武装神姫「tw×in」 第二十四話 |
「たぁぁぁ!」
コナユキが小剣を振るう、
「甘い!」
ヒリンはそれをダブルナイフを交差して防ぎ、弾き返した。
そのままお互い手持ちの武器で攻防を続ける。
ふむ、一昨日手に入れた、つまり一昨日起動したばかりの筈のヒリンの動きは中々凄い。マスターの東太が動かしてるにしても、ここまで息が合うとは。
「当たれなのです!」
アタックチェインで小剣からライフルに持ち返え、近距離にいるヒリンへ銃口を向ける。
引き金を引くが、ヒリンはバク転で回避しつつ距離を取った。
「ファイア!」
バズーカの砲口が向いたかと思えば、瞬時に弾が飛んでくる。
コナユキはジャンプで上昇、先ほどと同じ空中ダッシュで爆風も回避した。
距離を詰め、上から小剣をふりおろす。
「その技は先ほども見たぞ!」
そう、ヒリンの言う通り、バズーカを撃った辺りから最初の攻防と同じことをしている。
その通りなら、次は、
「てぇぇい!」
小剣を構えて降下するコナユキを、ヒリンはバク転で回避。コナユキは小剣で追撃して、
「やはり同じか、だが、こちらは違うぞ!」
ヒリンは素手ではなく、ダブルナイフで応戦してきた。
よし、作戦通り!
『コナユキ!』
「はいなのです!」
互いの刃が触れる寸前、コナユキはアタックチェインで武器を入れ換えた。
「なんだと!? まさかそちらもか!」
大剣を構えたコナユキは、刃の大きさに差が有りすぎるダブルナイフを簡単に弾いてヒリンへ攻撃した。
「くぁっ!?」
三連撃を当ててふっ飛んだヒリンからダウンを奪った。
「やったのですマスター! 作戦成功なのです!」
あ、そんなハッキリ言うと次使い難いんだけど……もう遅いか。
まぁ、今のがまた当たるとは思わないけど。
作戦の内容は簡単だ。先ほどのような攻撃で相手に素手、もしくはダブルナイフを出させたら、大剣で受けて反撃する。というもの。攻撃速度の早い素手とダブルナイフだが、出が同じならばスーパーアーマーを纏う大剣には力負けしてしまう、それをついたんだ。
「中々やるな……だが、次はこうはいかないぞ」
ヒリンが起き上がる。やはり二度目は難しいか。
「次が行えれば、だがな!」
瞬間、ヒリンはレールアクションを発動した。
まさか、さっき言っていた固有レールアクションか?
それは次の動作がそうではないと教えてくれた。
「ファイア!」
ヒリンは上空へと上がり、バズーカから砲弾を飛ばした。一発ではなく、同時に三発を扇状に、三回。
「はわわ!? な、なんなのですコレは!?」
慌てながらもコナユキは砲弾と着弾後の爆風を避けるように空中をダッシュする。
しかし、
「まだ終わりではない!」そのコナユキの元へヒリンは近づいていた。
その手に、ダブルナイフを握って。
瞬間、レールアクションの攻撃がコナユキに炸裂、
「きゃぁあ!?」
吹き飛ばされたコナユキは地面へ落下した。
『コナユキ!?』
まさか、ダブルレールアクションだったのか……
今のは『ATK:バズーカ、ダブルナイフ』。バズーカを主力武器とするムルメルティア型の、ヒリン向けのダブルレールアクションだと思う。
と、冷静に考えてる場合じゃない。
『コナユキ! 大丈夫か!?』
「だ、大丈夫なのです」
コナユキはゆっくりと起き上がった。
「耐えたか。だが、次はそういかないぞ」
ヒリンがバズーカの砲口をこちらへ向ける。
照準がコナユキへ合う、瞬間、
「させないのです!」
コナユキはレールアクションを発動させた。
ヒリンがバズーカを発射し着弾する頃には、コナユキはヒリンの右側へ移動していた。そこから更に移動し、ヒリンへと迫る。
コレは『ATK:小剣』か。
「なめてもらっては困るな、レールアクションとは決められたルートを必ず通る。それを読み、先回りすれば」
ヒリンはレールアクションの軌道を読み、迫るコナユキを正面に見た。そこでバズーカを構える。
「爪を誤ったな。ファイア!」
バズーカを発射、ヒリンに向かうコナユキの前に砲弾が迫る。このままでは正面直撃コースだ。
だが、
『今だ!』
「たぁぁ!」
コナユキは瞬時に軌道を変えた。それにより砲弾は誰もいない地面に着弾した。
「何!? まさかコレは!」
レールアクションとは、プログラムに組み込まれた、決められた軌道を通っての高速攻撃。
つまりその軌道を覚えてしまえば相手がどこへ行くか、どちらから攻撃してくるかが分かり、初動でどのレールアクションか分かってしまえば対処は簡単になってしまう。
それを防ぐため……という訳ではないのだろうけど、レールアクションの中には派生と呼ばれる、普通とは異なる動きをするものがある。
更なる移動に加え、相手からのロックを外すことも出来るので、使い分けにより相手に読まれるのを防ぐことが出来るんだ。
『ATK:小剣』の通常の動きから派生し、ヒリンの左側へと回ったコナユキは再度接近。
バズーカ発射後の隙を付き、
ガキィン!
「くあっ!?」
小剣をヒリンへと突き刺した。
吹き飛んだヒリンは受け身をとって地面を少し滑り、停止した。
「迂闊だった、レールアクションには派生があるのを知っていたのにあんな動きをしてしまうとは」
……なんとなくだけど、ヒリンの言葉に少し妙を感じる。
東太の言った通りなら、ヒリンは軌道してまだ日が浅い筈。それにしては知識が豊富だ。東太が教えたのだろうか?
「今の一撃は効いた……だがそちらもダメージはある筈。ここは、早急に終わらせてもらうぞ!」
ヒリンは光の輪を纏った。後ろに下がり着地と同時に足を踏ん張り、バズーカの砲口を斜め上へと向ける。
あの動きは何だ? レールアクションの発動にも似ているけど……まさか。
「ファイア!」
ヒリンはバズーカ砲から間髪入れずに数発の砲弾を放った。
「あわわ!? あ、危ないのです!」
コナユキが回避に集中する中、ヒリンは移動を開始、しばらく行くとその場で先ほどのように足場を固め、コナユキに向けてバズーカを発射。
この動きは……確か、神姫のカタログで見たことがある。
東太の言ってた通りだ。コレは……ムルメルティア型の固有レールアクション!えっと、この後の動きは……
「まま、マスター! これはいったいなんなのです!?」
何とかバズーカ弾を全て避けたコナユキが慌てながらオレに説明を求めてきた。
『固有レールアクションだ。大剣でガードの準備を!』
「は、はいなのです!」
向かってくるヒリンの正面を向き、コナユキは大剣を縦に構えてガードの足しにする。
多分コレでも防ぐことは出来ないけど、先の動きの予想ができない今は下手な回避より防御の集中が良い筈だ。
「フッ、守りに徹するのは良いが……忘れていないか!」
正面から向かって来ていたヒリンが、向きを変えた。しまった、派生だ!
移動の方向を変えたヒリンはコナユキの側面から再び迫る。
『コナユキ! 前に構え直すんだ!』
「はいなのです!」
コナユキも瞬時に対応し、上から振りかぶるように大剣を縦に構え直し……
スポッ
あ……
「はえ?」
「何っ!?」
ズバンッ!
「かはぁ!?」
ズシャー……
『……』
「あわわ! ま、またやってしまったのです!」
『うん……またやっちゃったねコナユキ。でもさ、見て』
「はえ?」
コナユキが前を見ると、
「ふ、不覚……まさか、そんな技があるとは……」
ヒリンが倒れるところだった。
「え、えぇと……勝ったんです?」
『うん、そうみたいだよ』
準々決勝、第四試合。ヒリン対コナユキは、なんちゃってゲイルズゲイルグにより、コナユキの勝利で幕を閉じた。
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