クロノとアキ
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クロノとアキ

 

 

第1章 出会いの中で

 

こことは違うまた別の世界、世界は人間と亜種族・モンスターの三つに分かれ、剣と魔法と科学が入り混じっていた。

世界の各地で国が、さらにその中に州が作られ、それぞれの政治と法律と規制と力を使い均衡が保たれていた。

 ちなみにこの国々では国としての最低限の法律と税以外は全て件の長が決める権利を持っており、なかには人を殺してもしても罪にならないような国まである始末である。(そんな国もそれなりに発展しているので不思議だ。)

 

「ウガー!」 「ウホ――」

 

 クロノは薄暗い森を走っていた。後ろから迫ってくる無数オークたち(ここでは大型亜種型の野蛮な物たちのことを指す)は久しぶりの人肉に気が気ではない。

 もちろんクロノも好きでこんな森にきたわけではない。しかし曲がりなりにも何でもなんでも屋と旅を両立しているからには、金さえ積まれれば森の珍しい薬草を採って来いといはれては採りに行かなくてはならない。クロノも前の依頼の失敗で報奨金が少なく、腹が減っているのだ。

 そしてクロノが間違ったのは、欲を出したこと。薬草とりついでに色々な依頼を受けてしまったのだ。

 もう一つはオークの首3つで5000ゲル(ゲルはこの大陸での通貨)という依頼も村から受けたということ。

 これは別にクロノにしてみれば別段難しいことでもないし、ちょうど今使っている剣も古くなってきたので買い替えたかったのだろう。

 3つ目は村でオークにさらわれた村人の娘の救出。こちらは近くの村で受けたのだが、村長から直々で報酬が高いということもあり受けたのだが、何となく乗り気でなかった。

そして不幸は重なるものだ。

 クロノは10匹以上のオークとバッタリはちあわせしてしまったのである。

 そしてクロノの剣はオークの一撃に耐えるのだけの耐久力がなかった。

「パキリ…」

それは軽い音をたてて真っ二つに折れてしまっていた。

 「な・・・そんな\\\」

その後剣の柄を放り投げてクロノは一目散に逃げたがまたもや運悪く、つまずいてそのまま捕まってしまったのだ。

 

 

そしてそのままクロノは木で作った薄暗い牢屋の中に入れられてしまった。

「だーせークソ野郎共!」

 いくらクロノが叫ぼうがオークたちは気にしない。というよりは理解していない。

「ウジュル・・・ウジュル・・・」

「ガークガーク」

 オークたちはクロノにはわからない言葉(オークにはオークの言葉があるようだ)で話いクロノをちらちら見て笑っていた。

 その時一声柔らかな声が牢屋の隅から聞こえていた。

 「あのーあなたも人間ですか?」

 「なんだてめー?」

 それはクロノと多分同じか少し下ぐらいの少女だった。おっとりしたきれいな瞳ときれいな金色の髪以外はゆったりとしたローブに包まれている。

 「俺はクロノ、もしかしてお前が行方不明になってる女か?」

 クロノは冷静だったが少女の方は気が気ではない。

 「やっぱり私はさらわれたことになってるんですか?これってやっぱり食べられちゃうんですかそれとももっとあんなことやこんなことを・・・」

 「うるさい黙れ。」

 クロノの頭突きが少女に当たる。

 ヒャッという声とともに少女は黙り込むとウルウルした目でクロノを覗き込んでいた。

 幸いクロノはこういう目が苦手だ。いったん冷静になった後、オークに食われるまでまだ時間があるという事でいったんその少女から事情を聞いた。

 「お前は何て名前だ?」

 クロノは自分ができる最大限のやさしさでおびえた少女に話しかけた。

 「私の名前はアキノ・・・アキって呼んで。」

 そしてその少女は自分がなぜ捕まったのかをポツリポツリと話してきた。

 「わたしは身寄りがなくて村でも一人で住んでいました。」

 「で昨日の夜家族のことで相談があるって村長さんの家に呼び出されて、それでそこから覚えていません」

 「ハハハハハハハ」

 クロノは笑った。なぜ村長直々に村娘の捜索などという重要度の高い依頼をしたのかが今わかってしまったからである。

 「おいアキ!ここ出るぞ、なんか武器になりそうなものは持っていないか?」

 「持ってます短剣が、後ろのポケットに」

 何でそのナイフを使わなかったということは聞くまでもない。少女の力では、もしここを抜けだしてもこの森の最深部でオーク達から逃げきることは自分にはできないとじかくしていたからであろう。

 「ちょっとお前後ろ向け」

 クロノもアキも手は縛られていたが、足は自由だったので、足を上手に使うとクロノは簡単に縄を断ち切り 、続いてアキの縄も解いた。

 「さア逃げるぞアキ・・・」

 「で、でも武器それしかないですよ」

 「いいや俺にはこれがある」

 そう言うとクロノは背中から銃(ここではリボルバータイプの銃のことを指す)を腰から乱暴に引き抜いた。

 「残弾はまだまだある、うまくやれば生き残れるよ」

 そう言うとクロノは一気に牢屋を打ち壊し、見張りオークの眉間を打ち抜いた。返り血がクロノに当たったが全然気にしていなくむしろ少し笑っているようにせえ見えた。

 「おら行くぞアキ!」

 「ま、まってよクロノー」

 アキが付いてくるのを確認したクロノは、ポケットからマッチと酒の入った鉄製の瓶を取り出した。

 「こいつでお返しだ。」

 そういうとクロノは瓶の酒を住居のようなところに勢いよく振り撒くと、マッチをそこへ投げ入れた。

 すると瞬く間に炎が燃え上がり、二人が逃げる間にオークの居住区は火の海となる。

 「ちょっと多すぎたかな?」

 森を走って逃げながらクロノは呟く。

 「ちょとークロノーやり過ぎだよーあれじゃ森まで焼けちゃうよー」

 またもやアキは半ベソをかく。

 そしてそんなこんなしながらも二人は何とか村の入り口前逃げかえったのであった。

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そして村のやぐらの前で村長がまちかまえていた。

 しかしそんななか迎えに来た村長の顔には、笑顔には憎悪が混じっていた。

 「おいジジイ!この女はともかく俺をオークへの生贄にしようとはいい度胸じゃないか。」

 「そそんなめっそうもございません・・・」

 そして村長は恭しく金をクロノに手渡す動作をするふりをしながらいきなり銃をつきつけた。

 「悪いな小僧、おまえたちは生贄なんだ。毎年この時期に生贄を2人出すこととなっていてな・・・もちろん村人はそんなこと知らんよ。」

 「知っているのはワシとこいつらだけだ。」

 そう言うと老人の後ろにはすでに振り切ったはずのオーク達がそろって出てきた。

 「今年は身寄りのない人間が一人しかいないもんでどうしようかと思ったがこれで一安心だ。」

 そう言うと老人はクロノに向けて弾丸を飛ばす。

 「パスッ」

 という音と友に倒れたのはなんとクロノではなくアキだった。アキはクロノをかばったのだ。

 「お、お前なんで・・・」

 「いいの私はそれより早く逃げて」

 そかすれた声でそう言うとアキは動かなくなった。

 「アキ・・・なんで・・・」

 クロノの声は怒りに震え、その怒りは眼の前の敵へと向いた。

 「お前は・・・お前はこいつのーッ・・・」

 怒号と同時にクロノは銃を引き抜くと、3秒も立たないうちに老人の腹を打つと、後ろのオークに向けて乱射した。

 「はああああああ」

 オークの斧や剣や矢が降り注ぐ中クロノは怒りに身を任せ、すべての弾を打ちつくす勢いでオークたちに飛びかかった。

そしてすぐに弾のなくなった銃を投げ捨てると、殺したオークの武器を奪い恐ろしい形相でオーク達を切っていった。

 「はああああああ!」

  叫び声ともうめき声ともつかないクロノの声とともにまた一人オークの首から上が吹っ飛ぶ。

 「ギャー」

 オークのそんな悲鳴が鳴り終わらないうちにまた次のオークの腹に県が深々と突き刺さった。

 そしてまた一人また一人。

 「てめえで最後だこの豚野郎。」

 クロノが指エオ刺したのはひときわ大きく筋肉の盛り上がったオークであった。

 「グ ハ ハ ハ ハ ハ !」

 オークが笑う様はとても醜く、唾が飛び散りクロノにかかった。

 「うーおりゃ!」

 クロノは叫び声とともにオークに飛びかかるかと思いきや、手に握った砂の塊をオークに投げつけた。

 「ジャー!!」

 オークは叫び声とともに普通の人間には扱えないような大きさの斧をブンブン振りまわす。

 しかしクロノにそんなでたらめな攻撃が当たるはずもなく、軽くかわされると同時にオークの両腕が吹っ飛んだ。

 「ウガーーーーー!」

 オークは悲鳴を上げると、そのままクロノに突進してきたが、これは言い的である。

 そして最後の一匹の首がはねられた。

 「はあはあ」

 荒い息ずかいとともにクロノは、村の反対側からアキの亡骸を連れてさっていった。

 クロノの去ったあとには村長とオークの死体が重ねられ、ぼうぼうと燃えている。

 「でもあいつは死じまった・・・」 

 クロノは燃え盛る炎を背にそう呟いた。

 

 

しかし翌朝、クロノが疲れきって寝ていると。誰かの声がズする。

 「起きて・・・ねえ」

 クロノが生きるとそこには何と昨日死んだはずのアキが立っていた。ローブを脱いでいたその姿は、朝日に輝いてとても美しかった。

 「ア、アキ・・・なんで・・死んだはずじゃ?」

 「なんでも何も私生きてるもん」

 クロノは数歩引いた。

 「だって私魔法使いだよ・・・マスターじゃないけど。」

 「銃弾ぐらい強化の呪文掛けたローブ来てるからへっちゃらだよw」

 秋の笑顔が輝くがクロノは信用しない。

 「まてまて・・・確かローブにもお穴が・・・」

 「ローブを貫通した球の威力はもう0なんだよ。ウンそういう魔法だった気がする。」

 そう言うとクロノはいきなりアキの服をめくった。案外大きい・・・

 「イヤー//////」

 案の定アキの悲鳴が森にこだまする。

 「なにするのーまさかあなた変態なの!?」

 するとクロノは悪びれずに答えた。

 「何言ってんだよ。」

 「俺は女だ・・・ 」

 一瞬の間の後、クロノも自分の服をめくる。

 それは確かに女の体であった。胸はあまりない。

 「そ、そんなー!」

 こんどはアキが数歩引く。

 「そんなに驚かなくてもいいじゃないか・・・第一俺が男だなんて一言もいてないぞ。」

 冷静な態度で態度でクロノは呟く。

 その後も数分間は、アキはずっとポカーンとしていた。

 

 そしてクロノはアキがこっちの世界に帰って来た後こういった。

 「お前行くあてはあるのか?」

 するとないっと言う返事とともにアキは首を横に振る。

 「じゃあいっしょに俺と世界を回らないか?」

 「エッ・・・」

さすがにこの問いは予想してなかったらしくアキも一瞬戸惑ったが、すぐに答えは出た。

 「行く・・・私も一緒に行く」

 「そうか。」

 そう呟くとクロノは嬉しそうに笑い歩き出す。

 「じゃあ行こうかアキ。」

 「うん」

 こうして突然の出会いから二人は世界を巡る旅をはじめたのである。

 

説明
依頼された仕事なら何でもやるクロノと世間知らずな天然魔法使いアキの旅と出会いとお仕事の話。
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コメント
クロノが女の子だったなんてビックリ。まぁそれでもいいけど。二人がどんな体験をしていくのか楽しみです。(華詩)
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オリジナル クロノとアキ 小説 魔法 ファンタジー 

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