IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode118 名前
「・・・・っ」
そうして隼人は目を覚ました。
「ここは・・・」
周囲を見ると森の中であるのが分かる。
「気が付いたみたいだね」
「・・・・?」
半身を起き上げて横を見ると、そこには焚き火に枝を入れて炎の調節をしているティアがいた。
その隣にロストが座っていた。
「ティア」
「大丈夫?」
「あ、あぁ」
「君が気を失ってからざっと丸一日が経っているね」
「そんなに寝ていたのか。って、俺はそうは聞いてないが?」
「君だったら最初に聞くと思ったから」
「・・・・」
その通りであったから何も言えない。
「君が気を失っている所を見つけてここまで運んだんだよ」
「それはどうも」
隼人は焚き火の前に来るとティアからココアの入ったカップを受け取る。
「それで、ここは何所なんだ?」
「ドイツ南部の森の中だよ」
「ドイツだと?じゃぁ俺はそんな遠くまで連れて行かれたのか・・・だからかなり寒いわけだ」
ブルッと身体を震わせる。
「そりゃね。着替えは用意しているから後で着替えてね」
「分かった」
隼人はカップを口に当ててココアをすする。
「でも、君を施設で早く見つけれたのも、ロストのお陰だからね」
「ロストが?」
「実はね、施設に侵入して途中でばったりと会ってね、それで隼人がいる場所を早く知ることができたんだよ」
「・・・・」
「効率よく脱出をするためには協力者が必要となる。行動理由が一致したことで協力したのです」
「なるほど」
「でも、驚いちゃったよ。戦闘機人のゼロナンバーがいたんて思ってもみなかった」
「知っていたのか」
「伊達に亡国機業にスパイとして潜入していたわけじゃないんだよ。戦闘機人のことも調べていた。
もちろんその製作者もね」
「そうか」
「まぁ聞くまでも無いかもしれないけど、隼人はこの後どうするの?」
「もちろんIS学園に戻る」
「だよね。でも、そう簡単にはいかないよ」
「まぁ確かに今の俺には一銭もないし、仮にあっても飛行機に乗るためのパスポートも無い。それにISで飛行するのは危険が伴うからな」
「それもあるけど、それ以上に危険な事があるんだよ」
「なに?」
「今バインドが世界中で出没するようになったんだ」
「バインドが?」
「どれも軍事施設などを攻撃している。IS関連のね」
「・・・・」
「だからいつどこで遭遇するか分からないんだ」
「心配ない。俺は何度もやつらと戦った」
「でも、今回は戦力は少ないんだよ。大量に攻めてきたらさすがに無理なんじゃない?」
「どうかな。だが、俺をIS学園まで送るんだろ?」
「そうしたい所だけど、僕にはまだやるべき事がたくさんあるんだ。この後もやる事があるから君とは一旦別れる」
「そうか・・・。ってことは俺とロストだけか」
「今の状況なら軍は施設の護衛に集中するはずだから、ある程度高い高度を飛行してステルスを掛ければ見つかる事はないと思うよ」
「・・・・」
「ずっと疑問に思っていたんだが・・・ティア」
「・・・・」
「お前は何をしようとしているんだ?」
「・・・・」
「お前は・・・」
「隼人。それはまだ言えない
「・・・・」
「これは僕だけの問題だから、君には言えない」
「・・・そうか。なら、いいや」
隼人は深く聞こうとはしなかった。
「じゃぁ、無事にたどり着けるのを祈ってるよ」
「あぁ」
そうしてティアは1、5ガンダムを展開して飛び上がると光学迷彩を展開し飛んでいった。
隼人はティアが用意してくれた服を着始める。
丈夫な生地でできた黒いズボンに黒の軍用ブーツ、グレーのシャツの上に黒いジャケットと言う全身ほぼ真っ黒と言う何とも言えない服装であった。
(ティアの趣味で選んだな。まぁ俺の好きな色ではあるが・・・)
同じようにロストもティアが用意した服を着ていた。
と、言ってもロストが着ている全身スーツの上にグレーのズボンにグレーのコートを着るだけであるが。
「なぁ、ロスト」
「なんでしょうか、ゼロ?」
コートを着直してから隼人の方を向く。
「このままその名前で呼ぶのは後々面倒だからな。別の名前をつけようと思うんだが」
「なぜです?」
「なぜって・・・これじゃまるでコードネームじゃないか」
「私は戦闘機人です。人間に近いと言っても、根本は機械。それに私はナンバーが付けられなかった試作品のロストナンバー。
名前など必要ないのですよ」
「だからってなぁ」
「・・・・」
「確かにそうかもしれないが、それでもお前は一つの命を持っているのだろう」
「所詮は偽りの命です。一部の戦闘機人を除いたとしても」
「あのなぁ・・・」
隼人は頭を掻く。
「しかしゼロがそう言うのであれば、私は従いましょう」
「・・・まぁいいや」
どうも納得がいかないが、考えても仕方が無い。
「まぁ何となくお前はあいつに似ているからなぁ」
「何の話ですか?」
「気にするな」
隼人はロストが誰かに似ていることを思っていた。
「お前は今度から・・・・・・『シノン』だ」
「シノン・・・」
「いい名前だろ?」
「・・・・」
なぜシノンと名付けたかと言うと、前世の俺には二人の妹が居り、その内の一人がシノンであったからだ。ちなみに俺と二人の妹とは三つ子である。
まぁある意味じゃ今世でも三つ子と言う近い関係になったと言うわけだが、シノンを妹にしようかまでは考えてない。
ちなみに颯は『風のようにやって来た』と言う意味でつけたが、もう一人の妹の名前も颯であるのでその意味合いも含んでいる。
「なぜそのような名前に?」
「別にいいだろう。何なら俺の妹になるか?」
「確かに私はゼロの遺伝子と同じものが使われていますが・・・さすがに妹までは・・・」
「冗談だよ」
「・・・・」
「今度からは俺の事は隼人でいい。決して一部の者以外の前じゃゼロと呼ぶなよ」
「・・・・」
ロストことシノンは少し戸惑いを見せる。
「もう今日は寝るか。明日は早いぞ」
「・・・・」
そうして二人はティアが用意していた寝袋に入って眠りに付く。
その頃―――――
「しかしまさかロストがタイプゼロ側に付くとはね」
研究所から逃走したナンバーズは別の研究所に移っていた。
「どうして向こうに付いたのでしょうか」
ドクターの隣にはシスターがタッチパネルを操作して回路の調整をしていた。
目の前には開発途中のIS強化外装『シド』のフレームがあった。
あの研究所で量子変換してこの研究所に運び込んでいたのだ。
「恐らく本来のメモリーが復活して、元居る場所に戻ったのだろう」
「本来のメモリー・・・」
「ロストはタイプゼロを基にした戦闘機人。タイプゼロを作った者がそうなるようにデータを入れていたのだろう」
「・・・・」
「それに加えて、こちらの方で改造したISをロストに奪取され、黒獅子と白き一角獣をも奪われるとは、こちらとしても手痛いものだ」
「そうですわね・・・。これからどうしますか?」
「しばらくは水面下で行動するとしよう。これ以上研究所を失うのはこちらとしても避けたいのでね」
「・・・・」
シスターはドクターを横目で見ていた。
(水面下で動く、か。行動が慎重すぎますわね)
タッチパネルを操作しながら考えていた。
(まぁいいですわ。時が来るまであなたを利用して差し上げましょう)
内心で邪悪な事を考えていた。
(その時になれば・・・あなたは不要なのですから)
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
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