IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode115 脱出
俺がやつらに連れ去られて更に二日が経った。
「・・・・」
どうも同じ状況が五日も続いているためか、少し身体の調子が悪い。
(暇だ・・・暇すぎる・・・)
とにかく同じ状況で続いている為に絶望的に暇なのだ。
身体の調子が悪いのも眠る時間が多いからだ。
まぁ筋トレぐらいしか暇つぶしが無い。
(幸い飢えや脱水で苦しむ事は無いからな)
一応水と栄養分を摂取できる固形物を食事として与えられている。
ちなみにその固形物は外見は何とも言えないが、見た目によらず意外と美味しいのだ。
(だが、なぜあいつらは何も仕掛けてこない)
ここ五日ずっと五番ナンバー以降の戦闘機人と話をしていたが、それ以外に特に動きは無い。
(何かを待っているのか、もしくは試しているのか?)
そう思いながら半身を起き上げると首を鳴らして背伸びをした。
(だとすれば、やつらの目的は別にあるとすれば・・・一体・・・)
ドオォォォォォォォォンッ!!!!
「っ!?」
すると突然大きな爆発音がすると同時に建物が大きく揺れる。
「な、なんだ!?」
更に爆発音と衝撃で建物が揺れて電灯が点滅する。
(砲撃だと?だが、誰がこの場所を見つけて――――)
すると揺れの影響か、独房の扉が少し開いた。
「開いた・・・!」
すぐに俺は扉に近づくと、開いた隙間に手を入れて扉を掴む。
(襲撃している勢力は分からないがこの状況だ。混乱に乗じて脱出し、その勢力と合流すれば!)
力いっぱい扉を引っ張って開けると、すぐに独房を出た。
(どうやらかなり激しい戦闘をしているようだな)
隼人は戦闘で揺れる通路を走っていく。
(まぁお陰で他の戦闘機人達は戦闘に出てる。見張りは居ない)
「まずはバンシィを取り返すか!」
しかしバンシィがある場所は分からないが、勘で通路を走っていく。
「急がねぇと!」
そして通路の右の角を曲がる――――
「っ!」
隼人はとっさに立ち止まった。
「・・・・」
目の前には、一人の少女・・・いや、戦闘機人が立っていた。
それも、自分や颯に似た容姿を持った戦闘機人で、唯一違うのは黒い髪をこめかみの部分を肩に先端が当たるまで伸ばしており、根元を結んで束ねていた。胸元のプレートには『0』と刻まれていた。
(くそっ。できればすぐに終わらせたかったが・・・)
隼人は身構えた。
「・・・・?」
しかし戦闘機人は隼人を見ていた。
(何だ?)
「どうやら、無事に独房より出られたようですね、タイプゼロ」
「・・・・」
「直接あなたにはお会いにはなっていませんが、私の名はbO0ロスト。この間の事はお詫び申し上げます」
「この間・・・。そうか。お前がユニコーンの」
「・・・・」
「そのロストが俺に何のようだ。このまま独房に連れて行くか」
「・・・・」
するとロストは何かを隼人に放り投げた。
「っ!」
隼人はとっさにそれを受け取る。
「・・・これは!」
隼人の手には、バンシィの待機状態である黒いドックタグがあった。
「なぜこれを俺に・・・」
「それはあなたが持つべき力ですから」
「何?」
隼人は一瞬戸惑う。
「しかし、まだウイルスの中和が完全に終えてないので、完全に戦闘を行える状態ではありません」
「・・・・」
「ですから、これを使ってください」
と、更にもう一つ隼人に投げてきて、隼人はそれを受け取った。
「これは・・・」
右手を開くと、そこにはバンシィの待機状態と同じドックタグであるが、黒ではなく白であった。
「ユニコーンの待機状態です」
「な、何だと!?」
隼人はすぐに見直す。
「なぜこれを俺に・・・。それに、お前は―――――」
「それは本来あなたが持つべき力なのです」
「・・・・」
「そもそも、私が作られた目的は・・・タイプゼロであるあなたをお守りすることなのです」
「俺を・・・守る?」
「それがあなたと私を作り出した創造主が私に与えた使命ですから」
「なら、なぜあの時俺を襲った」
「私はメモリーを封印されて眠りに付き、完全に目覚めぬまま本来の目的を忘れ、あなたと対峙する事になった。ですが、バンシィよりデータをインストールされ、私は本来の目的を思い出すことができたのです」
「・・・・」
「ユニコーンはあなたにお返しします。ここを真っ直ぐ行き、その次の角を左に曲がれば格納庫に出ます。そこから脱出を」
「お前はどうするんだ」
「私はこの研究所にある別の機体を拝借し、あなたと合流しましょう」
「・・・・」
「では、後ほど」
そうしてロストは隼人とすれ違ってその場を立ち去った。
「ロスト・・・」
隼人は後ろを向いてロストの背中を見ると、ユニコーンの待機状態を見る。
「ユニコーン・・・・・・」
そのままドックタグを握り締める。
「俺はここを抜け出して、みんなの元に帰りたい」
隼人はユニコーンに語りかける
「だから、ユニコーン。会ったばかりの俺に・・・力を貸してくれるか?」
《yes(はい)》
と、男性の声に近いマシンボイスのバンシィと違ってユニコーンは女性の声に近いマシンボイスが返答する。
「・・・なら、行くぞ!」
《All light,my master(分かりました、マスター)》
そうしてドックタグより光が放たれて身体に纏うと、隼人は白い装甲を持つIS・・・ユニコーンを纏った。
「神風隼人・・・ユニコーンガンダム!行くぞ!!」
隼人はスラスターを噴射して一気に飛び出した。
「くそっ!何だって言うんだよ!」
と、自身のIS『ガラッゾ』を展開したノーヴェは通路をホバーで突き進んでいた。
(だが、何でこの基地の場所がばれたんだよ。他のみんなはバラバラに動きやがって!)
内心で愚痴りながら通路を突き進んで次の角を曲がる――――
「っ!」
すると前方からビーム弾が飛んできて、とっさに左肩のシールドを前に出してフィールドを張ってビームを弾いた。
「なんだ!?」
ノーヴェが前を見ると、そこには一体のISが居た。
全身装甲のISで、全体的に濃紺をしており、頭部にはヘッドギアの形状をして右側の頭部側面にセンサーユニットを搭載し、オレンジ色のバイザーを持っていた。腰の両側にはグレネードを三つずつ計六つ搭載していた。右手にはアサルトライフル型のビームライフルを持ち、バックパックから伸びるアームに小型ミサイルを内蔵したシールドがマウントされていた。その風貌からまるで特殊部隊のように思える。
(あれはこの間どっかの研究所から奪った『ジェスタ』じゃねぇか!?だけど誰が乗ってんだ!?)
「bO8ノーヴェの搭乗IS・・・ガラッゾと見ました」
「なに?誰だおめぇは!」
「bO0ロスト・・・」
「何だと!?」
ノーヴェは目を見開いて驚く。
「てめぇ裏切ったのか!?」
「元より私はあなた達の所属では無いのですよ」
「何だと?」
「ですから、タイプゼロの脱出まであなたを足止めします」
ロストは右手に持つビームライフルを放った。
「ちっ!」
ノーヴェはマシンガンのように放たれるビームをフィールドで防ぐと両手よりビームサーベルを出して一気に飛び出した。
「うおりゃぁぁぁぁぁ!!」
ビームサーベルを勢いよく振るうもロストは身体を少し反らして攻撃をかわす。
「ちっ!」
直後に左手を突き出すもロストは右腕を上げて攻撃をかわすと、そのままノーヴェの左腕を脇に挟んだ。
「っ!?」
ロストはそのまま勢いよく右膝を上げてノーヴェの腹部に叩き付けた。
「うぐっ!?」
更にノーヴェを横に飛ばして壁に叩き付けた。
「こ、こいつっ!」
ノーヴェはすぐに両腕のビームマシンガンを放つが、ロストはバックパックから伸びるアームに接続されているシールドを前に出して攻撃を防ぐ。
「でりゃぁぁぁぁぁ!!」
ノーヴェはスラスターを噴射して飛び出して右腕を振るうも、ロストはシールドで攻撃を防ぐと左手にビームサーベルを展開してノーヴェを押し返し、ビームサーベルを振り上げてガラッゾの右手を手首から切り落とした。
「なっ!?」
ノーヴェが驚いているうちにロストはシールド先端をノーヴェに向けるとミサイルを放ってガラッゾに直撃させて爆発する。
「ぐわぁぁっ!!」
そのまま吹き飛ばされて壁に叩きつけられる。
「く、くそ・・・この私が・・・」
ノーヴェは悔しがりながらも、気を失った。
「・・・・」
ロストはそのまま別方向に向かって行った。
通路を突き進んでいた隼人は格納庫の入り口を塞ぐ隔壁を見つける。
「ちっ!」
隼人は右手にビームマグナムを展開して高出力ビームを放ち、隔壁を撃ち抜いて破壊して格納庫に侵入する。
「何とかここまでこれたな」
周囲を警戒しながら格納庫に侵入して床に着地する。
(やはり同型機とあって、バンシィと操作は大差無いな。だが、バンシィより遠距離攻撃向きだな)
「あと少しだ・・・」
と、一歩前に足を踏み出した――――
『――――』
すると周りから電子音がして、多数の緑のラインが浮かび上がる。
「え?」
隼人はとっさに周囲を見渡すと――――
「マジか・・・」
隼人の周りには多数の機体が取り囲んでいた。
恐竜のような姿をした無人機で、背中には大きな翼を持ち、長くしなっている尻尾を持っていた。黄緑と黒のツートンカラーで、頭部には羽のように広げた耳を持ち、黒い部分にライン状に緑の発光する。
それが五体隼人の周囲に居た。
(待ち伏せ・・・じゃないな。どうやら迎撃に出る為に起動したって感じだな。
タイミングが悪い時に来てしまったってやつか)
すると無人機は一斉に動き出すと両掌にあるビームマシンガンを放って来て、隼人は一気に飛び上がってかわすと一体に向けてビームマグナムを放ち、その一体を撃ち抜いて撃破する。
「ちっ!」
直後に背後より無人機が顎よりビームサーベルを出して隼人に切り掛かるが、隼人は後ろに振り向くと同時に左腕を振るって無人機の首にぶつけて顎を上に上げる。
そのまま左腕のビームトンファーを展開してビーム刃を無人機の頭を側面から貫いて撃破した。
すると無人機の一体が股間のビームキャノンを放ってきて、隼人はとっさに頭を貫いた無人機を蹴り飛ばしてビームを防ぐとその無人機は爆発する。
(マグナムの残弾もある。他に武器はないのか?)
無人機がビームマシンガンを放ってきて、隼人はかわしながら武器一覧を見る。
「これでいいか」
隼人は攻撃をかわしながらビームマグナムをバックパックにマウントすると右腕に武装を展開した。
形状こそバンシィが装備していた『ストライクカノン』と形状が同じであったが、よく見ると少し大きくなっており、カラーリングも白を基調に青が施されていた。
(『エクサランスカノン』・・・ストライクカノンの試作品か。道理で少しでかいわけか)
その直後に無人機が左掌よりビームサーベルを出して切り掛かってくるが、隼人はエクサランスカノンの砲身となっている刀身で攻撃を受け止める。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
無人機を押し返すとそのままエクサランスカノンを横に振るって無人機を真っ二つに切り裂いた。
隼人は床に着地するとバレルを上下に展開して足を踏ん張る。
「いけぇっ!」
トリガーを引いてバレルの間を超高速で弾丸が放たれて無人機の一機を貫いて撃破した。
「っ!」
すると無人機を撃破して上がる煙の中より出てきて顎よりビームサーベルを出して切り掛かるが、隼人はエクサランスカノンを振り上げて無人機の胸部に突きつける。
「甘いな」
そしてトリガーを引いて弾丸を放ち、弾が貫くと同時に無人機は吹き飛ばされて真っ二つになる。
「ふぅ」
隼人は息を吐いてエクサランスカノンを収納する。
「よし。これで――――」
すると背後より切り裂かれて真っ二つになった無人機が上半身だけで飛び上がって顎よりビームサーベルを出して切り掛かってきた。
「ちっ!」
隼人はとっさに振り向き際に左腕のビームトンファーを展開する。
しかし直後に無人機は横からビームに貫かれて飛ばされ、そのまま爆散した。
「っ!」
隼人はとっさにビームが飛んできた方を向くと、格納庫の入り口より一体のISが入ってきた。
「まさかと思ったけど、本当に君が居たとはね」
と、ティアの1、5ガンダムが隼人の前に着地する。
「ティア・・・」
「久しぶりだね」
「そうだな」
「ところで、バンシィも見ないうちに白くなったね」
「いいや。こいつはユニコーンだ。バンシィに似ているが違う」
「そうなの?」
「まぁいい。だが、何でお前がここに?」
「ここが今ナンバーズが潜んでいる場所っていう情報を掴んだからね」
「何だって?」
「それで君もここに居るって事も分かった事だしね」
「お前ってやつは。だが、まさか一人で来たって訳じゃないだろ?」
「まぁね。でもみんなじゃないよ」
「なに?」
「今ナンバーズのメンバーを協力者達が抑えているからね」
「協力者だと?」
「言っておくけど、一言も協力者の事は言えないからね」
「・・・・」
「とにかく、今は外に出よう。僕が案内するよ」
「分かった」
そうして二人はその場から飛び出してティアが右手に持つGNバスターライフルを放って隔壁を破壊して隼人とティアは格納庫から外に出られた。
「で、これからどうするんだ?」
「このまま僕が先導するから、隼人は付いてきて」
「分かった。じゃぁこのまま一気に離脱するか」
「うん」
二人はすぐに上空に飛び出すが――――
「っ!?」
するとティアが何かによって吹き飛ばされた。
「なに!?」
隼人はとっさに後ろを向く。
「探したぞ、白き一角獣」
そこには一体のIS?がいた。
全身装甲で額には四本の角を持ち、白をメインに胴体や足が紺のカラーリングをしており、機体各所に半透明の青いパーツがあった。
「こいつは!?」
隼人が驚いている間にその機体は眩い光を放ってきた。
「っ!」
その瞬間に黒い何かがユニコーンに近付いてきて、そのまま光は三体を飲み込んだ。
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
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