真・恋姫無双 〜降りし御遣い伝〜 第6話 改訂版 |
第6話 主従の絆と3人の愛
「ふぁ〜……もう朝か?……いや昼か?」
自分の下半身に違和感を感じて起きる春蘭。
「う、痛い……でも、なんだか嫌な痛みではないな///」
幸せな気持ちを感じながら、与えてくれた相手を探す春蘭。
しかし、一緒に寝ていたであろう寝所の上には春蘭1人。
なぜ?
秋蘭もいないと言うことに気付くと急いで着替えて2人を探しにいく。
春蘭が慌てて探しているとは知らない2人はというと、春蘭が寝た後もしたというのに、春蘭よりも早く起きて2人で鍛錬をしていた。
といっても始めは一刀に教わりながら秋蘭が精神修行の一環として普段一刀がしている座禅をしていた。一刀くらいになると、鳥が一刀に止まることもある。
「……」
「……秋蘭、春蘭が泣いてるぞ」
「何!?」
「まだまだ甘いな。だいたい、そんなことをおれが言う訳ないだろ?言う前におれが先に行ってるさ」
「そうであったな。しかし一刀よ、姉者のことを出すのは些か卑怯なのではないか?」
「ふむ。それもそうだったな。すまなかった秋蘭。でも秋蘭はこうでもしないと乱さないからね」
「うっ…痛いところを突くのだな。……まぁ、いい。さて、次は私の鍛錬に付き合ってもらうぞ?」
「いいよ。何するの?」
「なに、ただ弓を射るだけだよ」
秋蘭はただ弓を射るだけだと言って、一刀も軽い気持ちでいたが、あとで一刀はこの時の自分を殴りたいとさえ思った。
「秋蘭、おれにはこれは無理だ……」
秋蘭は的から結構離れた位置におり、そこから的のど真ん中へと的確に当てていく。
もちろん、直前に射られた弓矢には当てずに。
そんな神業を見せられた後に「一刀もやってみろ」なんて言われても無理なこと。
「おれはまずここから的に当てることが出来るかどうかが怪しいのに秋蘭のようになんて出来る訳ないだろ?」
「てっきり一刀は何でも出来ると思っていたのだがな。誰にでも苦手な物はあるか」
「おれだって人間だ。だから万能じゃない。この世に何でも出来る万能な人間なんていないよ。だからこそ、人間は素晴らしいと思うけどな」
「そうか。言われてみればそれもそうだな」
「人間誰でも1つは苦手なものがある。でも逆に得意なものがある。分かりやすく言えば、秋蘭は弓が得意だろ?春蘭は剣が得意。民は、商売が得意な人がいればその商品を作るのが得意な人、料理が得意な人、食材を獲ったり作るのが得意な人。これだけ違う。だから人間って生き物は面白いんだよ」
「ふむ。なるほどな」
「苦手なものに挑戦して克服するってこともあるけど、結構難しいからね」
「私も剣は苦手だからな」
「いいんだよ、苦手で。役割がちゃんとあるんだからさ」
「ふっ。そうだな」
2人でまったりしていると、そこに春蘭がやってきた。
「探したぞ2人とも!」
「姉者、どうしたのだ?」
春蘭は下半身が気になるのか、庇うような歩き方でこちらへと歩み寄ってくる。
「春蘭、大丈夫か?」
「だ、大丈夫だ!だからそんなに近くに来るな!///」
「お、おい春蘭!」
春蘭は一刀が近くにきて恥ずかしかったのか、自分の得物を取り出して一刀へと振り降ろそうとする。
「姉者、今私は一刀と一緒に鍛錬をしていたのだが……」
「何!?鍛錬だと!?なぜ起こしてくれなかったのだ!!」
「いや、だって春蘭気持ちよさそうに寝てたから起こしたら可哀想でさ……」
「そ、そうか。おかげで気持ちよく寝むれたぞ一刀。感謝する!」
「え?あ、うん。どういたしまして?」
「はぁ〜……」
秋蘭の溜息で2人は現実に戻ってきた。
「姉者、ここへはどうして来たのだ?」
「おぉ!そうだった。そうだった。朝起きたら2人がいなかったから探していたのだ!」
「それだけ?」
「それだけとは何だ!私が探してやったのだぞ?もっと喜べ!」
「ありがとう春蘭。春蘭に探してもらえるなんておれは幸せ者だよ」
「そ、そこまで褒めてくれるとは……/////」
春蘭は一刀に褒められながらも頭を撫でてもらえたことがよほど嬉しかったのか、顔は綻び、真っ赤になっていた。
そんな姉を見てつまらないのは同じ男を愛した妹である。
「……一刀」
「なに?秋蘭」
秋蘭は一刀を呼ぶと、一刀に近づき、頭を少し傾けた。
接吻かどっちか迷った秋蘭であるが、昨日の事があり、いきなりしても春蘭が泣くと思って接吻をすることは諦めた。
「どうしたの?秋蘭」
「……」
秋蘭は頭を少し傾けた体勢から動こうとしなかった。
一刀はもちろん、秋蘭が何を望んでいるか分かっている。
春蘭と同じように頭を撫でてほしいのだろう。
春蘭のことはたくさん撫でている。
しかし、秋蘭はまだ撫でたことが無い。
春蘭がこんなに気持ちよさそうな顔になることを自分もしたいのだろう。
だがこの日の一刀は少しSが入っていた。
「秋蘭。何をしてるの?」
「……」
「何かしてほしいなら言ってくれないと分からないよ」
一刀は微かに微笑みながら秋蘭に言う。
秋蘭は一刀の微笑みを見て、一刀が態と言っているのだと理解するが、このままではしてもらえないと思い、意を決して言うことにした。
「……くれ」
「ん?」
「私にも、姉者と同じように頭を撫でてくれ」
ここまで素直に自分の願いを言って出る秋蘭に春蘭は目を丸くしながらも、妹が一刀を本当に好きなのだと改めて理解した。
「ちょっといじめすぎちゃったかな。でも秋蘭の新しい面が見れたから良しとするかな」
そういいながら左手で秋蘭の頭を撫でる一刀。
それを気持ちよさそうに受け入れる秋蘭。
右手で撫でられながら秋蘭と一緒に撫でられるのが嬉しい春蘭。
そんな3人を柱の陰から見ている2人。
「幸せそうね」
「よろしいのですか?華琳様」
「いいのよ。あの子たちが幸せならそれでね」
「ですが、あの男はまた旅に出ると言っております。いずれは敵になるのでは?」
「その時は私に跪かせるだけよ。最後に笑うのは私なのだから」
「それはもちろんです!ですが、春蘭と秋蘭が……」
「あら?桂花はあの2人が私を裏切るとでも?」
「い、いえ!そのようなことはありません!あの2人の華琳様への忠誠心は本物です。私が言いたいのは、あの男が敵に回った時に、春蘭と秋蘭が使い物になるかどうかということです」
「その心配は無用よ。それはあの2人も分かっているはず。ならばすでに覚悟も出来ているでしょう。あの2人は私が最も信頼するうちの2人よ。もちろん、あなたもね」
「華琳さま〜///」
2人はそのまま執務室へと向かった。
桂花が心配するのは最もなことだ。
春蘭と秋蘭が抜ける、あるいは使い物にならなくなれば、曹操軍は一気に戦力が落ちる。
2人は曹操軍の要なのである。建物を支える柱が一度に2本も無くなれば、その建物は一気に倒壊してしまう。
しかし華琳はそのような心配は無いと言う。
春蘭と秋蘭の主は一刀ではなく、華琳である。
その結束は非常に硬い。
2人は一刀に出会うまでは華琳至上主義であった。
それは身も心も捧げるほどに。
一刀と出会った今もそれは変わらない。
2人は一刀のことを愛している。
それは一生を共にしたいと思うほどに。
しかし、一刀への想いと、華琳への忠誠心(愛)は全くもって違う物で、今でも華琳に呼ばれれば喜んで行く。
曹操軍の主従関係は完璧だ。
「春蘭はこの後どうするの?」
「この後は兵の鍛錬だ」
「秋蘭は?」
「私は街の警邏だ」
「じゃあ、試験が終わったあとに2人と一緒に街を散策してもいいかな?」
「もちろんいいが、試験のほうは大丈夫なのか?」
「今回の試験はおれの実力を測るもので、もしも曹操の目に適うのなら、おれを引き込もうとするだろうな」
「そのままここに残ってみてはどうだ?」
「……前にも言ったけどな、おれはこの時代を旅してみたいんだ。おれの知らない色んな事で溢れているこの大陸を旅していきたいんだよ」
「やはり答えは変わらぬか」
「ごめんね」
「いや、こちらこそすまないな。一刀が旅に行くことは聞いていたのにな。それでも、寂しくて文句の1つも言いたくなるのだよ」
「秋蘭……」
「秋蘭だけではない!私も一刀には残ってもらいたいと思っている!」
「春蘭もか……」
「私は、華琳様以外で、しかも男をこんなに愛したことはない!」
「私も姉者と同じだよ。ここまで男に心を許したのも、父上以来のことだ」
「私たちの想いは誰にも負けないぞ!」
「一刀が旅に出てもそれは変わらない。残念ながら、私たちは華琳様のお側でお守りしていかなくてはならない。だから一刀に付いていくことは出来ない」
「2人とも……ありがとう。でも今すぐに旅に出るわけじゃないんだからさ。もう少しここに滞在させてもらうから、その間お世話になるよ」
「フフフッ。そうだな。昼も夜も2人でみっちりとお世話してやろう」
「そ、そうだ!覚悟しておけよ一刀!今日こそは勝つからな!!」
「はぁ〜!?そういう意味で言ったんじゃないんだけどな……。だいたい、春蘭は何に勝つ気でいるんだよ……」
そんな話をしながらも、2人を愛して良かったと暖かい気持ちになり、2人を悲しませるようなことはもうこれ以上はしないようにしようと誓う一刀。
そして春蘭は鍛錬所へ、秋蘭は警邏へと向かい、一刀は文官採用試験の会場へと向かって歩を進めた。
一刀が2人と分かれてやってきた会場には多くの人が来ていた。
「うっ!」
会場に入ると、そこはピリピリとした空気が流れていた。
物音1つ起てる物がいれば、睨まれる。
この時代も、未来とそう変わらないことに可笑しくなり、気分が軽くなった一刀は、席について、時間が来るのを待った。
「これから試験を開始する。問題の書いてある竹簡と、答案用の竹簡が全員に配られたら開始とする。全部終わった者は、私の終わりの合図を待たずに帰って構わない。以上だ。それでは始め!」
文官らしき試験官が開始の合図をすると、竹簡の当たる音が至る所から聞こえてきた。
「そこまで!」
試験官の合図で一斉に竹簡の音がやむ。
「ふぅ……」
試験が終わり、ため息が出る。
試験会場を後にし、街へと歩を進めた。
あとがき
ごめんなさい!
何度お詫びをすればいいのか・・・。
昨年度中に何とか投稿したかったのですが、前述したとおり、投稿が出来ませんでした。
今年は公務員試験があったり、色々と忙しくはありますが、なんとか投稿はしていきます。
昨年のようなことはしません。
えぇ・・・しませんとも!
今月中にあと2話投稿出来たらいいな・・・。
話は変わって、先週、ワンフェスに行ってきました!
人が多くて、初めて人の波で酔いました。
そんなに若くないからかもしれないけど・・・。
25歳過ぎたら身体が思うように動かなくなってきました。
風邪ひいた時もなかなか治らなかったし・・・。
皆さんも気を付けてくださいね?
それでは次回、第7話でお会いしましょう。
説明 | ||
ごめんなさい!パソコンの故障や、仕事でのストレス、ゲームなどでなかなか投稿が出来ませんでした。しかも今回は内容が希薄だと思います。すみません。それでも読んでいただけたら嬉しいです。では第6話よろしくお願いします。 | ||
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コメント | ||
続きをく首を長くしながら待っています(k.m) 初コメです、とても面白いですね!続きをお願いします、続きを〜(ボルックス) 続きはまだっすか?(デューク) ところで、一刀は漢文を読むことができたんだろうか?(Tomy ) お待ちしてました。続きを楽しみにしてます。(デューク) |
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