いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した
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 第百十二話 残された時間

 

 

 

 それはあまりにも突然だった。

 今、思うと彼はこの瞬間を一番恐れていたのかもしれない。

 

 

 

 リインフォース視点。

 

 とある無人世界で私は主や騎士達。主の友人達が見守られている中でとある儀式のような物を受けようとしていた。

 

 「…じゃあ、始めるぞ」

 

 『傷だらけの獅子』。彼が今から行うのは強大な治癒の力を持った巨大なレンチで私の体を構築するプログラム。

 徐々に朽ちていくしかないそのプログラムにレンチを打ち込み、活を入れて本来の状態に戻そうという物だった。

 

 「こっちも準備オーケーです。魔力に問題があればすぐにお知らせします」

 

 「こちらの方でもスフィアの方は任せてください。D・エクストラクターの研究のおかげでスフィアに何かあっても探知できますし、いざとなれば私の『揺れる天秤』で抑え込みますから」

 

 「…すまない。シャマル。リニス」

 

 私の足元には幾重にも重なった魔方陣。ベルカ式からミッド式。そして、テスタロッサの母親プレシアが張り巡らせた数十はあるだろうコードが私の魔力と『悲しみの乙女』の様子を知らせてくれている。

 私同様にスフィアで生きているようなリニスだが、彼女は私と違い彼女のスフィアは彼女と共存を選んだのか私とは違い、普通の使い魔より少し強く、マスター無しでも生きていられるといった特殊な存在だ。

 私とスフィアに何かあれば彼女が抑える役割をになっている。魔力に問題があればシャマルが。といった具合になっている。

 

 「…マグナモード。…起動!」

 

 それは彼にとって初めて心を落ち着かせながらの獅子の力の解放だった。

 

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 プレシア視点。

 

 闇の書の完成プログラムはガンレオンの持つ強大な力で崩壊していく体は他の守護騎士達のような仕組みに変わった。が、代わりに彼女の魔力。リンカーコアに当たる部分は破壊された。

 今のリインフォースは『悲しみの乙女』。ガナリーカーバーに搭載された武装。それもスフィアから恩恵とも思えるものだが、収束砲を一度打てば枯渇するほどの微々たる物だ。

 フルドライブ状態の『グローリーモード』。高志でいうなら獅子の力『マグナモード』が使えなくなった。

 だが、彼女が持つ今までの記憶。闇の書だった頃に蒐集した魔法の記録は貴重な物で、聖王教会が。そして、陰からグレアム提督の保護の元、闇の書の被害者への補償を受けることになった。

 

 完全にとは言わないが『傷だらけの獅子』の力で、リインフォースは『悲しみの乙女』を糧に生きる存在。

 リニスと同じような存在になったのだ。

 今、現在の問題は彼女の主、八神はやてのユニゾンデバイスは聖王教会で出資するか管理局で出資するかで討論になっている。

 彼女一人を味方にするだけで他の騎士達の力やリインフォースの保有している魔法の知識を得ることが出来る。

…ふぅ、私が言えた義理ではないけど出来ることなら彼女にはフリーでいて欲しいわね。

 

 「…こんなところね。だけど、タカ」

 

 そう、私はマンションにある自室でレポートをまとめ上げると、もう一つの問題を解決するためにマグナモードの反動から復帰したタカを問い詰める。

 

 

 

 あなたはどうしてリインフォースを助けることが出来たにもかかわらず悲しそうな表情をしているの?

 

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 高志視点。

 

3281/10000。

 

 俺の残された時間はリインフォースを助けてから更に半分になった。

 スフィアの力を抑え込みながら、それでいながらリインフォースをスフィアの呪いといってもいい『放浪者』にしないためにスフィアを調整するための作業は簡単だった。

 だけど…。

 その代償はあまりにも大き過ぎた。

 

 [相棒…。わかっていた事だろう?]

 

 リインフォースの『悲しみの乙女』に触れた所為か『悲しい』という想いまでも、心が『痛み』として受け取ってしまう。

 わかっているさ。だけど、この調子だと俺は…。

 

 [ああ、この世界でいう所の夏を迎える前に覚醒するな]

 

 …う。

 

 [心を落ち着かせろ。今のお前は『悲しみ・辛さ』でさえも痛みに感じてしまうんだ。カウントが進むぞ]

 

 わかっている。わかっているんだ!だけど…。

 プレシアや他の皆とこうやって話すことも出来なくなるのが、なのは達と馬鹿をやることが出来なくなるのが…。

 それが、とても…。…辛いよ。

 

 「…タカ?」

 

 「…プレシア。リニスさんとリインフォースに話したいことがある。……スフィアリアクターだけで話したいことがある」

 

 それか出来ないとプレシアには話せない。

 まずは『放浪者』の危険性を二人に説明してスフィアをこれ以上使わないように忠告する。そして…。

 

 

 

 俺がいなくなった後、プレシアやアリシアが暴走しないように支えて欲しいと頼む為に。

 

 

 

説明
第百十二話 残された時間
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コメント
刻一刻と近づいてくる別れの時間・・・・・タカシ。因果の時まで残り僅か・・・・・・痛みに耐えて救っているのに、報われない運命とか辛すぎる!(孝(たか))
どんどん最後の時が近付いてきますね…これは高志に好意を持っている女子達にとってはかなりきついでしょうね…(神薙)
とうとう旅立ちの時が近付いて来てしまったんですね。タイムリミットは夏、その事をプレシアやアリシア、他の高志と関わった面々に如何伝えるのか次回が楽しみです。(俊)
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