真・恋姫†無双〜だけど涙が出ちゃう男の娘だもん〜[第44話]
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真・恋姫†無双〜だけど涙が出ちゃう男の((娘|こ))だもん〜

 

[第44話]

 

 

気落ちしてばかりも居られないので、ボクは((程c|ていいく))に顔を向け、彼女に腹案があるかどうかを聞いてみる事にしました。

 

「ねえ、((風|ふう))。捕虜の事に気が付いていた君だから、もしかして((天和|てんほう))たちの説得材料とかも考えてあるかな? もしあるなら、ついでに聞かせてくれないか?」

 

程cに言われるまで、ボクは橋頭堡に居る忠義心に厚い捕虜たちの事を失念していました。

張角たちの助命((嘆願|たんがん))を無視し、((騙|だま))し討ちに近いやり方で処断した場合、それが漏れてしまったら反旗を((翻|ひるがえ))される可能性もあるという事の重要性をです。

でも彼女は、その重要性を理解していた。そして、諸葛亮の張角たちを更生させようとする案に、消極的にではあるものの同意を示してくれた。

そんな程cの事ですから、張角たちを説得できる材料なども考えているかも知れないと考えたのです。

 

「おい兄ちゃん。ついでって言いぐさは、ねえだろうよ。人に物を聞くなら、丁寧に頼むってのがスジってもんじゃねぇかい?」

 

いきなりガラの悪い男が使うようなしゃべり口調が、程cの方から聞こえてくる。

ちょっとの間を置いて、ボクは程cの頭上に居る((宝ャ|ほうけい))がしゃべったように彼女が((装|よそお))ったのだと理解した。

意表を突かれて出鼻がくじかれた今の体験から察するに、これが人との会話で主導権を握る為の彼女なりの方法ではないかと愚考する。

それならそれで仕方がない。という訳で、ボクは暫く程cに付き合って宝ャとの会話を楽しむ事にしました。

 

「なんだ宝ャじゃないか、久しぶりだね。元気にしていたかい?」

 

長年の友人に逢えたような((親|した))しみを((匂|にお))わせながら、ボクは宝ャに話しかけていきました。

 

「おっ? おお、久しぶりだな……って、ちげえーよ」

「おや、そうかい? でもまあ、久しぶりに会ったんだ。まずは、((挨拶|あいさつ))から始めるのが礼儀ってもんだろう?」

「むぅ。そりゃあ、そうかも知れな……でも、ねえー。まったく、((危|あや))うくまた((騙|だま))されるとこだったぜ……。おいおい兄ちゃん。ふざけた事ばかり言って、((人様|ひとさま))と会話するつもりはあるのかい?」

「いやだなぁ〜、宝ャ。ちゃんと、こうやって君と会話しているじゃないかぁ〜? それと君、人じゃないからね。うん」

 

程cの調子に合わせる事をせず、自分の流れで会話を交わしてきたボクに、彼女は意表を突かれたようでした。

『士別れて三日なれば、((刮目|かつもく))して((相|あい))((待|たい))すべし』と云いまが、女性に間違われるような容姿をしているとは云え、ボクもれっきとした((男子|おのこ))であります。

そうそう、皆にからかわれてばかりでは無いという事ですよ。(キリッ)

ボクだって日々成長しているのだと思い知れば良いのです!

 

「「フフッ……、フフフフッ……」」

 

ボクと程cは互いの心情を理解してか一歩も((譲|ゆず))らず、さきに顔を((背|そむ))けた方が負けだと言わんばかりの、そんな不敵な笑い合いをしながら相対していくのでありました。

 

「やめんか! この馬鹿どもが!」

「ふごうっ?!」

「ふみゅう?!」

 

程cと不敵な微笑で((睨|にら))み合っていると、いきなり厳顔がボクたちの頭上にゲンコツをかましてきた。

そのゲンコツの痛さのあまり、ボクと程cは地面にしゃがみ込んで((悶絶|もんぜつ))しながら((唸|うな))るしかありません。

久しぶりに厳顔のゲンコツを喰らいましたが、幼い頃の記憶に((違|たが))わない凄い威力で、目玉が飛び出しそうでした。

ボクは、これでも元服を済ました成人男子。それに、華陽王・益州((牧|ばく))でもある。

火に油を注ぐようなものですから面と向かっては言えませんが、((守役|もりやく))の頃のように容赦なく殴ってくるというのは、もうちょっと考えて欲しいものです。

暫くそうして頭の痛みが((和|やわ))らぐのを待ってから、ボクは厳顔に文句を言おうと涙目ながら立ち上がっていきました。

 

「なにすんだよ、((桔梗|ききょう))! 痛いじゃないか?!」

 

目に涙を浮かべて文句を言い放つボクに、厳顔は腕を胸の辺りで組ませながら小馬鹿にしたような視線で話しかけてくる。

 

「痛くしたのですからな、痛いのは当たり前でありましょう」

「は? なにそれ? そういう事を言ってるんじゃないよ?!」

「ふむ。では、何を言っておられるのですかな?」

「いや、だから。なんでゲンコツかまされるのかって、それを聞いてるんですけど?!」

「なんじゃ、そんな事ですか。そんなもん、わしに聞かれても知らん! ご自分に聞かれたら((宜|よろ))しかろう!」

「はぁああ〜?!」

 

なんか全然、会話が((噛|か))み合ってないんですけどぉおおー?!(悲痛)

ボクの方が、なんか間違ってるんでしょうかぁ〜?

ゲンコツで殴られた痛みに加え、厳顔と会話が成り立たない事へのある種の痛みが混じり合って、なんだか頭がものすごく痛くなってくるボクでありました。

 

「やれやれ。風が悪い訳ではないですのに、えらい目にあったのですよ」

 

いつの間にか復活している程cが、そんな事をぼやくように((呟|つぶや))いてきました。

 

「いつまでも若で遊んでおるからじゃぞ。気持ちは分からんでもないが、軍師なら軍師らしく、さっさと策の一つでも進言せい! まったく、これでは寝る時間がのうなって肌が荒れてしまうではないか。わしの肌は、お((主|ぬし))らと違って敏感なんじゃ!」

 

厳顔が程cの言葉を聞き((咎|とが))め、そのように言い放ちました。

でも、彼女の話す前半は納得できる部分もあるのですが、後半部分は納得できないと思うのです

むしろ後半部分の本音が原因で、殴られる事に成ったと思うのはボクの気のせいでしょうか?

しかも不穏な言葉が混じってるし、何をどうする気持ちが分かると言うのでしょうか。

ちょっと聞くのが恐い気がします。

 

(それにしても、なんだよ。そんなの、桔梗の肌が曲がり((角|かど))ってだけの話しじゃないか。まったく。それで殴られるって、ただの((八|や))つ当たりだっつうの!)

 

自分の思いを言葉にすると角が立ちそうだったので、身の安全を考慮して内心で毒づく事にしました。

でも何故か、そんな心の叫びが聞こえてしまったようで、厳顔がボクを睨みつけてくる。

そんな恐い彼女の顔を見て、ボクは幼い頃の体験を思い出し、ちょっぴりビクついてしまいます。

 

「何か言いたそうで御座いますなぁ?」

「い、いや。なんでも無いですよ? ほんとですよ?」

「ふん! でしたら、さっさと席に戻ってはいかがですかな?」

「は、はい。そうします」

 

厳顔の言葉を受けたボクは、そそくさと自分の席に戻る事にしました。

((椅子|いす))に座って視線を程cに合わせてみると、彼女が『休戦』という言葉を目で語ってきます。

ボクはそれを了承して((頷|うなず))き、改めて問いかけていく事にしました。

 

「え〜、風さん? 改めて聞くけど、天和たちに協力してもらえるような案はあるかな?」

「そですねー。まあ、彼女たちには暫く我慢してもらうしかないでしょうね」

「うっ……。やっぱり、それしかないのか」

「まあ、あとはですね。いずれは歌い手として身が立つように、後援する事を条件にするしかないと思いますね」

 

((一縷|いちる))の望みをかけて程cに策を聞いたのですが、彼女もこれといった案はないと言う。

そんな事態に失望したボクに、程cはどうでも良いといった感じを匂わせながら代案を出してきた。

 

「ああ、そうか。そういえば天和たちは歌い手だったっけ。すっかり忘れていたよ」

 

程cの進言を聞いて、そういえば張角たちは歌い手だったと思い出します。そして、それを老公に上手く利用されたのだと。

ボクにとって張角たちは、取扱い要注意の((厄介|やっかい))者以外の何物でもなく、それに色々な事が続けてあった事もあり、彼女たちが何を希望して何を目指していると云った情報をすっかり失念していたのでした。

 

「まあ、あれですね。お兄さんは人の上に立つ者として、配下の献策を選べば良い立場ですけども。それにしても、押さえておいた方が良い情報は、もうちょっと覚えておいた方が良いと思いますよー?」

「うぐっ……。そうだね。今後は、そう出来るように留意するよ」

 

さきほどの程cとの((諍|いさか))いの決着がつかなかった事もあり、ボクの失点に彼女は容赦のない一撃をかましてくる。

休戦はどうした? と思わないでもないのですが、そこはそれ。また冷戦を始めると厳顔が黙っていないという事で、ボクは差し((障|さわ))りのない返答で場を((凌|しの))ぐしかありませんでした。

 

(でも、そうか。天和たちの協力を得られれば、捕虜たちを((種子|たね))として((芽吹|めぶ))かせると云うボクの望みも、思ったより早く((叶|かな))うかも知れないな。それに、これから人を集めていくのも、これまでより簡単に成っていくかも知れない)

 

ボクはそのように思い、張角たちを厄介者として見定めていたから、そのように見えていただけだと理解する。

だから、彼女たちを協力者として見定めてみると、それに((応|おう))じた道が見えてきたのです。

後は、どの道がボクの望みへ繋がるのかを見定め、それを選択していくだけでありました。

 

今現在の漢王朝の統治方法は、実際には各地に点在している城郭都市を統治しているに過ぎません。

多くの場合、街に住む農業を営む者は、朝方に都市を出て近隣の農地を開墾し、夕方には都市に戻ってくるという生活をしている。

それは何故かと問われれば、そうしないと夜盗などに襲撃されて命の危険などがあるからです。

つまりは、領地にある都市と領民の総数が重要なのであり、領土の広さが即、国力に直結しているのではないという事。

統治する領土が広かろうと領民の総数が同じであれば、むしろ領土の広い方が交通が不便な分で不利だからです。

だから国力を上げていく為には、それに見合った領民を集めて都市を建設していく必要がありました。

そこでボクは、手始めに統治する華陽国(旧漢中郡)の((南鄭|なんてい))を富豪都市にする事で人を集めていったのです。

人は利に((聡|さと))く、誰もが豊かな生活を望む。

だから南鄭だけでなく、華陽国の他県の都市、続いて益州各郡の都市に広がっていくのも時間の問題でした。

でも、それだけでは、今度は富を((巡|めぐ))っての争いが絶えなく成る。それでは何の意味もなく成ってしまう。

だから軍の下部組織である警察隊の設立や、都市間の街道警備もかねての乗合馬車、それに華陽国だけでも学校を各県に建設して道徳を学んでもらう事で、それらを回避して来たのです。

また、((屯田|とんでん))兵を都市建設の候補地近郊に派遣して、農地を開墾させてもいました。

いずれ開墾した農地近郊に都市を建設していけば、すぐにでも領民を養っていけるからです。

これらの政策のお陰で益州、取り分け華陽国はこれまでにない発展をしていく事が出来ました。

 

でも本来、他州へ無許可での移民や流民になる事は御法度。

領民の人数が税収と軍事力に直結するのですから、増やしたいと思うのは誰もが同じであり、当然と云えば当然の事かも知れません。

だから、今以上の州の発展を望むには、自然増加以外の方法として、他州から合法的に領民を集める必要があった。

そういう意味では、皇帝から黄巾党の討伐の((命|めい))を受けた事は、ボクにとって渡りに船以外の何物でもありませんでした。

皇帝の((勅命|ちょくめい))という大義名文を使って、誰に((憚|はばか))る事もなく益州の領民を増やせるのですから、当然の帰結だと思います。

でも、それも一時の事に過ぎません。今回の乱が終結してしまえば、また頭打ちの状態に((陥|おちい))ってしまうからです。

ですが、もし張角たちの協力が得られるならば、少しずつではあるかも知れませんが、これからも領民を増やしていく事が可能になる。

それはすなわち、国力の増加が今後も見込めるという事。

いずれは益州全土の許容人数に((迫|せま))り、頭打ちの状態に成って数は減ってくるかも知れませんが、今現在はそうではありません。

だから、領民の人数が増える事に何の問題もありませんでした。

それどころか、望むところだといっても過言ではないでしょう。

 

ボクはいずれ益州だけで無く、他州にも影響力を持ちたいと考えていました。

そうすれば、これまでより早く望みが叶うと思うからです。

でも、そうボクが思っているからといって、その望みが必ずしも叶うとは限らない。

だから最悪、益州と涼州。それに((司隷|しれい))にある旧都・長安と、それを守る((関|せき))だけでも統治下ないし同盟関係に置いていくつもりでした。

そうすれば、なんとか他の勢力からの侵攻を阻止していく事が出来るし、((隙|すき))があれば付け((入|い))る口もあると思うのです。

そうして((凌|しの))いでいる間に、そこから人々の意識の変革を((促|うな))がしていこうと考えていました。

益州は他州との((境|さかい))には堅牢な山脈などがある。

そして、州境にある関などの出入り口を重点的に押さえておけば、人の出入りが制限できるというのが((強|つよ))みでありました。

それに華陽国から見い出される富などの利益や、娯楽としての張角たちの歌い手としての人気などがあれば、仮に史実のように曹操が北域を統治して安定させたとしても、孫権が統治する地域から領民が逃げ出したようには成らないと思うのです。

自分や家族が幸せであり、そして経済圏が確立しているなら、たとえ望郷の念が((生|しょう))じたとしても、そうそう今の生活を捨てて行くとは思えないからでした。

 

 

(ふむ。そう考えると、天和たちには来てもらって良かったかな? これも天の((采配|さいはい))という事なのでしょうかね?)

 

ボクはそう思い、張角たちを厄介者たちだと考えていた、そんな自分の思い違いに気が付きます。

自分の置かれている状況を、好機的に見るか危機的に見るかは自身の見方によって変化してしまう。

どうやらボクは、その事をつい忘れてしまっていたようでありました。

 

(やれやれ。風の言う通り、もうちょっと気を付けなければイケませんね)

 

そう思いながらボクは、つい批判的な見解に固執していた自分を反省するのでありました。

 

 

「じゃあ、とりあえず。天和たちの協力を得る為に、いずれ彼女たちが歌い手として身の立つように後援する。という条件で話しを持っていこうか。その方が、彼女たちも納得してくれるかも知れないしね。皆も、それで良いかな?」

 

ボクは周りに居る将軍たちを見回しながら、そう確認をした。

それを受けて彼女たちは、同意を示すように頷いてくれる。

 

「では次に、天和たちが協力を((拒|こば))んだ場合なんだけど、ボクは((放逐|ほうちく))するのが良いと思うんだ。朱里と風が言った通り、この場で彼女たちを処断すると、ちょっと嬉しくない状況に成ってしまいそうだしね。だから消極的かも知れないけど、ボクたちは誰にも会わなかった。そして何も起らなかった。そういう風に話しを持っていった方が良いと思うんだけど、皆はどう思うかな?」

 

ボクは張角たちに協力して欲しいと持っています。そうすれば、自身の望みが早く叶うかも知れないと思うからです。

でもそれは、ボクがそう思っているだけの事で、張角たちには何の関係もない話しでありました。

今回の場合で云えば、選択する権利は彼女たちにもあり、その選択を尊重しなければならないと思うからです。

”力”で押さえつければ、一時的には従ってくれるかも知れません。

そしてボクが望むように、張角たちは太平要術の書簡から得た知識を使って人を集めてくれるでしょう。

でも納得していない以上、反抗心は残ってしまうでしょうし、その反抗心が育つような事でも起きれば、たちまち((敵愾心|てきがいしん))に成って牙を((剥|む))くように成る。

そう成ってしまえば、それこそ収拾がつけられなく成ってしまうのです。

そうであるならば、今ここで処断できない以上、お互いが納得できる形で何も無かったとした方が無難だと思えたのでした。

 

 

「ですが、刹那様。それですと、他の諸侯に3人が捕縛されてしまった場合、私たちが彼女たちを見逃した事が((露見|ろけん))してしまうと思うのですが?」

 

ボクの問いかけに答えるように、((呂蒙|りょもう))が自分の意見を具申してきました。

 

「そうだね、その可能性もあると思う。でもさ。言い方は悪いかも知れないけど、指名手配の犯罪者が言う事と華陽王・益州牧であるボクの意見、どちらが((信憑|しんぴょう))性があると思う? ((戯言|ざれごと))を言っているとしか判断されないんじゃないかな?」

「それは……そうかも知れませんが……」

「まあ。仮にそうなったら、その時にでも対処すれば良いさ。どこの誰が相手かも分からいうちに、対処法を決めていても仕方がないからね」

「それも、そうですね。申し訳ありませんでした」

「いや、構わないよ。どんな意見でも言ってもらった方が良いからね」

 

呂蒙へ自分の考えを言うと、彼女は納得してくれたようでありました。

たしかに、他の諸侯に捕縛されて張角たちを利用されると脅威に成るかも知れません。

それに、見逃した事を脅迫材料として、何がしかの譲歩を((強|し))いてくる可能性も考えられる。

ですが、それらは正攻法で対処していけば良いだけの事。それを可能にするだけの”力”は((有|ゆう))しているし、それなりの情報も既に聞き出しているのですから。

正攻法は、((小細工|こざいく))で((揺|ゆ))るぐほど((脆弱|ぜいじゃく))なものではありません。そうであるからこそ、古来から正攻法と呼ばれるのです。

敵として立ちはだかると云うのなら、やってみれば良いのです。ボクは情け容赦なく相対するでしょう。それを((行|おこ))なうに((躊躇|ためら))う理由も必要もない。

だから、なんの問題もありませんでした。

 

 

「ふむ。しかし、宜しいのですかな? せっかく、功績を立てる機会が向こうからやって来たというのに」

 

今度は趙雲が、そんな事を人の悪い微笑をそえて言ってきました。

そんな彼女の態度を見て、ボクは溜め息をつきながら話しかけていきます。

 

「あのね、星。そういう自分でも思っていない事を、ボクを試すように言うのは止めてくれるかなって、いつも言ってるよね? これも何回、言ってるのか忘れちゃったけどさ」

「ふふふっ……。つい、言いたくなってしまうのですよ。これも((主|あるじ))の人徳の為せる((業|わざ))ではありませんかな?」

「そんな人徳いらないから。それにね。功績なんて、これまで十二分に立てて来たと思うよ。これ以上は、他の諸侯の((妬|ねた))みを買いかねないさ」

「なるほど。そうかも知れませんな」

 

たいして気にしていない意見だったのか、ボクが返答すると趙雲は素直に引き下がっていきました。

まあ、彼女の事です。後で問題にならないように、一応そういう意見もあるという事を、ちょっと言って置いた方が良いと考えたのかも知れませんね。

 

「他に意見はあるかな? もしあるなら、遠慮なく言って欲しい」

 

ボクはそう言って、周りに居る将軍たちを見回します。

でも、彼女たちから異論は出てきませんでした。

 

「まあ。それもこれも、天和たちが協力を拒んだ場合の話しさ。できれば、彼女たちには協力してもらいたいと思っているしね」

 

ボクは誰にいう訳でも無く、そのように言いました。

自分がどうしたいかを、自身に確認するかのように。

 

「じゃあ、明命。悪いけど、誰かに天和たちを呼びに行かせてくれないか? それと、その時に彼女たちの荷物も一緒に持ってきて欲しい」

 

ボクは張角たちを呼びに行かせるよう、周泰に将兵の誰かに命じるように言いました。

彼女は了承して、天幕の外へと出かけて行きます。

 

 

(さて。望む結果だけに固執していても仕方がない。ボクたちは、自分の思う最善を尽くして行くしかないのだから。成るかどうかは天の采配次第。それは後のお楽しみ、ってね)

 

ボクはそう思い、後は張角たちの出方次第だと腹を((括|くく))るのでありました。

 

 

説明
無難な人生を望み、万年やる気の無かったオリ主(オリキャラ)が、ひょんな事から一念発起。
皆の力を借りて、皆と一緒に幸せに成って行く。
でも、どうなるのか分からない。
涙あり、笑いあり、感動あり?の、そんな基本ほのぼの系な物語です。
『書きたい時に、書きたいモノを、書きたいように書く』が心情の不定期更新作品ですが、この作品で楽しんで貰えたのなら嬉しく思います。
*この作品は、BaseSon 真・恋姫†無双の二次創作です。
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