IS x アギト 目覚める魂 46: 執拗な追跡 |
一夏と秋斗がいなくなり、一週間が経過しようとしていた。監査官は特に二人と親しい関係を持っている専用機持ち達に様々な質問をした。殆どが代表候補生、及び国家代表なので断る訳にも行かず、交流関係等を色々と明かす破目になった。聴取が終わって部屋で一息ついていた所で、簪の携帯が着信音を発した。
「はい・・・・」
『簪か?俺だ、一夏だ。』
簪は息を飲んで口を押さえた。目尻から涙がぽろぽろと零れ落ち始める。
『長い間連絡を取れなくて済まない。隠れるのにちょっと色々あってな。でも、俺は無事だ。保護されてる。詳しい事は当然言えないが、スクランブル回線を使ってるから盗聴も逆探も心配無いから。そっちはどうなってる?』
「あの、ね・・・・・委員会から・・・・一夏達を、ほ、捕獲する、めっ、い・・・命令が、出たの・・・・」
しゃくり上げながら説明する簪。
『やっぱりか・・・・アンノウンの事については何て言ってる?』
「まだ、分かんないぃ・・・」
『アンノウンを倒す『((習性|・・))を持つ俺達を使って倒そうって腹積もりだろうな。小沢さんも大丈夫だと良いけど・・・・あんまり、無茶すんなよ?』
「一夏に言われたくない・・・・」
いつもアンノウン相手に無茶しまくっている一夏からのその言葉は
『それもそうか。戻ったら、またデートに連れて行くから。俺の事・・・・・嫌いにならないでくれな?』
「一夏の事は、ずっと大好きだよ。今もこれからも。」
『・・・・ありがとな。俺も簪の事、愛してるから。んじゃ、そろそろ切るぞ。次に連絡するのはいつかは分からないけど、絶対生きて戻るからな。』
「うん・・・・・」
ガチャリ。電話が切れた。
「良かった・・・・・生きてたんだ・・・・・」
「はーあ・・・・・・そろそろっすね。」
「ああ。いつまでもアメリカ軍の世話になるわけにはいかない。翔一さんの所にでも行って店の手伝いをしながら匿ってもらおう。」
荷造りを済ませた二人は、浜辺に出る。既に軍の何人かが整列し、その筆頭では、ナターシャとイーリスが立っていた。
「本当に行っちゃうの?」
ナターシャが残念そうに言う。
「いつまでもここに居候する訳にも行かないですから。」
「でも、今まで本当にありがとうございました。」
深々とお辞儀をして感謝の意を示す。
「また来いよ?お前の作る飯はマジで美味いからな。また食いたいぜ。」
「縁があったら、良いですよ。」
二人はマシントルネイダーに乗って空に登って行く。その間、ナターシャ達は敬礼の姿勢を保った。やがて姿が見えなくなると、二人がここにいたと言う証拠を隠滅する作業に掛かり始める。
「さてと・・・・どうしますかね・・・・」
「まあ、そこまで時間は掛からない筈だ。全速力で走ってるんだからな。っ!?嘘だろ・・・・」
「まさか・・・・!?」
「ああ。来てるぜ。水中だ。」
すると、水の中から二本の三つ又の矛が現れて二人を突き刺そうとするが、それを回避して蹴り返す。
「水の中から・・・・・上級タイプ・・・・?」
「いや、違う。恐らく見た目が似ているだけだろう。兎に角、足場が無い水の上じゃこっちが不利だ。一夏、お前の能力で海の一角を凍らせられるか?」
「・・・・やってみます。」
「「変身!」」
ギルスの姿を介さずにアイスフレアフォームに変身し、右手が海に触れた瞬間、そこから半径数百メートルが氷に覆われた。踏んでもびくともしない。アギトはそのままマシントルネイダーから飛び降り、ストームフォームに変わった。ストームハルバードを構えて、摺り足で移動する。ギルスもバスターフレアを構えてアンノウンの気配を察知しようとした。
「・・・・・・逃げましたね。てか、秋斗さん変身出来たんですか?」
「いつもの五十パーセントの力程度だから、本調子とは行かないが、まあ、アギトとしては戦えない事も無い。なんにせよ、このままじゃイタチごっこだ。俺達がばてるのが先か、仕留められるのが先か・・・・」
だが、その瞬間、氷を割って二体のアンノウンが二人を地面に組み伏せた。フィッシュロード、ピスキス・アラパイマ、ピスキス・セラトゥスである。
「く・・・こ、のぉ!」
「どき・・・・やが、れぇ!」
二体をともえ投げで引き剥がし、再び立ち上がって距離を取った。
「一夏。それを使うな。万が一氷を砕いたら足場が無くなって俺達が自滅する。」
ギルスは無言でアイアンブリッツフォームに変わり、アイアンダスターを構えてピラニアの様なフィッシュロード、セラトゥスの方に向かって行く。だが、その道をアラパイマが阻み、額のシグナルが発光して体から蒸気が吹き出した。
「うわっ!?」
アギトは瞬時にフレイムフォームに変わってフレイムセイバーを居合いの構えで持ち、中腰になった。感覚を研ぎすましたフレイムフォームは、必死で気配を探る。
「そこか!」
振り向き様に振り下ろしたフレイムセイバーが堅い物に当たる手応えを感じた。恐らくフィッシュロードの得物に当たったのだろう。すかさず空いた手でパンチを闇雲に叩き込み、再びフレイムセイバーを振り上げたが、後ろから攻撃を喰らう。
「ぬお?!」
バランスを崩し、地面に倒れ込んだ。更なる追い打ちを受けそうになったが、
バヂヂヂ・・・バチバチバチ!
雷撃が二体をその場から吹き飛ばした。
「霧の中じゃ俺なんも見えないっすから・・・・」
それを放ったのは、アイアンダスターを持ったギルスだった。
「馬鹿野郎、俺まで殺す気か?!」
ギルスの頭を軽く殴り付けた。
「あだっ!あ・・・・・霧が、霧が晴れてる!」
「今度こそ逃げられたな。どうやら、お前の電撃系の攻撃がかなり効いたらしい。」
二人は変身を解除し、その巨大な氷塊から飛び去った。そしてしばらくしてから・・・・
「また来た!」
「今度はISか。」
「あれ、秋斗さんもハイパーセンサー部分展開してたんですか?」
「ああ、まあな。だが、追っ手がここまで早く気付くなんて幾らなんでもおかし過ぎる。もしかしなくても、アメリカ軍の誰かが密告した可能性があるな。」
『織斑一夏、並びに門牙秋斗!諸君らを、IS委員会の命令により、拘束する。大人しく投稿すれば悪い様にはしない。』
「良い様にもさせないぜって顔だがな。どうする?」
「売られた喧嘩は、買って、勝つ!」
「言うだろうと思ったぜ。後ろは任せろ。」
「うぃっす。」
マシントルネイダーから飛び降りた二人は、空中でISを展開した。一夏は雪片を、秋斗はアクセルディバイダーとバイススピアを構え、敵対の意思を示す。
「掛かれ!」
先遣隊六名の隊長らしき女性の号令と共に、二人にIS部隊が襲いかかる。
「バーカ。」
『コキュートス、発動』
『警告、周囲が極低温に変化しています。OS、MSに異常が発生しました。PIC作動不良。高度が維持出来ません。エラーエラーエラーエラーエラー』
引っ切り無しに鳴る警報に困惑し、動けなくなった五人を、一夏は零落白夜で半分近くエネルギーを削った。そして留めに秋斗がレーザーキャノンを掃射し五人に接近、その内四人にショックウェイバーを喰らわせて撃墜させ、五人目はアクセルディバイダーの加速付きの斬撃を喰らって堕ちた。所要時間、僅か三分である。
「そんな・・・・・ウグッ?!」
ビュートモードのバイススピアで首と体を締め上げた。
「残るはてめえ一人だ。選ばせてやる。ここで情報を吐くか、あいつらみたいに海に堕ちて鮫の餌になるか。」
「・・・・・・委員会は貴方達が持つ能力の研究を行おうとしているわ。でも、その為には((貴方達|サンプル))が必要なの。」
「何だよ、今度はサイキック兵士でも作ってISに乗せようとでも思ってるのか?」
一夏の言葉に、彼女は歪んだ笑みを浮かべた。
「そうよ。日本の自衛隊のデータベースの奥底に眠っていたシステムを復活させるの。」
「自衛隊・・・・・まさか・・・・・・嘘だ。あのデータは全て消した。あの時に」
「深海一等陸尉がそんなヘマをすると思ってるの?バックアップ位用意してあるわ。」
「・・・・・もう良い。消え失せろ!」
ザンッ!
クラッチレバーを三度操作したアクセルディバイダーを最大出力で振り下ろした。その一撃で、最後の一人を撃墜する。
「クソッタレが・・・」
「どう言う事ですか?」
「委員会の糞共が・・・またあの過ちを犯す気か!!!G4システムをまた作り直すなんて!!!」
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ここからそろそろG-4を絡ませて行こうかと思います | ||
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