一姫のバレンタイン |
2月14日、聖バレンタイン。
今年もまた、彼女達の戦いは始まる。
「ふっふっふ。一姫、今年こそ私と愛の契りを交わしてもらうわよ」
まだ、夜も明けきらぬ早朝。
華琳はまたしても一姫の部屋に忍び込んでいた。
「…よく眠っているようね。じゃあ、遠慮無く……」
そして華琳は一姫が寝ているベッドに近づき、布団の中へと飛び込んだ。
「いっただきまーーすっ♪」
ねちゃ
「な、何よこれ?一体どうなっているのーーーっ!?」
「華琳様!」
「どうなされたんですか!? 華琳様!」
部屋の前で見張りをしていた春蘭と秋蘭だが、華琳の叫び声を聞くとすぐさま部屋の中へと駆け込み、部屋の明かりをつけた。
そして其処にはデフォルメされた一姫の人形に抱きついたままベッドの中でもがいている華琳がいた。
ベッドの中には粘着テープが敷き詰められていて布団には『華琳ホイホイ』と書かれていて、おまけに一姫人形の顔には『残念無念・また来年』と書かれていた。
「さすがは一姫、華琳様の行動はお見通しという訳か」
「きいーーっ!こんな事ぐらいで私は諦めないわよ一姫!」
「大丈夫ですか、華琳様!? 今、私がお助けを」
「ま、まて姉者!うかつに近づいては…」
ねちゃ
「うおおーーーーっ!何だこれは!?」
華琳を助けようとした春蘭ではあったが、華琳に覆いかぶさった挙句に粘着テープの餌食となったのであった。
「おのれ北郷!こしゃくな真似を!…しかし、これはこれで」
「この、お馬鹿ーーーーーっ!!」
「姉者……」
最初の一歩で躓いた華琳達。
ちなみに、布団の端には『ついでに春蘭ホイホイ』と、小さく書かれておったそうな。
「まったく…、毎年毎年皆も懲りないわね」
一姫は今年もまた、○○との待ち合わせ場所へと隠れながら進んでいた。
「いいかげん、諦めてくれないかなぁ。私は○○と普通に恋愛がしたいだけなのに」
その頃、○○はと言うと・・・・・
「一体俺が何をしたーーーっ!?」
「しらばっくれても無駄よ。あなたが一姫とバレンタインデートに行こうとしてるのは分かってるのよ。邪魔者は…始末しとかないとね♪」
雪蓮はそう言いながら「南海覇王」を○○へと抜き放つ。
「や、やだな〜〜、雪蓮さん。そんなんで斬られたら死んじゃうじゃないスか」
「安心しなさい。保健委員の華佗ならちゃんと手当てしてくれるから♪」
「安心できるかぁーーーーーっ!!」
「逃がさないわよ、明命!!」
「御意っ!!」
逃げ出した○○の目の前に、草むらの中から飛び出した少女がその手を阻むように立ち塞がる。
「恨みはありませんが雪蓮様のご命令です。○○殿、お諦め下さい」
そう言い放つと明命は○○に攻撃を仕掛け、○○は「がはっ!」と、呻き声を上げながら倒れた。
「終わりました雪蓮様」
「ご苦労様、明命。これで最大の障害は無くなったわね。後は一姫を捕まえるだけ」
黒い笑顔でそう言いながらうつ伏せに倒れていた○○を仰向けにすると其処には顔に【漢女、大好き】【理事長、命】と書かれている……
『及川 祐』がいたりした。
「い、何時の間に……」
「こ、この私が相手を取り違えるとは…」
「追うわよ、明命!」
「御意です!」
雪蓮と明命はすぐさま其処から駆け出し、そして及川は。
「いててて。な、何や?何がおきたんや?」
「あらん、起きたのね及川ちゃん」
倒れたまま放置されていた為、運悪く通りかかった理事長『貂蝉』にドナドナされていたのであった。
「り、りぢちょう????な、何でワイはりぢちょうに担がれとんねん!?」
「驚く事は無いじゃない。あ・な・た・の気持ちは分かってるわよん♪さあ、愛の営みを交わしに行きましょうね♪」
「な、何やそりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」
「アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
及川、今年も終了。
(;ω;)ゝ<敬礼!
その頃一姫は、地面に開いた穴の中を見つめながら溜息を吐いていた。
「うう〜〜、お姉様の意地悪ぅ〜〜〜」
「貴女も進歩が無いわね、桂花」
桂花はまたしても自分の掘った落とし穴に自分が落ちていた。
「お姉様はそんなにあの男が良いんですか?」
「そうよ、好きなんだから仕方ないじゃない」
一姫はそう言うと足早に去って行く。
「私だってお姉様を諦めません!好きなんだから仕方ないですよね!!」
桂花は穴の中でそう叫ぶのであった。
一姫が走っていると目の前に怪しい物体があった。
大きなカゴがつっかえ棒で立てられていて、カゴの真下には一姫の大好物のイチゴのショートケーキが置かれており、つっかえ棒から伸びている紐を目でたどって行くと、草の中から桃色の髪が覗いていた。
「あっ!こんな所に桃マンが」
一姫は素早くケーキと桃香の好物の桃饅頭をすりかえるとそう叫ぶ。
「えーー、桃マン何処?あっ!本当にあった、いっただきまーーす!!」
飛び出して来た桃香が桃マンにかぶり付こうとした時につっかえ棒を倒す。
「えっ?はにゃあ〜〜〜!引っかかったぁ〜〜〜!」
「…引っかかったじゃないでしょう。もう少し考えなさいよ」
桃香を閉じ込めているカゴに重りとなる岩を乗せると一姫はその場を後にする。
「うう〜〜、ご主人様のばかぁ〜〜。ぱくっ!」
桃香はぶつくさ言いながら、”わさび入り”の桃マンにかぶり付く。
「はんにゃぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「桃香様ぁーーーーーーーっ!!」
「桃香お姉ちゃんは意地汚いからそんな目にあうのだ」
何気に容赦の無い一姫であった。
後、鈴々の言う事では無い。
そして夜も更け、数々の妨害を潜り抜けた二人は漸く合流を果たした。
「はあはあ、つかれたぁ〜〜」
「毎回毎回、懲りない奴等だなあ」
「全くね」
「一姫…」
「○○…」
ゆっくりと目を閉じて、唇を重ねようとしたその瞬間。
「「「ちょっと待ったぁーーーーーーーーーっ!!!」」」
おーーーっと、ちょっと待ったコールだーー!
突如現れた三人、桃香・華琳・雪蓮はそう叫びながら走りよってくる。
「な、何じゃーーーーっ!」
「な、何よ三人共!?」
「だめーーっ!ご主人様とちゅーするのは私だよ」
「何言ってるの!私に決まってるでしょう!」
「ふふふふ、一姫の唇は私が貰うわよ」
そう言いながら近づいてくる三人の目はちょっと逝っちゃってて何だかバイオなハザードだ。
「○○、其処を退きなさい。その唇は私が貰うんだから。一姫は私の物よ」
「そうはいかないわ。一姫の唇はこの私が貰うわ、覇王の名に賭けて!」
「駄目だってばーーっ!うう〜〜、こうなったら早い者勝ちぃーーーっ!」
そう叫ぶと桃香は一姫に飛び掛る。
「ご主人様ぁーーっ!」
「ああっ!コラ、桃香!」
「一人だけズルイわよ!」
三人は我先にと一姫に迫る事で絡み合い、在らぬ方向へと倒れ込む。
其処には……
ちゅっ
ちゅっ
ちゅっ
○○が居たりした。
「「むぐうっ!」」
「あっ…」
「ひゃぁっ…」
桃香が○○の唇を塞ぎ、華琳と雪蓮は其々左右の頬に口付け、それを一姫は叫びのポーズで見つめていた。
「ふぁ、ふぁーすときすだったのに…」
「くっ!事故とはいえ、この私が男なんかに…」
「不覚!」
そんな中、○○は突然の事でうろたえていたが、桃香達の唇の感触を思い出すと徐々に、にやけてきた。
「ちょっとアンタ!何をにやけてるのよ!」
「いや、その…。何と言うか、ははは」
華琳に責められた○○だが、少し照れながら頬を指で掻く。
そんな表情を見た三人は……
「「「ぽっ!」」」
三人共照れて、頬を赤く染める。
だが、この場には当然それを許そうとしない人物が居る。
「NANIをSITEIRUのかしら?」
「「「「ひいっ!!」」」」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴと地面は揺れ、大気も震える。
一姫の身体から噴き出す怒りの闘気のパワーは宇宙の創造、ビックバンにも匹敵する。
女神も吃驚だ!
「お、落ち着け一姫!これは事故だ、事故なんだ!」
「じゃあ、USIROのSOREはNANI?」
「後ろ?」
○○は後ろを向こうとするが誰かに身体を押さえ付けられて動かない。
仕方なしに首だけで確認すると一姫の((病闇|ヤミ))オーラに怯えている桃香・華琳・雪蓮の三人が○○に涙目でしがみ付いていた。
「は、ははは……、はははは?」
「ふふふ、フフフフ、FUFUFUFUFU」
一姫は何処かの高校の用務員の様な逝っちゃってる眼で何時の間にか手にしている朱雀偃月刀を振り上げ、そして振り下ろす。
「「「「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」
「((DIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIEEEE|ダァーーーーーーーーーーーーーーーーイッ))!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしてその日は「鮮血のバレンタイン」として聖フランチェスカの歴史に刻まれる事になったのであった。
ちゃんちゃん
説明 | ||
お久しぶりの一姫登場! バレンタイン夢小説です。 例によって○○の中に入るのは貴方達の名前です。 では、行って見ましょう。 |
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コメント | ||
((((;゚Д゚)))))))(ガリ眼鏡) ((((;°Д°))))ハワワワワワワワワワーーー!(頭翅(トーマ)) ((((;゚Д゚))))アワワワワワワーー!(はるか) 怖ええええ!?(((( ;゚д゚)))アワワワワ(劉邦柾棟) |
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