恋姫†無双・萌将伝〜妄想外史シリーズ〜 雨に歌えば
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雨が降っている。

もちろんこれは必要なことだと分かっている。

日照りが続けば田は枯れ穂は実らない。

地は乾き川は干上がる。

もともと私だって人の上に立っていた。だから雨がどれほど重要かは分かっている。

恵みの雨だ。

だけど…

わかっているけど…

それでも私はいまこう思わざるをえないのだ。

私は雨が嫌いだ。

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麗羽に敗れてからこっちろくなことになっていない。

競馬では蒲公英に敗れ、来る日も来る日も仇である麗羽たちのお守り。

それでも敗走した私を拾ってくれた桃香への恩もある。

それは返さないといけないし、こんなことでくじけてしまっては私について来てくれた兵たちに申し訳が立たない。

それは自分でもよーくわかっている。わかっているからこそ物悲しくなる。

すぐにでも兵を率いて前線にたてる覚悟はしているんだ。

って…はぁ…

こうも雨が続くとどうもいけないな。考えが後ろ向きになる。

気を取り直して…と行きたいところだがこの天気じゃな…

どうせ城のみんなには私がどこにいるかなんて気にもかけてもらえないだろう。

ましてや迎えになんて来てくれるわけもないだろうし…

なんか自分で言っててまた悲しくなってきた。

泣いてないぞ。これは雨だ。

夕立のせいなんだ。

散歩に行くってせめて斗詩にでもいってくればよかったな。

はぁ…はやく雨、止まないかな…

ちょっと濡れたし、髪も拭きたい…

ただなぁ…居候の分際で紫苑に風呂を沸かしてもらうっていうのも気が引ける。

さすがに風邪をひくってことはないだろうけど体を冷やすのは得策じゃない。

なにより風邪なんかひいて、これ以上桃香に迷惑かけたくないし。

はぁ…盧植先生のところに言ってた頃は二人でこんな雨の中一緒に走ったりしたけど、いまじゃもう立場も違うんだもんなぁ…

桃香に気を使わせてるって感じもするし、なにより北郷。あいつと…

はぁ…さっきから気がめいることばかりしか思いつかない。

それも全部天気の…?

ん?

なんだよこんな雨の中で歌ってるなんて頭のおかしいヤツが…

だめだ目を合わせたらきっと絡まれる。

「お〜い。」

無視だ、無視が一番だぞ白蓮。この手の連中は動物と同じ…

「お〜い、おいってば。」

なんだよ馴れ馴れしいなぁ。速くあっちに…

「おい白蓮、どうしたんだよ。せっかく迎えにきたってのに。」

…えっ?なんで…?

「だって雨降ってるだろ?ほら見てよこれ。どうよすごいだろ!真桜に頼んで作ってもらったんだ!」

いや、そういうことをいってるんじゃなくてだな…

「あぁ、大丈夫濡れないよ。なんせほら、発水効果はこんなにあるし、なによりまず一回目だ。」

………はぁ。

「いいよなー。傘をはじめて使う日ってテンション上がるよなー。あの映画とはちょっと状況が違うけど、雨の中で歌いたくなる気持ちはすこしわかったよ。」

おーい、もどってこーい。

「I'm sing in the rain…」

おーい!しっかりしろー!

「…っとごめんごめん。ほら、白蓮。溜息ばっかりついてないでさ。一緒にいこうぜ。」

なんだよ。もう。

っていうかどうして私がここにいることがわかったんだよ!普段目立たない女なんだぞ!?

「そりゃ出かけるのが見えたからな。ホントは一緒に来たかったけど愛紗の奴に捕まっちゃってさ…」

…おい、まさか逃げてきたのか?

「いやいやまさか。そこは新装備の試運転といって出てきたわけですよ。」

新装備?

「もちろんこれのことさ。傘だって立派な装備だし。雨天行軍のお供ってわけ。嘘ついてないし。」

ものはいいようだな。目が泳いでるぞ?

「あぁ。でもおそらくすぐバレるぞ。俺が傘をだしにサボってるだけってな。」

だったら速く戻れよ。

「それもそうだけどさ…そんなもったいないこと誰にできようか、いや誰にもできない。」

え?

「だからいっただろ?白蓮を迎えに来たんだ。一人でフラ〜っとでていくのが見えてさ。入道雲がみえてたから降るかなーとおもってね。傘は一本しか用意できなかったけどさ。」

なんだよ。どういうことだよ?

「ちょっと散歩してから帰ろうぜ!ほら速く!」

あい、ちょっと…ひっぱるなよ。わかった。わかったから…

「この時代の雨の日ってさ。いつも活気がある街が静かになってすごく新鮮なんだよな。ほら!」

なんだって言うんだよ全く…勝手な奴なんだな。

「なに?なにか予定でもあった?なら傘だけおいて行くけど。」

…違うよ。

「じゃあいこうぜ!せっかく白蓮と相合傘できると思って持ってきたんだ!やんじゃう前にほら!」

まったく…まるで新しいおもちゃを前にしたこどもだな…

「ははっ、違いない。」

いいよ。この後予定もないし。誘ったのはお前なんだからな?

愛紗に怒られても私のせいにするなよ?

「あぁ、大丈夫だよ。それに、やっと笑顔になったね。」

え?

「さっきまで溜息ばっかりついてて心配したんだぞ?俺の方も無理させちゃってたかなって思ったし…仕事もうまく回してやれなかったし。ごめんね。」

え?私そんなに落ち込んで見えたか?

「あぁ、ちょっとね。でも、もう大丈夫そうだな!」

…あぁ。そうだな。

どっかの馬鹿のお蔭でだいぶ元気になってきたよ。

「どういたしまして。では気を取り直して。」

あぁ、では失礼して。その傘とやらに入れさせてもらおうかな。

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雨が降っている。

もちろん雨は必要なことだと分かっている。

でも雨が降れば田は潤い穂は身をつける。

地はかたまり川は流れ始める。

もともと私だって人の上に立っていた。だから雨がどれほど重要かは分かっている。

恵みの雨だ。

だから…

わかっているから…

それゆえ私はいまこう思わざるをえないのだ。

私は雨が好きかもしれない。

説明
これも外史供養の一貫というか…
せっかく書いたしいいかなって…
某所で公開したけどもこっちも保管庫になかったから供養の意味を込めまして。
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コメント
>きまおさん 公孫賛さんは三国志自体の方でも守城に長けた名主だったはずですが、特徴のないのが特徴になってしまって…いのししも凡庸というのはある種の才能ではあるとは思います。(たくましいいのしし)
目立たないって・・・どんなことでも標準以上の力量でこなすってすごい才能だと思うのだがw例えるならあいしゃたんは武力は10でも他のステータスは5とか3があるのに対し、ハムさんはオール7とか。万能型ってかりんたんとハムさんだけだし。でも幸せそうだぜこんちくしょう!(きまお)
>アサシンさん コメントありがとうございます!白蓮ちゃんはもうちょっと扱いよくしてあげても罰が当たらないですよね!(たくましいいのしし)
ハムさん良かったな〜〜〜(涙)(アサシン)
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