IS x アギト 目覚める魂 41: 戦いの意味 |
戦いが終わり、一時的な平穏が訪れた。秋斗はアギトの力を未だ奪われ、変身する事が出来ない状態でいるが、特に支障は無かった。一夏は筋肉痛と胸の裂傷以外大した怪我は無いが、二週間近くは保健室の世話になる事を言い渡された。
「さて、何か言いたい事はあるか、馬鹿者共。」
保健室でボロボロになった二人を千冬が見下ろしていた。
「・・・・無い。」
「て言うか、俺達になんで文句言うのさ?こっちは体張って戦って来たんだ。これ位の傷がなきゃおかしいだろう?それに、怪我人は俺達以外にはいないんだったら何の問題も無いだろう。」
「余計な心配をかけた相手を前にしてもそう言えるのか?」
「げ・・・」
「あらら・・・・俺死んだな。」
専用機持ち達全員が二人を睨んでいた。
「まあ、各自言いたい事は色々とあるだろうが、ここが保健室だと言う事を忘れるな。無駄に騒げば反省文百枚を書かせるぞ。」
「・・・・今はゆっくりしたいからとりあえずはそっとしておいてくれないか。」
「あの戦い結構疲れるんだよね・・・・特にタイタンとギガント使って。両肩がいたいのなんの。筋肉痛確定だぜ。」
「俺は右足の感覚が無いです。」
能天気に互いの体の状況を言い合う。
「一夏のバカ・・・・!」
簪はそう言い捨てて出て行ってしまう。
「追いかけたい所だが、生憎体が動かん・・・・楯無さん、御願いします。」
「俺からも頼む。今は休養に専念しないと後が恐くなるからな。((コイツ|DEL))のテストもまだだしな。」
「・・・・今回だけよ。治ったら学園祭の出し物に協力してもらうから。」
「何でも良い。頼む。仲直りの良いチャンスだしな。俺はここでゆっくりしてる。」
隣に置いてあるボトルからスポーツドリンクを選び出してグビグビと飲み始めた。
「ようやく体を休められるぜ・・・・でも、マズい事になるかもな。」
「何故だ?」
「箒、考えてみて。アギトやアンノウンはISじゃ全く歯が立たないんだよ?そんな脅威となり得る物を委員会・・・・ううん、世界が放って置くと思う?」
「あ・・・・」
ようやくその意味を理解したのか、箒の顔から血の気がさーっと引き始めた。
「そう言う事だ。自国を悪く言いたくはないが、私のISに違法なシステムを搭載する様な輩もいるのだ、何をしでかすか分かった物ではない。いくら政府がここに介入する事が出来ないと言う特記事項があっても、極端な話委員会直属の人間が俺達を連れ去ろうとしても、学園は何も出来ない。まあ、いざとなりゃ俺達がトンズラすれば良いか。」
「そうも行かないかもしれませんわ。」
セシリアは下唇を噛み、そう呟いた。
「何故?」
その言葉を聞き逃さなかった秋斗はすかさず詰問する。
「ファントム・タスクがあなた方を狙う可能所為もあります。」
「ファントム、タスク・・・・?何なんだ、それは?」
「ISを使うテロリスト集団です。以前イギリスもISを一機強奪されましたの。」
「なるほど。ソイツらも俺達を狙う可能性があるって事か。(翔一さん達にも伝えなきゃな。)それに、どちらもアギトを利用して、互いを潰そうとする。まあ、俺ならISを使おうが使うまいが奴らを倒せるし、逃げ切れる。だが、先の事を考えても仕方無い。今は傷を癒す事に専念した方が良い。だが、新たな情報が手に入った。ありがとうな、セシリア。」
「・・・・・・・馬鹿・・・・」
簪は顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら屋上で空を見ていた。清々しい蒼天は、海とはまた違う美しい色合いで埋め尽くされており、飛行機雲が一直線に流れるのが目に留まる。
「簪ちゃん。」
その声は、姉の声。泣いている事を悟られない様にそのまま話し続けた。
「お姉、ちゃん・・・・?」
「怖いわよね。私も、怖い。アギトの力の所為でアンノウンに狙われるって分かったら、一瞬も気を抜けなくなった。門牙さんも一夏君も、それを分かっていながら戦い続けてる。特に、一夏君は何であそこまで必死に戦ってると思う?」
「・・・・・人を、守る為でしょ・・・・?」
多少声がうわずっている簪。袖で涙を乱暴に拭った。
「ちょっと違うかな?私には、そうは見えない。戦ってるのは、簪ちゃんの為だと私は思うな。」
「私の、為・・・・?何で・・・?」
「そりゃあ、見てれば分かるわよ。一夏君は簪ちゃんの事を何よりも最優先してる。戦いに出る前も、戻った後も真っ先に声を聞かせるのは簪ちゃん。迷ってる時、悲しい時、真っ先に気付いて慰めに来るのは一夏君。ずっと側にいたい、ずっと守ってあげたいと常日頃思っているのも一夏君。彼が何であそこまで自主練をしていると思ってるの?全部簪ちゃんを守れるぐらい強くなる為にって、答えたのよ。」
「っ!」
「そりゃあ、無茶して怪我して帰って来たら怒りたくなる気持ちは分かるわ。でも、彼は簪ちゃんの事を第一に考えて行動しているって事を、忘れないで。勿論、私もそうよ。」
あすなろ抱きにされた簪はまた涙腺が緩み始め、しゃくり上げる。
「お姉、ちゃん・・・お姉ちゃあっ・・・・ん・・・・!!」
「ごめんね・・・・ごめんね、簪ちゃん・・・馬鹿なお姉ちゃんでごめんね・・・!」
そんな風に泣いて抱き合う姉妹を、一夏と秋斗はこっそりと見ていた。
「これで、良かったんですね。」
「ああ。たった一人しかいない姉妹同士だ。仲良くやって貰わなきゃな。」
「以外と世話焼きになりましたね、前に比べると。」
「うるさい。戻るぞ。怪我に響く。」
「へ?い。」
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御待たせいたしました。結局週末も色々あって完全に潰れてしまいました。 | ||
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