恋姫外史終章・いつまでも一刀第20と1/4話
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ボン太くんの部屋

 

「山賊退治?」

 

「ふも?」

 

「そう、つい最近本拠地が分かったのよ。だからボン太くんに、そいつらを排除して欲しいのよ」

 

「ふもっふ、ふもふも」

 

「敵の数は?それと、兵士はいくらお貸しいただけるのでしょうか?・・・・・・だって」

 

「賊の数はだいたい三百人くらい、こちらから貸せる兵士の数は・・・・・・三十人かしらね?」

 

「ふも?」

 

「お姉ちゃんそれ本気!?」

 

小蓮は驚きの声を上げる。

 

「もちろん。ただの山賊どもとうちの精兵たちが同じ数でやったらあっさり勝てちゃうでしょ?それじゃあボン太くんがどれだけ優秀なのか分からないじゃない・・・・・・」

 

「でも、それはあんまりだよお姉ちゃん・・・・・・」

 

「ふも」

 

ポンと、小蓮の肩に手を置くボン太くん。

 

「え?」

 

「ふも、ふもふも、ふもっふ」

 

「何て言ってるの?」

 

「えっと、一週間いただけるでしょうか?それだけ時間がもらえれば、この任見事に果たして見せましょう・・・・・・って言ってる」

 

「へえ・・・・・・いいわ。詳しい事は後で伝えさせるから、お願いね」

 

そう言うと、雪蓮は部屋から去っていった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「引き受けたのか?あっさりと」

 

「ええ、そりゃあもうあっさりと」

 

「何か秘策でもあるのだろうか・・・・・・」

 

「さあ?とりあえず冥琳、兵士の人選は頼んだとおりにしてくれた?」

 

「ああ、全員問題児か役に立たない腰抜けばかり集めておいた。しかし・・・・・・ボン太くんの力を計るというか、これはただの無茶振りだと思うのだが・・・・・・」

 

「私も受けなかったら冗談で済ませようと思ってたんだけど、受けたからにはやってもらうわ」

 

「ふむ、まあどうやって任務をこなすのか、興味はあるな・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

「ホントに一週間で何とかなるの?」

 

「ふも!・・・・・・ふもっふ」

 

「え?協力して欲しい人がいる?」

 

「ふもっふ」

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

 

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「で、今兵士たちを訓練してるんだっけ?一週間じゃああんまり意味ない気がするけど・・・・・・」

 

「同感だな。何か考えでもあるのかと思ったが、平凡な答えだったな」

 

「まあ、一応見に行ってみましょうよ」

 

「別に構わないが・・・・・・」

 

などと会話しながら訓練場に向かう雪蓮たち。

 

そこで彼女たちが見た物は・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「ふも!ふもっふ!!」

 

「あと五周追加!」

 

「「「「ぜえ・・・・・・ぜえ・・・・・・」」」」

 

ボン太くんと小蓮、疲労困憊の状態で訓練を続ける兵士たちと、

 

「貴様らは蛆虫だ!ダニだ!この世で最も下等な生物だ!!」

 

兵士を汚い言葉で罵倒し続ける思春の姿だった。

 

「・・・・・・何で思春が?」

 

「さあ?聞いて見たらどうだ?」

 

「そうするわ」

 

雪蓮と冥琳は思春に向かって歩いていく。

 

「私の仕事は貴様らの中から○○野郎を見つけ出し切り捨てる事だ!・・・・・・これは雪蓮様、冥琳様」

 

思春は罵倒を中止し、二人に向かって礼をする。

 

「ふも?」

 

「あ、お姉ちゃん」

 

ボン太くんたちも雪蓮たちに気付いたようで、二人揃って駆け寄ってくる。

 

「何で思春が手伝ってるのよ?」

 

「小蓮様に頼まれまして」

 

「・・・・・・シャオ?これはボン太くんの仕事でしょ?貴方はともかく、何で思春に手伝わせてるのよ?」

 

「お姉ちゃん、さっき思春が兵士たちに言ってたの聞いたでしょ?」

 

「え?ええ・・・・・・」

 

「ボン太くんがね、私にこんな汚い言葉を言わせたくないから助っ人を頼んで欲しいって言ってきてね、思春に手伝いを頼んだの」

 

「む・・・・・・確かに思春ならともかく、小蓮様があのような下品極まりない言葉を口走るのは、褒められた事ではないな・・・・・・」

 

「でしょ?それに、城の誰かに手伝ってもらってはいけないなんて、お姉ちゃん一言も言わなかったじゃない」

 

「そ、そりゃあそうだけど・・・・・・」

 

「ふもっふ、ふもふも、ふもっふる」

 

「別に甘寧殿に戦ってくれと言っているわけではありません。このくらいは許してもらっても罰は当たらないのでは?・・・・・・だって」

 

「・・・・・・分かったわ。思春、面倒な仕事を増やしちゃって悪いわね」

 

「いえ、小蓮様の頼みですし、このくらいは・・・・・・む?誰が休んでいいと言った!この○○野郎共!!」

 

「「「「ひええ!!」」」」

 

ボン太くんたちが雪蓮たちと話している間にへたばっていた兵士たちは、思春の怒号で我先にと訓練に戻っていく。

 

「・・・・・・じゃ、じゃあ私と冥琳は行くから、その・・・・・・頑張ってね」

 

「はっ!・・・・・・罰として訓練場十周追加だ!この○共が!」

 

「「「「ぜえ・・・・・・ぜえ・・・・・」」」」

 

「とろとろ走るなこの○○が!泣き言言うならこの場で○○○○流し込むぞ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ねえ、冥琳。どう思う?あれ・・・・・・」

 

「さあな・・・・・・お前はどう思うんだ?」

 

「そうね、一言言うとすれば・・・・・・」

 

「すれば?」

 

「生き生きしてたわね、思春」

 

「・・・・・・そうだな」

 

思春の罵詈雑言を背に、二人は疲れた顔で、その場を去ったのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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一週間後、山賊たちの砦前

 

そこにはボン太くんが立っていた。

 

しかし、彼一人ではない。

 

その後ろには、灰色のボン太くんが三十匹整列していた。

 

砦の方を向いていたオリジナルボン太くんは、三十匹の灰色ボン太くんたちに向き直った。そして・・・・・・

 

(注・ここからはボン太くんの言葉を同時翻訳してお送りします)

 

「ふもっふ!ふもふもふもっふ!」

 

(野郎共!俺達の特技は何だ!?)

 

「ふもっふ!ふもっふ!ふもっふ!!」

 

(殺せ!殺せ!殺せ!!)

 

「ふもふもふも!?」

 

(俺達の目的は何だ!?)

 

「ふもっふ!ふもっふ!ふもっふ!!」

 

(殺せ!殺せ!殺せ!!)

 

「ふもふもふもっふ!?ふもふもっふ!?」

 

(俺達は孫呉を愛しているか!?孫呉の民を愛しているか!?)

 

「ふも!ふも!ふもーーーー!!」

 

(ガンホー!ガンホー!ガンホーーーーー!!)

 

「ふも!ふもっふ!!」

 

(よし!全員突撃ーーーー!!)

 

「ふもーーーーーー!!」

 

(うおおおおおおおおお!!)

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「カ、カシラ!敵襲です!」

 

「何い!?どこのどいつだ!?」

 

「それが、見た事も無い着ぐるみの集団で・・・・・・」

 

「着ぐるみだあ?寝ぼけた事言ってんじゃねえぞ?」

 

「本当なんです!数は三十、門を突き破ってうちのやつらを次々と血祭りに・・・・・・」

 

バン!!

 

扉が乱暴に開け放たれた。

 

次々と入ってくる灰色のボン太くんたち。

 

全員剣や槍、斧、弓などで武装しており、武器もボン太くんたち自身も返り血で真っ赤に染まっていた。

 

「な・・・・・・」

 

山賊の頭は絶句するしかなかった。

 

そして、灰色のボン太くんたちの後ろから、オリジナルボン太くんがゆっくりと歩いてくる。

 

「ふもふも・・・・・・ふもっふ!!」

 

(あとはあいつらだけだ・・・・・・殺れ!!)

 

「「「「ふもっふーーーーー!!」」」」

 

(イエッサーーーーー!!)

 

山賊の頭に殺到する灰色ボン太くんたち。

 

「く、来るな!・・・・・・ぎゃあああああああ!!」

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

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城内・執務室

 

「ふもふも、ふもふもふも」

 

「敵は一人残らず殲滅しました。報告は以上です・・・・・・だって」

 

「そ、そう。ご苦労様。今日はゆっくり休んでちょうだい・・・・・・」

 

笑顔を引きつらせながら、雪蓮はボン太くんに言った。

 

「ふもっふ」

 

ボン太くんは敬礼すると、ペタペタと歩きながら扉を開け、部屋を出て行った。

 

「こちらの兵の損失は無し・・・・・・か」

 

「あの問題児たちもすっかり従順になって、言う事無しだ。やるものだな・・・・・・」

 

「凄いよね〜〜」

 

雪蓮は椅子に寄りかかって天井を見上げ、冥琳と小蓮はボン太くんの手並みにすっかり感心していた。

 

「このままずっと居てくれないかな〜〜・・・・・・」

 

「何なら小蓮様が口説いてみては?随分と仲がよろしいようですし・・・・・・」

 

「それ名案!よ〜し、シャオの魅力でボン太くんを骨抜きにしてやるんだから!」

 

意気込む小蓮。

 

「でも、シャオじゃあ色気が足りないんじゃない?」

 

「お姉ちゃん酷い!」

 

「なら、お前がやってみるか?雪蓮」

 

「ん〜〜、やめとくわ。好みじゃないし・・・・・・」

 

「なら、小蓮様に頑張ってもらうしかないな」

 

「任せといて!そうと決まれば早速準備しなきゃ!!」

 

シャオはバン!と勢い良く扉を開け、部屋を飛び出していった。

 

「どうやら本気で惚れ込んでしまったようだな」

 

「ていうか、冥琳がこんな案出すなんて珍しいわね?」

 

「・・・・・・確かにな」

 

ふう、と一息つくと、冥琳は椅子に寄りかかった。

 

「ボン太くんには今回の任務の間に、いくらか政務もやらせてみたのだ」

 

「で?」

 

「良く出来ていた。私達が全く考え付かないような案もあってな。素直に感心したよ」

 

「ふ〜〜ん。そんなに有能だったんだ」

 

「ああ。あれほどの者が私達についてくれれば大助かりだと思ってな。一番仲が良い小蓮様をけしかけた訳だ」

 

「なるほどね。上手くいくといいけどねえ・・・・・・」

 

「実の所、そこまで期待してはいないのだがな」

 

「冥琳酷!」

 

けらけら笑う雪蓮に、冥琳は苦笑いしながら肩をすくませるのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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おまけ

 

「むう・・・・・・」

 

思春は自室の鏡の前に立っていた。

 

その両手には一着の服・・・・・・というか、着ぐるみが握られていた。

 

今回手伝ってもらった礼として、ボン太くんがくれた大きなリスの着ぐるみである。

 

寝台にはもう一つ、鈴付きのリボンを付けたボン太くんの着ぐるみもあった。

 

「こんな物をもらった所で・・・・・・」

 

すぐ捨てようと思った思春だったが、そうはしなかった。

 

この着ぐるみに、何か懐かしいものを感じたのだ。

 

「・・・・・・」

 

キョロキョロと辺りを見渡す思春。

 

・・・・・・

 

ゴソゴソ・・・・・

 

「思春、ちょっといいかしら?」

 

ギィと扉を開け、蓮華が部屋に入ってきた。

 

「!!」

 

そこで蓮華が見たのは、一匹の大きなリスの着ぐるみであった。

 

「し、思春?」

 

「・・・・・・」

 

リスの着ぐるみを着た思春は動かない。

 

蓮華も予想外の出来事に硬直していた。

 

何秒経っただろうか?

 

パキィン・・・・・・

 

思春の頭の中で、何かが弾けた。

 

「・・・・・・!!」

 

その瞬間、思春は着ぐるみを着たまま蓮華を避け、部屋を飛び出していった。

 

「し、思春!?」

 

蓮華の声に振り向く事もなく、思春は走っていく。

 

彼女の頭の中にあったのは、唯一つ。

 

 

 

 

 

 

(北郷・・・・・・殺す!!)

 

 

 

 

 

であった。

 

 

 

 

 

そしてそのまま思春はボン太くんの部屋に乱入し、

 

 

 

 

 

ボン太くんVSベルちゃんの着ぐるみバトルが勃発するのである・・・・・・

 

 

 

 

 

 

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おまけ2

 

 

 

時間は戻り、曹操領内

 

「・・・・・・はっ!?」

 

「沙和、どないしたん?」

 

「真桜ちゃん!」

 

「な、何やねん」

 

「今、沙和の立ち位置が酷く揺らいだ気がするの!」

 

「はあ?」

 

突然の沙和の言葉に、真桜は首を捻る事しか出来なかったのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

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どうも、アキナスです。

 

今回のサブタイトルは「やりすぎのファンシー」とでも名づけましょうか、つまりそういうことです。

 

これらも好きなんですが、私が特に好きなのは、善意の○○○○○なんですがね。

 

さて、沙和の可愛さから来るギャップもありだと思うんですが、ピッタリなのは思春じゃないかと思ったりして、こんな話になったわけです。

 

やっぱり沙和だろ!と言う人には申し訳ないのですがね・・・・・・

 

それと、補足です。

 

オリジナルボン太くんは真桜ちゃんのからくり箱の中にあった品の一つで、龍の皮をふんだんに使った斬撃、打撃、刺突、更に防火防水にも優れたスーパースーツです。

 

対して、灰色の量産型は急遽作成した模造品で、皮は動物のなめし革、内部に鎖帷子を編みこんでいて防御力はそれなりにある一品です。(まあ、非常に重いので並の兵士では使いこなせませんがね・・・・・・)

 

とにもかくにも、意外な人が記憶を取り戻したわけで、これからいったいどうなるか本当に分からなくなってきました。

 

思春のメインヒロイン昇格も・・・・・・あるかもね?

 

そんな所で次回に・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「気の毒だけど死んでもらうよ・・・・・・ダーーーーーーーーィッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
みなさんお待ちかね・・・・・・(誰も待ってないか)
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コメント
本郷 刃さん:冥琳か祭あたりの介入で水入り・・・・・・ってところですかね?(アキナス)
きまおさん:他にはどんな人にやらせたら面白いでしょうかねえ・・・・・・(アキナス)
不知火 観珪さん:戦い回避は正直まだ厳しそうですね・・・・・・(アキナス)
オリジナルボン太くん+量産型×30とか怖!?ってかシュールかつカオスな光景だwww ボン太くんVSベルちゃんの結果は果たして・・・w(本郷 刃)
やっぱりでた量産型wオリジナルと共にスパロボでも大活躍wwそして軍曹はさすがにサワーマンじゃないだろうと思っていたら、この人かよ!って感じでした。でもあーしぇたんとかひなりんとかゆえたんでもある意味適役立と思うんだ!(え(きまお)
スーパーボン太くんだ! 思春さんも記憶を取り戻しまして、もう少ししたらシャオも戻りそうだし、呉と美羽の戦いは避けられそう……なのですかね?(神余 雛)
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