IS《インフィニット・ストラトス》 SEEDを持つ者達 第33話
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夏休みが終わりIS学園は2学期に突入した。

二学期最初の授業は一組と二組の合同実戦訓練であった。

合同実戦訓練は第3アリーナで一夏と鈴の模擬戦が行われていた。

 

「うぉぉぉ!!」

 

一夏の雪片弐型と鈴の双天牙月が激しくぶつかり合い、激しく火花を散らしながら鍔迫り合っていた。

 

「押せ、白式!!」

 

白式のスラスターを噴かせると鈴を押し始めた。

 

「調子に乗らないでよ!」

 

一夏と鍔迫り合うのは不利と考えた鈴は距離を離す為、甲龍の龍砲が展開し衝撃砲を一夏に向けて発射した。

だが、一夏は衝撃砲が発射される直前に回避し衝撃砲は地面に当たり砂埃を散らした。

一夏に近づかせないよに鈴は衝撃砲を連射して距離を保とうした。

だが、一夏は零落白夜を発動させた状態で雪片弐型を投げ飛ばした。

 

「ち、ちょっと!?」

 

予想外の一夏の攻撃に鈴は衝撃砲の連射を止め向かってくる雪片弐型を避けた鈴であったが、一夏は投げとばした瞬間に((瞬時加速|イグニッションブースト))で鈴の背後に回っていた。

 

「う、うそ……」

「この距離なら外さね!!」

 

雪羅の荷電粒子砲が発射され模擬戦は一夏の勝利で決着がついた。

 

 

午前の授業が終わり昼食の時間、一夏達は食堂で昼食を摂っていた。

 

「う〜……一夏に負けるなんて……」

 

一夏との模擬戦で負けた鈴は一夏に向けて恨みがましい視線を送っていた。

 

「な、何だよ、そんなに俺に負けるのがそんなに嫌なのか」

「そうよ、あの燃費の悪い白式に乗った一夏にね」

 

((第二形態|セカンドシフト))を果たした白式は多方向加速推進翼が大型化し、更に新装備『雪羅』が増えた事により、機体性能は飛躍的に向上したが、その反面、エネルギーの消費が更に悪化し、今まで以上に短期決戦向けの機体になってしまった。

更に鈴は夏休み前に((第二形態|セカンドシフト))を果たした白式に乗った一夏と模擬戦をしていた。

その時の模擬戦は鈴の勝利しており、その為、今回負けた事が悔しいのである。

 

「それに何、夏休み前の模擬戦じゃ、5分も持たずにエネルギー切れになっていたのに、今日の模擬戦じゃ10分以上も戦えていたんじゃない!」

「ああ、それは簪に白式を調整してもらったんだ」

「ちょっと、何時の間にそんな調整したのよ! 夏休み前に調整していないはずよ!」

「いや、夏休み中にしてもらったんだ、倉持研に((第二形態|セカンドシフト))の白式のデータを取りたいから来てくれて頼まれたんだ」

 

一夏は((第二形態|セカンドシフト))を果たした白式のデータ取りを行う為、夏休み中に倉持研を訪れていた。

 

「それで倉持研に行ったら、簪が居たんだ」

「私も、倉持研に打鉄・弐式のデータ取りたいて言われて」

「その時に調整してもらったんですね?」

「ああ、俺、機体の整備や出力調整が分からなくてな、簪に頼んで白式の調整をやってもらったんだ」

 

整備や機体調整に関する知識はあまり知らない一夏は打鉄・弐式を開発した簪に機体調整を頼んだ。

打鉄・弐式の開発時に白式のデータの提供や開発を手伝ってくれた一夏に簪はお礼も兼ねて白式の機体調整を引き受けてくれた。

簪はエネルギーの消費が一番激しい武装関連を重点に調整をし、更に簪が作成した出力調整プログラムが組み込まれた。

これにより状況に合わせて誰でも簡単に出力を調整できる様になり、エネルギー消費が30%ほどに抑えられエネルギー消費が向上した。

 

「なるほど、白式の稼働時間が上がったのも納得できる」

「まあ、俺もまさか武装の出力調整だけで此処まで戦えるとは思わなかったがな」

「でも、機体制御でもエネルギー消費が激しいから改良の必要がある」

「ああ、分かっている、今日も頼むぜ、簪」

 

先ほどの模擬戦で稼働データを元に簪が白式の機体調整と整備を行う予定である。

一夏は簪の整備をしてくれる事に感謝するのであった。

 

 

その日の放課後、ルナマリアはアリーナの監督を行っていた。

アリーナの閉館時間になりルナマリアはアリーナに生徒が残っていないかアリーナの廊下を歩いていた。

 

『ですからっ! 実弾装備を送ってください!』

 

更衣室を通りかかったルナマリアは一人で叫んでいるセシリアに気付いた。

不思議に思いルナマリアは更衣室に入った。

 

「セシリア」

 

更衣室に入ったルナマリアの目に入ったのは携帯電話で何処かに電話をしているセシリアの姿であった。

セシリアはルナマリアが入ってきた事に気付かなかったのか電話を続けていた。

 

「ああもうっ、融通が利かないっ!!」

 

暫らくセシリアの様子を見ることにしたルナマリアはロッカーの物陰から様子を窺う。

 

「ああもうっ!!」

 

電話が通話が終わったのかセシリアは携帯電話を地面に叩きつけようとした。

 

「ダメよセシリア」

 

ルナマリアはとっさにセシリアの腕を捕まえた。

 

「ルナマリアさん……」

 

ようやくルナマリアが居る事に気付いたセシリアは我に変えた。

 

「どうしたの、あんなに大声を出してセシリアらしくもないわ」

「……な、なんでもありませんわ」

「実弾装備って言っていたけど、もしかして、今の電話の相手ってイギリスのIS整備部門担当者?」

「……はい、実弾装備を送ってもらうよう交渉していたのですが……」

「断られちゃったのね」

「……はい」

 

ため息を吐きながらセシリアは手近な椅子に腰掛けルナマリアもセシリアの隣に腰掛けた。

 

「わたくしの“ブルー・ティアーズ”はBT兵器の実働データを取るものというのは、知っていると思いますが……」

「ええ、第3世代兵器”BT兵器”の開発データをサンプリングするために開発された実験・試作機という意味合いが濃い機体よね?」

「ええ、間違いありませんわ、ですが、今のBT兵器だけでは勝てないんですのよ、一夏さんには……」

「そういことだったのね……」

 

BT兵器のみを搭載している“ブルー・ティアーズ”と((第二形態|セカンドシフト))を果たした白式は相性が悪すぎる。

特に雪羅のシールドモードがある以上、エネルギー兵器主体のブルーティアーズの攻撃は一夏に届くことはない。

 

「今のところ、専用機持ちだけの勝敗成績では。上から順にラウラさん、シャルロットさん、一夏さん、簪さん、鈴さん、そして箒さんとわたくしの順になっていますわ。代表候補生である鈴さん達はともかく、専用機を手にして間もない一夏さんや箒さんに負けるのは……」

「セシリアのプライドが許さない、と」

 

無論それだけではない、イギリス代表候補生として、他国の代表候補生に遅れを取るわけにはいかない。

 

「キラさんが前に一夏の事を話していたけど聞いてみる?」

「お、お願いします!」

 

ルナマリアは静かに語りだした。

 

「一夏の成長スピードは異常、正直に言うと成長スピードが速すぎて白式の方が遅れをとってるくらいよ」

 

ルナマリアの言葉にセシリアが目を見開き驚愕した。

 

「それに、ラウラとシャルロットも近い将来、一夏に勝てなくなる可能性があるわ」

 

ルナマリアの言葉である事を思い出したセシリア。

それは午後の授業で一夏とシャルロットの模擬戦の事である。

授業の一環として一夏とシャルロットが模擬戦を行った。

結果はシャルロットの勝利ではあったが、シャルロットは一夏に追い詰められシールドエネルギーが100まで削られた、しかも一夏を倒すのに10分以上も掛かっていた。

 

「あ、あの、ルナマリアさん、大変聞きにくいことなんですが……」

 

セシリアはオズオズとした感じでルナマリアを見ていた。

 

「一夏さんに勝つにはどうしたらよろしいのでしょう?」

 

その言葉を聞いたルナマリアは思わずクスと笑ってしまった。

 

「わ、笑わないでくだいさいまし! わたくしだってガラじゃないのは存じておりますわ!」

「ごめんね、セシリア、でも違うのよ」

「何が違うのですの?」

 

セシリアはムスッとした顔でルナマリアを睨みつけていた。

 

「ただ、入学した時と比べて、随分と丸くなったなと思ってね!」

「そういえば、そうでしたわね」

 

入学当初は『女尊男卑』を色濃く受けていたセシリアであったが、一夏がセシリアの決闘したのが始まり、そこから徐々にセシリアは変わっていた。

 

「セシリアのお願いだし、一夏に勝てるように、私が特訓に付き合うわ」

「よろしいんですの? わたくしの為に」

「言いも悪いも、生徒が困っているのに助けない教師なんていないわ」

「ありがとうございます、ルナマリアさん」

 

ルナマリアとセシリアはイスから立ちあがった。

 

「その代わり、セシリア、代表候補生として十分にやれていることを、皆に証明しなさいよ!」

「もちろんですわ、このセシリア・オルコットの力、存分に見せ付けて差し上げますわ!」

「まあ、後は料理も出来れば完璧なんだけどね……」

「そ、それは言わないでくださいまし!!」

 

 

翌日、朝からIS学園一年の生徒を全員講堂に集めて集会が行われていた。

もちろん教師でもあるキラ達も参加していた。

壇上に現れた生徒会長である楯無、マイクを前にして今回の集会の概要を話し出した。

 

『さて、色々と立て込んで挨拶が遅れちゃったね。私は更識楯無、生徒会長だから、君達生徒の長よ。以後よろしく!』

 

挨拶もそこそこすませた楯無は、学園祭について話し始めた。

一年にとって初めての学園祭になるが、説明という理由で集めたのは納得できるが、キラは何処か腑に落ちなかった。

 

『まぁ、学園祭の説明と言っても普通の高校で行われる学園祭と大差無いから特に語る事も無いんだけど、今年だけ新ルールを導入しました!』

 

楯無の後ろにあるスクリーンに新ルール、と題名が投影された。

 

『名づけて! “各部対抗織斑一夏争奪戦”!! 織斑一夏を一位の部活に強制入部させましょう!!!』

 

女子達の割れんばかりの叫び声にホール全体が揺れた。

生徒には部活に入るように勧められており、唯一一夏だけ部活は入っておらず、一夏自身部活に入るつもりはないと聞いていた。

まさか、部活入っていない事を利用して文化祭を盛り上げるとは予想外であった。

楯無の行動にキラとシン、ルナマリアは呆気に取られてしまった。

一方、景品にされた一夏は頭を抱えているのであった。

 

 

その日の放課後、一年一組は学園祭の出し物を何にするか話し合っていた。

 

「それじゃ、学園祭で行う出し物を決めたいけど何かある?」

 

教壇に立ったルナマリアが楽しそうな表情をしながら女子達に意見を聞いてきた。

千冬は職員室に戻っており真耶は生徒達の意見を黒板に書き止めておりキラとシンは窓際で女子達の様子を見ていた。

そして、女子達が出した意見は『織斑一夏のホストクラブ』『織斑一夏とツイスター』『織斑一夏とポッキー遊び』『織斑一夏と王様ゲーム』等が挙がっており、キラとシン、そして一夏は呆れていた。

 

「……却下」

『ええええええ!?』

 

一夏は当然、客寄せパンダみたいな出し物に反対するが、女子達からはブーイングの嵐が起こった。

 

「阿呆か!? 誰が嬉しいんだ、こんなん!!」

「私は嬉しいわね。断言する!!」

「そうだそうだ、女子を喜ばせる義務を全うせよ!」

「織斑一夏は共有財産である!!」

「先輩や周りのクラスからも色々言われてんのよ」

「助けると思って!」

「((救世主|メシア))気取りで!!」

 

女子達のお願いにどうしようか困っている一夏、するとシャルロットが机を叩く大きな音とともに、席を立ち上がった。

 

「だ、駄目だよ皆!! 一夏は僕の…僕の……僕の恋人なんだから!!!」

 

シャルロットは女子達のお願いに我慢できず、一夏と恋人だとバラすとそれまで騒いでいた女子達が凍りついた。

 

「ほ、本当なの? 織斑君?」

「ああ、本当だ……俺とシャルは恋人同士だ」

 

一夏の発言に女子達は驚くと共に二人の仲を讃え始めた。

 

「織斑君とデュノアさんなら、お似合いだもんね」

「悔しいけど、あの二人ならしょうがないよ、私、むしろ応援しちゃう!」

「やっと織斑君も女の子の気持ちを理解できるようになったんだから、いいことだよねっ!」

 

二人が恋人であることを賞賛する女子達に一夏とシャルロットは頬を赤くしながら何処か嬉しそうな表情であった。

それを見守っていたキラ達も微笑ましくしていた。

だが、それは直ぐに終わった。

 

「文化祭の間だけでいいから織斑君を貸して!」

 

誰が発したか分からない言葉に一夏達は思わず呆気に取られた。

それに続くかのように他の女子達もその発言に賛同し始めた。

もちろんシャルロットは反対するが女子達はそれでも収まらなかった。

 

「メイド喫茶はどうだ?」

 

サラリと告げたラウラの言葉に女子達が静かになった。

 

「客受けは良いだろう。それに、飲食店は経費の回収が行える。確か、招待券制で外部からも入れるのだろう? それなら、休憩場としての需要もあるはずだ」

 

淡々として答えるラウラに女子達が静まり変えた。

言っている事は正しい。しかし言っている内容とラウラのキャラのギャップのせいで理解するのに時間を要した。

 

「ラウラ……メイド喫茶にしたとして、俺は如何するんだ?」

「一夏には厨房とそれと執事の姿で接客をしてもらえば客も喜ぶだろう」

 

ラウラの言葉に女子達は食いついた。

 

「織斑君の執事……良い!」

「一夏の執事……!」

 

女子達は一夏が執事姿になる事に喜びを露にし、シャルロットは一夏の執事姿を想像して頬を赤くしながらブツブツとつぶやいていた。

女子達が勝手に準備する物を決めていく中、一人の生徒の発言で再び騒然となる。

 

「キラ先生とシン先生の執事姿の接客を見てみたい!」

 

この発言に女子達は更に食いついた。

 

「キラ先生とシン先生の執事、キター!!」

「ダメ、キラ先生とシン先生の執事を想像したら!」

 

キラとシンの執事姿を想像した生徒はこれまでにない喜びを露にしており中には、鼻血を垂れ流しながら喜ぶ女子がいた。

一夏達、そしてキラ達は女子達の喜びに思わず引いてしまう。

だが、キラはこのままでは本当に執事で接客する事になると感じ直ぐに断った。

 

「えっと、先生達は文化祭の日、他の仕事があるから接客は出来ないんだ」

『ええええええ!? そんなぁ!?』

 

酷く落胆する女子達、何とか切り抜けたと安堵するキラとシン、だが、それは直ぐに打ち砕かれた。

 

「でも、接客は出来なくても、執事の格好で仕事は出来ますよね?」

「る、ルナ!?」

 

悪戯子の様な笑みを浮かべながらそう言うルナマリアにキラとシンは慌てるが遅かった。

 

「そうか、その手があった!!」

「ルナマリア先生、ナイス!!」

「そうですよ、接客は出来なくても執事姿でも仕事は出来ますよ!!」

「お願い、キラ先生、シン先生!!」

「文化祭の日だけ執事服を!!」

 

女子達の必至なお願いにキラとシンはついに折れた。

 

「……分かった」

「文化祭では執事服を着るよ……」

 

キラとシンが折れた事により女子達の歓喜の声が包まれた。

かくして、学園祭での1組の出し物はメイド&執事喫茶、“ご奉仕喫茶”に決まり、キラとシンは執事姿、そして何故かルナマリアはメイド服を着る事も決まった。

キラ、シン、一夏は深い溜息を吐きながら不安を積もらせるのであった。

説明
第33話です。

プロローグ
http://www.tinami.com/view/463196

設定集(ネタバレあり)
http://www.tinami.com/view/502954
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コメント
まだ誰が出るかは言えませんが、今現在、キラ達以外のSEEDキャラを出そうと思っている人数は敵味方合わせて10人の予定です。(L)
残りのSEEDキャラは誰が出るんですかね? ムウさんとか出てほしいですね!(クライン)
確かにア○ロに似ていますが、まだ白式が一夏の反応速度に追いついていないことに一夏は気付いていません。(L)
い、一夏の反応速度に機体が追い付かないとは・・・!まるでア○ロじゃないですか!!(ichika)
タグ
インフィニット・ストラトス IS ガンダムSEEDDESTINY クロスオーバー 設定改変あり シン×ルナマリア 一夏×シャルロット 

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