魔法少女リリカルなのは 四天王始めました |
ジュエルシードの暴走体が強化されていたことに対して危険性を感じ取った転生者達はジュエルシードを必死に探しているが全くもって見つからない。
既にあの木の暴走体の件から数日が経っている。ここ数日の間は毎日のように暴走体による被害についてのニュースが流れていたがそれも落ち着きつつある。
あの暴走体のもたらした被害について月村邸に呼び出されたのは記憶に新しい。その時にメイドのドジにより頭から紅茶をこぼされた。そして、お詫びとして服を貰ったのはいいのだが…………全部、女物であった。
慣れって恐ろしいものだと最近理解した。男のはずなのに女物の服を着たまま外に出てしまったのだ。それをレオンに見られており、レオンからリゼットに伝わり俺は女装がデフォルトになってしまったのだ。
その事を思い出すと溜め息が出る。
「どうしたのよ?溜め息なんか吐いちゃって」
俺が溜め息を吐くことになった理由の元凶が現れた
。
「ちょっとばかし自分の失敗を思い出してね……」
「そう?それと、血は飲まなくて平気」
リゼットは言うと同時に自分の襟元を覗かせる。
「平気だよ。まだ、衝動は出てないから」
俺はそう言うと立ち上がり玄関に向かう。
「何処行くの?」
俺は靴を履きながら言う。
「散歩だよ」
家から出て適当に歩いていると、
「あっ!」
金髪少女とその少女の一歩後ろを歩く執事服を着た初老の男性にであった。
「あの……何でそんな格好してるんですか?」
戸惑いぎみに金髪少女に俺の格好について聞かれた。
俺は彼女の名前は聞いてないので答えるより先に訊いておく。
「その前に君の名前は?
まあ、大体は予想がついているが……。
「あっ……ごめんなさい。私はアリサ・バニングスと言います」
彼女ーーアリサーーは申し訳なさそうに言う。
「よろしく、バニングスさん」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。じゃなくて……何でそんな格好を男ですよね……」
ああ、俺の格好のことだったね。
「これはリゼットの趣味だよ。慣れって怖いね」
「あはは……」
俺が遠い目をしながら言うとアリサは気まずそうに笑った。
「ええっと……レインさんは何処に行くんですか?私はすずかの家に行く途中なんです
明らかな話題変更だ。何か気を使わせたようで悪いね。
「俺は散歩の途中だよ」
「そうなんですか……それじゃあ、私は行きますね」
アリサはそう言うと俺に背を向け歩き始めた。そしてその後ろにいた執事服を着た男性も俺に一礼した後、アリサについていった。
俺も執事服を着た男性に一礼して、散歩に戻る。
しばらく歩いていると青い宝石みたいな石を見つけたので即その場で踵を返して別の道に向かった。
何であんな道端に落ちてんの!てか、ジュエルシードを探してる奴!早くあそこに落ちてる拾えよ!!アレか探索魔法でしか探してないのか?もしそうなら、ちゃんと自分の足でも探せや……。
そう思って空を見上げていると聞き覚えのある声が聞こえた。
「やはり余はこうした方が良いと思うのだが?」
「そうだよね……じゃあ!此所はこれなんてどう?」
「おお……!名案ではないか!それで行こう」
声がする方に行くとシアと同級生の子が一人いた。
「何してんの?」
俺が背後から声をかけると二人はビクッとしたあと恐る恐る振り返り、俺の姿を見たあとふぅ〜と安堵した様子で大きく息を吐いた。
「何だ……レインか驚いたぞ。それにしても何だその格好は?」
やはり訊かれたか……。
「色々あったんだよ……」
「…………そうか」
察してくれたようだ。ありがとう。
「それで、何してるの?」
もう一度訊くと一冊の台本を渡された。
「これを読んで、その感想を頼む」
シアに言われた通りに台本を読んでみる。
……………………昼ドラ?以外と内容がドロドロとしてるんだけど……。
ふと視線をシア達に向けるとワクワクした様子で瞳を輝かせながら俺を見ている。
「うん、凄いね……本当に」
凄いよ……この年でここまで構想を練るなんて才能としか言えないよ。何か怖い わ……この子達……色んな意味で将来が心配だ。
そのあと、俺はまた散歩に戻った。
のんびりブラブラと町を歩いていると遠目に犬耳にタンクトップ姿の女性と金髪でレオタードにマントを羽織った露出度の高い姿の少女が少年を脅しているのが見えた。
いつから海鳴市は物騒になったのだろうか……ああ、ジュエルシードが落ちてきてからか。
とりあえず、別の道に行くか。
早速別の道に行こうとすると、
「助けてください!!」
先ほどの脅されていた少年が俺の方に逃げながら声をかけて来た。おまけにその背後から露出度の高い姿の二人組が追いかけてきている。
脅されてたお前はなぜこっちに来る!?どっか別の場所に行け!
「それを渡してください」
「さっさとそれを寄越しな!さもないとガブッとするよ!」
少女と女性がそう言いながら少年を追いかけてきている。しかも少女の方は金色の鎌を持って追いかけてるからどう見ても強盗か何かにしか見えない。
「助けてください!追われてるんです!?」
いや、見えてたからわかるよ!てか、俺を盾にするんじゃない!図々しいなこの少年……。
「さあ、それを渡して」
そう言いながら武器を俺に突きつける金髪のレオタード姿の少女。
突きつける相手は俺じゃない!後ろの少年だ!相手を間違えるんじゃない!!
「ちょっと待ってフェイト!」
「どうしたのアルフ?」
犬耳を生やしたタンクトップ姿の女性ーーアルフーーが少女ーーフェイトーーに待ったをかけた。
よし、後は俺の後ろにいる少年を差し出せば俺は散歩に戻れる!
「こいつから血の臭いがするよ……」
「っ!貴方は何者ですか」
後ろにいる少年を差し出そうとした矢先にアルフによってフェイトに警戒されて詰問されてしまった。
何でこうなるかな……後ろにいる少年を差し出そうとしただけで……。
内心項垂れていると、より警戒した様子でフェイトとアルフが臨戦態勢に入っていた。
「……散歩途中の一般人」
俺は正直に言う。
「嘘だね、一般人はそんなに血の臭いはしないよ」
はい、信じてもらえませんでした。
しかたない……戦うか……手加減して。基本的に転生者以外は殺さないように意識してるんだけど、まあ何とかなんでしょ。
「っ!」
「っ!何だよこれは?」
俺の雰囲気が変わった途端にフェイトとアルフが後退した。特にアルフの方は何か気づいたらしく震えている。
「どうしたのアルフ!?」
震えているアルフに気づいたフェイトが心配そうに声をかける。
「ヤバイよ……フェイト。あいつに関わっちゃいけないよ」
「でも母さんの為にジュエルシードを集めないと」
アルフはもう気にしなくていいか、見ている限り戦えなさそうだし……俺の後ろにいる少年は気絶してるし帰ろうかな?散歩する気分じゃなくなったし。
踵を返して此処から去ろうとすると声をかけられた。
「待って!」
「何か?」
俺は振り返り返事をする。すると、鎌を構えたままフェイトが困惑した様子で言った。
「何処に行くんですか?」
「行かない方がよかった?」
そう俺が問い返すとフェイトは首をブンブンと横に振る。
「なら、別にいいじゃん……それに、近いうちにまた会うことになるからね」
俺は笑いながらそう言って全速力で家に戻った。
「ただいま」
靴を脱いで洗面所に向かい手を洗い、その後にリビングに向かう。
「お帰りなさい」
チラシを見ているリゼットに散歩先であった出来事を話す。
「フェイトとアルフがいたよ。しかも、ジュエルシードを拾った一般人らしき少年を脅してジュエルシードを手に入れようとしてたよ」
「へー……もう来てたのね。じゃあ、そろそろ転生者を襲撃しようか」
リゼットはチラシをテーブルに置くとデバイスーーアイオンーーを取り出す。
「アイオン、セットアップ」
『セットアップ』
BJを纏うリゼット、アイオンは三つある形態の一つの錫杖形態になっている。今更なのだが、
「何でアイオンは日本語で話すわけ?」
そう……アイオンは日本語で話すのだ。
『マスターの住んでいる世界の言語以外は積んでいませんので、それに言語機能を複数内包するのはリソースの無駄です』
「必要な機能さえあれば十分だしね」
『その通りです。レインの言うとおり必要な機能さえあれば余計な機能でリソースを少なくすることもありません』
「はいはい、分かってるわよ。転移術式を起動」
リゼットはアイオンの話を適当に流すと転移の準備を始める。
「レイン……大剣を持ってきてね。今回は大剣を使って殺るわ」
「了解」
リゼットの言う通りに大剣を持ってくる。そして般若の仮面を被り、持ってきた大剣を背負う。
「転移開始」
そして、俺とリゼットは地球からいなくなった。
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無印編 4話 慣れとは恐ろしいものだ | ||
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コメント | ||
本人達は知りませんが転生する際に邪神によって殺人などに対する忌避感を抱けないように調整されています。 それ故に殺人を犯してもこれと言った葛藤が起きず、日常生活を送れる訳ですが……。 (バロール) こいつら殺すことに抵抗なさ過ぎない? 内心でどんな葛藤があるのか書いてないだけかもしれませんが。(夜の魔王) |
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