使われ 生活廃水にまみれ

脱皮に失敗した蟹は 怒りに震え

建物全体を揺らしている

 

そうしてねじれた エレベーターとコンクリート

そんな簡単な事に人類は誰も気付かない

再び滅びの道を辿る事

自らの運命に 人類は何も気付かない

 

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2006.11.1

「偽りの空」

 

怒りに身を任せ

拳銃を握り締め

怒りに身を任せ

天に向かい トリガーを引く

 

弾丸は一目散に空に吸い込まれ

轟音と共に 青空が弾け飛ぶ

 

俺は怒っているのだ

この青い空は

所詮 太陽が見せる 幻

 

本当の姿を表せ

本当の姿を晒せ

本当は闇に満ちている

その姿を俺に晒せ

 

砕け散った 青い空は

その“仮面”の下にある本当の姿を表す

 

広大な闇 所々に僅かな星の光

それがこの 青い空の 正体 だ

 

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2006.10.31

「室内型アミューズメント」

 

本当にここは室内なの?

そう思わせる アミューズメント施設

 

施設に入ると 早速 おびただしい風 降り頻る雨

猛烈な嵐の中を くぐり抜け

やっと辿り着いたドア

 

そこを開けると 一面の青い空

まるで本当の青空みたい

よく見ると天井と壁が見えるけれど

よく見なければ分からない

 

一面の青い空 その下に やけに浅い一面の海

沢山の人がトレジャーボートに乗り込んで

勝手に釣りを楽しんでいる

 

やけに浅い海

魚影もよく見えるけれど 真っ黒いあの魚は 何かしら?

向こうでは 大きなシャチが ぴくりとも動かずに 目だけをこちらに向けて

ギロリと睨んでいる

 

ほら 海に面した 洞窟まである

暗い 洞窟の中を突き進むと いつの間にか 豪華客船の中

お菓子売りのおじさんが 山盛りのドーナツを差し出す

美味しい 美味しいと ドーナツを食べながら窓の外を見たら

さっきのシャチが ギロリと 私を睨みつけた

 

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2006.10.30

「大洪水の前日」

 

薄暗いビルの中

みんなで河のようないけすで

カエルを捕まえて遊んだよ

人間の身長並に大きなカエルを

天井からロープで吊り下げると

「モウタベラレナイヨ」とか

変な鳴き声を上げてる

 

その河が氾濫を始めた

みんなは大急ぎで 薄暗いビルの階段を駆け下りた

ビルの階段 吹き抜け部分に飾れている 沢山の武具が

逃げたそうにガタガタと震えている

でも 誰もそんなのには構わずに 階段を駆け下りていく

 

そうして 縛られたカエルは泳げないまま

飾られた武具達は為す術が無いまま

全て 鉄砲水に押し流されてしまった

 

そうして 薄汚い人間達だけが生き残った

屋外で震えながら 命がある事を喜び合ったんだ

 

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2006.10.29

「南国の雪」

 

今日 雪が降った

南にある筈のこの島に 雪が降った

雪は全てを埋め尽くし

寒さに耐える事を知らない 島の人を飲み込んだ

全てが白銀に覆われ 汚す者が無いそこは

まるで天国のようだった

 

所詮 人は 神の奴隷でしかない

幾千年も昔 人が神に破れて以来 ここではずっとそうだった

神は 人に 祈りと奉仕を強要し

守れば富を 破れば罰を与えた

 

しかし 人は その状態に 耐えられなくなった

幾千年も昔から 強要され続けた それを

もう 果たしたくはなかったのだ

 

だから 人は 祈りを簡素にした

だから 人は 奉仕を最低限にした

だから 生きた石を自動販売機で売って 観光客に捧げさせ

だから 死んだ人を 礼拝するポーズを取らせて 神殿の前に置いたのだ

 

だから 神は 怒ったのだ

だから 神は 自らの力を改めて誇示したのだ

だから 全ての人を凍てつかせ

だから 全てのものを白銀で浄化したのだ

 

南の島に 雪が降った

神が起こした 奇跡と 怒り

照らし出す太陽にも 雪は溶ける事が無く

人々を 永遠の中に 封印したのだ

 

我を崇めよ 我を崇拝せよ 我を恐れよ 我を慈しめよ

我に捧げよ その身を その心を その精神を

 

神は叫び続ける 全世界の人に対し

祈りと奉仕を忘れるなと

人は 神の奴隷でしか無い

忘れるな その事を

 

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2006.10.27

「夢」

 

届かない 思い抱きしめ

暗い森を 彷徨う

 

光無き この大地に

希望を見出す事は 無謀でしょうか?

 

届かない思いは 所詮 夢でしか有り得ず

暗い森では 光も 所詮 夢でしか無い

 

有り得ない場所の 有り得ないモノでしか無い…

 

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2006.10.26

「死霊の花嫁」

 

死霊のうめき声が聞こえる

あの谷の中から

死霊達のうめき声が聞こえる

恐ろしく 地面を揺るがせながら

 

死ぬ事を恐れた村人達は

死霊がおとなしくなるように

生贄を捧げた

 

死ぬ事を恐れた村人達は

死霊をおとなしくさせる為に

汚れた花嫁を差し出した

 

暗い 谷底に ゆっくりと 突き落とされ

気絶する間も無く 花嫁は 死霊達に囲まれる

 

突き落とされた花嫁を 哀れに思った死霊達は

全員で その手を差し出し 花嫁を救う

 

“奇麗で 美しい お嬢様

あなたの望みは 何ですか?

聞き入れましょう その望みを

どんな事でも 叶えてみせます”

 

花嫁が何を願ったかは 知る由も無い

だが 村には 今はもう誰も住んでいない

それだけは確かなのだ

 

全ては 血に濡れた原っぱだけが知っている

 

それは 遠い 昔の出来事

 

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2006.10.24

「十字型の机」

 

オフ会で集まったレストランに

十字型の机がある

中央付近にみんなが座り

君は一番端の場所に座る

 

君はいつだってそうだったね

皆といる事を拒絶しているように見える

誰かと手を取り合い どこかに行くような事が無いね

 

あのパーティー会場でも あのプールでも

君は全てを振り払い

いつも端の方にいたね

 

十字型の机の中央付近で僕は考える

君を呼び寄せるべきかなと

 

でも君はきっと 僕も飛び越えて

一人でどこかに向かうのだろうね

 

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2006.10.23

「教会の鐘」

 

私は言われたんだ

全身全霊をかけて あの鐘を鳴らせと

友達に止められても 何をされても

私はあの鐘を鳴らさないと いけないんだ

 

もうすぐ大きな戦争が起こる

戦いが始まる

呑気に過ごしている場合じゃなんだ

 

私は全身全霊で その鐘を鳴らす

手でロープを引き 足でペダルを踏み込み

その鐘を鳴らす

 

鐘の回りに人は集まっている

けれど 誰一人として その鐘の音を聞いている人はいない

みんな隣で行われている サッカーの試合に夢中

誰も鐘の音を気にしない

 

そんな事をしている場合じゃないよ

そう鐘を鳴らしても 鳴らしても

周囲は何も気付かない

 

余りにも打ち鳴らし ロープは切れ ペダルは壊れ

鐘の音は鳴らなくなってしまった

 

けれど 誰一人として その事を気にしない

手を取り合って楽しそうに サッカー観戦に向かっている

 

「一緒に行こうよ」

友人も 座り込んでいる私の手を引き スタジアムに向かっていく

 

…後に残されたのは 鐘が壊れた教会だけ…

歓喜の横で 異様な静けさだけが この世の異変を告げている

 

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2006.10.21

「鎮魂歌」

 

たった今 身体から抜け落ちた魂は

ゆっくりと天に向かって昇って行く

昔に亡くなった 大好きなおばあちゃんに また会えるかな?

 

けれど

昇れど 昇れど

天国はどこにも見えず

ただ 青い空が広がるだけ

天使も泉も おばあちゃんもいない

 

ただ 空ろな空が広がるだけ

 

ここは天国じゃないの?

なら天国はどこなの?

どうしたらいいの? 私…

 

行き場を失った魂は

天国を求め 安らぎを求め 彷徨うばかり

 

安らぎを求める魂は

誰とも知らず寄り添い 集まり 空に漂う

 

…見てご覧

あの白い雲を 黒い雲を

 

魂が寄り集まった あの姿を

 

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2006.10.20

「デパス」

 

今日は何だか眠れないの

薬をちょうだい あの薬をちょうだい

見た目はラムネ 味は何となく砂糖菓子

あの薬を飲めば 楽になれるの

 

張り詰めた神経が

ゆっくりと溶け出していく

流れていく時も 感覚も

ゆっくりと溶け出していく

 

頭の中もまったりととろけて行く

誰かが外で話しているのが聞こえるけれど

重要な事は話さないでね 明日には確実に覚えていないから

 

ゆっくりと溶け出した神経は

ゆっくりと思考回路を殺していく

殺伐に乱れた感情も ゆっくりと溶かし 流していく

 

このまま まったりと この空間に身を委ねていたい…

 

でも時はとても残酷で

嫌でも日は昇り出す

解けて無くなった薬は 私を非情にも 現実に引き戻す

 

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2006.10.19

「ある日の散歩道」

 

いつもの散歩道

脇に広がる田園風景

でも いつもと違って人が多いの

みんな何をしているの?

 

田んぼには 沢山の鳥の死骸?

なのかなぁ?

鳥の形に切り抜かれた青い画用紙が沢山散らばっていて

みんな総出で片付けてる

 

一体何が起こったのかなぁ?

空を見上げると

まるで壊れたテレビの画面みたいに

空にノイズが走ってる

 

あ!!

空の一部が割れた!!

破片がこっちに 落ちてくる

でも所詮はテレビ画面 落ちてくるように見えるだけ やーい

 

鳥を片付けて

テレビ画面の小川の中に魚を見ながら

みんなは食事に出かけていく

 

行き着いた先は 回転寿司?

長い 長い ベルトコンベアの回りにみんなが座って

出てきた鮭の切身を食べている

まるで工場の流れ作業みたい

 

何でみんな そんなに無口なの?

何でみんな そんなに同じ顔をしているの?

何でみんな 一糸乱れず一緒に行動出来るの?

 

気がつけば 私も流れに飲み込まれ

エスカレーターを一緒に上っていた

私は そっちに行きたくないの 下りたいの

でも 下りるべき道が 無いの 見つからないの

 

このままじゃ嫌なの このままじゃ嫌なの

でも私の声は みんなには伝わらないの

 

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2006.10.18

「探し物」

 

腐敗した大地の上を

腐敗した 多分人だったものを

ぐちゃり ぐちゃりと 踏み締めながら

私は 歩く

 

周囲に見えるのは黒く腐敗した建物

多分 ベンチだった物体

その隅に折り重なるように 人が横たわる

嫌だわ 私を見ているみたい

 

貴方達に係わっている場合じゃないの

私は探している所があるの

 

私を 酷い人 だと思う?

でも仕方がないじゃない

私が着た時既に この街は腐敗してた

建物も人も空も大地も 黒く腐敗していた

 

私には何も出来ないわ

だから私は 私の探し物をするの

 

喫茶店を探しているの 新しく出来た喫茶店

メニューに載ってた三段重ねのケーキがとても美味しそうだから

サンテラスもとても素敵に輝いていた

飾られているお花も 綺麗だったわよ?

 

私は探しているの その綺麗な喫茶店を

 

そうして踏み出した足の下で

多分 人だった骨の欠片が

踏まれて きゅって 鳴いた

 

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2006.10.18

「ホタルノヒカリ」

 

故郷に 黒い雨が降る

全てを溶かし 焼き尽くす

凄惨な雨が 降り注ぐ

 

生きている者 死んでいる者

そこにある全てのモノを 飲み込んで

 

故郷に 黒い雨がふる

大地も 人も 建物も

跡形も無く 闇に染まる

 

地平線の果てまで

空っぽの棺桶が ずらりと並ぶ

もう 中に入る人もいない

黒い棺桶が並んでいる

 

その光景に哀れんで

暗い空一面に 青い薔薇が咲き乱れ

黒い大地に 振り注ぎ

時の終焉を 華麗に彩る

もうお終いだよ だから必死に 生きなくていいよ

埋もれた闇から伸びた手に 青い薔薇を渡していく

 

触れた先から 薔薇は青白い炎を上げて燃え

最後に伸びた手も ゆっくりと 焼き尽くしていく

永遠に

 

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2006.10.17

「砂漠の犬」

 

青白い空の下

一匹の犬が 砂漠を彷徨う

やせ細ったその犬は

何かの骨をしゃぶってる

 

やせ細ったその犬は

誰の骨を口にしているのか

鳥か獣か人間か

それは誰にも分からない

 

こうなってしまえば 皆 同じ

その死を誰も哀れみず

やせ細ったその犬の

血となり肉となる

 

そうして やせ細ったその犬は

いずれ 自分がしゃぶる骨と 同じ道を辿る

砂漠に埋もれ 肉も皮も消し飛べば

鳥か獣か人間か

それは誰にも 分からなくなる

 

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2006.10.15

「世界の終焉」

 

さあ 今 “終焉”は目の前にある

どんなに あがき もがいても

“終焉”は 確実に向かっている

静かに物音も無く まるで空気のように迫ってくる

 

さあ 今 お前はどうするのだ?

闘うのか? 逃げるのか?

いづれにせよ “終焉”は迫ってきている

立ち尽くし 空を仰ぎ見ても 神は助けてなどくれぬ

 

お前の世界 お前の意志 お前の身体

守れるのは 他ならぬお前だけだ

最後の瞬間まで闘うか? 最後の瞬間まで逃げるのか?

 

お前の世界 お前の意志 お前の身体

“終焉”が迫り 逃れられぬと言うなら

たった一つを 守り通すしかないだろう

 

…お前自らの意志 それだけを…

 

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2006.10.14

「後悔すると言う事」

 

あの時 君は 自らの意思で

考える事が出来た筈だ

 

あの時 君は 自らの意思で

動く事が出来た筈だ

 

あの時 君は 自らの意思で

思う事が出来た筈だ

 

なのに 何故 今になって

「あの時は何も出来なかった」と後悔する?

 

あの時 君は 自らの意思で

何もしなかったと言うのに……

 

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2006.10.12

「あの悪魔」

 

怪しげな長屋で 悪魔払いが行われるらしい

それにしても その儀式を執り行うのが こんな子供なんて…

大丈夫なのかしら?

 

まだ少年風の神父の前に現れたのは

成熟した女性の悪魔

 

少年にフッと息を吹きかけて

そのまま駅までひとっとび

長い長いホームの上で 二人は永遠に 幸せそうに踊りつづけたの

周囲の瞳なんか気にせずに 二人は踊りつづけたの

 

そして神父と悪魔は互いに結ばれ 幸せに暮らしましたとさ

めでたし めでたし

 

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2006.10.11

「逃避行?」

 

ビルの中 ひざまで 水浸し

どうしてこんな場所に 沢山の水があるの?

 

ビルの中 ひざまで 水浸し

彷徨っていると 見えてくる 見知らぬ親子

ジッと動かず こちらの様子を伺っている

 

何をそんなに怯えているの?

ビルの中も ビルの外も 暗闇に覆われて何も見えない

何も見えないのに 何に怯えているの?

 

その親子は 「見つかってしまうよ?」と言う

でも 何も見えない 何も見渡せない 何も分からない

そんな中で 一体何に 見つかると言うのだろう?

 

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2006.10.10

「入水自殺」

 

その水面は天国への入口だ

さあ 足を踏み入れてみよう

水面は何も言わず

私を受け入れてくれる筈だ

 

水面下に住まう魚達よ

価値の無い私でも お前達の腹を 満たす事くらいは出来るだろう

 

水面は 魚達は 人を差別せず 男も女も 金持ちも貧乏も

全てを均等に 飲み込んでくれる筈だ

 

そして何人を受け入れても尚 水面は清らかに波打ち続ける

私が死ぬ事によって 何も汚れないのだ

 

さあ 底に沈んで行こう

そこには 安らかなる空間が 確実に広がっているのだから

 

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2006.10.9

「住めば都」

 

地獄の亡者達は言う

 

現世は怖い所

人間の皮を被った鬼が 沢山住まう場所

 

その点 ここは鬼は鬼の面しか被らない

 

その上 ここでは生も強要されず

痛いもの 辛いものが 機から見ても割とハッキリしている

「幸せでいいよな」とトンチンカンな事も言われず

俺も周囲も 同じ立場 上下関係なんかありやしない

 

本当 ここに来て良かった

現世は 本当に怖い所だったからな

 

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2006.10.8

「大魔王復活」

 

身近にある元素と元素を組み合わせ

魔王が復活したらしい

過去に幾度と蘇り 悪事の限りを尽くしたらしいが

今回はまぁ 何もしていないじゃないか

 

あんまりじゃないか?

折角魔王が復活したって言うのに

殺戮沙汰もメークドラマも無いなんて

 

青空の下 出かけた魔王は

かけそば食べて 洞窟風呂を満喫して

 

ただ一人 活躍の場が無い勇者は

ただ一人 沢山の彫刻の中で

ただ一人 ただ孤独

 

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2006.10.6

「今日は未来 今日は過去」

 

君のその 遠い瞳は

一体何を 見つめていたの?

 

隣にいる 僕を見ずに

一体何を 見つめているの?

 

雨が降り出しても 手にしていた赤い傘を差さず

黙って 何を見つめているの?

 

真夜中 丁度0時 3秒前

「“今日”が もう逝くね」と呟いた君は

一体何を 見つめていたの?

説明
夢で見た事や思いついた文字を羅列している詩集…と言うより散文集です。以前ブログにて掲載していたものをこちらに転写しました。
下に行く程古く、上に行く程新しいものです。
無駄に量があるので時間が余りまくってる方、どうぞ(笑)

↓最近の作品はこちら 
◆Vol.7はこちら→ http://www.tinami.com/view/711908
◆Vol.6はこちら→ http://www.tinami.com/view/689951
◆Vol.5はこちら→ http://www.tinami.com/view/655382
◆Vol.4はこちら→ http://www.tinami.com/view/572259
◆Vol.3はこちら→ http://www.tinami.com/view/511424
◆Vol.2はこちら→ http://www.tinami.com/view/430923
◆Vol.1はこちら→ http://www.tinami.com/view/318073

↓それよりもっと古い作品

■2009→ http://www.tinami.com/view/535347
■2008→ http://www.tinami.com/view/535336
■2007-4→ http://www.tinami.com/view/535331
■2007-3→ http://www.tinami.com/view/535328
■2007-2→ http://www.tinami.com/view/535324
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