天使と悪魔の代理戦争 第五話
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「えっと、僕はユーノ・スクライアと言います。別の世界から来ました」

 フェレットさんもといユーノくんは自己紹介して礼儀正しく一礼する。

(サラッと凄いこと言われた……)

「それでユーノくん。さっきのジュエルシードっていうのはなんなのかな?」

 なのはちゃんは異世界人発言を無かったかのように扱った。

「ジュエルシードというのはさっきの青い宝石のことで、『願いが叶う』宝石とも言われています」

 そんな良さそうな物には見えなかったけど。

「ジュエルシードは高密度のエネルギー結晶体で、ちょっとしたきっかけで暴走してしまうので、かなり危険です」

「そんな物がどうして家の近くに?」

「それは……僕のせいです」

「どう言う事?」

「とある遺跡に眠っていたそれを僕らスクライア一族が発掘したんですけど、移送している最中に事故があってジュエルシードがここら一帯にばら撒かれてしまったんです」

 そんな事があったのか……。

「でも、それってユーノくんが悪いんじゃないよね?」

 事故が原因なんだし。

「ですが……」

 ユーノくんが暗い表情で何かを言おうとしたが、急に肩をビクッとさせた。

「いえ、それはいいんです。問題はそのジュエルシード21個――今3個集めたので残り18個を早く回収して封印しなければなりません」

「僕、封印使えないんだよね」

「俺も使えねえ」

「残念ながら僕も封印は得意でなくてね」

 つまり、なのはちゃんしかジュエルシードは封印できないのか。

「それなら私、協力するよ!」

「それは嬉しいんですが……また今回のような事になるかもしれません。もしかしたら、大怪我するかも」

「でも、放って置いたら周りに被害が出るかもしれないんでしょ?」

「それはそうですが……」

 ユーノくんはしばらく悩んでいたようだったが、すぐに観念してペコリと頭を下げた。

「すいません協力してくださいお願いします」

「う、うん……」

 もの凄い下からのお願いでなのはちゃんも少し引いてた。

 

「そ、それじゃあ、今日はもう遅いから帰ろうと思うけど、ユーノくんはどうする? 家来る?」

「レイジングハートの事もあるのでそうしたいのですが……あ、はい。お世話になります」

 言い淀んでいたユーノくんだったが、少し黙ったと思ったらすぐに肯定した。

(彼はもしや電波でも受信しているのだろうか?)

 それと二人の目つきが鋭くなったんだけど。相手はフェレットだよ?

 

 大まかな事情説明も終わったため、僕たちはそれぞれ帰路に着いた。

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『大変な事になりましたね』

 なのはちゃん達と別れてしばらくしてディナが口を開いた(口はないけど)。

「そうだね。でもなのはちゃんが協力するから、僕も協力しない訳にはいかないし」

『マスターはそういう人ですからね。けれど、十分に気をつけてください。あの結晶体は下手すればこの町を吹き飛ばせるほどのエネルギーを秘めています』

「……そんなに危険な物なの?」

 綺麗な宝石にしか見えなかったんだけど。

『あのフェレットも言っていたでしょう? あの宝石は高密度のエネルギー結晶体だと。指向性を持たないエネルギーは不発弾みたいなものです』

「それは危険だ……」

 正直言って甘く見ていた。

「でも、それだと尚更僕たちが集めないと。あの異相体だって放って置けば周りに被害を出すんだし」

『そうですね』

 ディナは深くため息を吐いた。彼女は僕が危険な事をするのを心配しているのであって、決して面倒だなんて思ってはいないはずである。

『帰ったかお二人にも事情を説明しなければならないでしょうね』

「うっ……」

 紗良はともかく水面は心配性で、説得するのは難しそうだ。

『言っておきますけど、私は説得には協力しませんから』

「うん……」

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