リリカルなのは?デビルサバイバー GOD編
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 カリムとの挨拶も終えたことで、ゼストの役割は終わり、「では、またな」と、ゼストは言うと教会から立ち去っていった。

 おそらく彼は自分自身の仕事を果たすために行動を開始したのだろう。ほかならぬ自分が、自分たちが変革者となるなるために。

 

「ごめんなさい。お婆様は今眠っていまして、もう少し時間をもらっても大丈夫ですか?」

「それは勿論大丈夫です。今日も明日も学校は休みだから」

 

 今現在カイトは、カリムの自室にいた。

 本来であればもうすでに、ミネロと話していたのだが、予想以上に彼女の体力は落ちていたらしい。なので今はドクター・ストップをくらっている。最悪の話、ミネロと会うことができるのは、明日以降になるかもしれないとのことだった。

 

「ありがとうございます。ところで、紅茶はレモンティーか、ミルクティーどちらが好きですか?」

「え? どちらかと言えば、レモンティーですけど」

 

 いきなりの質問に驚きつつも、カイトは答える。

 

「あぁ、それはよかった! では今から煎れますね」

「え? あぁ、はい」

 

 なんの話かと思えば、今から入れるお茶の話だった。

 確かに今カリムの方から来る香りは、心落ち着かせるとてもいい匂いだ。

 

「ところで、聞きたいことがあるんですが」

 

 彼女の後ろ姿を見ながら、カイトは問いかけた。

 

「はい、なんでしょう?」

「ゼストさんにキシカリムと呼ばれてましたけど、なんなんですか? それ」

「あぁ、それですか」

 

 トレイにレモンティーの入った二つのカップを置き、カリムが持ってくる。

 

「聖王教会には幾つかの役職があるんです」

 

 カイトと自分用にカップを机の上に置くと、自身もまた椅子に座った。

 

「そして役職には大きく分けて三つあるのです」

「三つ、ですか?」

 

 カイトはレモンティーを一口飲む。

 口の中から入る心地良い香りが、カイトを落ち着かせる。

 

「普通の宗教にあるシスター、神官に加え、騎士という役職があるのです」

「騎士……?」

「はい。この騎士という役職は、ベルカから続く風習のようなものなのですけど……要するに、何か特別な力を持つものがその役職になることが多いです」

「ベルカ……騎士。守護騎士……?」

「えぇ、あなたが想像している者たちもまた、同じように騎士ですね」

 

 八神はやてを守る、守護騎士。ヴォルケンリッター。

 シグナムをはじめとする彼女たちもまた、騎士と自称していた。ということは、ベルカという歴史において、騎士という存在はほんとに存在していた。という証明になる。

 

「なので、騎士には戦うという役職でもあるわけです」

「では、カリムさんも?」

「いえ、私は特別な力を持つ方ですね。とはいえ、限定的にしか使用できないのです。一応守秘義務というのがあるので、話せませんが」

「あぁ、なるほど。最初はてっきりキシカリムって名前かと思いました」

「ふふ、さすがにそんな名前ではないですよっ」

 

 微笑んでいるカリムに、釣られるようにカイトもまた「ですよね」というと、笑っている。

 

「私は……」

 

 懐かしむような、そんな声でカリムは言う。

 

「私はよく、お婆様から悪魔使いの話を聞かされて育ちました」

 

 唐突な話の変わり様だったが、その話はカイトにとっても、聞きたいことの一つだったため、突っ込むことなく、静かに聞いている。

 

「それがあなたでないことは、私でもわかっています。でも……」

「分かってる。ミネロさんに、何を言われたとしても、彼女を刺激するようなことは言わない。約束する」

 

 カイトがそう言うと、ホッとしたようにカリムは微笑んだ。彼女が危惧していたのは、年老いて、衰弱しているミネロに心的ダメージが及んだ場合の可能性だった。

 

「ただまぁ、俺がミネロさんの想像するような人間でない可能性も、かなりあるんですけどね」

「……それならきっと、大丈夫ですよ」

「なぜ言い切れるんですか?」

「それは……」

 

 一瞬、考えこむような仕草をしたが、すぐさま先ほどのような笑みを浮かべて、彼女はこう言った。

 

「こうして、話していて思いましたから」

「なら、いいんですけどね……」

 

 ミネロをよく知る、カリムにそう断言されたとしても、カリムはミネロ本人というわけではない。

 

「(でも結局のところ、会ってみるしかないってことか……)」

 

 そう結論づけ、カイトはカリムとの談話を楽しむことにした。このあとどうなるかなんて考えたとしても、今はしかたがないのだから。

 

* * *

 

「では、どうぞこちらへ。ただし面会時間は三十分ぐらいが限度だと、覚えていてください」

 

 ミネロ・グラシアの担当医の男性にそう言われ通されたのは、彼女が普段から生活している私室だ。

 清潔感あふれる白の部屋に、中央にある大きなベッド。そして窓際にも少し小さなベッドがあった。

 そして一人の老婆が、小さなベッドで横たわっているのがカイトの眼に入った。

 さっきまで会話していた女性、カリムと似た金髪に少し白が入ってしまっているのは、歳により発生した白髪だと思われる。

 ちなみにカイトの荷物は、COMPも含めてカリムに預けてある。当然ロックは掛けてあるので、弄ろうにも弄れなくしてあるが。

 

「……あなたがカイト、くん?」

 

 少しだけ聞き取りにくいけど、それでもはっきりとした口調で老婆は……ミネロ・グラシアは言った。

 

「えぇそうです。はじめまして、ミネロさん」

「……えぇ、はじめましてカイトくん」

 

 挨拶も済ませたところで、カイトは老婆のとこへと一歩ずつ近づいていく。

 その近づいていく間に気がついたが、光が部屋の中に入り込むように作られている。いつも寝ているミネロのために少しでも光を彼女にあてようという、配慮なのかもしれない。

 

「ごめんなさいね、私のためにこの世界まで来てもらちゃって……」

「いえ、気にしないでください。俺も俺で、目的があってここに来ているわけですし」

「そう……それでもありがとうね」

「…………」

 

 それをまた否定したとしても、彼女は同じようにカイトの言葉を否定するだろう。そして訪れるのは堂々巡り。そう思い、カイトは話を変えることにした。

 

「それで、俺になんのようがあるんですか?」

「そうね……まず一点、悪魔召喚の力を持っているから」

 

 これは予想していたことであり、驚くことではない。

 

「それと、確認したいこともあったから」

「確認?」

「それはないしょ。人間生きていれば、言えない音の一つや二つできるわよ? 特に私の場合は何百年も生きてきたのだからね」

「……なるほど。それで、その確認は取れました?」

「えぇ、十分」

 

 そう言ったミネロの顔からは、他意を感じることは出来なかった。

 

「では、聞かせてもらまえませんか?」

 

 姿勢を整えながらカイトは言った。

 対するミネロは、少年に対する姿勢を全く変えず、先程までと同じように、穏やかなままだ。

 

「当時の悪魔使い、及びその力の生家についてです。今は一体何処に……?」

「それは……わからないわね」

「分からない、ですか?」

 

 ミネロは頷いた。

 

「あの人は、姿を消してしまった。当然の話だけど、その時に悪魔召喚に必要な物も彼が持って行ってしまったから、力についてもなんとも言えないわねぇ」

「そう、ですか」

「けれど……」

「……けど?」

 

 ミネロは視線をカイトから、上にずらし天井を見ていた。いや、正しくは彼女のなかにある思い出に、だろうか?

 

「あの人は悪魔召喚の力をあまり快く思ってなかったわね。その証拠に、あの人がその力を使うようになったのは、聖王オリヴィエ様がなくなってからだったはずだもの」

「快く思ってなかった……」

「そう。だからといって、まったく力を使わないわけでもなかったの。使うようになったのは、大切なものを失ってからだったけれどね」

「大切なもの……」

 

 その言葉を聞いたとき、何を思い出したのかわからないが、カイトはその表情を曇らせ、顔を伏せた。

 

「いずれあなたも、かれと同じ目にあうかもしれない。けど願わくば……あなたの道に光があることを願ってるわ」

「……はは、そんな目に合う道ならかんべんして欲しいですけどね」

 

 顔をひきつらせながらカイトは言う。

 

「でもそれが生きるということよ。残酷なことだけれど」

「あぁ……それは言えるかもしれません。……結局、何から何まで自分次第か。ままならないな」

「えぇ本当、けれど悪くないと思える日が時々だけれどあるものよ? そう、私にとっての今みたいにね」

「……なら、良かったです。会いに来て」

「えぇ、ありがとう」

 

 ひと通り話も住んだところで、カイトはカップに入った紅茶を一口飲む。先ほどまで温かかった紅茶は冷めていたが、今のカイトにはその冷たさが心地よかった。

 

「……もう、時間かしらね」

「そうですね。三十分って結構早いもんです」

「えぇ本当。久々に楽しかったわ、ありがとうカイトくん」

「いえ、こちらこそ……ありがとうございました」

 

 両者頭をさげ、再び顔を上げた時タイミングを見計らったかのように、白衣を着た中年の男性が部屋へと入ってきた。

 

「ミネロ様……もうそろそろ」

「分かってるわ。ありがとうね、本当に」

「……いえ、これが私の仕事ですから」

 

 彼らの様子に少しだけ気になるものがあるが、深く追求することなくカイトは立った。

 

「それじゃ俺はこれで」

「えぇ、さようなら」

「はい、また」

 

 最後にカップに入った紅茶を一気に飲み干したあと、カイトはミネロの私室から出ていった。

 ドアが音を立てて閉まったのを、目で見て確認してからミネロはカリムを呼ぶように、男性に言った。

 

「これで種は芽吹くかしら……?」

 

 部屋の外から教会内の中庭を彼女は見渡す。

 身体が弱まり、外を歩けなくなった彼女にとっての唯一の楽しみが、中庭に居る人達を見ることだった。

 そしていまその中庭には、先程まで彼女と話していた少年と、自身の血を分けた少女がそこに居た。

 それだけではない。教会へとやってくる小さな子どもたち、それを見守る大人……その人間模様は様々だ。

 そして、その彼らに共通するもの。それは、すべからく……これからの世界を紡いでいく者たちであるということだ。

 それは、年老いたミネロにはもうできないことだった。

 けれど……それでも、そんな自分でもやれることがあると、できることがあると、彼女は思う。

 

 ドアを優しくノックする音が聞こえた。

 

「おばあ……ミネロ様、入ってもよろしいでしょうか?」

「えぇ、良いわ。どうぞ入って、カリム」

 

 自分と同じ髪を受け継いだ少女。きっとこれから若くして社会に揉まれていくであろう彼女に申し訳なく思いつつ、それでもミネロは行動を起こす。

 

「それでミネロ様。なんの御用でしょう?」

「えぇ、あなたにはこれから行って欲しいところがあるの」

「行って欲しい、ですか?」

 

 少し驚いた表情をしている少女を見て、微笑ましく思いつつ、最後の力を振り絞りながら、ミネロは少女に伝える。

 

「えぇ、話は通してあるから全てはそこで聞いてね?」

「はぁ……? それで、何処に行けばいいのでしょう?」

「えぇ、それはね……」

 

 

* * *

 

 ミネロとの話を終えたところで、カイトは客室へと戻ってきていた。ここで待っていれば、ゼストたちが迎えに来ると、カリムから聞いたためだ。

 

「悪魔使いは居なくなった、か。結局わからないことが増えただけか」

 

 それでも収穫がなかったわけではない。少なくともミネロ曰く、古代の悪魔使いは、それほど悪いやつではない。それが分かっただけでも、なかなかの収穫になったといえる。なにせ今まで、悪魔使いについての情報は皆無といってよかったからだ。

 それが少なくとも"存在した"のと、"悪いやつではない"というのが分かったというだけで、なかなかの収穫だったといえる。

 

「それに飲ませてもらった紅茶もうまかった。これだけでも来てよかったかも」

 

 などと言いながら、カイトは持ってきたノートPCに情報をまとめている。

 ちなみに、紅茶の感想を言ったところ、カリムから茶葉を貰い受けていたりする。

 

「これでよし。あれだけ偉そうなこと言っておいて、俺が出来てなかったらダメだもんな……っと」

 

 バッテリーが少なくなってきたのがわかり、カイトはノートPCにの電源を落とした。

 コンセントが合わない……というよりも、そもそもこの世界の家電製品と地球の家電製品の規格は当然違う。そのため、充電なんてすることは当然出来ない。

 

 ノートPCを片付けた後、カイトは外の景色を見るために窓へと近づいた。

 様々な木々が生い茂っている聖王教会。見たことのない――というより、なんの木が生えているかなんて、カイトにはさっぱりわからない。しかし、今の季節は冬であるにもかかわらず、この聖王協会の自然は緑のままだ。

 

「あれ……?」

 

 その木々のなかに、一本だけ枯れ果てた木をカイトは見つけた。

 

「あの葉っぱ見たことあるような」

 

 枯れ果ててはいるものの、ギリギリ一つの黄葉した葉をカイトは見た。それは地球では銀杏の木と呼ばれているものだった。

 窓を開けて、目を凝らしてよく見ようとしたとき……突風がおきた。

 

「うわっ!?」

 

 風は窓を開けたカイトにも襲いかかり、そして銀杏の木を襲った。

 一枚だけつけていた葉っぱは、銀杏の木から離れ……空へと飛びだっていった。

 

「ひゃー、すごい風だったわね。ごめんねカイトくん、遅くなっちゃって」

 

 背後から女性の声が聞こえた。

 カイトはもう一度だけ銀杏の木に目をやり、それから窓を閉めて振り返った。

 そこに居た女性は、風で髪型が崩れたのを気にしつつ、カイトの方を見て微笑んでいた。

 

「大丈夫でした? クイントさん」

「えぇ、少しだけびっくりしちゃったけど大丈夫よ」

「そうですか、ならいいですけど」

「それじゃ、帰りましょうか。止めてある車まで案内するから、ついてきて」

 

 カイトは頷き、クイントの後ろについて行った。

 そして、車に乗り込むと今朝来たときとは逆の道を通り、空港まで移動する。

 

「それでどうだったかしら? ミネロ様とあえて良かった?」

「はい。おかげで色々と捗りそうです」

「そう、それなら良かったわ」

「……って、あれ?」

 

 車内に一枚の写真が飾ってあるのをカイトは見つけた。そこにはクイントに、彼女と同じ髪を持つ少女二人と、一人の男性が写っていた。

 

「もしかして、お子さんですか?」

「……えぇ、似てるでしょう?」

「はい。そうですね」

 

 確かに写真に写った少女たちは似ていた。特に髪を伸ばした姉と思しき少女は、クイントの若いころの姿である。と言っても信じてしまうぐらいだ。

 おそらく髪が短い少女もまた、髪を伸ばせば彼女と同じ雰囲気をもつことになるだろう。

 

「ギンガとスバルって言うの」

「ギンガにスバル。ギンガは勿論、スバルも宇宙関係の用語でしたっけ

「えぇ、そうなのよ。よく知ってたわね」

「あれ……? どうして、そのこと知ってるんですか?」

 

 銀河やすばるという考え方は、こちらの世界にもあるだろう、なのになぜそれで意味が通じるのか。カイトには不思議だった。

 

「うちの夫が地球出身者なのよ」

「へー! そうなんですか。なるほど、それで知ってたのか……」

 

 なるほどなるほどー。と、カイトは一人納得していた。

 

「でも意外と地球出身者って多いんですね」

「そうでもないわね。でも、地球出身者がある一定の地位を築いているのは確かよ」

「なるほどー……なるほどー」

 

 それからもクイントから彼女の夫である、ゲンヤ・ナカジマについての話や、カイトの口からなのはたちのことを話しながら時間が過ぎていき、一時間も経つと空港へと着いていた。

 

「それじゃ、ありがとうございました」

「えぇこちらこそ。悪魔使いと会えてよかった。とでも言えばいいのかしら?」

「それは勘弁で。それじゃ、もう会うことはないと思いますけど……」

「どうかしら? またミネロ様に会いに行くことになるかもしれないわよ?」

 

 かもしれませんね。カイトはそう答えて数歩、歩いたあともう一度頭を下げ、それではまた。と言い、空港の中へと駆け足で入っていった。

 クイントはカイトを見送ったあと、時計を見てから時空管理局本部へと車を走らせた。

 

 結局のところ、これがカイトとクイント。そしてミネロが最後にあった日になってしまったといえるだろう。

 けれどカイトが……そして、クイントがそれを知るよしもなく、時は過ぎていく。

 なかなかに現実というのは、非常なのだと……そうしらしめるように。

 

* * *

 

 一日ぶりの海鳴市の気温は、いつもよりもかなり冷え込んでいた。時間はすでに午後七時をまわっており、ちらほらと酔っ払った人間の姿を見かけるようになっていた。

 

 適当に自動販売機でホットコーヒーを買って、手を暖めながらカイトは帰宅しようとしていたが、ふと路地裏に淡い紫の光が放たれているのを見た。

 その光は暗がりで放たれているのもあり、結構目立っていたが誰も見向きもしない。

 

「……?」

 

 それに疑問を覚えつつ、カイトは光が放たれているところを調べるためい、路地裏へと入っていく。

 カイトが近づけば近づくほど、光は強く、確かに輝きを増しているように思えた。

 まるで何かに反応しているかのような、その挙動に違和感を覚えつつ、カイトはそれでも近づく。

 そして、もう手が届くぞっ。といったところまで行ったところで、目がくらむほどの光がカイトを襲った。

 

「うわっ!?」

 

 目をかばいつつ、そこに何があるかを確かめてるために、カイトは手を伸ばし……そして、掴んだ――否、掴まれた。

 

「なんだっ!?」

 

 未だに光は強くはなれており、カイトはそれが何であるかを確認することが出来ずにいた。

 

「……こせ」

 

 小さく声が聞こえた。

 何処か聞き覚えがあるようで、全く違う。と断言できるぐらい、全く似ていない声。

 それと同時に、カイトを掴んでいる小さな手が更に強くなった気がした。

 

「……貴様の、そのちからっ!」

 

 ぐいっ! と、その小さな手からは想像出来ないぐらい強い力が、カイトを前へと動かした。

 

「この我がっ! 貰い受けてやる!」

 

 たいそう偉そうなセリフで、少女はそう宣言した。

 カイトは掴まれている手を、無理やりほどいてCOMPに手をかけた。

 そのときにはもう、光は収まりかけており、カイトのうでを掴んだ少女の正体を、その目で映し出す事ができるようになっていた。

 

「生意気なっ……!」

 

 苦虫を噛み潰したように言う、その少女。細部こそ違うものの、カイトはその少女と似た少女を知っていた。

 

「……はやて」

「ふんっ」

 

 そう、目の前に居る不機嫌そうなその少女は、少年の友人でもある、夜天の主……八神はやてと瓜二つだったのだ。

 

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