転生したら聖王の末裔 |
「はい、ご飯だよっと」
そう言って包帯だらけの四人組に卵粥を振舞う。
四人は全員警戒している目で僕を見ている。ただ青髪の少女だけは受けとってすぐに食べたけど。
「で、何でこの家に入ってこれたのか聞きたいんだけど……まぁ原因はそこの女の子なのは分かるんだけどさ」
「貴様……何者だ」
銀髪の少女は警戒心と敵意を隠さずにそう言う。
「さてね、古代ベルカの聖王の末裔とだけ言っておくよ。ちょっと事情があって結界を張ってたんだけどね……」
本当、アイツはしつこいからなぁ。
あんまり使いたくない四つ目の力の練習をしていたのを見られて以来しつこいんだよなぁ。あの科学者は僕のその力の一部を自分の娘に与えて強化しているのにさらに求めるって、本当嫌だよあの無限の変態は。
「……本当そこに居る子のせいでアイツにこの場所がバレタかも……ああ、そう考えてくると憂鬱だよ。アイツなら間違いなくこの結界を破壊する方法くらい思いつくかもしれないし」
「だから貴様は何者だと言っておるだろうが!! 敵か味方かそれ以外か、ちゃんと言え!!」
「ああ、そっちの意味で? ならそれ以外で、って言うか何でここに入れたかを聞きたいんだけど……」
「知らぬ、少なくとも……我等ではない。我等に牙を向けたあの忌々しい腐った下郎のせいではあるだろうがな」
ふぅむ、銀髪の話を聞く限りだとやっぱりあの銀髪オッドアイが関わっているのか……だとしたら恐らく乖離剣を持ってるだろうな。
博麗大結界そのものに傷を付けることが出来る能力は世界に干渉する能力じゃないと駄目だ。フランドールの能力のように馬鹿げた能力などが必要だ。大嘘憑きとかも考えられなくも無いけど所詮アレは因果律に関与する物、実体の無いコレには効かないし何よりそもそも通用しない。
よく二次創作とかで球磨川が幻想入りして暴れまくると言うものがあるけど現実は違う。どんな力があっても所詮は現実の人間、幻想には太刀打ちできない。次元そのものが違うからなのかは分からないけどね。
実際に試したからよく分かる。
「で、食べないの?」
「……まだ信用は出来ん」
「私はお腹が空きましたので食べます」
「シュテル!?」
茶髪の少女が空気を読まずに食べ始める。
何か何処かで見た事あるようなキャラだな?
「……あの」
そう思っていたら今の今まで一番大人しかった小柄な少女がそう言った。
「なぁに?」
「貴女はオリヴィエの……」
「一応言っておくけど僕は男だ」
その瞬間――世界が固まった。
「固まるなよ!!何でそこでありえないって表情してるんだよ!てか今まで食う事に夢中だったアホもかおい!!」
女顔なのは分かってはいるけど流石にこの態度はきつい。
「す、すみません……それで貴方は」
「その問いにはYESと答えるよ。で、今度はコッチの番。君達は今は人間だ。反論しない?」
「……しません」
ああ、なんだろうか。会話が詰まる。
てか何で――
「何でそんなに自信が無い感じなのさ」
「え……?」
「もうちょっと熱くなれよぉおお!! とは言わないからさ、せめて――――――――――――――こんな感じに出来ないわけ?」
「……無理です」
「あっそ。別に出来ると思っていたわけじゃないから気にしていないけど」
そもそも期待しているわけでもなかったけどさ。
「ねぇ」
今まで一回も会話に参加してこなかったアホが呟く。
「君は、何なの?人間じゃないよね」
「……やっぱりどこの世界もアホは鋭いのか」
「それって僕のこと馬鹿にしてるよね」
「うん」
「シュテるん、ルシフェリオン貸して。砲撃するから」
「お断りします。それよりも私はおかわりを所望します」
そう言ってこっちに茶碗を向ける。
それを受け取って鍋の中にある物をすくって渡す。
「ありがとうございます」
「どうも、で、青髪は一体何を言いたいの?」
「君の本気を見てみたい。隠してる力を――僕って力のマテリアルだからさ。何となくだけど分かるんだよ。君の力が」
「……しょうがない、だったら少しだけ見せてやるよ」
そう言って自分の魔力を暴走させる。
すると自分の中から何かが出て行くような感覚を覚える。
それは青黒い何かをしていて、そいつはそれを払う。すると中から人知を超えた自分の写し身が出てきた。
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