魔法少女リリカルなのは −九番目の熾天使−
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 翌日、俺は街の中へ買い物に向かっていた。流石にシグナム達にやらせるわけにはいかない。シグナムがテスタロッサと戦ったのだから、必ず高町なのはが介入、若しくは既に関わっていると思われる。

 

「え〜と、豚バラ肉に鶏モモ、タマネギとニンジンにジャガイモ、それと……って、今日はカレーか?」

 

 ああそれと、ヴィータにアイスを買ってやらなければいけなかった。はやてにアイス禁止令が出されているが、あの絶望した顔を見て買ってやらない訳にもいくまい。

 

「アイスは……スーパーパックでいいだろう」

 

 俺はアイスを籠に入れようとして手を止めた。何故止めたか? それは視界にとある親子が映ったからだ。

 

「フェイト、今日は何がいいかしら?」

 

「えっと……な、なんでもいいよ?」

 

「もう、もっと我が儘を言っていいのよ?」

 

「う、うん……じゃあ、今日はハンバーグがいい」

 

「分かったわ、ハンバーグね♪」

 

 どう見ても、いや、どう聞いてもフェイト・テスタロッサとプレシア・テスタロッサだった。しかも割と至近距離にいる。

 

 俺が思わず視線を向けてしまったので、プレシア・テスタロッサがこちらを振り向いた。

 

「あら、どうしたのかしらボク? 私の顔に何か付いてるのかしら?」

 

 一瞬ビクッとなったが、至って平静を装って目前の問題に対処する。

 

「あ、いえ、この辺りじゃあまり見ない人だったので……つい……」

 

 苦しい言い訳に聞こえるが、間違ってはいない筈だ。

 

「あら、やっぱり分かっちゃうのかしら。私達は今日ここに引っ越したばかりなのよ」

 

「あ、そうなんですか。どおりで……。あ、何か分からないことがあれば何でも聞いて下さい。力になりますよ?」

 

 取りあえず普通の子供っぽく装えばいいだろう。

 

「あら、優しいのね。それじゃあ、その時はお願いね? あ、そうそう。私の名前はプレシア・テスタロッサよ。そして、この子は私の娘よ」

 

「フェイト・テスタロッサです。よ、よろしく」

 

 うん、知ってる。

 

「よろしく、テスタロッサさん」

 

「うふふ、私達のことはプレシアとフェイトでいいわ」

 

「う、うん。紛らわしいから……」

 

 まあ、確かに紛らわしいわな。

 

「それじゃあ、また今度ね」

 

「っ! うん!」

 

 俺が笑顔でそう言うとフェイトも笑顔で返してくれた。

 

「あらあらフェイト、彼の事……気に入ったのかしら?」

 

「か、母さん!?」

 

「それともクロノの方がいいのかしら?」

 

「も、もう! そんなんじゃ無いよ!」

 

「うふふ」

 

 俺が立ち去ると、後ろからそんな声が聞こえた。

 

 うわぁ……端から見てると凄く微笑ましいなぁ。

 

 ま、アイツ等が邪魔しても命だけは助けてやろう。知り合った吉見だ

 

 流石に女の子を殺すのは罪悪感が…………いや、何を言ってるんだ俺は。今更罪悪感なんて……。

 

 俺は頭を振って思考をクリアにし、買い物を済ませにレジへ向かった。

 

 

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 それから5日が過ぎた。そしてすぐに問題が起きた。

 

「あのな、今日はウチが言ってた新しく出来た友達のすずかちゃんが来るんよ!」

 

「……マジかぁ」

 

 マジかぁ……。いや、もう本当にそれしか言葉が出なかった。今日も俺がはやての護衛をする日なのだが、これは予想外だった。

 

 っていうか、最近問題が多発し過ぎじゃねぇか?

 

 別に俺は悪く無いと思うんだ。何も悪い事は……してるけど、そこまで悪く無いと思うんだ!

 

 ……ふぅ。現実逃避しても仕方が無い。兎に角対策を練らねば。

 

「で、何時来るんだ?」

 

「今から」

 

 はい終了! 対策もクソも無ぇ! どうしろってんだよ!

 

 兎に角、はやてには少し出掛けると言って凌ぐしか―――

 

 ピンポーン

 

「あ、来たみたいや!」

 

 はやてが今から玄関へと出迎えに行った。

 

 ……終わったな。

 

「あ、はやてちゃん。お邪魔します」

 

「うんうん! 早く上がってな! ウチの居候も紹介したいしな!」

 

「居候って、この前言ってた人?」

 

「せや。今は居間におるで」

 

 そしてはやてとすずかが居間に入ってきた。

 

「へぇ、どんな人なんだ……ろう?」

 

「どないしたん、すずかちゃん?」

 

「よぉ……元気にしてるか、すずか?」

 

「煉……くん?」

 

「あれ? 知り合いやったん?」

 

 それはもう、ね? 知り合いというか友人というか……色々複雑な関係ではあるがね。

 

 さて、そんなこんなで俺達はソファに座って向かい合っていた。はやても同席している。

 

「居候って……煉君だったんだね」

 

「ああ、成り行きでな」

 

 そして、はやてに事情を話した後にすずかは呟いた。

 

「世の中狭いもんなんやねぇ」

 

 一方、はやてはしみじみという

 

「所詮そんなもんさ」

 

「…………」

 

 そして会話が続かなくなる。すずかは少し俯いて黙っており、俺はただ出されたお茶を飲む。

 

 すずかと俺の事を察したのか、はやては突然席を立って俺達を二人きりにした。正直、余計な気遣いと思うがまあいいだろう。元々こんな状況を作り出したのは俺が原因だしな。

 

「……士郎おじさんから聞いたよ。その……ありがとう」

 

「礼を言われる事じゃねぇよ。俺はただ思ったことを言っただけだ」

 

「それでも、だよ。でもなんで……もう会わないなんて言ったの? 私、煉君が私の正体を知ったからだと思って怖かった……」

 

 ああ、あの事か。いやなに、色々都合もあったし、何より要らぬ疑いを持たれても困るからな。

 

「いや、ただ丁度良かっただけだ。今少し忙しくてね。今やっていることが終われば俺もこの街を離れようと思ったから縁を切ろうとしたんだ」

 

「なんで? 街を離れるなら縁を切る必要なんてないよ」

 

 色々と面倒事を回避するためでもあるんだがね。

 

「ま、薄々感づいていると思うけど、俺は普通の子供じゃない。お前の護衛をしていた様に、傭兵紛いのことをしてる」

 

「だから縁を切ったって言うの?」

 

「ああ、その方が互いに益がある」

 

 いや、この場合は俺にしか益は無いがな。それに半分は嘘だ。

 

「さて、暗い話はこれまでにしよう。はやてに気遣わせてしまったしな」

 

「……うん、そうだね」

 

 俺ははやてを呼んで、今度は世間話をした。しかし、夜になっても蒐集活動に行ったシグナム達が帰って来ない。

 

「遅いなぁ、シグナム達」

 

 もしかすると問題が発生したかもしれない。

 

「そうだな……。すずか、ちょっと頼みがある」

 

「何かな?」

 

 恐らく管理局と交戦している可能性がある。ならば救援が必要かもしれない。

 

 なら、今するべき事は……

 

 

 

 

 

 

 

 

「はやてを今日一日、お前の家に泊めて貰えないだろうか?」

 

 

 

 

説明
第十七話『遭遇?』
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