IS-インフィニット・ストラトス ネクサス 五反田食堂ーGotanda dining-room ー |
写真撮影から少し時間は経ち、一夏と箒は五反田食堂の前にいた。
「ここか・・・・・」
「ああ、今のところ並ぶ状態じゃないみたいだし入ろうぜ。」
箒は肩をがっくりと落とす。
まあ一夏だからな。ロマンチックなところに入ろうとはしないか。
箒はため息をついて一夏と一緒に店の中に入る。
「お、弾。」
「あれ!?一夏じゃん。」
そこにはエプロンをした弾の姿があった。一夏は携帯電話を取り出し写真を撮る。
「いきなりお前は何をするんだ?」
「いや、単に虚さんにメールで送ろうかと。」
「そんなことせんでもいいわ!あの人のメルアドは少し時間は掛かったが・・・・・」
「何だって☆」
「い、いや、なんでもない。」
一夏はニヤニヤする。
弾は一夏達を席に案内する。
「じゃあ、注文が決まったら呼んでくれ。」
そう言って弾はカウンターへと戻っていく。箒はメニューを見ながらそれとなく一夏に話を振った。
「こ、ここのオススメはなんだ?」
「そうだな、どれもおいしいが、あえて言うなら魚系かな。・・・あ、このカレイの煮付けとか本当に美味いぞ。」
「そ、そうか。ふむふむ・・・・・」
たくっ、一夏のやつ変なこと言いやがって。まさかあのときのあいつが!・・・・・・・でもないな。あいつに限ってそんなことはないな。だってあいつは鈍感だ。人の恋路なんかわかるはずがねえ。
「おーい弾、注文いいか?」
「ほいほい。」
弾は一夏に呼ばれ向かう。
「俺は焼き魚フライの盛り合わせ定食。箒は業火野菜炒め定食な。」
「ん、了解。じゃあちょっと待っててくれ。」
伝票をばばっと書いた弾はそれを調理場へと持っていく。
――――と、そこを五反田食堂の店主であり、弾の祖父である厳が一夏に気付いた。
「ん、一夏じゃねえか!」
「どうも、お邪魔しています。」
「今日は彼女連れか?ガッハッハッハッ!」
「いえ、そういうんじゃなくて――」
「おーい!蘭!おーい!」
母屋に向かって大声を出す厳。少しして、二階から「なにー・」と声が返ってきた。
「店に来い!急いでな!」
「なんでー?」
「いいから来い!」
欄も祖父には頭が上がらず、数分後、裏の母屋の裏の玄関から出て、食堂入り口から蘭がやって来た。
「おじいちゃん、何?私宿題やってたんだけど――って、ええっ!?一夏さん!」
「よう。」
「ガッハッハッハッハッ!」
さっきからずっと豪快に笑っている厳は、すっかり料理の手が止まっている。
蘭は耳まで赤くなっていた。
「わあああああああん!」
「・・・・なんだあ?おい、弾、蘭のやつどうしたんだ?」
「じいちゃん後で絶対叱られるからな。」
「ああ?なんでわしが叱られなきゃいかん。」
「お父さん、いいかげんに仕事に戻ってください。」
そう言って現れたのは、ご飯だ食堂の自称看板娘にして弾の母親の蓮だった。
「あら?そちらにいるのはもしかして彼女?」
「違いますよ。幼馴染の箒です。」
「そうなの。よかった。」
それから十分して―――
「い、いらっしゃいませ、一夏さん・・・・・」
ここで真の看板娘登場。食堂の男性客は大いに沸いた。
「着替えたんだな、蘭。」
「ええ。ちょっと・・・・」
「まあ可愛いぜ。」
「か、かわ・・・・・」
蘭はまた顔を赤くする。
「おい、蘭!料理できたから運べ。」
「わ、わかってる!大声出さないでよ、おじいちゃん!」
カウンターで料理を受け取った蘭は、ぷいっとそっぽを向く。
「ふん!」
「なんだぁ・・・・・おい、弾!お前蘭を怒らせるようなことしたんだろう!」
「なんで俺だよ!じいちゃんだろ!」
ギャーギャーと男二人が言い合っている隣では、がんばれーとばかりに蓮は蘭にむ受けて小さく手を振っていた。
「い、一夏さん、お待たせしました。」
「ありがとな、蘭。」
一夏の前に定食を置き、今度は箒の分を取りにカウンターに戻る。
「お、お待たせしました。・・・・・えっと、お久しぶりです。」
「ああ。久しぶりだな。ありがとう。」
こうして二人の前にそれぞれの定食が並ぶ。
(ふ、二人とも今日はなんで二人っきりなんだろう・・・・・で、デートなのかな・・・・うう、それだといやだなぁ・・・・・・)
そんなことを考えている蘭は直立不動になっていた。
そんな蘭に一夏が話し掛ける。
「蘭、どうかしたか?」
「い、いえ。ただどうして今日は二人っきりなのかな〜、と思いまして。」
「ああ。今日は雑誌の撮影があってな。」
「ど、どこの雑誌ですか!?」
「ええっと、『インフィニット・ストライプス』てとこだった。あ!そん時の写真あるぞ。」
一夏は携帯電話の画像を蘭に見せる。
(い、一夏さんカッコイイ!でも・・・・この人と一緒に写っているのがうらやま・・・!!)
「あ、あの一夏さん!こ、これは!?」
「ん?ああ、これか。」
蘭が注目した写真は箒が一夏に抱かれ、一夏の首に腕を回している写真であった。
「これはカメラマンの人がそうしろっていったからな。」
「へ、へえ・・・・・」
蘭は少し嫉妬した。
と、そこへ蓮が覗き込んできた。
「あらら、結構よく映っているわね。蘭もこれしてもらったら。」
「え、ええええ!!」
「いいわよね、一夏君。」
「え、まあいいですけど。」
「ふええ!!」
蘭は蓮に押されて一夏の膝の上に乗せられる。周りの男性客からの視線が痛いのは言うまでもない。
「ちぇっ。あの小僧。」
「蘭ちゃんを膝の上に。」
「ああいうやつって昔から朴念仁だよな。」
そんなことをよそに蓮は蘭の携帯電話で写真を撮る。
「蘭、もっと引っ付きなさいよ。」
「で、でも・・・・」
「ほら。」
蓮は蘭の顔を一夏の顔に押し付ける。
「っ〜〜〜〜!」
蘭はまた耳まで赤くなった。
カシャッ
携帯電話のシャッター音が鳴り響く。
「はい。これでよしっと。」
パクパクパクパク
蘭は口をパクパクしている。どうやら幸せだったようです。
「だ、大丈夫か?」
「大丈夫よ。ただちょっと心ここに有らずの状態なだけよ。」
「は、はあ・・・・・」
蓮は蘭を椅子に座らせて一夏達に定食を食べるように勧める。
二人は手を合わせ、「いただきます」と言い、箸を割る。
「美味いな。この醤油の味付けがなんとも。」
「だろ。そっちも美味そうだな。」
「ああ、食べてみるか?」
「ああ、もらうよ。」
一夏は箒の皿に箸を伸ばす。
「美味いな。箒、こっちのも食べてみろよ。」
「そうする。」
箒も一夏の皿に箸を伸ばした。
「このカレイの煮付けも美味いな。」
「ああ。・・・・・・ぐっ!!」
「どうした一夏!」
「い、いや・・・・・食べ物を喉に詰まらせただけだ。」
そう言って一夏は誤魔化す様に胸元を叩く。厳はその光景を見て少しばかり心配になった。
しばらくして二人は食事を終え、二人は手を合わせた。
「「ごちそうさまでした。」」
「おい、一夏。」
「何ですか厳さん?」
「ちょっとこっち来い。」
「はあ。」
一夏は厳に呼ばれ、外に出る。
「あ、あの篠ノ之さん。」
「なんだ。えっと・・・・」
「蘭でいいです。」
「そうか。私のことも箒でいい。」
「では箒さん。率直に聞きますが一夏さんと付き合っているのですか!!」
ズコッ
箒は蘭の言葉にこける。
「な、なぜ急にそんなことを聞くんだ!?」
「だってなんか仲良さそうじゃないですか!?」
「あいつとは・・・・・・まだそんな仲じゃない。・・・・・・それにライバルが多い。」
「そういえば学園祭のときに一緒にいた人たちがいましたね。」
「ああ。だがあいつは女については全くもって鈍感だ。」
「それはわかります。」
「だから私も苦労している。」
「でも箒さんは綺麗ですから一夏さん惚れると思いますよ。」
「いや、蘭も可愛いと思うぞ。」
「いえいえ、そんなことないです。」
「いいや、私はそう思う。」
「・・・・・・・あの、箒さん。」
「なんだ?」
「私達と他の人たちってライバルになりませんか?」
「ら、ライバル!?・・・・・・・・まあいいだろう。お互いに頑張ろうな。」
「はい!」
一方一夏と厳は―――
「おい一夏。」
「なんですか、厳さん?」
「どうしてあの時嘘をついた。お前、身体の限界が来ているんだろ。」
「・・・・・やっぱりわかりましたか。」
厳は前回、山で厳がビーストに襲われそうになった所を助け、ネクサスになり厳を守ったことがある。それ以来厳は時々ではあるが一夏の相談相手をしている。
「やめる気はないのか?」
「ないですね。それにここで逃げ出したら皆を守れませんし。」
「・・・・・・・・・・・そうか。だがこれだけは言っておくぞ。」
「?」
「絶対に死ぬな。お前が死んだら悲しむ人が多いからな。」
「わかりました。肝に銘じておきます。」
「そういや聞き忘れてたんだが・・・・」
「なんですか?」
「あのお嬢ちゃんと付き合っているのか?」
「はい?」
「そうじゃないんならいいんだ。なんでもない。」
一夏は頭に?を浮かべた。
一夏と厳は食堂に戻り、一夏は御代を払った。
「あ、あの一夏さん。」
「ん?何だ蘭?」
「こ、これ。」
蘭は一夏にチケットを渡した。
「これは?」
「私の学園祭の招待状です。」
「そういえば蘭の学校ってこの時期が学園祭だっけな。」
「はい。」
チケットに書かれていた日時は箒とホテルに行く予定の日時と同じであった。
まあ夜までには終わるよな。
「わかった。必ず行くよ。」
「はい!」
一夏と箒はIS学園に戻った。
ここでお知らせです。二月十二日はなんと私の誕生日です。
明日で十七歳になります。
これからもよろしくお願いします。
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写真撮影を終えた一夏たちは五反打食堂に向かった。 | ||
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おめでとうございます。(駿河) | ||
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