〜　外伝話 †それは街の中で†　〜

俺は今戦場にいる・・・

しかも、周りに味方はいない頼れるのは己のみ

俺の名前は太史慈（たいしじ）だ

厳白虎（げんはくこ）の一番の家臣であると自負している

誰よりも大将の事を・・・いかんいかん、今は戦場だ気を引き締めろ俺

そう・・・俺は今・・・

「糞が！何で今日に限って厨房係が休みなんだよ！！」

『漢女（おとめ）の館』で厨房係をしている真っ最中だ！

「木通（あけび）〜３番席に本日の漢女道２つだ」

「わぁ〜ったよ！！まきねぇ少しこっちてつだ・・・」

「ふふ〜ん、私目当ての小鳥ちゃんいるからお・こ・と・わ・り」

「くそぅ・・・俺だって飯食いにきたのに・・・」

「文句なら店主にいってくれよ〜２番席から催促きてるぞ〜」

「くそっくそっ！皆・・・白が悪いんだああああああああ！」

今日も洛陽はまだ平和みたいだぜ・・・

一番忙しい時間が終わり

午後からの係と交代の時間がやってきた

「疲れたぁ〜・・・」

「あらん？子義ちゃん、今日はありがとねぇ〜ん

　ほんと〜に助かったわぁ〜ん・・・お・れ・いに

　厳ちゃんからお・て・が・み預かってるわよ〜ん」

俺の目の前にいるかいぶ・・・もとい店主の貂蝉(ちょうせん）

こいつには頭が上がらない、母さんを保護してくれたし

何より白との連絡を直接取れる数少ない人物だからだ

俺達に対する仕事の時は専用の密使がちゃんといるが

個人的な事がある場合は大抵貂蝉を通して手紙を持ってくる

「は、早く渡せ！！」

「はいはい、子義ちゃんは乙女なんだから〜」

「う、うるさい！」

貂蝉からひったくるように手紙を奪い取った俺は

自分が住んでいる屋敷に帰った

やや広い屋敷には母さんはもちろん、まき姉事高順（こうじゅん）も一緒だ

「母さん、今帰ったよ」

「おかえり、木通・・・良い事何かあったのね？」

「え、あ・・・うん・・・えへへ・・・」

「今日は疲れたでしょ、苧環（おだまき）さんから聞いてるわ

　部屋でゆっくりと休みなさい」

「分かった、母さんおやすみなさい」

「ええ、おやすみなさい」

母さんの顔を見るとやっぱり安心する

自分の部屋に入り、布団に飛び込み

もらってきた手紙を見る・・・顔がにやけるのが止まらない

「おやおや、白ちゃんからの手紙一つで

　こんなにとろける木通ちゃんはやっぱり可愛いなぁ」

「なぁっ！？ま、まき姉いつからそこに！？」

「うん？最初っからだよ？」

いつの間にか窓際に座っていたまき姉

俺の本当の姉のように優しく厳しい人・・・

そして、俺にとっての好敵手でもある人だ

「まっその手紙、一応私宛でもあるらしいんでね

　どうせなら一緒に見た方が楽かなと思ったんだけど

　お邪魔だったようだね？」

「っ・・・！？いいわよ、一緒にみればいいじゃない！！」

「口調、戻ってるよ？」

「いいじゃない！家の中位！！」

「くっくっく、本当に可愛いな木通は」

「ふ、ふん！」

こうして、夜が更けて明け方近くになるまで二人で手紙を読み

そこに書かれてある事、一つ一つを心に染みこませながら

今日も私は『あの人』の為にできることをやっていく

「ねぇまき姉」

「どうしたんだい？」

「あの人が皆に嫌われてしまっても私達は絶対居場所作って待ってあげようね」

「ああ、当然じゃないか・・・

　私も木通も『あの人』の為に生きるんだろう？」

「うん！！」

「明日からまた少し動くとするか」

「だね！！」

『あの人』が私達と再会できるまでにやることはたくさんあるのだから・・・