IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者?
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episode106 サミット防衛線

 

 

 

 

 

そうして二日過ぎてサミット当日。

 

 

 

 

 

サミット開催場所である国際センターは大きく、海に面していた。近くには港があるために国際センターにもその設備があり、船で来航する者もいる。

 

 

 

その建物の上や周囲に防衛隊が配置されており、厳重にしていた。

 

隼人が居る日本組みは海面側に面した海岸にいた。

 

 

警戒すると言う事もあってパイロット全員はISを展開していたので、隼人もバンシィを纏っていた。

 

アームドアーマーBSとVNの代わりに、右手にビームマグナムを展開して左腕にシールドを装備していた。

 

「・・・・」

 

隼人は周囲を見渡して見る。

 

(さすがに世界中から集まっているという事もある。色んなISが居るな)

 

周囲には各国のISがあった。

 

イグニッション・プランで次期主力機としてトライアルしていたイタリアのテンペストU型。ドイツのレーゲン型。イギリスのティアーズ型もあれば、未だに試作段階の中国の甲龍型やアメリカのクエイク型もおり、どれも第三世代型のISである。

 

 

しかしそんな中でもちろん隼人達も注目を浴びていた。

 

理由の一つとしてはもちろんISを動かせる男子として。もう一つは全身装甲を持つバンシィにAGE-FX、サバーニャに興味を示しているからだ。

 

更に付け加えるとすれば箒とそのIS紅椿であろう。あのISの生みの親の妹であり、その姉のお手製の第四世代を持っているからだ。

 

(全身装甲のISなんか無いからな。そもそもISはシールドエネルギーで守られているから必ずしも装甲が必要になるわけじゃない)

 

シールドエネルギーで守られている為に装甲は必要無い。その為にISの装甲は脆弱である。もちろんシールドエネルギーが尽きれば装甲を覆ってない部分は無防備である。

 

(実戦に向けるとなると、全身装甲で装甲強度も高くなければ防ぎようが無い)

 

つまり全身装甲のISはある意味ではISの完成形とも言える。無論簡単に出来るものではなく、結果論ではない。

 

 

もう一つ男子として注目を浴び、興味を示されているが、中にはその事を良しとしない者も居る。

 

(ISは女性にしか動かせない。そういう定説が定着しているからな。つまりISと言う名の最強は女性だけのものって言う事になるな)

 

だから今の時世が生まれたのだ。

 

 

(それに箒の事を良しとしない者も居る)

 

箒は代表候補生でなければ企業の者でもない。ただ身内と言うだけの理由でISを貰っている。

 

(ISは確かに世界中の女性の憧れだからな。貰えるのはエリートだけ。そうでもない箒は身内と言うだけの理由で貰った。これに文句を言わないやつは居ないな)

 

しかしどの時代、どの世界でも、平等であった時代は無い。上に行ける者は行き、行けない者は下に行く。それが今も続く世界のルールだ。

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

そんな事を考えながら、周囲を見渡してある物を見つける。

 

それはブルー・ティアーズを纏うセシリアと話している、一人の女子であった。

 

その女子が纏っているISと言うのが、かつて奪取されてマドカが使用していたサイレント・ゼフィルスであった。

 

(纏っているのは二年のイギリス代表候補生の『サラ・ウェルキン』か・・・)

 

そうしてセシリアから離れたのを確認して、隼人はセシリアにプライベートチャンネルを入れる。

 

 

(セシリア)

 

(あら隼人さん。どうかしました?)

 

(さっき話していた人って、二年生のサラ・ウェルキンだよな)

 

(そうですわ)

 

(サイレント・ゼフィルスを受け取ったんだな。もういいのか?)

 

(えぇ。厳密な検査の結果サイレント・ゼフィルスに異常や問題は無く、亡国企業側の罠も無いので、ウェルキンさんに渡されたのですわ)

 

(なるほど)

 

(と、言っても元々サイレント・ゼフィルスはウェルキンさんに渡される予定でしたが、奪取されたので先送りになっていただけなんですけどね)

 

(そうか。今回は何が起こるか分からんからな。気をつけろ)

 

(隼人さんも、お気をつけて)

 

そうして通信を終える。

 

 

 

 

「・・・・」

 

隼人はバンシィの全方位カメラで右斜め後ろを見る。

 

そこには白式・雪光を纏った一夏と紅椿を纏った箒がいた。

 

やはりいつもより親しい感じのする会話であった。

 

(やっぱり何かあるよなぁ・・・。妙にいつもより親しいな)

 

内心で「うーん」と悩んでいた。

 

(さすがに聞くのは野暮な事だし、聞きはしないが・・・気になるな)

 

そう思っていると――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっといいかしら?」

 

「・・・?」

 

すると前から声を掛けられて隼人はとっさに後方画面を消して前を見る。。

 

「・・・・」

 

そこには銀の福音が居た。

 

一瞬臨戦態勢を取りそうになるが、なんとか堪える。

 

「やっぱり警戒するよね。一度は敵対したから、当然かな」

 

と、福音のパイロットは言う。

 

第二形態移行したので光の翼はそのままだが、戦闘状態ではないので光の輝きは薄く畳まれている。

 

 

「あなたが・・・福音の?」

 

「えぇ。銀の福音のパイロット・・・『ナターシャ・ファイルス』よ」

 

と、ナターシャと呼ばれる女性は福音のバイザーを取って素顔を現した。

 

「神風隼人です」

 

隼人もバンシィのマスクだけを収納して素顔を出す。

 

「噂は聞いているわ、神風君」

 

「そうですか」

 

「まず最初に、お礼を言わせてもらうわ。この子を助けてくれてありがとう」

 

「例には及びません。ちょっと死に掛けましたが、当然の事をやったまでですよ」

 

「そう」

 

 

 

「・・・?」

 

ナターシャはバンシィをじろじろと見ていた。

 

「どうかしました?」

 

「いいえ。ただ、見ただけでも猛々しいと思って」

 

「・・・・」

 

「もし戦いになった時はよろしくね、騎士さん」

 

そうしてナターシャは元の場所に戻って行った。

 

 

「・・・騎士、ねぇ。バンシィはどちらかと言えば闘士に近いな」

 

ナターシャが立ち去った後呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてナターシャは元の配置の場所に戻る。

 

「どうだった、ナタル?」

 

そこにはもう一人ISを纏った女性がいた。

 

「ISの外見もそうだけど、パイロットも相当のツワモノね」

 

「見ただけで分かるのか?」

 

「さすがにそれだけじゃね。でも、イーリ。彼の事は事前に調べているわ」

 

「で?何か分かったのか?」

 

「中々凄いわ。最近現れているアンノウンと初めて交戦したのも彼だから」

 

「あの『シャドウ』とか。すげぇな」

 

「えぇ。世界で最もシャドウと交戦歴がある人かもね」

 

「・・・世界で二番目に動かして、シャドウと初めて交戦した男性ってわけか」

 

「そうね。それに彼の名字は神風・・・」

 

「・・・神風か。これはまた懐かしいのを聞いたな」

 

「そういえば・・・そうね」

 

「私の先代代表・・・『神風クライン』・・・」

 

「イーリの先輩に当たる人だっけ?」

 

「まぁそうだな。同時に尊敬できる人だった」

 

「・・・・」

 

「本当に強い人だったよ。何せあのブリュンヒルデに真っ向から勝負して互角だったんだから」

 

「確かに。あれは凄かったわね」

 

 

「でも、あの人は突然行方不明になって、私が代表になったんだけどな」

 

「・・・・」

 

「腑に落ちなかったぜ。あの人に勝って代表を勝ち取る。それなのに何もしないでなるのは・・・私のプライドが傷ついたよ」

 

「イーリ」

 

「それに、今も生きているのかも分からないんだよな・・・」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん。あの福音のパイロットと話したんだ」

 

「まぁね」

 

隼人は綾瀬と通信をして話していた。

 

白をメインにしているも、青も白に次ぐ多さのカラーリングで、全身装甲のISであった。頭部の額にはV型アンテナを持ち、緑色のツインアイをもっていた。特に特徴的なのが背中にあるユニットであり、中央にガトリングの砲身を持ち、刃のように尖っているウイングを左右に広げていた

 

綾瀬のIS・・・『ブルーフレームセカンドR』である。ちなみに言うと、名称から分かるが、千冬のレッドフレーム、山田先生のグリーンフレーム、楯無のゴールドフレーム天と同じ系列の機体となっている。

 

「しかし暴走事故を起こした福音が再配備と言うと、やっぱりアンノウンの出現による影響かな」

 

「ふーん」

 

「ねぇ隼人。あのシャドウと戦った経験者から見て、どう思う?」

 

「何が?って、シャドウって?」

 

「アンノウンの呼称だよ。影みたいな外見だから」

 

「なるほどね」

 

「で、どうなの?経験者からしてシャドウの存在って」

 

「どう言えばいいのかな」

 

隼人は唸って悩む。

 

 

 

「確かに恐ろしい存在って言うのは変わりない」

 

「まぁね。でも、正体としてはどう思う?」

 

「そこまでは知らないよ。唯一残した大剣からは重要な手掛かりは無い。分かっても地球上に存在しない物質で構成されているってこと」

 

「ふーん」

 

「正体なんて分かるわけが無い。未知の相手なんだから」

 

「だよね。じゃぁ私は千冬先輩の所に行っておくね」

 

と、綾瀬は千冬達がいるエリアに向かった。

 

 

 

 

 

 

「隼人」

 

綾瀬が行った後に簪がやって来た。

 

「簪」

 

隼人は簪の方を向く。

 

「綾瀬さんと話していたの?」

 

「あぁ。簪はどうしていたんだ?」

 

「うん。お姉ちゃんと・・・少し話していたの」

 

「そうか」

 

「・・・やっぱり隼人って凄いよ。お姉ちゃんにISを作ってあげるなんて」

 

「そうでもないさ。ISのジャンクパーツで強化した物だから」

 

「・・・・」

 

 

「そういえば、簪」

 

「な、なに?」

 

「弐式の新装備はどうだ?」

 

「あ、う、うん。一応テストしてみた」

 

「どうだった?特に試作兵装『斬月』の使い心地は」

 

「・・・何となく使いやすいけど、変わっているかな」

 

と、簪は弐式の左腕にある装備を隼人に見せる。

 

菱形の板状に近い形状の装備で、各展開機構が備え付けられていた。

 

「だろうな」

 

「残りの新装備は使いやすかったよ」

 

「そうか。ならよかった」

 

「後『村雨』はどうだった?」

 

「あれも凄いけど・・・荷電粒子砲の代わりに必要になるのかな」

 

今度は背中に搭載されている荷電粒子砲の代わりに搭載されたガトリング砲二門を見る。

 

「荷電粒子砲だと一発一発の威力は高いが、瞬間火力に劣る。シールドエネルギーを削るとなれば尚更さ」

 

「それはそうかもしれないけど・・・」

 

「それに迎撃にはもってこいだろ」

 

「迎撃・・・」

 

「まぁどう思うかは君次第さ。その機体を使っているのは君だからな」

 

「うん。また後でね」

 

「あぁ」

 

そうして簪はPICで宙を浮き、隼人から放れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

その頃別の場所でレッドフレームを纏った千冬は周囲を見渡していた。

 

周りには千冬を見る輩が多かった。

 

 

 

「人気者はつらいな、千冬」

 

と、隣にAGE-1グランサを纏った輝春が茶化す。

 

「別にこうなるように一時復帰したわけではない」

 

「だろうな。それに兄さんだって同じことが言えるぞ」

 

「まぁそうだな」

 

 

 

 

「しかし厳重体勢とは言っても、これだけのISを集めるなんて」

 

と、グリーンフレームを纏う山田先生が周囲を見渡す。

 

「それほどバインドと亡国機業の襲撃を防ぎたいのだろう」

 

「まぁ確かに今回のサミットの重要度って言うのはかなり高いからな」

 

「だとしても、トライアル中の第三世代試作型ISも投入するなんて」

 

「明らかに自国のISの性能の高さを宣伝してトライアルに勝ち登る気でいるな」

 

「そうだな。事を決めるのは結果が全てだからな」

 

「あぁ」

 

「ですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

シャルロットはフランス側とドイツ側の配置場所にて警戒していた。

 

「・・・・」

 

しかしシャルロットは周囲からの視線を気にしていた。その視線の意味としては様々であろう。特に多いのが偏見の目だ。

 

(まぁそうだよね・・・周囲の目がそうなのは・・・)

 

一度は男装してデュノア社の御曹司で、フランスの代表候補生としてIS学園に二人目の男子として入学した。

 

しかしその後に真実を明かし、フランス政府に事情を説明した。そして調べた結果デュノア社は不正な取引が裏であった事が発覚し、倒産までには至らなかったが別の会社の傘下に入った。

シャルロットはその後正式に『シャルロット・D・神風』として戸籍を得たが、一度はフランス代表候補生を下ろされるとまでになったが、様々な事実もあって、引き続き代表候補生を担う事になった。

 

 

こんなに複雑かつ通常であれば罪に問われる事があっても変わらずにいるシャルロットに偏見の目を向ける者が多くても仕方が無い。

 

(でも、僕は何を言われようとも・・・気にはしない)

 

シャルロットはビシッと表情を引き締める。

 

(もう僕はデュノア家の人間じゃない。神風家の義妹・・・シャルロットだから)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

フランス側の近くに配置しているドイツ側に居るラウラは周囲を見回していた。

 

シュヴァレツェア・レーゲンの装備は福音戦でも使用した砲撃戦仕様の『パンツァー・カノーニア』を装備していたが、背中にミサイルコンテナを新たに搭載していた。これによって機動力は落ちているが、本来は拠点防衛用の装備であるため、今回の防衛線では大いに役立つ。

 

『あれがボーデヴィッヒ少佐の師匠のISですか』

 

「あぁ」

 

と、自分が持つ部隊の副隊長であるクラリッサから通信が入る。

 

『ボーデヴィッヒ少佐の師匠とあれば、お話を窺いたいですね』

 

「今は任務中だ。私情は控えろ」

 

『了解です』

 

「まぁ、時間があれば話を持ちかけてみよう」

 

『ありがとうございます』

 

そうして通信が終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくしてサミットが開催となり、一段と警備が厳しくなった。

 

 

 

「・・・・」

 

そんな中、隼人は周囲を見ながら警戒する。

 

(何だろうな。さっきと違って何かが変わった)

 

さっきとは違う感覚に隼人は違和感を覚えていた。

 

(嫌な予感がする・・・)

 

そうやって空を見上げると――――

 

 

 

 

 

「ん?」

 

そして何かを見つける。

 

「・・・・」

 

隼人はすぐにバンシィのカメラを最大望遠にして映す。

 

「・・・鳥?」

 

最大望遠で映し出された映像には黒い影が飛んでいた。

 

(いや、鳥にしては大きい。それにどんどん数・・・が?)

 

すると黒い影はどんどん増えて行った。

 

(いや違う!?まさかあれは!?)

 

 

 

 

 

すると突然アラートが周囲に鳴り響いた。

 

『緊急事態発生!!大量のシャドウがセンターに向かって進行中です!!』

 

「やっぱりか!」

 

アナウンスでシャドウことバインドの接近が知らされて周囲が騒がしくなる。

 

 

 

そうしてバインドとの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、それはとある時の始まりを告げていたのであった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!
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タグ
ユニコーン バンシィ ガンダム インフィニット・ストラトス IS 

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