IS-インフィニット・ストラトス ネクサス テスト飛行ーTest flight ー |
「織斑君、組んで。」
「え・・・・・」
放課後のIS学園の廊下、簪は一夏にタッグを組むことにした。
「なんで急に?」
「・・・・・・・わからないけど、そうしたいと思ったから。」
「そっか。わかった、じゃあ職員室に行こうか。」
「そ、そうする。」
一夏と簪は職員室に行きペアの申請をした。
「で、この後どうするつもりだ?」
「せ、整備室に行こうと思う。」
「ISスーツ着用するべきか?」
「そ、そうだね。そうする。」
「待ち合わせはどこだ?」
「だ、第二整備室。」
どうして彼にあそこまで心を入れちゃったんだろう?何処か彼のことが忘れられない。どうしてか彼のことが忘れられない。彼えの考えると、どうしてか胸が苦しい。なんでだろう・・・・・・
第二整備室内、たくさんの生徒がISをいじくっていた。
一夏を見ているセシリア、鈴、シャルロット、ラウラの四人は一夏を睨んでいるが一夏は気にしていない。
「それじゃあそろそろ始めようか。」
「うん・・・・おいで『打鉄弐式』・・・・・・」
簪の体を光が包み、装甲を舞おうと同時に浮遊する。
「へえ、機動性かつ遠距離攻撃特化型か。」
「うん、よくわかったね。でも・・・・武装はまだ出来ていないし、それに・・・・・稼動データも取れてないから・・・・・・今のままじゃ・・・実践は無理・・・・・」
「そっか。武装はミサイルでいいんだよな。」
「・・・・どうして知っているの?」
「ちょっとツテで知った。」
「・・・・そう。でもマルチロックオンシステムによる高性能誘導システム、それに・・・・荷電粒子砲もまだ・・・・」
「でかい水鉄砲か・・・・・そこはこうしたらいいんじゃないか?」
一夏はキーボードを叩く。
「・・・・・すごい。でもどうしてこんなの出来るの?」
「いや、前に資料読んだから。」
「・・・・あれ軽く百ページあったよ。」
「気にするな。マルチロックオンシステムはこれにしてみるか?」
一夏はコンタクトレンズ状の物体の映像をディスプレイに出す。
「どういう仕組みにしているの?」
「意思伝道システムは知っているな。」
「うん。よく義手を使う人たちに使われるものだよね。」
「ああ。それと識別信号システムを組み合わせて造ろうと思っているんだ。」
「そんなことが可能なの?」
「何とかしてみせる。知り合いにすごい人といるからなるべく早くに出来ると思う。」
「・・・そうなんだ。出来たら一回試させて。」
「ああ。それより視力は今どのくらいだ?」
「どうしてそんなこと聞くの?」
「いや、聞いていないと目に悪いだろ。間違って視力を落としでもしたら今後の私生活に関わるし。」
「・・・・・わかった。」
簪はISを使い視力を表示する。一夏はそれをメモる。
「おーりーむー。かーんちゃーん。」
「本音・・・・・」
「えへへ、お手伝いに来たよ〜。」
のほほんさん、せめてお嬢様なんだからちゃん付けはやめましょうよ。あれ?どうやら簪さん同い年の幼馴染が苦手みたいだな。
「本音・・・・どうせまた姉さんに言われて・・・・・来たんでしょ?」
「え〜?ちがうよー。私はっ、かんちゃんの専属メイドだからー、お手伝いするのは当然なんだよー。」
「・・・・・・」
「月曜から木曜まで、暮らしを見つめる布仏本音ですー。」
「後の三日は何をしているんですか?のほほんさん。」
「お休みでーす。」
「三日は・・・・休みすぎ。」
「まったくもってそのとおりだな。」
「ところでわたしは何をしたらいいの〜?」
「装甲の点検をしたらいいと思うぞ。」
「私もそう思った。」
「じゃあ俺はシールドエネルギーの調節をするよ。」
「どこを強化するの?」
「スラスターの回りを少し強くするつもりだ。」
「おりむ〜のISはどうしているの〜?」
「ん、こうしているが。」
一夏は二人に見せる。
「これってほとんど防いでないよね。痛くないの?」
「身体がもたないよ〜、おりむ〜。」
「大丈夫だって。それに慣れてるし。」
「慣れてるって・・・・・・」
「どんな鍛え方したらそうなるの〜?」
そんなことをしながら『打鉄弐式』の調節は終わった。
「とりあえずこの後はどうする?」
「あ、あの・・・・・飛行テスト・・・・・付き合って、欲しい・・・・」
「わかった。いいぜ。」
「あ、ありが・・・・と。」
ご丁寧に簪はお辞儀をする。
「どこでするつもりだ?」
「飛行テストだから・・・第六・・・・」
「よく把握しているな。じゃあ行くか。」
「う、うん・・・」
「いってら〜。私はコントロールルームでデータスキャナー使って支援する〜。」
一夏と簪は第六アリーナに向かった。
第六アリーナ。一夏と簪はカタパルトにいた。
「行けるか?」
「う・・・・・うん・・・・・」
「じぁあ俺が先に飛ぶからタワーの一番上で合流しよう。」
「わ、わかった。」
簪は腰を落として偏向カタパルトに両足をセットする。
カタパルトが開き、空中投影ディスプレイが『Ready』から『Go』に変わった瞬間、簪は機体を一気に加速、第六アリーナの空へと飛び出した。
(機体センサーは・・・・大丈夫・・・・・・・・。あとは、ハイパーセンサーの・・・・・接続、連動・・・・・)
簪のISが一夏のISを捕捉する。ズームで一夏の顔がアップされると簪は顔を赤くする。
(お、落ち着いて・・・・・・。集中、集中・・・・・・)
背部スラスターの出力特性に気をつけながら、簪は機体を一気に加速させえいく。
機体を加速させ、飛行していると急に期待は空中で停止する。簪は疑問に思いながらディスプレイを見る。
簪は再調整を行い再び飛行する。
ぐにゃりとねじれた形をしたIS学園の中央タワー、その外周を細やかなスラスター制御で加速しながら昇っていく。
簪はその間にも両手のキーボードで機体調節し続け、一夏と合流する頃にはほとんど飛行システムを完成させていた。
「よっ。」
一夏は手をひょいっと上げる。
「どうだ?機体のほうは。」
「大丈夫・・・・」
「そっか。よかった。」
笑う一夏の笑顔が眩しく、簪はとっさに目をそらす。
「じゃ、じゃあ・・・戻るから・・・」
簪は一夏より先に急降下をする。
「へえ、やっぱり早いな。」
「う、うん・・・・・」
その機体はまるで一夏から逃げるように急降下していく。
(・・・・・あれ?)
一夏は気付いた。簪の打鉄弐式の脚部ブースターのジェット炎が不規則的に燃えている。
一夏は急いで回線を開こうとした瞬間、打鉄弐式の右脚部ブースターが爆発した。
「!?」
突然の爆発とブースターの片方が損失したことにより姿勢制御は崩壊、簪は機体ごと大きく傾き中央タワーの外壁へと一直線に突っ込んでいく。
「簪!」
簪は機体を立て直そうとするがディスプレイには『エラー』の文字が数々出ている。簪が諦め、目を閉じた瞬間であった。
「諦めるな!!」
「!!」
一夏はマッハムーブを使い簪の目に出て、セイビングビュートで簪をキャッチ、簪はお姫様抱っこの体制になる。
一夏は背中で衝撃を受ける。
「おりむらくん・・・・・大丈夫?」
「ああ。こういう衝撃は慣れているから大丈夫だ。簪は?」
「・・・・・大丈夫。」
「良かった。幸いアリーナの方も壊れてないからなによりだ。」
「そ、そうだね・・・・・」
「このまま下りるぞ。」
「う、うん・・・・」
簪は小さく頷き、一夏の腕の中で黙ってしまう。
簪の頬が夕日と同じ茜色に染まった。
・・・・・・あのときの言葉・・・・・なんだか格好良かったな。それに・・・・・あの時守ってくれた。
簪はシャワーを浴びながら一夏のことが頭から離れなれなくなった。
簪は風呂から上がり、窓を覗いた瞬間であった。
『生徒の皆さん、非難してください!ビーストが出現しました!!』
簪はその放送を聞いた途端、窓を覗くとそこには背中に水晶を付けたビーストの姿があった。
「あれ・・・・・なんなの?」
説明 | ||
放課後のIS学園。簪は一夏にペアを申し込んできた。 | ||
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