ALO〜閃光の妖精姫〜 第20魔 現実の戦い |
第20魔 現実の戦い
((公輝|シャイン))Side
〜午後1時頃〜
午前中の明日奈ちゃん達との集まりのあと、昼食を取った俺と((雫|ティア))はある場所へと向かっていた。
それは雫の祖父である朝霧海童さんとの面会の為の、朝霧財閥の本社だ。
現在は朝霧家のリムジンで送ってもらっている、海童さんと会うのも2年ぶりか…。
何分忙しい人だ、今回もその合間を縫って時間を取ってくれた。
粗方動けるようになった時に会っておけば良かったと思うが、今更考えても仕方がないな。
そうこうしていると、本社の地下駐車場に辿り着いた。
俺と雫は車から降りると、近くのエレベータを使い1階のエントランスホールへ移動した。
そこで俺と雫の登場に案内を担当する女性2人が驚いていたが、
俺達の来訪が決まっていたことを知るとすぐに落ち着き、エレベータでの移動を促してきた。
再びエレベータに乗り込んで重役室へと向かう俺達、扉の前に着き、ノックをした。
「未縞公輝です」
「雫です」
「おお、入ってくれるかの」
「「失礼します」」
名前を告げると中から老人の入室を促す声が聞こえて、扉を開けて中へと入った。
髪は白髪であるものの、老人と思われないような元気な声、真っ白な長髭は親族に愛嬌を持たれているそうだ。
彼こそが朝霧の力を一代で築き上げた【稀代の傑物】と名高い『((朝霧|あさぎり)) ((海童|かいどう))』氏である。
ちなみに……、
「こんにちは、お祖父様♪」
「元気そうじゃの、雫ちゃん」
「挨拶が遅れてしまい申し訳ありません、海童様」
「……公輝君」
「はい…」
「儂を爺ちゃんとは呼んでくれんのか?」
非常にお茶目な人である。そんな寂しそうに言わないでもらいたいと俺は思う。
「はぁ〜…分かったよ、爺ちゃん」
「うむ、それでよいのじゃ」
呆れながらも海童さんをそう呼ぶと満足している様子。
まぁ、こんな人柄だからこそ人望が厚いのかもしれないけどさぁ。
「公輝君。雫ちゃんから話は聞いていたが、本当に良く帰って来てくれた。
雫ちゃんを守り、それでいて2人共無事で安心したわい」
「心配掛けてごめん、爺ちゃん」
「謝る必要などないのじゃ。無事で本当に良かった…」
この言葉の通り、海童さんは家族またはそれに準ずる人に盛大な愛情を注ぐ。
これこそ、予めに会っておけば良かったと思った要因だ。
「再会を喜んで色々と持て成したいところじゃが、用件に入るとするかの?」
「「はい」」
と思ったら、このように真剣になる。んとに喰えない人だ…。
「それでは説明します……………」
俺は今回の和人と明日奈ちゃん、それを取り巻く現状を説明した。
「………というわけです」
「ふむ…」
俺の説明が終わると、海童さんは髭に手を当てながら考える仕草をした。
「和人君というと、雫ちゃんと公輝君の一件で手を貸してくれた少年の1人じゃったな?」
「はい、お祖父様」
「うむ、心得た。結城家を潰せば「違う!」なんじゃい、ちょっとした冗談じゃよ…」
アンタは冗談のつもりでもこっちには本気に聞こえたよ!? ていうか目が本気だったよ!?
まぁでも、((強|あなが))ち外れてはいないのか…。
「ですが力を貸して頂きたいのは同じです。
本来ならば、自分でなんとかするべきなのかもしれませんが、
親友の命と、その親友の大切な人の想いを助けたいんです。お願いします!」
「お祖父様、私からもお願いいたします!」
俺と雫は頭を下げた。
「雫ちゃんと公輝君を助けてくれた子に、恩返しをせずして何が【稀代の傑物】か…。
儂に出来ることならばなんでもしよう」
「「ありがとうございます!」」
海童さんの快い返事に、俺と雫は笑顔でお礼を言った。
「ふぉっふぉっふぉっ。なぁに、可愛い孫夫婦の頼みじゃからな」
「あ、ははは…」
「お、お祖父様//////!」
思わぬ言葉の返しに俺は苦笑を浮かべ、雫は珍しく戸惑いの表情を取った。
まぁ、俺と雫の関係はそういうものに成りつつある。
少なくとも、和人が目覚めてからだけどな…。
「それで、儂は何をすれば良いのかの?」
「あぁ、はい…。結城家に圧力を掛けてもらえませんか?
明日奈ちゃんの結婚を押し留めることと、後は『良い相手が居る』と…」
「和人君の大切な娘の結婚を止め、こちらから((良い相手|・・・・))を出す、ということか。
まぁ、レクトの若造よりかは朝霧に勧められた者の方に釣られるじゃろうな。
公輝君も中々に考えるの〜」
俺の要望に海童さんは笑いながら解説を加えた。けれど雫は今の話しに戸惑っている。
「あの、公輝…。良い相手、とは…?」
「いや、明日奈ちゃんの相手は((アイツ|・・・))以外は務まらないって」
「え、あ、そうでした。わ、私ってば早とちりを//////」
どうやら雫は見知らぬ男を宛がうと勘違いしたのだろうな(笑)。
こういう偶に天然なところを見せるのも雫の可愛い魅力の1つだけど。
「承ったぞい、早速結城の本家に連絡を掛けてみようかの」
「頼むよ、爺ちゃん」
「お願いしますね、お祖父様♪」
「任せんしゃい! 孫夫婦の為に、この大役を見事果たしてみせようぞ!」
俺と雫の言葉にさらにやる気が出た様子の海童さん。
俺達は改めてお礼を言った後、重役室をあとにした。
が、俺が居るのは少なからず緑のある本社の屋上。
雫は父親である((陽大|ようた))さんに呼ばれたのでそちらに行っている。
かく言う俺も屋上でやるべき事をやろうとしている。
携帯端末を取り出し、電話を掛ける。相手は……、
「もしもし、公輝ですけど…」
『おや、公輝、なにか御用ですか? まぁ、差し詰め目覚めぬ和人に関してでしょうけど』
「っ!……相変わらずですね……((師匠|・・・))…」
我らが『神霆流』の当主にして師範である師匠だ。
こちらの考えを読んだような物言い、この人とマトモな会話で話し合えるのは和人くらいだろう。
『ははは。今のキミ達の現状を考えると、私に連絡する理由とは和人に関係することしかないでしょう。
それで、何か動きがあったのですか?』
「ええ、実は……………」
俺は海童さんに話した時のように師匠にも説明した。
『なるほど。こちらが力ずくで踏み込めば、和人の命をさらに危険に晒してしまいますか』
「はい。ですから、
『和人の大切な女の子の結婚をやめさせる、かつ須郷という男の危険度を仄めかせばよい、という感じですね』、
お察しの通りです…」
読みが良いというのかなんというのか、和人も師匠とどこか似通ったことを考えると、納得も出来るが…。
『心得ました。結城の当主殿とは顔見知りですので、私の方から((それとなく|・・・・・))伝えておきましょう』
「お願いします」
『いえいえ、可愛い弟子の頼みですからね。それに……その須郷という男にも、興味がありますから…』
怒っている…怒りが電話越しでも伝わってくる。
師匠の近くに奥さん以外の誰かがいたら間違いなく卒倒しているはずだ。
『その用件、確かに聞き届けました。早速やらせてもらいますよ』
「お願いします」
『ええ……ああ、それはそうと公輝。夏になったら奈良の方で修行をしますので、全員に伝えておくように』
「え?」
『では…』
俺の頼みを受けてくれた師匠は、最後にさらっととんでもない事を告げて電話を切った。
夏、だと……待て、今年の夏こそは平和に雫と過ごそうと思っていたのに、まさかの修行だというのか!?
志郎達になんて言おう……。
あのあと、呆然としている俺を見つけた雫と合流したが、俺はまだ別件があることを伝え、彼女と別れた。
その際に寂しそうにしていたんでキスをしておいたのはいつものことだと言っておこう。
さて、俺の別件なのだが……ある小さな建物に来ている、探偵事務所だ。
「こんにちは〜」
「こんにちは、どのようなご用件ですか?」
中に入ると眼鏡を掛けたショートヘアーの女性が出てきた。優しげに問いかけてきたので応えることにした。
「連絡を入れていた未縞なんですけど…」
「あ、未縞さんでしたか。奥へどうぞ」
女性に促されて奥の部屋へと行くと、茶髪の男性が机に座っていた。
男性は顔を上げると少しだけ驚いた後に笑顔を向けてきた。
「久しぶりだね、シャイン君…いや、未縞公輝君だったね」
「お久しぶりです、((マスター|・・・・))…いえ、『((沖野|おきの)) ((章|しょう))』さん」
この男性こそ、SAOで喫茶店兼情報屋を営んでいたマスターだ。
実は俺はマスターとリアルのアドレスなどを交換しておいたのだ、
それがここで活きることになるとは思ってなかったけどな。
再会の挨拶や談笑を幾度か交えてから俺は本題を切りだした。
「それで、ALOについては何か分かりましたか?」
「そちらについては特に情報は得られなかったよ、レクトの方もね。何分ガードが固くて…」
俺は彼に連絡を入れた際に、ALOとレクトの黒い部分について調査を依頼したが、
特にこれといった情報はなかったそうだ。
「ただ、ネットの方で面白いスレが立っていてね。これなんだけど…」
そう言って章さんがPCの画面を見せてきた。そこにはこうあった。
「『((SAO生還者達|サバイバーズ))の会談録』…まさかこれは…」
「これはSAOから生還した人達のみが語り合える場所だよ。
あるキーワードを入力しないと入れないんだけど、
そのキーワードのヒントは『SAO最強の剣士は?』で、答えは勿論…」
「『キリト』…」
「入力方法はローマ字打ちですけどね。こんなこと知っているのは、あのゲームにいたプレイヤー達くらいのもの…」
なるほど、それならばSAOのプレイヤーだけだな。だけどこのスレが一体…。
「公輝君、ここを見てくれないかな…あの、キリト君らしき人物についての写真について話しているんだ」
「っ……ホントだ…」
207、SAOで元剣士
おい、これって【黒の聖魔剣士】じゃねぇのか?
208、SAOで元鍛冶師
違うかもしれねぇけど、髪が短くなったら……そうかもな…
209、聖竜連合兵だった男
俺、聞いたことがある…
210、SAOで元鍛冶師
〉〉209何がだよ?
211、聖竜連合兵だった男
まだゲームの解放時から目が覚めていない奴らのことだ
なんでもALOで似たような姿の奴が何人も見かけられたらしいぜ
まぁあくまで聞いた話しだけどさぁ…
212、SAOで元剣士
〉〉211マジかよ!? なんかヤバいことに巻き込まれてんじゃねぇのか…?
213、何も出来なかった男
俺、ALOやる…
214、SAOで元商人
〉〉213本気か? あんなことがあった後なのに…
215、何も出来なかった男
本気だ……【黒の聖魔剣士】に助けてもらったのに、まだ恩を返してない!
もし本当に【黒の聖魔剣士】なら…俺は助けたい!
216、BT(ビーストテイマー)の女
あたしもやります……親を説得して、彼を助けにいきます…
217、聖竜連合兵だった男
やらなきゃ男じゃないな…
他にも和人救出の旨が掛かれている。俺は心が打ち震えた…こんな、皆が和人のことを…。
「公輝君、私もALOをやろうと思っている。
実はここのスレで決まったことなんですが、SAOの生還者達で一斉にログインしようと考えているんだよ」
「な、マジですか!?」
可能な奴らとはいえ、まさか何人もの人間が一斉にログインか…面白くなりそうだ。
「はい。公輝君の方はどうですか?」
「黒衣衆で先遣隊を送ってます。俺とティアとカノンも明日3人の時間が合った時に…」
「分かりました。それでは、こちらも出来る限り情報を集めてみますね」
「お願いします」
そして俺は探偵事務所を後にし、自宅へと帰った。
さすがに今日は色々と疲れたので、明日雫と奏に連絡を入れよう。
公輝Side Out
To be continued……
後書きです。
シャインとティアの行動でした〜。
はい、お蔭様でアスナは婚約から解消されたと・・・シャインの言うアイツとは、ねぇ?www
名前はまだ出してていませんが、師匠の登場。
さらにマスターの登場でした、情報屋だったのは探偵業を生かした結果です。
下種郷の地盤は最早ボロ屑も同然(黒笑)
え〜次回はキリトさんと茅場さんの冒険になります、是非お楽しみに♪
意外な人の名前も登場するお!
それでは・・・。
説明 | ||
第20魔になります。 今回は第10魔であった黒衣衆会議のあとの話しで、シャインとティアの動きです。 内容がいつもより長くなりましたが、どうぞ・・・。 |
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コメント | ||
やぎすけ様へ ふふ、ご想像にお任せします←棒読み(本郷 刃) 書き込みしてる人の中に、原作キャラが交じっている気がする。(やぎすけ) 不知火 観珪様へ BTがあの娘って、な、ななな、なんのことかな〜!?(目を逸らす) 傑物というくらいですからね、余裕があるんですww(本郷 刃) スレのBTの女って我らがシリカたそとかいうオチじゃないですよね?ww それにしても、稀代の傑物がこんなにおちゃらけているとはww(神余 雛) セルア様へ おもいきり矛盾していますねw(本郷 刃) はっはっは!下種郷め!お前のHPはすでにレッドゾーンだ!デスペナがおしかったらおとなしくゲームオーバーしろ!(矛盾)(セルア) 仁吉様へ 下種郷生きていられるかな〜(黒笑) みんな良い人ですよ〜・・・是非ご出陣ください!(本郷 刃) 下須藤生きてられんのかな?・・・無理だね!!d(´∀`*)近辺の方々がいい人すぎて感動!!( ;∀;) カンドーシタ、では私も愛刀を持って馳せ参じる!!(仁吉) kaito様へ あまり過激な内容にはしないようご助力をお願い致します(ペコリ)(本郷 刃) 先生に質問です、このコメント欄で下種卿に制裁と言う名のフルボッコをしてもいいでしょうか?かつての二次ファンで他の作者様の感想欄でもこういったことが行われていたので・・・(最近テスト勉強ばっかでストレスがたまってんですよ)(kaito) サイト様へ そうですね、ツッコミを入れたら負けですねw 神霆流のみんなには悪いことをしました・・・キリトさん、項垂れないでください・・・(本郷 刃) 師匠達にはあえて何も言うまい(ツッコミを入れたらきりがないんだよ)夏場に黒衣衆地獄招待フラグが立ったw・・・生還者スレは何処に行けば読めますか?夏場に関してキリトさんに報告するけどどんな反応するだろうか?(サイト) 遼東半島様へ それはとある達人クラスの剣客の本気の片鱗ですので、放っておけば納まりますw(本郷 刃) あるALOプレイヤーの証言2「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!『ALOを切り上げて飯を食いに家を出た時、男とすれ違って失神しかけたんだ』な…何を言ってるのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…。あれは殺気とか超能力とかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」(遼東半島) hayato様へ 確かに充分に有り得ますね、友人や親しい人が目覚めていない場合は特に・・・。多段ジャンプの人達ももしかしたらそう言った人達から頼まれたりとか、菊岡さんの関係者の可能性も有り得ますよね。(本郷 刃) (続き)鳥篭の多段ジャンプしたのがそんな人たちな気がします。何が何でも手がかり欲しいでしょうし。ネットに写真が出回ってるなら黒衣集とつるんだことあれば気づいておかしくないですし(hayato) 自分が目覚めたのに友達は目覚めてないとか、全員が目覚めたわけじゃないのが噂になってるなら、手当たりしだいにVRやって探してる人がいておかしくないですもんね。(hayato) Kyogo2012様へ おちゃめなんです、おじい様w 師匠は弟子思いであると同時にSです・・・。下種郷は生半可な終わり方にはなりませんよ〜(黒笑)(本郷 刃) アサシン様へ おじい様はああいう人ですからw 師匠ですか、人外かもしれません・・・(汗) 茅場さん大忙しになりますよw(本郷 刃) kaito様へ キリトさん人気あるんです! スレにいるキャラはワザと分かるようにも書きました、関係無い人もいますけどw(本郷 刃) ティアさんのおじいさまはおちゃめだな〜(笑。そして師匠は弟子思いだな・・・。ほむ、次回も楽しみだな。ところで、どうやって外すのだろう?縛ってるやつを・・・・。まぁ、ヒースクリフでログインしてサラっと解いちゃうのだろうな・・・。下種郷の命運もここまでですね・・・・。(Kyogo2012) おじい様、冗談は程々に(笑)黒衣衆の師匠って神?(汗)マスターが出てきたのにも驚きましたがSAO生還者達がALOに殴り込みを仕掛けるとは。茅場さん大変だろうな(アサシン) キリトさんの人気すげぇな、てかちらほらと皆が(読者様)が分かるキャラがスレにいる(kaito) |
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