真・恋姫無双 幼き命を護る者 第2話 |
第2話 最初の出会い
「…………ん。」
目覚めは割と普通だったが、周りは何も無い荒野のど真ん中だった。
遠くを見ればいくつか山があったが人の姿はまったく無い。
そこに俺は文字通り『寝ていた』らしく少し背中が痛い…。
「ふぁ………。よし!」
一度あくびをしてから気合を入れ直す。
ここはもう三国志の時代なのだから、いつどこから敵が来るのかわからない。
気合を入れて周りに気を配らないといきなり後ろから『ブスリ』なんて事もあり得る。
そんな事を考えていると俺の脚に『コツン』と音を立て何かがぶつかった。
「これか、神が言っていた武器は…。」
そこにあったのは俺が神に頼んだ『棍棒』だった。
大体2メートルぐらいの長さだろうか?
全体的に朱色で塗られていて両端は銀色の球が付いている。
この部分で殴ったら普通の人間なら一撃で死ぬかもしれないな…。
でも一番眼を引くのは…。
「これは、四聖獣か?すげぇ綺麗だな…。」
朱色の中に金色で描かれている朱雀・白虎・青龍・玄武の姿だった。
派手な色合いをしてはいるが、どこか堂々とした雰囲気がある。
「そう言えばこの棍棒って銘はあるのか?」
神は特に言ってなかったし、俺が決めてしまってもいいのか?
「そうだな………。」
この堂々とした四聖獣に相応しい銘だとすれば何が良いか。
この戦乱を共にする武器だから適当にはつけられない。
「よし、お前の名前はこれから『黄龍閃棍』にしよう!」
四聖獣が描かれた武器に相応しい名前だ。
後は俺がその使い手に相応しいかどうかだが、それは追々嫌でもわかるだろう。
「武器の名も決まったところだし、とりあえず人がいそうなところを目指して
出発するとしますか。このままじゃ荒野のど真ん中で飢え死にだし…。」
いくら神に力を貰っても腹が減っては死んでしまうからな。
せっかく新しい命を貰ったのに、その日に飢え死にしたとあっては
神にどんな目にあわされるか…。
「とりあえずあの山の方へ向って行くか。」
もし人に出会えなかったとしても山に辿りつくことが出来れば
何かしらの食糧はあると思う。それに高い山の上から周囲を見渡せば
場所の情報がより手に入りやすいだろう。
「だいたい4キロぐらいかな?」
そういえば今いるここって中国だよな。言葉ってどうなるんだ?
俺の言葉は通じるのか?字や物の単位はどうなんだ?
「ヤバいな、これは人に会えても安心できないぞ…。」
せっかく人に会えても言葉が通じなかったり、字が読めなかったらどうしようもない。
そもそも俺金持ってないし…。不安材料がドンドン湧いてくるぞ。
「まぁ、なるようになるか!」
とりあえずまずは人に会わないと何もはじまらない。
「それじゃあ、出発しますか!」
こうして俺は新しい人生の第1歩を踏み出した。
「はぁ〜、ずいぶん登ったな…。」
だいたい1時間ぐらいかかったかな?
道なき道を進んでようやく山の頂上に辿りついた。
そこには特に高台のような物は無く何本もの木々が生えていた。
その一本に登ってみる事にした。
「う〜ん、良い眺めだなぁ。」
周囲はそのほとんどが荒野ではあったが
ビルに囲まれていたかつての街並みに比べれば幾分綺麗に見えた。
「おっと!景色に見惚れている場合じゃないな。
さぁて、人がいそうな村はっと………。」
周囲を改めてぐるりと見渡してみる。
「お!あったあった。」
だいたいこの山の麓からだと3キロぐらいかな?
小さな集落が見える。さすがに人がいるかまでは確認できない。
「よし、あそこに行ってみよう。」
言葉とか字の問題もあの集落につけばハッキリするだろう。
最悪不審者として門前払いを食らっても
他の町への行き方を聞く事ができればよしとしよう。
この世界に来て初めて出会うのはどんな人なのか…。
「ふぅ、あと少しだな…。」
集落まであと1キロほどの距離まで来た。
後10分ぐらいで着くだろう。
「しかし妙だな…。」
集落に近付いたのに人の気配がまったくしない。
喧騒も聞こえてこない。
日はまだまだ高いから寝ているわけでもないだろう。
「まさか!」
俺は嫌な予感がして歩く速度を速めた…。
「これは!酷いな………。」
俺が辿りついた集落には人はいなかった。
正確には『生きている人』と言うべきか…。
あたりは死体で溢れていて死体の放つ嫌なにおいが立ち込めている。
明らかに何者かに殺されたようだ。
「う、う゛け゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛……。」
そのにおいに胃の中の物をすべてぶちまける。
前の世界でも人の死に直面する場面は多々あった。
しかしこういった『虐殺』とも言える場面に遭遇したのははじめてだ。
「はぁ、はぁ、はぁ………。」
一通り胃の中の物を吐き出した後ゆっくり呼吸をして意識を整える。
一度気持ちを整理してゆっくり考える必要がある。
死体の腐敗がまったくと言っていいほど進んでいないように見える。
つまり殺されてほとんど時間が経っていないのだろう…。
「つまり、殺した奴らがまだ近くにいる可能性があるって事か…。」
恐らくは賊の類だとは思うが人数がわからない以上
こちらから仕掛けるのはまずいかもしれない。
この集落は一時的な拠点して使わせて貰うか…。
「おぎゃ〜、おぎゃ〜、おぎゃ〜!」
「ん?」
そんな事を考えているとどこからか
赤ん坊の泣き声らしきものが聞こえてきた。
「まさか生き残りがいるのか!」
そんなはずはないと思いつつ急いで声のする方へ行ってみた。
「おぎゃ〜、おぎゃ〜、おぎゃ〜!」
「この家か?」
声を追って小さな民家の前に辿りつく。
入口には男性が倒れていて、中に入るとクローゼットらしき家具の前に
女性が一人倒れていた。泣き声はその中から聞こえてくる。
「いた…。」
クローゼットの中には毛布にくるまれた子どもがいた。
1歳半ぐらいかな?女の子のようだが…。
「唯一の生き残りか…。」
恐らく入口の男性が父親で、横に倒れている彼女が母親だろう…。
そっと抱きあげると大人しくなった。
俺の顔を見たとたん泣きやんだようだ。
「おいおい俺を呼んでいたとでも言うのか?」
それを肯定するかのようにその子は笑顔を見せる。
「こうやって出会ったのも何かの縁だ。俺と一緒に行くか?」
問いかけるとまたもや肯定するような笑顔を見せる。
「しかし名前がわかるような物があれば良いんだが…。」
荒れた室内を見渡しても特にこれといったものはない。
「まぁ、後で考えるか。」
とりあえずこの子の両親にちゃんと報告しとくか…。
2人の遺体を部屋の中央に並べた。
「名前も知らないこの子のお父さんお母さん、
この子は俺が責任もって守るからよ…。夫婦で天国から見守ってやってくれ。」
そういって手を合わせる。ちなみに子どもはクローゼットにあった
大きな布を使い、抱っこ紐の要領で体の前に抱えている。
「死んだ人間から物を盗るのは気が引けるが仕方ない。」
この子のためにも両親の遺品を手元に置くか…。
迷った挙句、父親からは腰に付けた何かの皮で作った巾着袋を
母親からは頭に付いていた青い花の装飾が付いた櫛を貰うことにした。
「これでよし!
それじゃあ、いってきます。」
そう言ってもう一度両親に頭を下げる。
「よし、これからよろしくな!」
旅の相棒も見つかった事だし、これなら楽しくやっていけそうだ。
そう言って張り切って外に出ると、
「おい、兄ちゃん!いいものもってるじゃねえか!」
清々しい気持ちをぶち壊しにするドスの効いた声が聞こえた。
あとがき
改めてはじめましてkenです。
皆様のコメントを見ながら原作のイメージを壊していないか
日々不安でしょうがないです…。
今後の作品の説明をさせて頂きます。
所属勢力は一応決まっているので次回かその次にはっきりさせます。
あとオリジナルキャラは後1〜2人出そうと思います。
次回から戦闘シーンが入ってくる予定なので上手く書けるか心配です…。
でも皆様の応援に応えられるように全身全霊で
努力していこうと思いますので、どうかよろしくお願いします!
説明 | ||
恋姫無双のオリジナル主人公&転生モノです。今回からあとがきを載せておきます。駄文だとは思いますが、誤字脱字・文脈のアドバイス・展開の要望などをぜひどうぞ!誹謗中傷は勘弁して下さい…。 |
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コメント | ||
↓二郎刀さん ありがとうございます! その言葉が本当にやる気につながります!(ken) 期待です(二郎刀) |
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