ALO〜閃光の妖精姫〜 第23魔 水母邪神のトンキー |
第23魔 水母邪神のトンキー
アスナSide
勝利の雄叫びを上げ終えたのか、水母の邪神は水面を泳ぎながらわたし達の前にやって来た。
戦闘の意志は無いと思ったので攻撃はしなかったが、案の定攻撃は無かった。
「で、どうするっすか?」
「「「「「どうしよう(か)(します)?」」」」」
全員揃って疑問形。すると水母邪神は長い鼻をわたし達に近づけてきた。
思わず身を引こうとしたわたし達だけれど…、
「ママ、大丈夫ですよ。この子は怒っていませんから」
「そ、そうなの?」
ユイちゃんの一言で引くのをやめた。
その時、近づいてきた長い鼻の先端が別れてリーファちゃんとルナリオ君を抱え上げた。
リーファちゃんは声も出ないようで、ルナリオ君はちょっとビックリした様子。
けれど邪神は2人を自身の背中に乗せるだけだった。
次いで再び鼻を使って今度はわたしとハクヤ君を持ち上げて背中に乗せ、
ユイちゃんは自分で飛びながら座り込むわたしの膝の上に座った。
最後にヴァル君とハジメ君を抱えて背中に乗せると、満足気な声を上げてから移動を始めた。
「これって、クエストの始まりなのかなぁ?」
「でもクエストが始まったら視界の左上辺りにスタートログが出るはずなんですけど。
それが出ないから、イベント的なものだと思うんです。
でもイベントはプレイヤー参加型のドラマみたいなものですから、ハッピーエンドになるかは分からないんですよ」
わたしの疑問にリーファちゃんがそう答えた。
なんであれ、こうなってはどうしようもないのでわたし達は大人しく水母邪神の背中に身を預けることにした。
その時リーファちゃんがこの子が向かっている方角がヨツンヘイムの中央部分に向かっているのでは、と教えてくれた。
というのも、遥か上空の天蓋にあるツララを囲んでいるのが世界樹の根ということらしい。
でも世界樹の真下に来ても、飛べない以上はどうしようもないわね。
「そうだ、この子に名前付けませんか?」
「それいいね♪」
リーファちゃんの提案にわたしは賛成し、男の子達は僅かに微笑を浮かべていた。
「どんなのにするっすか?」
「象か水母ですからね」
ルナリオ君とヴァル君も考えている様子。
「ガネーシャ、とか?」
「……確かに象の姿をした神の名前だが、ピンとこないな」
ハクヤ君が提案するけれど、ハジメ君の言うようにしっくりとこない。
「う〜ん、どんなのが………あっ、いや、でも…」
「アスナさん、何か思いつきましたか?」
「う、うん、一応。でも、あまり縁起が良い名前じゃないかも…」
「取り敢えず言ってみてくださいっすよ」
わたしの反応に気が付いたリーファちゃんが訊ねてきたけれど、言葉を濁したのでルナリオ君が促した。
うん、言ってみるだけ言ってみようかな。
「トンキー…って、思いついたんだけど…」
「それって確か、絵本に出てきた象の名前だったよな?」
「……悲劇の象…」
言ってみるとハクヤ君も知っていたようで、ハジメ君からはその一言。
「だけどしっくりきますよ」
「そうっすね、それにするっすよ」
「決定ですね。邪神く〜ん、キミの名前はトンキーだからね〜♪」
「よろしくお願いしますね、トンキーさん♪」
ヴァル君とルナリオ君の良好な反応、リーファちゃんとユイちゃんは早速水母邪神改め、トンキーに語りかけた。
その時両側の耳らしきものが嬉しそうに動いたと思う。
トンキーという名前を付けた後も、そのままわたし達を乗せて進み続けた。
途中で徘徊型はぐれ邪神とは遭遇したものの、わたし達を見つけても攻撃はしてこなかった。
ただその邪神達はみんなトンキーと同じで人型ではなかった。
「もしかしたら、人型と獣型で争っているのかもしれないな」
「そうかもしれません。ここのモンスターが強すぎて、まだどんなイベントが発生するか分かっていませんから」
ハクヤ君の言葉にリーファちゃんが答えた。ま、今はトンキー次第ということだね。
「……アスナ、体は大丈夫なのか?」
「うん、今のところは変わったことはないよ」
「ならいいけどさ。病み上がりって程じゃないけど、元々のことを考えたらな」
「ありがとう、ハジメ君、ハクヤ君。心配してくれて」
わたしは気に掛けてくれた2人にお礼を言っておいた。
「リーファもっすよ。もう午前の3時っすからね、慣れてない深夜ダイブなんすから」
「ん、ありがとう、ルナ君///」
リーファちゃんを気に掛けるルナリオ君。わたしとキリトくんもあんな感じだったっけ。
「早い話しが2人に何かあったらキリトさんに叩きのめされるのは僕達なんですけどね…」
「「「……………」」」
ヴァル君の遠い目をして言った一言に、3人は沈黙しながら目を逸らした。
結局はキリトくんに行きつくんだね……と、その時だった。
トンキーが前進移動をやめた。何事かと思ってトンキーの頭の方に行くと…、
「「「うわぁ………」」」
一切底の見えない巨大な大穴が広がっていた。わたしとユイちゃんとリーファちゃんは驚きの声を漏らすしかなかった。
「見た所底なしみたいっすね…」
「わたしがアクセスできるマップデータでも底部構造は定義されてませんよ」
「底なし決定」
ルナリオ君の呟きにユイちゃんが調べた結果を教え、ハクヤ君が一言で片づけた。
するとトンキーの体が動き出した。
20本の肢を器用に動かして内側に折りたたみ、背中の水平を保ったまま巨体を降ろした。
一声鳴き声を上げると、長い鼻も内側に丸め込んで動かなくなってしまい、
放置されたわたし達は取り敢えず降りてみた。
「ねぇトンキー。どうしちゃったの〜?」
「寝てるんすかね?」
リーファちゃんが声を掛けてみるも反応は無く、ルナリオ君は寝ているのではと考えたみたい。
しかし起こす方法も分からないので、わたし達はトンキーが起きるのを待つことにした。
わたしは目的地である世界樹の根を見てみようかと見上げてみる……そこにはなんと……、
「わぁ〜、凄い…」
「ママ、どうかしましたか?」
「ユイちゃん、上見て…」
「ふぇ?……わぁ〜」
巨大な氷柱の中に迷宮が確認できた、透けて見える巨大な氷の迷宮…。
「凄いっすね〜」
「綺麗だね…」
「あれが1つのダンジョンなら、ALO最大規模のものだと思うよ」
ルナリオ君とヴァル君も感嘆の声をだし、リーファちゃんは驚きつつもそう言った。
「「……………」」
「ハクヤさん、ハジメさん、どうしましたか?」
複雑そうな表情で氷柱の中の迷宮を見つめる2人にユイちゃんが訊ねる。
「いや、その…つい、思い出してな…」
「思い出す、ですか?」
「……77層の迷宮を…」
「あ……」
言葉に詰まるハクヤ君にユイちゃんが首を傾げ、ハジメ君の言ったことにわたしは思い至った。
SAO第77層の水晶で出来た迷宮区、その迷宮のボス戦のあとでキリトくんは…。
それに気付いたルナリオ君とヴァル君はバツが悪そうにし、
事情を知らないリーファちゃんとユイちゃんは不思議そうにしてわたしは苦笑するしかなかった。
そこで、
「っ、ママ! プレイヤーが接近中です、東の方向から……数は24!」
「「「「「「っ!」」」」」」
ユイちゃんのその報せは現状では不幸かもしれない。
それは間違いなく、邪神狩りを目的にしている((連結|レイド))パーティーのはずだから。
アスナSide Out
To be continued……
後書きです。
ということで、トンキーの命名とひとときの会話でした。
次回はお馴染みの戦闘です、乱舞で無双ですw
それではアスナと黒衣衆、リーファとユイちゃんの活躍をお楽しみに♪
ではまた・・・。
説明 | ||
第23魔です。 今回はそこまで進んだ展開にはなりませんね、みんなの会話くらいです。 どうぞ・・・。 |
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11134 | 10265 | 24 |
コメント | ||
サイト様へ そうなんですよね〜、二の舞なんですよw はい、異常無しで〜す!(本郷 刃) 24人てこれじゃあ火蜥蜴達の二の舞じゃないですかw・・・忘れてはならない視聴者という監視者(チクリ魔)がいるということを、prrr異常無し(サイト) アサシン様へ ですよね〜w(本郷 刃) そのとうり♪(アサシン) アサシン様へ 早い話しが黒衣衆が暴れるw(本郷 刃) 遼東半島様へ レイドパーティーの幸運値は低いなぁ・・・(本郷 刃) 遅ればせながら「上位下郎ウンディーネパーティーを滅ぼす、黒衣衆の秘技『黒宴乱武』(こくえんらんぶ)」←(仮)(アサシン) レイドパーティー…恨むんなら邪神級より恐ろしい化け物に遭った幸運値を恨むんだな…(遼東半島) ゆん様へ キリトさん、なんでワクワクしながら待っているんですか?(本郷 刃) 仁吉様へ まぁ逝くでしょうね、無双乱舞でw(本郷 刃) ……よいしょっと←手に携帯(キリト行き)を持つ さぁ、いつでもこい!!(ゆん) PTは下衆なこと言っちゃうのかな?逝っちゃうよ、主に黒い人たちの無双乱舞でギタギタに。(仁吉) Kyogo2012様へ 巻き込まれたということですね・・・PTにはどう対応するのか、そこは次回で!(本郷 刃) 邪神の人型と動物型の争いに巻き込まれたのね・・・・。そして、邪神狩りのPTには脅すのかな?殺気を四割ぐらい開放してね・・・・。楽しみにしていますね。(Kyogo2012) 不知火 観珪様へ そこはかとない不安が来ますよね〜ww(本郷 刃) いくらキリトくんでも、何か2人になにかあった時、問答無用で叩きのめすとは思えない……こともなかったww あのキリトくんなら仕方がないww(神余 雛) |
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