IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode119 上級バインド
そうして夜が明けた時に隼人とシノンはISを展開して飛び立っていた。
帰還ルートとしては国土の上を飛ぶわけには行かないので、地中海を通った後紅海を横断、その後インド洋に出てアラビア海を通過。
その後はこっそりと島々を通過して日本に到着すると言う至ってシンプルなプランだ。
「しかし、ユニコーンにこんなものがあったとはな。お陰で楽だぜ」
「あっても使う意味はあるのですか?」
と、二人はISを纏い、ある物にうつ伏せで乗って飛んでいた。
平らな板状をしており、裏には四つのダクトがあり、前方には一門のビーム砲を持ち、その上にIS二体が乗れるスペースがあった。
「『ベースジャバー』・・・サブフライトシステムと呼ばれるものだ。IS本体とは別電源だから、エネルギー節約になる」
「つまり目的地まではエネルギーを消耗する事無く移動できる、と言う事ですか」
「あぁ」
「しかしISにはPICがあるので、さほど実用性は無いのでは?」
「かもな。まぁもしかしたら今後陸戦型ISが開発されるとも分からんぞ?」
「それでしたらサブフライトシステムの実用性は高くなるでしょうね。陸戦型ISの運搬として」
「そうだな」
(しかし、今の所何も起きてないが・・・)
隼人はユニコーンのセンサーで半径五キロ圏内をスキャンしながら周囲を見回す。
(本当に軍の連中はバインド対策に慌てているという事か。軍の偵察機が全く見られないな)
飛び立ってから一時間半が経過し、現在は地中海から紅海に差し掛かる所まで来ており、ここまで何も確認されて居ない。
(まぁ、おかげで面倒な事は避けられては居るが・・・どうも何か引っ掛かるな)
今までの経験上事がうまく進んだ試しは無い。何かが起こりそうと考えてしまう。
(いや・・・できればそうはなって欲しくは無い・・・。つっても、もうフラグを立てまくりだが・・・)
「しかし、分からないものですね」
と、シノンが話し出した。
「どうした急に?」
隼人は左に居るシノンを見る。
「なぜあなたは私に人間性を求めるのですか?」
「・・・・」
「私はあなたをお守りするために作られた。余計な感情は必要ないのです」
「昨日も言ったはずだぞ。例えそうでもお前は一つの命を持っている。違うか?」
「私の命は偽りのものです。他の戦闘機人やあなたとは違う」
「だとしてもだ」
「・・・・」
「個性がある戦闘機人も悪くは無いと思うぞ」
「・・・・」
「今後共にする仲間達と交流をするのであれば、そういうのも悪くは無い」
「・・・・」
「だから俺はお前に名前を与えたんだ。bO0ロストとしてではなく、一人の戦闘機人シノンとして」
「・・・・」
「そうやって学ぶのも悪くは無い。そうだろ?」
「・・・考えておきます」
そうしてシノンは前を見る。
(どうして颯とこうも違うんだ。それとも颯も生まれた時はこうだったのか?
だとすれば俺ってこんな感じで見られているのか?)
隼人は静かに唸った。
(まぁ、シノンが変わってくれるのはまだ先の話だなこりゃ・・・)
「はぁ」とため息を付いた。
そうして紅海を抜けてインド洋のアラビア海に入る。
「今日の飛行は次に見える島までだ。引き続き警戒だ」
「了解」
シノンは右手にビームライフルを展開して警戒する。
「しかし、みんなに会ったらシノンの事をどう説明するかな」
「・・・・」
「まぁ颯より先に作られたクローンって言うのがちょうどいいのかもしれんが・・・何かあれな気がする。
って言っても、それしか説明のしようが無いな」
「事実ですからね。私はあなたの生体データより作られたのですから」
「・・・・」
「ゼロがどう説明しようと、私はその流れに乗るだけです」
「意外とノリはいいんだな」
「そうでもしないとゼロが困るでしょうから」
(何だかなぁ・・・)
妙な所で頑固だが、こういう所は何とも言えない・・・
(本当にクローンって言うのは性格まで似るものなのかな?)
「うーん」と静かに唸った。
(シノンもこんな感じだったのか?いや、それは無い、か)
―――――!!
「っ!?」
するとユニコーンの警戒アラームが鳴り響いた。
「ちっ!」
隼人はとっさにベースジャバーをバレルロールさせると、前方よりビームが飛んできたが何とか直撃は避けられた。
「砲撃だと!?」
「それほど遠い砲撃ではないようです」
「・・・・」
すぐに軌道変更してとっさに砲撃元を拡大して見る。
そこには数体の影がいた。
殆どの機体は頭部にX字に黒いラインを持ち、左側だけに上下二つに丸い紫の目を持ち、背中にはコーン型の何かがあり、その両側に二つのブースターを搭載していた。どれもバレルの長いビームライフルを持っていた。
しかしその内一体だけが明らかに異なっていた。
(ジンクスWと・・・あれは『トルネードガンダム』!?だが、どういうことだ?)
そのトルネードガンダムだけは他のバインドとは異なり、青紫に黄色、赤など色が付いていたのだ。
(なぜ他のバインドと違って色が?)
(まさかここで出くわすとはな)
と、向こうは隼人達の様子を窺っていた。
(例の物を手に入れて帰る途中に例の人間もどきと遭遇か)
するとトルネードは手を動かしてバインドに指示を出した。
(まぁあの御方に献上するのも悪く無いな。それで俺も出世コースだ)
そして隼人達に向かってバインド達は向かって行った。
「来るか!」
隼人はビームマグナムを展開してベースジャバーから降りるとスラスターを噴射して飛び出す。
「シノン!ベースジャバーのコントロールを任せる!色の付いたやつをやるからお前は他の機体を!」
「了解!」
シノンは別方向に向かっていく。
(やっぱ事がうまく進んだ例は無いな。本当!)
隼人はビームマグナムを向けて高出力ビームを放った。
バインド達は四散するとロングライフルで放ってきた。
隼人は飛んでくるビームをかわしていくと左腕にアームドアーマーDEを装着したシールドを展開してスラスターを噴射して飛び出す。
飛んでくるビームをかわしていき、ビームマグナムを放って一体のバインドを撃ち抜いて撃破する。
「っ!」
バインドが放ってくるビームの雨を掻い潜ってトルネードの目の前まで来ると右腕のビームトンファーを展開してビーム刃を出して振るう。
トルネードは左手にビームサーベルを抜き放つと刃を交える。
「くっ!」
するとトルネードは隼人を押し返すと右腕下部よりガトリングガンを出して弾丸を放ってきた。
隼人はシールドを前に出して防ぐが、直後にトルネードは胸部より拡散したビームを放ってきてシールドに直撃させて爆発させた。
直後にトルネードがビームサーベルを振るってくるが隼人は振り被った瞬間にアームドアーマーDEを振るってトルネードを押し飛ばす。
「くっ!」
隼人は頭部バルカンを放つがトルネードはスラスターを噴射してかわし、ビームサーベルを振り下ろすが隼人はビームトンファーを振るって刃を交えた。
そのまま押し返すと再度頭部バルカンを放つがトルネードはスラスターを噴射してかわすとビームサーベルを振り下ろして刃を交えた。
「やるじゃねぇか!!」
「なに!?」
隼人はトルネードより声が発せられて驚く。
「噂通りだな、人間もどき」
「俺を知っているのか?」
「あぁもちろんだ。お前には何体もの兵を破壊されたからな。特にG達をな」
「(ガンダムの事か・・・)・・・お前もバインドか」
「あぁそうだ。バインドの精鋭部隊の一人『トルネード』様だ!」
トルネードは隼人を押し返すと右腕のガトリングを放った。
「ちっ!」
隼人はスラスターを噴射して弾丸をかわすとアームドアーマーDEのビームキャノンを展開してビームを放つ。
トルネードはビームをかわしていくと胸部の拡散ビームを放った。
「ちっ!」
隼人は拡散して飛んでくるビームをかわしていくとビームマグナムを連続で放っていくがトルネードは素早くすべてをかわしていく。
(こいつ・・・今までのやつらと違う・・・)
頭部バルカンを放ってトルネードを牽制する。
(これほど明確な意思を持ったバインドは今まで無かった・・・)
隼人はアームドアーマーDEのビームキャノンを放つもトルネードはスラスターを噴射してかわす。
(ってことは今まで戦ってきたのは下級クラスのバインドだって言うのか・・・)
シノンはシールドを前に出してビームライフルを放っていくがバインドは攻撃をかわすとロングライフルを放つも、シノンはとっさに回避行動を取る。
「バインド。噂には聞いてはいたが・・・」
かわしきれないビームをシールドで防ぐとビームライフルを連射モードに切り替えるとマシンガンのようにビーム弾を放ってバインドを牽制する。
「手強い・・・」
バインドの一体がビームサーベルを出してシノンに近付いてくるが、シールドを上に上げて弾くとシールドに内蔵しているミサイルを放ってバインドに直撃させて撃破した。
(あれが指揮官機・・・ゼロも手こずっている程となると・・・)
直後にベースジャバーのビーム砲を放ってバインドを牽制するとビームライフルを放った。
「くっ!」
アームドアーマーDEの後部を展開して推進器を噴射して飛び出すとトルネードが振るうビームサーベルをかわし、先端のビームキャノンを向けてビームを放つもトルネードは素早く回避する。
トルネードは右手にビームライフルを出して放ってくるも、隼人はアームドアーマーDEを全体に展開させてフィールドを張って防ぐ。
「やるじゃねぇかよ!」
トルネードは一気に飛び出すと左手のビームサーベルを振り下ろしてシールドに叩き付ける。
「くぅ!」
隼人とトルネードは押し合いに入り、隼人はスラスターを噴射する。
「やっぱりおめぇはあの御方に差し出すのが一番だな」
「あの御方?誰の事だ!?」
「そいつは言えねぇな!だが、言えるとすればバインドのすべてを統治する者だ!」
トルネードは隼人を押し飛ばすと右腕のガトリングを放ってユニコーンに直撃させる。
「っ!」
シールドエネルギーがあっても衝撃波が伝わって隼人は動きを鈍らせる。
苦し紛れにビームマグナムを放つがトルネードは横に飛んでかわす。
すぐに左手にマガジンを展開してマグナムに装填するとアームドアーマーDEのビームキャノンを向けて放つ。
(バインドの親玉か・・・居てもおかしくは無いな)
「だが、これ以上俺達も時間を掛ける訳にはいかねぇな」
「俺達?」
隼人は何かに引っ掛かった。
「あぁ。まさかたったあれだけで俺達が行動すると思ったか?」
「何・・・?」
隼人の脳裏に危険信号が発せられる。
すると突然透明の何かに両腕両脚が縛られた。
「なにっ!?」
それによって隼人は動きを止められる。
「ハッハッ!!掛かったな!」
そして隼人の四方より四体のバインドが出現した。
バインドの特徴である影のように真っ黒なボディーに頭部には紫の丸い一つ目があり、口元から後ろまでにパイプが張られ、額には一本の角が立っていた。両肩の一本は上のほうに反ったスパイクアーマーで、右腕下部よりユニコーンを縛る赤く発光しているワイヤーが出ていた。背中には一対のウイングを持つフライトユニットを背負っていた。
(『グフイグナイテッド』だと・・・なぜに思うが、今はそんな場合じゃない!)
隼人はすぐに考えを振り払う。
「この程度で!!」
隼人は何とか強引に右腕を動かして一体のバインドにビームマグナムを向ける。
「撃たせると思ったか」
するとトルネードが飛び出してビームマグナムを蹴り飛ばした。
「ちっ!」
すぐに頭部バルカンを放とうとしたが、鈍い音を立てて弾は出ない。
(弾切れだと!?こんな時に!)
隼人はすぐにアームドアーマーDEのビームキャノンをバインドに向けようとするがさっきと違ってガッチリと固定されて動かせない。
「くそっ!」
「残念だったな。万策尽きたって所か?」
「くっ!まだだ!」
隼人はスラスターを噴射してバインドの束縛を逃れようとする。
「往生際が悪いな。仕方ねぇ」
するとトルネードは左手のビームサーベルを上に上げると左右に振るうと、隼人の背後に巨大な何かが出てきた。
巨大な一対のウイングを持ち、前方にはクローを持っており、胴体の前方に紫に一つ目が怪しく光っており、後部からは紫に輝く光の粒子が出ていた。その姿はどことなく蛾のように見える。
「っ!?」
それは前方にあるクローの間よりワイヤーを射出するとユニコーンのバックパックにくっつけた。
(エンプレス・・・まさか!?)
「やれっ!!」
すると四方のバインドと背後の巨大バインドより強力な電流が流れ出てきた。
「ぐっ!?があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
隼人は電流に晒されて体中より激痛が走る。
「・・・・」
そうしてしばらく電流に晒され、ようやく放電が止まる。
ユニコーンからは焦げ臭い煙が出ていた。
「う、ぐぅ・・・」
隼人はゆっくりと顔を上げる。
「あれでも死なねぇのか・・・。普通の人間だったらとっくにくたばっている所だがな」
「・・・・」
電流に晒されて隼人は意識が薄れ始めていた。
「それじゃぁ、俺から一撃」
と、トルネードはビームサーベルを放り捨てると左手を真っ直ぐに立てて突き出すとユニコーンの左胸に突き刺した。
「っ!?」
隼人は震えながら下を見ると、白いユニコーンの左胸より赤い血が流れ出てくる。
「しばらくは水に浸かっておけ。後で拾ってやる」
そうしてトルネードが手を引き抜くと、バインドのワイヤーがユニコーンから外されて、そのままユニコーンは海へと落下する。
「その間お前の連れを可愛がってやるよ」
「・・・・」
「まぁ生かせる保障はねぇがな」
「・・・・」
そして隼人はそのまま大きな水柱を上げて海に墜落する。
「ゼロ!?」
シノンは驚いて隼人のほうを見ると、バインドがロングライフルを放ってベースジャバーを撃ち抜いた。
「くっ!」
とっさにベースジャバーから降りると直後に爆発して爆風に吹き飛ばされる。
「っ!」
何とかバックパックのスラスターを噴射して体勢を立て直す。
直後に一体のバインドが向かってくるが、とっさにビームライフルを放ってバインドを撃ち抜くが至近距離で爆発した。
「っ!?」
爆風で更に吹き飛ばされると、バインド二体がシノンの両腕を掴んで捕まえ、バックパックの左側のアームをもう一体のバインドが掴んで動きを止める。
「しまっ!?」
シノンは拘束を振り解こうとするが、ガッチリと捕まれていた。
「さてと・・・」
そうして目の前にトルネードが来る。
「・・・・」
シノンは隼人が落ちた海面を見る。
「無駄だ。しばらく目を覚ます事は無いだろうな。まぁ生きている保障はねぇが」
「・・・・」
「お前はあの野郎のデッドコピーか。そんな機体でよくバインド四体を落としたもんだ」
「・・・・」
「安心しろ。あいつと一緒にあの御方の元に連れて行ってやるよ。ただし――――」
と、トルネードはビームサーベル先端をジェスタの眼前に向ける。
「お前は死んでからな」
「・・・・」
そうしてゆっくりとトルネードはビームサーベルを振り上げる。
(ゼロ・・・!)
すると突然海中より二つの砲撃と巨大光波が飛んできてシノンを捕らえているバインドを含めて数体を撃破した。
「なっ!?」
「っ!」
シノンは驚くもとっさにスラスター全開で離脱すると、トルネードはとっさに後ろを振り向く。
「なん・・・だと・・・!?」
そして海中より『三体』の機影が出てきた・・・。
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トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
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