水城アウトレット |
霧島一は暗い深い感覚の中だった。
一はその感覚を知っていた。朝布団の中から出たくないときの感覚だ。
布団の仲と違うのは、自分を覆う布がないことと、感覚を自覚しても抜け出せないことだった。
起きよう、この欲求から抜け出そう、そう一は考えた、次の行動をするために。だが一がすべきことはここにはなかった。
体の感覚を取りもどし、初めは周囲を正確に知覚した。
その場所は暗く、わずかながら揺れていた。窓の外には今まで見たことがないくらい美しく星が輝いていた。
電車だ。霧島一は電車に乗っていた。だがそんなことよりも、一の興味は窓の外だった。一は手が届きそうなぐらい近くの星々を見詰めていた。まるで子供の用に、一は好奇心に抗えなかった。
それを見たとき、一の頭には様々なものが駆け抜けた。言葉も光景も匂いも一が美しいと思った時の感動に近い感情。
フラッシュバックしたものは音でも聞こえてきた、文字でも見えた。肩や腹や指先に独特の緊張が走った。
「止めるんだ」
一は取られたように興奮から覚めた。
反射的に振り返ると、数歩先に霞がかかった何かがあった。
「人間か?」疑問を投げかけるというよりは思ったことをそのまま口に出した。
「そうだよ。私は人間だ」一はまた何も考えず目の前の何もない空間をぬぐう。霞を払いたかった。すると結露を拭いたそうに霞は消え、人間と名乗る何かの姿が見える。
そこにいたそれは少年だった。銀色に輝く異質な髪、少女と見まがうような華奢な体躯、そして凛とした顔立ちは少年だと気付かせるには難があった。
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※題名と本文に関係はありません「〜った。」をよく使うのどうにかならんものか。アドバイスあればください。(切実) | ||
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