武装神姫「tw×in」 第二十五話
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Pluto杯もいよいよ佳境。

準決勝と決勝戦を残すだけとなり、2つの筐体が並ぶその奥のディスプレイに対戦表とマスター、神姫の名前が表示された。

 

第一試合

 

緋陽 暁子 VS 水飼 真南

カサノハ     ミズナ

 

 

第二試合

 

木部 唯  VS 上木 宗哉

空影       コナユキ

 

「マスター以外、女の人のマスターなんですね」

「こう見てみると、女性マスター人口が増えてきたって感じね」

「神姫も女の人ですし、本当にマスターだけ男の人ですよね」

ルミア、スレイニ、エンルが対戦表を見て呟いている。

「ゴメンね皆、ずっと見てるだけでヒマだよね」

「え、あ、いえ、気になさらないで下さいマスター」

「皆さんのバトルを見てるだけでも楽しいですから!」

「そうですよマスター。アタシとしてはコナユキの成長を見てるのも楽しいですし」

「そっか。でも、この大会が終わったら、たくさんバトルしようね」

三人と約束をした時、

「宗哉、そろそろ始まる」

木部がやって来て準決勝開始を教えてくれた。

「分かったよ。それじゃ三人共、行ってくるね」

「頑張って下さいねマスター、コナユキ」

「頑張ってきてください!」

「あまり力まずに、いつも通りで頑張って下さいね」

三人の応援を聞いて会場に向かおうと、真南達の方を見ると、

「かなちゃん! あの人と戦ったよね、何かアドバイスを!」

真南が対戦相手の情報を得ようと、先ほど戦った天野へ聞いているところだった。

「うーん……なんて言えば良いのかしらね……」

天野は顎に手を当てて悩む。

「何でもいいから?、相手の神姫とか、身に付けてる武装とか、戦い方とかさ?」

「前半2つは行けば分かることよね?」

「というか、アナタは前のバトルを見てないのか?」

共に戦ったカナユメが腕を組みつつ訊ねる。

「そりゃ隣の筐体で戦ってたからね。見れなかったわよ」

「お願いだよかなちゃ?ん」

「そうね……強いて言うなら、固定概念に捕われないように、かしら」

「固定概念? どうゆうこと?」

「マスターみたいな相手ってことですよ」

真南の肩の上に乗るミズナが呟いた。

「わたし?」

「あぁ、そうね。固定概念に捕われない、真南に似た感じよ」

「ん?? よく意味が分からないよ?」

「まぁ戦えば分かるわよ。優勝狙うんでしょ?」

「もっちろん!」

「なら頑張って来なさい」

「よ?し、頑張ろうねミズナ! かなちゃんの敵をとるために!」

「それは良いですけど、本来の目的は忘れてませんよね?」

「頑張るぞ?! かなちゃんの敵をとるために!」

「……はぁ」

ミズナの呟きは、真南には届かなかった。

 

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筐体の前、向こう側には真南と対戦相手の人、こちら側にはオレと、対戦相手である木部が向かい合う形で立っていた。

「こういう形で再戦するとは、予想外だった」

「うん、出来ればルミアと氷李でのバトルが良かったけどね」

まだコナユキが家に来る前、ルミアで氷李に負けた時再戦を約束していたけど、少し違う形で叶ってしまったな。

「なら、コレはノーカン、あの二人の時までスルーの方向で」

「いいね、そうしようか」

それはまた今度に持ち越し、今回はコナユキと空影のバトルだ。

その二人はというと、

「どうぞ、よろしくお願いします」

「ふわぁ?、とても礼儀正しい方なのです。こちらこそ、よろしくお願いいたします、なのです」

バトル前の会話をしていた。

「時にコナユキさん」

「!? は、初めてさん付けで呼ばれたのです!」

「アナタはライドバトルを初めて、幾日が経ちますか?」

「え、えぇと……マスター、いくにち、とはどういう意味なのです?」

あ、そこが分からないんだ。

「何日って意味だよ。コナユキは3日前にバトルを初めて、回数で言えば11、2回くらいかな。大会は今回が初参加だよ」

「3日ですか、3日で初めての大会で準決勝まで……それは凄いですね」

「マスターのおかげなのです!」

「わたしもつい先日ライドバトルを経験しました。感覚に少し驚きましたが、マスターと共に戦うといつも以上の実力を出すことが出来、こうして、ここまで来ることが出来ました。まだまだ未熟なところもあるでしょうが、正々堂々と良いバトルを致しましょう」

「もちろんなのです!」

コナユキは空影の両手を取ってぶんぶんと振るった。

「空影、そろそろ支度を」

「了解です」

「コナユキ、こっちも準備するよ」

「はいなのです!」

 

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Ride on!

 

 

 

「あれ? 空影さんが見当たらないのです」

『ここはそういう場所だからね』

フィールドはチューブ。その一角にいるコナユキは空影を探して辺りを見ているが、ここは必ず動かないと見つからない場所だ。

「開始の合図があったら歩いて探すよ」

多分そろそろ……

 

 

Ready…………Go!

 

 

『よし、行こうか』

「はいなのです」

コナユキは歩き始めた。

そういえば、ルミアと氷李のバトルがあったのもチューブフィールドだったな。

あの時はタッグバトルで、ルミアはうらと戦った後だった…

「ま、マスター!?」

『え? あ、どうしたのコナユキ?』

思い返していると、コナユキの悲痛な呼び掛けが聞こえてきた。

「迷ってしまったのです! 空影さんも見つからないし、どれだけ歩いても似た気色で自分がどこに居るかもよく分からないのです!」

『……』

うん、チューブフィールドはそういう場所だからね……

「どうすれば良いですかマスター!?」

すっかりパニックになってるな。

『落ち着いてコナユキ、無理に動かなくても向こうから来るのを待ってもいいんだから』

「わ、分かりましたなのです」

コナユキが立ち止まったのは歩き始めてから少し行った場所、他への分かれ道が見えないところを見るに、チューブの端の方かな。

『壁に背を向けて、左右どちらから来てもいいように見ているんだ』

相手が来れるのは右か左のみ、道が曲がっているのが若干難点だけどここまで搾られれば不意をつかれることはないだろう。

さて、相手は空影、引いては木部だ。

オレ達の中で一番早くにライドバトルを初め、実力がある。それは氷李での話だが、その先輩に当たる空影はどうだろう? 少なくとも、準決勝まで来れる力はあるみたいだけど……

その時、気配を感じた。

「!? ま、マスター!」

『うん、左だ!』

気配のした左側にライフルを持って向くと。

高速で近づいてくる空影を見つけた。

「はわ!? 速いのです!?」

あの速さは、レールアクション!

空影は一直線にコナユキの頭上を駆け抜け。

その軌道上に、爆弾:手榴弾を残して行った。

『ガードだ!』

「はいなので…」

 

ドカァァァァァン!

 

「きゃぁぁぁぁあ!?」

爆煙が辺りに立ち込め、回りがよく見えなくなる。

『コナユキ!』

「な、なんとか、なったのです」

コナユキは大剣を上に担いで爆弾の直撃を避けていた。けれど大剣にぶつかったのと左右からの爆風でダメージは受けていた。

「今のはなんなのです?」

『レールアクションだよ。一直線に駆け抜ける、爆弾のレールアクションだ』

「では、空影さんはこっちに」

右側を見ると、煙が晴れて、空影の姿を見つけた。

「堪えましたか、流石です」

空中でホバリングする空影を見上げる。

ヘッド、アーム、ボディ、スカート、レッグ、リアパーツにアクセサリー2つ、飛鳥型の正式装備だ。

「しかし、無傷ではないでしょう。このまま押しきらせて頂きます!」

空影は空中から、コナユキに向けて突撃を開始した。

 

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「tw×in」 BattleMasters 武装神姫 

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