IS 黄金騎士物語 第三話 |
イギリスとの出会い
鋼牙視点
授業も一通り進み、山田先生がディスプレイを下げ、こちらを向く
「それでは、ここまでで質問がある人はいますか」
そう言い周りを見る。そんな中、俺はと言うと
(・・・付いて行くのがやっとか)
姉さんから渡された何処かの電話帳のようなもので事前に勉強していたのだが、如何せん覚えるべき知識が多すぎる。付いて行くのがやっとというのが今の現状だ。
「鬼崎くん。ここまでで質問がありますか?」
山田先生が俺に聞いてくる。これは今の現状をきちんと言うべきだ。
「今の所ではこれと言って質問はありません。ですが、基礎的な所でまだつまづいている所があります」
「鬼崎。私が渡した参考書はどこまで読んでいる?」
千冬姉さんが話に入ってきた。
「はい。一応全部目を通しましたが、基礎の所しか解っていません」
「そこまで分かっているなら今はいいだろう。しかし、すぐに新しい所に入る。お前一人のために全員の授業を遅らせる訳にはいかん。後で山田先生か私で補講をする。放課後は空けておくようにしておけ。参考書も一週間で読むように」
「分かりました」
確かに俺一人のためにクラスまで巻き込むわけにはいかない。しかし一週間で全部把握出来るだろうか。
・・・やるしかないか。
「それでは授業を終わります」
山田先生が授業の終わりを告げ、休み時間に入る。俺も次の授業の準備をして、参考書を読んでいる。
・・・駄目だ。解らない所が多すぎる。ここは誰かに教えてもらうべきだ。
「ちょっといいかな?」
「ふぇ?!」
後ろの女の子に話しかけると話しかけられると思っていなかったのか驚いた顔で俺を見て、顔を赤くした。
変な声を出したので恥かしかったのだろうか?
「いきなり声をかけてごめんね。えーと・・・」
「き、岸原理子です!!」
俺が名前を思い出そうとすると、大きな声で彼女から教えてくれた。しかし、本人は自分の出した声が大きかったことに気づき、さらに顔を赤くした。
取り敢えず、話さないと。
「岸原さんだね。ごめんないきなり声をかけて。実は分からない所があって教えて欲しいと思ったんだけどいいかな?」
「わ、私で良かったらいいよ!!き、鬼崎くん!!」
「・・・鋼牙。鋼牙でいいよ」
「えぇ?えぇ!?」
「こうやって喋ったのも何かの縁なんだから折角だし友達にならないかな?俺の事は鋼牙でいいよ」
そう言って笑顔で手を出す。岸原さんはさっきより真っ赤になって、何やらオタオタしている。
「いいな、いいな!!!」
「くそ!!もっと早く行動を起こすべきだった!!」
「なぜ!?なぜ、私は後ろではないの!?」
なにやら遠巻きに見ていたクラスメートがひそひそと喋り出した。何かあったんだろか?
しかし、いきなりすぎたかな?だが、高校生活はじまって友達が一人もいないのは悲しすぎる。
でも、やっぱりいきなりすぎたかもしれない。
「わ、私でよければいいよ!!鋼牙くん!!」
さきほどより控えめだが、若干大きな声を出しながら、俺の手を両手で挟み、答えてくれた。
「ありがとう!いや〜、いきなり言ったから無理かと思ったんだけど。よろしくね。理子」
「ふぇ!?」
「あっ!ごめん!いきなり、名前で呼ばれるの嫌だっ・・・」
「ううん!!いいよ名前呼びで!いいよ!!」
「そ、そう?ありがとう、理子」
「う、うん!!こ、鋼牙くん・・・」
消え入るような声だったけど、名前で呼んでくれたようだ。
さすがに、名前呼びはやり過ぎたと思ったけど、相手も嫌そうじゃなくて良かった。
さて、だいぶ逸れたが、俺は分からない所があったから、話かけたのだから、教えてもらおうと話しかけようとすると、
「ちょっとよろしくて?」
「ん?」
誰かが話かけてきた。話しかけてきた相手をみると、金髪ロングヘアーの縦ロール、きれいな碧眼、白い肌をしたいかにもお嬢様といった女の子がいた。
「ちょっと、お返事はどうしたのですか?」
「えっ?えっと・・何?」
「まぁ!!何ですのそのお返事は!!わたくしに声を掛けられたのですからそれ相応の態度というものがあるでしょう!!」
・・・あぁ、今時の女性か。
女尊男卑の社会になってから、女=偉いという風になり、男は下に見られるようになった。実際にデパートなどで突然小間使いされるなどよくある光景になっている。
しかし、これもごく一部の話であるのだが、ひどい世の中になったものだ。
「ごめん。俺君の事知らないだけど」
そう返す。はっきり言うが、クラスの名前などさっき話した理子と箒しかわからない。自己紹介なんて落ち着いて聞いていなかったし。
しかし、
「わたくしを知らない!?このイギリス代表候補生にして、入学首席である、わたくしセシリア・オルコットを!?」
知らないことを正直にいったら怒られた。そんな事言われても知らないものは知らない。
「オルコットさんね。代表候補生って確か国家代表の候補者の事であってるかな?」
「あら、自己紹介では自信がないと言ってましたが、さすがにそこまでは分かっているようですわね。そう、エリートですわ。わたくしと同じクラスになれただけでも幸運なのですわ。その事実を理解しいて?」
尊大な言い方で腰に手を置き、モデルのようなポーズをとるオルコット。
俺は別にエリートとは言ってはいないんだがな。
「なるほど幸運なんだな」
「・・・馬鹿にしてますの?」
「幸運って言ったのオルコットさんだよ?」
「まぁ、いいですわ」
優雅に髪をかきあげながらいうオルコット。
自分で幸運とか言ってその態度はないと思うが。
「まぁ、わたくしはエリート中のエリート。さきほどの自己紹介でISは素人といっていましたので、そうですわね、泣いて頭を下げるなら教えて差し上げても構いませんわ。なんたってわたくし、入試で教官を倒した唯一のエリートなのですから」
本当に今時の女子を表したような人だな。ほとんど自分の自慢だし、こんな態度だと友達できないぞ。せっかく綺麗なのにもったいない。
「わかった。じゃあ、わからない所があったら教えてもらうよ。それでね理子。ここがわからないんだけど・・」
さっきから空気になってる理子に話しかけて、わからない所を教えてもらおうとする。
「えっ?!えっと・・・。あぁ、ここはね・・・」
「ちょ、ちょっと、あなた!!」
理子に教えてもらおうとすると、何やら怒ったような声で俺に近づくオルコット。
「どうした?オルコットさん?」
「あなた。さきほどのわたくしの話を聞いていましたか!?」
「ちゃんと聞いていたけど?」
「なら、普通わたくしに教えを乞うべきでしょう!!なぜならば、わたくしは入学主席なのですよ!!」
なんだそれ。
「お前が入学主席なのは分かった。けど、それが教えを乞う理由にどうしてなる?
俺は理子に教えてもらおうと声を掛けた。初対面でいきなり声を掛けたのに、彼女は快く俺の分からない所を教えてくれると言ってくれた。
それに比べてお前は何だ?泣いて頭を下げれば教えてあげる?悪いがそんな風に言う奴に頭を下げる気なんてこれっぽっちもない。言っておくがこれは俺だけが思ってる事じゃないからな?」
俺はそう言い、周りを見る。
「確かに」
「あんな言い方しなくてもいいのに」
「絶対友達いないね」
「むしろ友達になりたくない」
周りも俺と同じ考えのようだ。
オルコットもそんな空気がわかったのか、顔を赤くしていく。
「ふ、ふん!!後で後悔しても知りませんよ!!」
負け台詞を言いながら自分の席に戻るオルコット。
それと同時になるチャイム。結局勉強できなかった。ため息がでそうだ。
「ごめん、お願いしたのにこっちのせいで時間取らせて」
「う、ううん。別にいいよ、どう考えても鋼牙くん悪くないし」
そう言って、笑ってくれる理子。
うん。笑うと可愛い。
前に師匠が『女の笑顔はどんな宝石よりもキレイなもんだ』って言ってたけど、確かにそう俺も思う。やっぱり、笑顔が一番だな。
「この後時間があったら教えてくれないかな?」
「も、勿論!!あたしでいいなら!!」
どもりながらも教えてくれると言ってくれる理子。
いい子で良かった。これがオルコットみたいだったら泣いてたかも知れん。
「授業が始まっているのにいい度胸だな」
鬼の声。もとい鬼崎先生の声が聞こえた。
バン!!バン!!
「・・・どういうつもりだ。鬼崎」
「どういうつもりと言われましても」
いきなりの出席簿アタックを俺は普通に防いで理子にも落とされた出席簿も止めただけですが?
「いや、彼女に話しかけたのは俺ですし、彼女は律儀に答えてくれただけなので、叩かれる必要はないと思っただけですが?」
「なるほど。ならば次は防ぐなよ」
そう言って振り落される出席簿と言う名の鉄槌。
まぁ、俺が悪いからふせいじゃいけないか。鋭い音と共に俺の頭にきた出席簿。
角で当てたのはきっとわざとだろう。
頭を抱えながらそう考える俺だった。
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セシリア登場。 | ||
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