咲-Saki-《風神録》日常編・西一局 |
「へー、お前も団体戦に出場するのか」
「まぁな。まさか今年の団体戦が男女混合とは思わんかったよ」
「男女混合、か。……男女が交わるって言うとなんかそこはかとなくえっちい雰囲気だな!」
「なんかお前変態度上がってないか」
「しばらく書いてなかった作者がキャラ忘れたんだろ」
そんな佐賀との朝の教室での会話風景である。
メメタァ。
咲-Saki-《風神録》
日常編・西一局 『特訓開始!』
昨日我らが鶴賀学園麻雀部は今年からインターハイの団体戦が男女混合という新事実を知った。というか、寧ろ何で今の今まで誰一人としてその事実を知らなかったのかが甚だ疑問である。今になってインターハイの要項を確認してみたところ、確かに今年のインターハイは男子女子を統一して行うみたいな記述がしっかりとしてあった。きっと例年通りだろうと高を括っていたのだろう。まぁ、結果として俺も団体戦に出場できるからよしとしよう。
さてさて、そんなこんなで出場登録をした翌日の放課後である。
「えっと、皆さんちょっといいでしょうか」
麻雀部の部室に全員集まったことを確認してから俺はそう声をかけてみんなの注目を集める。俺の声に反応して、卓の用意をしていたゆみ姉たちも手を止めてこちらを向いてくれる。
「どうした御人、改まって」
「……あぁ、ついにモモと付き合うことが決ま――」
「ってません。勝手に話を捏造して捻じ曲げんでください部長。こっちは結構真面目な話をしようとしてんすから」
「そいつは失敬」
「ったく」
部長の顔は全然「失敬」という顔ではなかったが、まあよしとしよう。ここで話を長引かせてもグダグダになるだけだ。
(……そこまでキッパリと否定されるとちょっとばっかし悲しいものがあるっす)
(む? 東横さんが何やら物悲しげな表情を……)
(も、もしかして東横さんって風祭君のことを……!?)
大体、モモと付き合うにしてももうちょっと段階を踏んで……じゃないじゃない。
咳払いを一つしてから気分を入れ替える。
「えっと、先日無事にインターハイへの出場登録を終え、我々鶴賀学園麻雀部はインターハイへと出場できるようになりました。もちろん出場するからには、目標は『目指せ全国』と高く掲げたいわけなのですが……皆さんは、今現在の我々の実力が果たして全国へと勝ち進むだけのものだと思えるでしょうか?」
「む……」
「随分と耳が痛いこと言ってくるなー」
全員が俺の発言に表情を歪める。
思い出すのは、以前『麻雀 roof-top』での出来事。二人の女子高生との対局で思い知った強者の実力。『家庭環境』の都合上実力者と出会うことが多かったのだが、彼女たちは一部でバケモノと称されるレベルであったため実感が沸かなかった。しかし高い山と自分を見比べることはなくとも、目の前の高い壁にはどうしても圧巻されてしまうのだ。たぶん、県予選を飛び越して全国ともなったら彼女達以上の実力者などごまんといるだろう。そんな強者ひしめく戦いを、我々鶴賀麻雀部は勝ち抜けるのだろうか。
断言できる。『ノー』だ。
「先輩方に対して失礼な物言いかも知れませんが、今の自分たちの実力では全国どころか県予選を勝ち抜くことすらできないでしょう。そこで実力アップのための『特訓合宿』を提案します!」
背後に立てておいたホワイトボードをグルリとひっくり返し、予めそこに書いておいた『合宿!』の文字をバンッと叩く。
「合宿……ですか?」
先ほどからいそいそと全員にお茶を配っていた妹尾先輩が首を傾げる。予断ではあるが、彼女が来てから部内でのお茶酌み係が俺から彼女となった。本来ならば一年生の俺かモモがすべきことなのだろうが、心優しい妹尾先輩は「こういうのは初心者の私がするから、二人は麻雀に専念してね」と仰ってくださった。妹尾先輩マジ天使(モモは女神)。
「そう、合宿です。次の週末と創立記念日を併せた三連休に合宿を行い、全員の((雀力|じゃんりょく))のレベルアップを謀るんです」
「まぁ、提案自体は悪くないなー」
「しかし、合宿をする場所はあるのか?」
津山先輩の疑問ももっともである。合宿というのはすなわち普段とは別の場所で集中的に練習を行うということであろう。一番の問題となる事柄は、合宿を行う場所である。
だがこの御人、流石にその点をハッキリとさせないで合宿を提案するほど愚かではない。
「実は先方には既に連絡済みで、許可も取ってあります。あとは皆さんの了承と得られればオッケーです」
「よもやそこまで手回しをしていたとは……」
ゆみ姉の言葉から呆れと感心足して割ったような色が含まれていた。
「それで、結局何処で合宿するんすか?」
「あぁ、神奈川県は横浜だ。しかも特別コーチ付き」
「……ん?」
ゆみ姉が眉根を潜める。
「御人、もしかして……」
どうやらゆみ姉は気付いたようだ。
合宿というのは、ただ泊り込みで練習をするだけでは激的なレベルアップというものは望めない。レベルアップするためのなにか別の要素が必要なのだ。もちろんその点に関しても抜かりはない。
「横浜ロードスターズ所属し、チームを優勝に導き首位打点王とゴールドハンドを受賞。日本代表では先鋒を務めたプロ雀士にして俺とゆみ姉共通の従姉弟」
昨晩連絡を入れ、自分が知る最高の雀士に協力を要請。久しぶりで突然の連絡に『彼女』は快く承諾してくれた。
「うた姉こと、((三尋木|みひろぎ))((咏|うた))が今回の特別コーチだ」
「……えええええええええ!!!?」
「……ホント、お前のその突拍子の無さには驚かされるよ」
部員全員の驚愕の声に、ゆみ姉のため息はかき消されるのだった。
《西二局に続く》
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急・展・開 ※この話から二次ファン未掲載の新規追加部分になります。 |
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